医療用医薬品 : クロルフェネシンカルバミン酸エステル

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医薬品情報


総称名 クロルフェネシンカルバミン酸エステル
一般名 クロルフェネシンカルバミン酸エステル
欧文一般名 Chlorphenesin Carbamate
薬効分類名 筋緊張性疼痛疾患治療剤
薬効分類番号 1225
KEGG DRUG
D00770 クロルフェネシンカルバミン酸エステル
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「サワイ」 (後発品) CHLORPHENESIN CARBAMATE Tablets[SAWAI] 沢井製薬 1225001F1157 6.5円/錠
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「サワイ」 (後発品) CHLORPHENESIN CARBAMATE Tablets[SAWAI] 沢井製薬 1225001F2285 8.6円/錠

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤及び類似化合物(メトカルバモール等)に対し、過敏症の既往歴のある患者
2.2 肝障害患者[9.3.1参照]

4. 効能または効果

運動器疾患に伴う有痛性痙縮
腰背痛症、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊椎分離・辷り症、脊椎骨粗鬆症、頸肩腕症候群

6. 用法及び用量

<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「サワイ」>
通常、成人1回2錠(クロルフェネシンカルバミン酸エステルとして250mg)を1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「サワイ」>
通常、成人にはクロルフェネシンカルバミン酸エステルとして1回250mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

ねむけ、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者
The United States DISPENSATORY,27th Ed.301(1973)及びMARTINDALE The Extra Pharmacopoeia,26th Ed.1891(1972)に準拠した。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害患者
投与しないこと。Modern Drug Encyclopedia,13th Ed.155(1975)に準拠した。[2.2参照]
9.3.2 肝障害の既往歴のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
フェノチアジン系薬剤
〔クロルプロマジン塩酸塩等〕
相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること。機序は不明である。
中枢神経抑制剤
〔バルビツール酸誘導体等〕
相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること。機序は不明である。
モノアミン酸化酵素阻害剤相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること。機序は不明である。
アルコール相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること。機序は不明である。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
11.1.2 中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜1%未満0.1%未満頻度不明
精神神経系めまい・ふらつき
ねむけ
頭痛・頭重感
倦怠感
脱力感
 
