医療用医薬品 : ラコール |
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販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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ラコールNF配合経腸用半固形剤 | RACOL-NF SemiSolid for Enteral Use | イーエヌ大塚製薬 | 3259118T1020 | 1.02円/g |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
牛乳たん白アレルギーのある患者[本剤は牛乳由来のカゼインが含まれているため、ショック、アナフィラキシーを引き起こすことがある。]
胃の機能が残存していない患者[本剤の投与方法は、胃の貯留能、運動機能を利用する必要がある。]
イレウスのある患者[消化管の通過障害がある。]
腸管の機能が残存していない患者[水、電解質、栄養素などが吸収されない。]
高度の肝・腎障害のある患者[肝性昏睡、高窒素血症などを起こすおそれがある。]
重症糖尿病などの糖代謝異常のある患者[高血糖、高ケトン血症などを起こすおそれがある。]
先天性アミノ酸代謝異常の患者[アシドーシス、嘔吐、意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがある。]
一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。
経口食により十分な栄養摂取が可能となった場合には、速やかに経口食にきりかえること。
通常、成人標準量として1日1,200〜2,000g(1,200〜2,000kcal)を胃瘻より胃内に1日数回に分けて投与する。投与時間は100g当たり2〜3分(300g当たり6〜9分)とし、1回の最大投与量は600gとする。
また、初めて投与する場合は、投与後によく観察を行い臨床症状に注意しながら増量して数日で標準量に達するようにする。
なお、年齢、体重、症状により投与量、投与時間を適宜増減する。
本剤は、経腸栄養剤であるため、静脈内へは投与しないこと。
慎重投与
短腸症候群の患者[下痢の増悪をきたすおそれがある。]
急性膵炎の患者[膵炎が増悪するおそれがある。]
水分の補給に注意を要する下記患者[下記の患者では水分バランスを失いやすい。]
意識不明の患者
口渇を訴えることのできない患者
高熱を伴う患者
重篤な下痢など著しい脱水症状の患者
重要な基本的注意
本剤を術後に投与する場合、胃、腸管の運動機能が回復し、水分の摂取が可能になったことを確認すること。
本剤の臨床試験における13日以上の効果は確認していない。
ビタミン、電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので、必要に応じて補給すること。類薬の長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下、爪白色変化、筋力低下等)があらわれたとの報告がある。
相互作用
併用注意
ワルファリン | ワルファリンの作用が減弱することがある。 | フィトナジオン(ビタミンK1)がワルファリンの作用に拮抗するため(本剤はフィトナジオンを18.75μg/300g含有する)。 |
副作用
副作用発現状況の概要
承認時までの調査において第III相比較試験(検証的試験)の安全性評価対象56例のうち副作用発現例数は18例(32.1%)、副作用発現件数は27件であった。その内訳は消化器系の副作用が下痢10例(17.9%)、腹部膨満感1例(1.8%)、便秘1例(1.8%)、悪心1例(1.8%)であり、その他の副作用がALT(GPT)増加3例(5.4%)、AST(GOT)増加2例(3.6%)、血中カリウム増加2例(3.6%)、血中ナトリウム減少2例(3.6%)、白血球数増加2例(3.6%)、低ナトリウム血症1例(1.8%)、誤嚥性肺炎1例(1.8%)、血中クロール減少1例(1.8%)であった。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、意識障害、呼吸困難、チアノーゼ、悪心、胸内苦悶、顔面潮紅、そう痒感、発汗等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
5%以上 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明注3) | |
消化器注1) | 下痢 | 腹部膨満感、便秘、悪心 | 腹痛、嘔吐、肝機能検査値の異常 |
その他注2) | 低ナトリウム血症、誤嚥性肺炎 | 皮疹、蕁麻疹、発熱、頭痛 |
5%以上 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明注1) | |
血液 | ALT(GPT)の上昇 | AST(GOT)、カリウムの上昇、ナトリウム、クロールの低下、白血球数の増加 | Al-P、LDH、γ-GTP、LAP、尿素窒素、中性脂肪、クレアチニン、カルシウム、クロールの上昇、カルシウム、総コレステロール、遊離脂肪酸、総ビリルビン、尿酸、総たん白、アルブミンの低下、血糖値の上昇と低下、血小板数の増加、赤血球数の減少、血色素量、ヘマトクリット値の低下 |
