医療用医薬品 : リマプロストアルファデクス

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医薬品情報


総称名 リマプロストアルファデクス
一般名 リマプロスト アルファデクス
欧文一般名 Limaprost Alfadex
製剤名 リマプロスト アルファデクス錠
薬効分類名 経口プロスタグランジンE1誘導体製剤
薬効分類番号 2190
ATCコード B01AC28
KEGG DRUG
D02860 リマプロストアルファデクス
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
リマプロストアルファデクス錠5μg「SN」 (後発品) Limaprost Alfadex Tablets“SN” シオノケミカル 3399003F1120 18.3円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

4. 効能または効果

閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの虚血性諸症状の改善
○後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善

5. 効能または効果に関連する注意

<後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善>
手術適応となるような重症例での有効性は確立していない。

6. 用法及び用量

<閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの虚血性諸症状の改善>
通常成人に、リマプロストとして1日30μgを3回に分けて経口投与する。
<後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善>
通常成人に、リマプロストとして1日15μgを3回に分けて経口投与する。

8. 重要な基本的注意

<後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善>
症状の経過観察を行い、漫然と継続投与しないこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 出血傾向のある患者
出血を助長するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(妊娠サル、妊娠ラット静脈内投与)で子宮収縮作用が報告されている1)。[2.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(授乳ラット経口投与)で乳汁中への移行が報告されている2)
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
抗血小板剤
アスピリン
チクロピジン
シロスタゾール
血栓溶解剤
ウロキナーゼ
抗凝血剤
ヘパリン
ワルファリン
これらの薬剤と併用することにより出血傾向の増強をきたすおそれがある。
観察を十分に行い、用量を調節するなど注意すること。
本剤は血小板凝集能を抑制するため、類似の作用を持つ薬剤を併用することにより作用を増強することが考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害、黄疸
AST、ALTの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
 0.1〜1%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹、そう痒感等蕁麻疹光線過敏症
出血傾向 出血 
血液 貧血、血小板減少 
消化器下痢、悪心、腹部不快感、腹痛、食欲不振、胸やけ嘔吐、腹部膨満感、口渇、口内炎舌しびれ
肝臓AST・ALTの上昇等の肝機能異常  
循環器心悸亢進頻脈、低血圧、四肢のチアノーゼ、血圧上昇 
精神神経系頭痛、めまいしびれ感、眠気、不眠 
その他潮紅、ほてり全身倦怠感、胸痛、胸部不快感、四肢痛、浮腫、乳腺腫脹、身ぶるい、下肢多毛、味覚異常 

13. 過量投与

13.1 症状
健康成人に大量投与(30〜40μg/回)したとき一過性の血圧下降を認めたとの報告がある3)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
リマプロストアルファデクス錠5μg「SN」とオパルモン錠5μgを、クロスオーバー法によりそれぞれ6錠(リマプロストとして30μg注1))健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中リマプロスト濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された4)
注1)本剤の承認された用法及び用量は、閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの虚血性諸症状の改善にはリマプロストとして1日30μgを3回に分けて、後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善にはリマプロストとして1日15μgを3回に分けて経口投与である。
 n判定パラメータ参考パラメータ
AUC0−3(pg・hr/mL)Cmax(pg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
リマプロストアルファデクス錠5μg「SN」(6錠)407.4±3.38.8±5.10.5±0.31.1±0.7
オパルモン錠5μg(6錠)407.0±4.18.7±5.70.5±0.21.0±0.4
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
〔11β-3H〕リマプロスト アルファデクスをラットに経口投与したとき、90〜95%が吸収される2)
16.3 分布
ヒト血漿(0.023mM濃度)に対する蛋白結合率は95.8%である(in vitro、限外ろ過法)5)
16.4 代謝
リマプロストはα鎖のβ酸化、ω鎖末端の酸化、五員環の異性化、C-9位のカルボニル基の還元等を受けて代謝される5)
また、リマプロストはヒトのチトクロームP450の分子種(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4)を阻害しなかった(in vitro6)
16.5 排泄
〔11β-3H〕リマプロスト アルファデクスをラットに経口投与したとき、投与量の75〜80%が胆汁中に排泄されるが、腸肝循環して投与72時間後までに尿中に約30%、糞中に約70%排泄される2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの虚血性諸症状の改善>
17.1.1 国内二重盲検比較試験
二重盲検比較試験において閉塞性血栓血管炎に対する有用性が認められている7)
<後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善>
17.1.2 国内二重盲検比較試験
二重盲検比較試験において腰部脊柱管狭窄症に対する有用性が認められている8)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
リマプロストは強力な血管拡張作用、血流増加作用及び血小板凝集抑制作用を有し、臨床的には閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの虚血性諸症状に対する効果および後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力に対する効果が認められている。
18.2 薬理作用
18.2.1 末梢循環障害改善作用
大腿動脈にラウリン酸を投与して作成した末梢(後肢)循環障害モデルおよびアドレナリンとエルゴタミンを皮下投与して作成した末梢(尾)循環障害モデルにおいて、虚血性病変の進行を抑制する(ラット)9)
18.2.2 血流増加・皮膚温上昇作用
(1)大腿動脈血流量および後肢皮膚血流量を増加し、後肢皮膚温を上昇させるが、この血流増加作用は腰部交感神経切除によって影響されない(イヌ)10)
(2)閉塞性血栓血管炎患者に経口投与すると、末梢側(足背、足底)の皮膚温が上昇する11)
18.2.3 血小板に対する作用
(1)血小板粘着抑制作用
・血栓性疾患患者に経口投与すると、血小板粘着能が低下する12)
・血小板の粘着を抑制し、その50%抑制濃度はリマプロストとして0.186ng/mLである(モルモット、in vitro)。経口投与においても、血小板粘着を抑制する(モルモット、ex vivo13)
(2)血小板凝集抑制作用
・血栓性疾患患者に経口投与すると、血小板凝集を抑制する。この作用の強さはプロスタグランジンI2に匹敵する(in vitro12)
・種々の凝集誘発物質による血小板凝集を抑制し、また、ADP凝集を解離する(モルモット、in vitro14)
経口投与においても、血小板凝集を抑制する(モルモット、ex vivo13)
・血小板のサイクリックAMP含量を著明に増加する(モルモット、in vitro14)
18.2.4 抗血栓作用
電気刺激により腸間膜動脈に血栓を形成する実験において、用量依存的に血栓形成の閾値電圧を上昇させる(モルモット)15)
18.2.5 神経組織血流量増加作用
(1)第6腰椎の硬膜上にバルーンを挿入して馬尾神経を圧迫したモデルにおいて、馬尾神経組織血流量を改善する(イヌ)16)
(2)第4および第6腰椎脊柱管内にシリコンラバーを挿入して馬尾神経を圧迫したモデルにおいて、馬尾神経組織血流量を改善する(ラット)17)
(3)右後肢の坐骨神経を2ヵ所結紮した坐骨神経結紮モデルにおいて、結紮中間部の坐骨神経組織血流量を改善する(ラット)18)
18.2.6 神経機能改善作用
(1)第7腰椎の硬膜上にバルーンを挿入して馬尾神経を圧迫したモデルにおいて、神経伝導速度の低下を抑制する(イヌ)19)
(2)右後肢の坐骨神経を4ヵ所結紮した坐骨神経結紮モデルにおいて、結紮側大腿部筋肉の熱刺激誘発筋放電持続時間の延長を抑制する(ラット)20)
18.2.7 痛覚過敏改善作用
右後肢の坐骨神経を2ヵ所結紮した坐骨神経結紮モデルにおいて、結紮側の痛覚過敏を改善する(ラット)18)
18.2.8 歩行障害改善作用
第4および第6腰椎脊柱管内にシリコンラバーを挿入して馬尾神経を圧迫したモデルにおいて、歩行距離の低下を改善する(ラット)17)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. リマプロスト アルファデクス