消化器腹痛注1)
消化不良注2)
嘔気
胃腸障害
下痢
便秘
口内乾燥
舌炎
悪心
 
血液  白血球減少
血小板減少
過敏症発疹注3)浮腫・腫脹感
そう痒感
口内炎
熱感
 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
国内の臨床試験で8週間を超えた投与例は限られており、本剤を長期間投与する場合は、臨床検査(血液検査、尿検査及び肝機能検査等)を行うことが望ましい。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人に250mgを単回経口投与した場合、1時間で最高血中濃度に達し、3.7時間の半減期で消失した1)
16.1.2 生物学的同等性試験
<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「サワイ」>
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「サワイ」とリンラキサー錠125mgを健康成人男子にそれぞれ2錠(クロルフェネシンカルバミン酸エステルとして250mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血清中クロルフェネシンカルバミン酸エステル濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)
各製剤2錠投与時の薬物動態パラメータ
 Cmax(μg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)AUC0-24hr(μg・hr/mL)
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「サワイ」3.6±0.71.4±0.93.2±0.623.3±3.2
リンラキサー錠125mg3.3±0.61.0±0.83.5±0.320.7±4.1
<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「サワイ」>
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「サワイ」とリンラキサー錠250mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(クロルフェネシンカルバミン酸エステルとして250mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血清中クロルフェネシンカルバミン酸エステル濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)
各製剤1錠投与時の薬物動態パラメータ
 Cmax(μg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)AUC0-24hr(μg・hr/mL)
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「サワイ」3.6±1.21.2±1.03.9±1.223.5±8.7
リンラキサー錠250mg3.8±1.21.1±0.43.7±1.223.9±9.8
血清中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
ラットに14C-クロルフェネシンカルバミン酸エステルを経口投与した場合、3時間後の放射活性は胃、小腸、肝、脊髄、副腎、腎の順に高かった。長時間にわたる特定組織への残存は認められなかった4)
16.4 代謝
健康成人に250mgを単回経口投与した場合、尿中代謝物の大部分(総排泄量の約84%)が未変化体のグルクロン酸抱合体であった1)
16.5 排泄
健康成人に250mgを単回経口投与した場合、24時間で尿中には投与量の約92%が排泄された1)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
脊髄における多シナプス反射経路の介在ニューロンの選択的抑制と筋紡錘活動抑制により筋弛緩作用を示す。
18.2 筋弛緩作用
回転円筒法(マウス、ラット)、傾斜板法(マウス)、握力試験(マウス、ラット)などによるクロルフェネシンカルバミン酸エステルの筋弛緩効果は、メトカルバモールより強く、その作用は持続的である5)6)
筋弛緩作用(マウス回転円筒法)
薬剤名ED50(mg/kg)
p.o.
クロルフェネシンカルバミン酸エステル265.0
メトカルバモール595.0
18.3 脊髄反射電位に対する作用
ネコの脊髄後根電気刺激実験において、クロルフェネシンカルバミン酸エステルは脊髄の多シナプス反射経路における介在ニューロンを選択的に遮断し、神経インパルスの伝達を抑制することにより、骨格筋の痙縮を緩解させる7)。またラットの脊髄に対して、運動ニューロンの軸索起始部の興奮性を、シナプスの膜安定化作用により低下させ、筋弛緩作用を示す8)
18.4 γ-運動ニューロンに対する作用
除脳ラットのγ-運動ニューロンの自発活動をメフェネシン、メトカルバモールに比し持続的に抑制し、筋弛緩作用を示す5)
18.5 実験的固縮緩解作用
ラットのSherrington型除脳固縮、Pollock and Davis型貧血性固縮の緩解作用はメフェネシンより強くまた持続的である9)
18.6 脳波に対する作用
ウサギ慢性脳波実験において、クロルフェネシンカルバミン酸エステルは著明な筋弛緩症状を呈する用量においても、脳各部位の覚醒水準に大きく影響を与えることなく、鎮静作用はごく軽度である10)
脳波に対する作用(ウサギ慢性電極植込み法)
薬剤名行動覚醒反応
中脳網様体視床内側中心核後部視床下部
クロルフェネシンカルバミン酸エステル(100mg/kg i.d.)筋弛緩著明、軽度鎮静、3時間後回復閾値上昇率10〜20%閾値上昇率20〜40%閾値上昇率10〜25%
クロルメザノン(100mg/kg i.d.)軽度筋弛緩、鎮静状態、5〜6時間後回復軽度抑制閾値上昇率50〜70%閾値上昇率40〜60%
18.7 骨格筋緊張及びそれに伴う疼痛に対する作用
腰部痛、肩凝りを主訴とする患者にクロルフェネシンカルバミン酸エステルを投与し、客観的な評価が可能な筋緊張度測定器により筋緊張度を測定した結果、緊張度の明らかな低下が認められた11)
腰痛、背痛、頸部痛及び肩部痛を主訴とする患者にクロルフェネシンカルバミン酸エステルを投与し、皮電点(病変部直上皮膚に生ずる疼痛の投影所見)の検索を行った結果、皮電点の減少が認められた12)
腰痛症と診断された患者にクロルフェネシンカルバミン酸エステルを投与し、幹最大前屈時の指床間距離の測定、筋電図によるAPテスト(幹前屈運動時におこる活動電位の出現様式による判定)を行った結果、改善が他覚的に認められた13)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クロルフェネシンカルバミン酸エステル

一般的名称 クロルフェネシンカルバミン酸エステル
一般的名称(欧名) Chlorphenesin Carbamate
化学名 (2RS)-3-(4-Chlorophenoxy)-2-hydroxypropyl carbamate
分子式 C10H12ClNO4
分子量 245.66
融点 88〜91℃
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール、エタノール(95)又はピリジンに溶けやすく、水に溶けにくい。エタノール(95)溶液(1→20)は旋光性を示さない。
KEGG DRUG D00770

22. 包装

<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「サワイ」>
PTP
100錠(10錠×10)、1,000錠(10錠×100)
<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「サワイ」>
PTP
100錠(10錠×10)

23. 主要文献

  1. 第十八改正日本薬局方解説書, C-1850-1854, (2021), (廣川書店)
  2. 社内資料:生物学的同等性試験(錠125mg)
  3. 社内資料:生物学的同等性試験(錠250mg)
  4. 野津隆司他, 応用薬理, 14 (1), 1-14, (1977)
  5. 福田英臣他, 応用薬理, 13 (5), 701-708, (1977)
  6. 笹島道忠他, 応用薬理, 13 (5), 689-700, (1977)
  7. Matthews,R.J.et al., Arch.int.Pharmacodyn., 143, 574-594, (1963) »PubMed
  8. Kurachi,M.et al., Jpn.J.Pharmacol., 36 (1), 7-13, (1984) »PubMed
  9. 福田英臣他, 日薬理誌, 70, 341-358, (1974) »PubMed
  10. 渡辺繁紀他, 日薬理誌, 73, 479-496, (1977) »PubMed
  11. 桜井実, 診療と新薬, 13 (12), 2645-2652, (1976)
  12. 立野勝彦他, 診療と新薬, 13 (12), 2653-2656, (1976)
  13. 宮崎淳弘他, 診療と新薬, 13 (12), 2657-2661, (1976)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966
製品情報問い合わせ先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版