尿 | たん白定性、ウロビリノーゲン定性、ケトン体定性、尿糖定性の陽性、ナトリウム、クロール、カルシウム、カリウムの低下と上昇、pHの上昇 |
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、投与量、投与時間に注意して投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
外国において、妊娠前3ヶ月から妊娠初期3ヶ月までにビタミンAを10,000IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査結果1)があるので、妊娠3ヶ月以内又は妊娠を希望する婦人に投与する場合は用法・用量に留意し、本剤によるビタミンAの投与は5,000IU/日未満に留めるなど必要な注意を行うこと。
(本剤2,000g中にビタミンA 4,140IU(1バッグ300g中に621IU)を含有する。)
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
投与に際して
容器に小さな穴や亀裂などの破損や汚損がある場合、容器からの液漏れ及び膨張並びに異臭など性状の異常が認められる場合は使用しないこと。
開封前に揉んでから使用すること。揉んだ際に、容器からの液漏れ等の異常が認められる場合は、使用しないこと。
胃瘻カテーテルの長さや内径によっては投与が困難なことがあるので注意すること。(胃瘻カテーテルの長さが短く、内径が大きいほど投与に必要な力は少ない)
投与に際しては、専用の注入器を用いて投与することが望ましい。なお、専用の注入器がやむを得ず使用できない場合は、本剤を清潔な容器に移して使用すること。
投与初期には、特に観察を十分に行い、下痢などの副作用が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
投与方法
投与の開始時に、胃内容物の残存を確認すること。
投与の終了ごとに少量の水でチューブをフラッシングすること。
投与の間隔は2時間以上おくこと。
保存等
凍結保存や室温を上回る高温下での保存は避けること。
開封後は、微生物汚染及び直射日光を避け、できるだけ早めに使い切ること。
その他
本剤を加温する際は、注入器を接続する前に、未開封のまま湯煎(40℃以下)にて短時間で行うこと。(高温で湯煎すると本剤の性状に変化が認められる)
可塑剤としてDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate;フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含むポリ塩化ビニル製のチューブを使用した場合、DEHPが製剤中に溶出するので、DEHPを含まないチューブを使用することが望ましい。
胃瘻を有する患者を対象とした無作為化オープン試験(第III相比較試験)は、全国18施設19診療科で118例に実施された2)。有効性の評価は、有効性評価対象症例112例[被験薬(本剤と比較し、フィトナジオンの含有量が10倍の製剤。フィトナジオン以外の有効成分及び添加物含量並びに性状は同一)群56例、対照薬(ラコール配合経腸用液(ラコールNF配合経腸用液と比較し、フィトナジオンの含有量が10倍の製剤。フィトナジオン以外の有効成分及び添加物含量並びに性状は同一))群56例]で検討した結果、総蛋白、アルブミン、トランスサイレチン、トランスフェリン、レチノール結合蛋白、電解質項目、脂肪酸項目の血清濃度が両群で同様に推移し、対照薬と同様に栄養管理ができることを確認した。
安全性については、安全性評価対象症例112例[被験薬群56例、対照薬群56例]で検討した結果、副作用が認められた症例は、被験薬群18例、対照薬群22例で差はなかった。被験薬で発現した副作用の種類は、経腸栄養の施行中に発現し得るものであり、その発現頻度は対照群と同程度であった。
胃瘻カテーテルを留置したラットを用い、対照薬と栄養効果を比較検討した結果、体重推移、血清中のたん白質濃度、脂質濃度及び窒素出納がほぼ同等であったことから、同様の栄養効果を有すると考えられた3)。
本剤の容器は、使用直前に開封すること。
ラコールNF配合経腸用半固形剤
18バッグ
1. | Rothman K.J.et al., New Engl J Med., 333 (21), 1369, (1995) »PubMed »DOI |
2. | 東口 高志,他, 新薬と臨牀, 63 (6), 844-876, (2014) |
3. | 社内資料(薬理試験) |
改訂履歴 |
2014年3月 作成 (第1版) |
文献請求先 |
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。 |
業態及び業者名等 |
製造販売元 販売提携 販売提携 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2020/12/16 版 |