医療用医薬品 : クエン酸第一鉄ナトリウム

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医薬品情報


総称名 クエン酸第一鉄ナトリウム
一般名 クエン酸第一鉄ナトリウム
欧文一般名 Sodium Ferrous Citrate
薬効分類名 可溶性の非イオン型鉄剤
薬効分類番号 3222
ATCコード B03AA12
KEGG DRUG
D03275 クエン酸第一鉄ナトリウム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg「ツルハラ」 (後発品) Sodium Ferrous Citrate Tablets「TSURUHARA」 鶴原製薬 3222013F1165 5.9円/錠
クエン酸第一鉄ナトリウム顆粒8.3%「ツルハラ」 Sodium Ferrous Citrate Granules「TSURUHARA」 鶴原製薬 3222013D1075 9.8円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 鉄欠乏状態にない患者[過量投与にならないよう注意する。過剰症を起こすおそれがある。]

4. 効能または効果

鉄欠乏性貧血

6. 用法及び用量

クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg「ツルハラ」
通常成人は鉄として1日100〜200mg(クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg「ツルハラ」2〜4錠)を1〜2回に分けて食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
クエン酸第一鉄ナトリウム顆粒8.3%「ツルハラ」
通常成人は鉄として1日100〜200mg(クエン酸第一鉄ナトリウム顆粒8.3%「ツルハラ」1.2〜2.4g)を1〜2回に分けて食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤投与中は、適宜血液検査を実施し、過量投与にならないよう注意する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 消化性潰瘍、慢性潰瘍性大腸炎、限局性腸炎等の胃腸疾患のある患者
病態を悪化させることがある。
9.1.2 発作性夜間血色素尿症の患者
溶血を誘発し病態を悪化させることがある。
9.1.3 鉄含有製剤(鉄剤、MRI用肝臓造影剤等)投与中の患者
過剰症を起こすおそれがある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
セフジニルセフジニルの吸収を約10分の1に阻害することがあるので、3時間以上間隔を空けて本剤を投与すること。相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相手薬剤の吸収を阻害する。
キノロン系抗菌剤
塩酸シプロフロキサシン
ノルフロキサシン
トスフロキサシントシル酸塩水和物
スパルフロキサシン等
抗菌剤の吸収を阻害することがある。相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相手薬剤の吸収を阻害する。
テトラサイクリン系抗生物質相互に吸収を阻害する。相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相互に吸収を阻害する。
甲状腺ホルモン製剤
レボチロキシンナトリウム水和物
リオチロニンナトリウム等
チロキシンの吸収を阻害するおそれがある。相手薬剤と高分子鉄キレートを形成し、相手薬剤の吸収を阻害するおそれがある。
制酸剤鉄の吸収を阻害することがある。in vitro試験において、pHの上昇により、難溶性の鉄重合体を形成することが報告されている。
タンニン酸を含有する食品鉄の吸収を阻害するおそれがある。in vitro試験において、タンニン酸と高分子鉄キレートを形成することが報告されている。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
消化器悪心・嘔吐上腹部不快感、胃・腹痛、下痢、食欲不振、便秘、胸やけ腹部膨満感 
過敏症 発疹そう痒感光線過敏症
肝臓 AST、ALTの上昇等Al-Pの上昇等 
精神神経系  頭痛、めまい 
その他  倦怠感、浮腫 