一般的名称 リマプロスト アルファデクス
一般的名称(欧名) Limaprost Alfadex
化学名 (2E)-7-{(1R,2R,3R)-3-Hydroxy-2-[(1E,3S,5S)-3-hydroxy-5-methylnon-1-en-1-yl]-5-oxocyclopentyl}hept-2-enoic acid−α-cyclodextrin
分子式 C22H36O5XC36H60O30
分子量 380.52(リマプロストとして)
物理化学的性状 白色の粉末である。
水に溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、酢酸エチルにほとんど溶けない。
吸湿性である。
KEGG DRUG D02860

20. 取扱い上の注意

吸湿性を有するため、アルミピロー開封後は湿気を避けてPTP包装のまま保存すること。

22. 包装

210錠[21錠(PTP)×10、乾燥剤入り]
1050錠[21錠(PTP)×50、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 穐本 晃ほか, 現代医療, 20, 817-820, (1988)
  2. 宮本茂敏ほか, 現代医療, 18 (増II), 56-69, (1986)
  3. 山本智英ほか, 薬理と治療, 9, 1463-1476, (1981)
  4. 社内資料:生物学的同等性試験
  5. 宮本茂敏ほか, 現代医療, 18 (増II), 80-103, (1986)
  6. チトクロームP450に対する本薬の阻害作用(オパルモン錠、プロレナール錠:2005年2月2日承認、申請資料概要へ.1.(1))
  7. 草場 昭ほか, 医学のあゆみ, 138, 217-226, (1986)
  8. 栗原 章ほか, 臨床医薬, 12, 511-529, (1996)
  9. 北川敏一ほか, 現代医療, 18 (増II), 1-11, (1986)
  10. 北川敏一ほか, 現代医療, 18 (増II), 12-20, (1986)
  11. 木谷泰治ほか, 現代医療, 20, 810-816, (1988)
  12. 前田義春ほか, 血液と脈管, 13, 142-145, (1982) »DOI
  13. 坪井俊紀ほか, Arch.Intern.Pharmacodyn.Ther., 247, 89-102, (1980) »PubMed
  14. 坪井俊紀ほか, Thrombosis Res., 20, 573-580, (1980) »PubMed
  15. 藤谷武一ほか, Jpn.J.Pharmacol., 40, 31-35, (1986) »PubMed
  16. 伊藤邦臣ほか, 基礎と臨床, 29, 2577-2585, (1995)
  17. 竹信敬史ほか, 基礎と臨床, 30, 221-227, (1996)
  18. 椹木博之ほか, 基礎と臨床, 30, 237-244, (1996)
  19. 鹿山 悟ほか, 基礎と臨床, 30, 229-236, (1996)
  20. 藤谷武一ほか, 基礎と臨床, 30, 245-250, (1996)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
シオノケミカル株式会社 学術情報本部
〒104-0028 東京都中央区八重洲2丁目10番10号
電話:03-5202-0213
FAX:03-5202-0230
製品情報問い合わせ先
シオノケミカル株式会社 学術情報本部
〒104-0028 東京都中央区八重洲2丁目10番10号
電話:03-5202-0213
FAX:03-5202-0230

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
シオノケミカル株式会社
東京都中央区八重洲2丁目10番10号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版