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

潜血反応で偽陽性となることがある。

13. 過量投与

13.1 症状
主な症状は胃粘膜刺激による悪心、嘔吐、腹痛、血性下痢、吐血等の消化器症状である。また、頻脈、血圧低下、チアノーゼ等がみられる。重症の場合は、昏睡、ショック、肝壊死、肝不全に至ることがある1)2)
13.2 処置
服用初期には催吐、胃洗浄が有効である。その他に下剤、鉄排泄剤(デフェロキサミン)等の投与を行う。血圧低下や循環虚脱があらわれた場合には、昇圧剤、輸液等による対症療法を行う1)2)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
<錠>
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本剤の投与により便が黒色を呈することがある。
15.1.2 本剤の投与により歯又は舌が一時的に着色(茶褐色等)することがある。その場合には、重曹等で除去する。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物実験において、大量のアロプリノールとの併用で肝の鉄貯蔵量が増加したとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
<クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg「ツルハラ」>
クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg「ツルハラ」とフェロミア錠50mgを健康成人男子にそれぞれ2錠(鉄として100mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血清鉄濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された3)
 △AUC(μg・hr/dL)△Cmax(μg/dL)Tmax(hr)
クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg「ツルハラ」904.8±31.6117.9±4.33.5±0.2
フェロミア錠50mg849.0±39.2111.9±5.33.6±0.2
<クエン酸第一鉄ナトリウム顆粒8.3%「ツルハラ」>
クエン酸第一鉄ナトリウム顆粒8.3%「ツルハラ」とフェロミア顆粒8.3%を健康成人男子にそれぞれ1.2g(鉄として100mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血清鉄濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された4)
 △AUC(μg・hr/dL)△Cmax(μg/dL)Tmax(hr)
クエン酸第一鉄ナトリウム顆粒8.3%「ツルハラ」856.5±38.9110.6±6.23.9±0.2
フェロミア顆粒8.3%876.7±47.8113.3±6.44.0±0.2
血清鉄濃度並びに△AUC、△Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
吸収された鉄は血漿トランスフェリンと結合し、体内を循環する。トランスフェリンに結合した鉄は骨髄にて赤芽球にとりこまれ、ヘモグロビン合成に利用される5)6)
18.2 胃酸分泌に影響されることなく血清鉄を上昇させる
健康なラット及びウサギ並びに貧血ウサギにおいて、クエン酸第一鉄ナトリウムは硫酸鉄水和物あるいはフマル酸第一鉄とほぼ同等の血清鉄上昇効果を示した。イヌにおいて、クエン酸第一鉄ナトリウムは食後投与でも血清鉄の上昇を示した。
さらに、クエン酸第一鉄ナトリウムの血清鉄上昇効果は、胃酸分泌を抑制したラットにおいても認められ、胃酸の影響を比較的受けにくい7)
18.3 ヘモグロビンと貯蔵鉄の回復により貧血状態を改善する
鉄欠乏食で飼育した瀉血貧血ラットに、クエン酸第一鉄ナトリウム30mg/kg/日を18日間連続投与した後、顕著なヘモグロビン回復効果が認められた。また、肝臓及び脾臓中の鉄含有量がそれぞれ対照に比べて有意に上昇し、貯蔵鉄補充効果が認められた。さらに血清鉄及び血清鉄飽和率の低下並びに総鉄結合能の上昇を改善した8)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クエン酸第一鉄ナトリウム

一般的名称 クエン酸第一鉄ナトリウム
一般的名称(欧名) Sodium Ferrous Citrate
化学名 Tetrasodium biscitrato iron(II)
分子式 C12H10FeNa4O14
分子量 526.01
物理化学的性状 クエン酸第一鉄ナトリウムは緑白色〜帯黄緑白色の結晶性の粉末である。
本品は水に溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。
本品は希塩酸、希硝酸又は希硫酸に溶ける。
本品は光によって徐々に褐色となる。
KEGG DRUG D03275

20. 取扱い上の注意

PTP包装はアルミピロー開封後、バラ包装は缶開封後、湿気を避けて遮光保存すること。(湿気及び光により変色することがある。)

22. 包装

<クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg「ツルハラ」>
PTP
100錠(10錠×10)、1,000錠(10錠×100、乾燥剤入り)
<クエン酸第一鉄ナトリウム顆粒8.3%「ツルハラ」>
バラ[缶]
100g、1,000g(乾燥剤入り)

23. 主要文献

  1. 今井一彰ら, 中毒研究, 11, 271-274, (1998)
  2. Balmadrid C. et al., Emerg. Med., 41, 36-41, (2009)
  3. 社内資料:生物学的同等性試験(錠50mg)
  4. 社内資料:生物学的同等性試験(顆粒8.3%)
  5. 刈米重夫, 代謝, 18, 373-384, (1981)
  6. 内田立身, 鉄欠乏性貧血, 4, (1984), (新興医学出版)
  7. 佐野賀敏ら, 基礎と臨床, 19, 563-571, (1985)
  8. 佐野賀敏ら, 基礎と臨床, 19, 573-576, (1985)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
鶴原製薬株式会社 医薬情報部
〒563-0036 大阪府池田市豊島北1丁目16番1号
電話:072-761-1456(代表)
FAX:072-760-5252
製品情報問い合わせ先
鶴原製薬株式会社 医薬情報部
〒563-0036 大阪府池田市豊島北1丁目16番1号
電話:072-761-1456(代表)
FAX:072-760-5252

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
鶴原製薬株式会社
大阪府池田市豊島北1丁目16番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版