医療用医薬品 : ヘパリン類似物質

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医薬品情報


総称名 ヘパリン類似物質
一般名 ヘパリン類似物質
欧文一般名 Heparinoid
製剤名 ヘパリン類似物質製剤
薬効分類名 血行促進・皮膚保湿剤
薬効分類番号 3339
KEGG DRUG
D04799 ヘパリン類似物質
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年6月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「ニプロ」 (後発品) Heparinoid Oil-Based Cream ニプロ 3339950M1153 3.7円/g
ヘパリン類似物質ローション0.3%「ニプロ」 (後発品) Heparinoid Lotion ニプロ 3339950Q1104 5.1円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病等)の患者[血液凝固抑制作用を有し、出血を助長するおそれがある]
2.2 僅少な出血でも重大な結果を来すことが予想される患者[血液凝固抑制作用を有し、出血を助長するおそれがある]

4. 効能または効果

血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)

6. 用法及び用量

<ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「ニプロ」>
通常、1日1〜数回適量を患部に塗擦又はガーゼ等にのばして貼付する。
<ヘパリン類似物質ローション0.3%「ニプロ」>
通常、1日1〜数回適量を患部に塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
過敏症皮膚炎、そう痒、発赤、発疹、潮紅等皮膚刺激感
皮膚
(投与部位)
 紫斑

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
14.1.1 潰瘍、びらん面への直接塗擦又は塗布を避けること。

16. 薬物動態

16.8 その他
16.8.1 生物学的同等性試験
<ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「ニプロ」>
ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「ニプロ」とヒルドイドソフト軟膏0.3%を、健康成人男性8名の前腕部内側(適用面積2.54cm2、適用量5mg)に4時間適用した時の角層中の薬物量を測定した。
適用後4時間におけるヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「ニプロ」及びヒルドイドソフト軟膏0.3%の角層中の薬物量(平均値±標準偏差)は、ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「ニプロ」が1.093±0.107μg/2.54cm2、ヒルドイドソフト軟膏0.3%が1.103±0.134μg/2.54cm2であった。
得られた角層中の薬物量の平均値の差を90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.70)〜log(1.43)の範囲内であり、両製剤の生物学的同等性が確認された1)
<ヘパリン類似物質ローション0.3%「ニプロ」>
ヘパリン類似物質ローション0.3%「ニプロ」とヒルドイドローション0.3%を、健康成人男性18名の前腕部内側(適用面積2.54cm2、適用量5mg)に6時間適用した時の角層中の薬物量を測定した。
適用後6時間におけるヘパリン類似物質ローション0.3%「ニプロ」及びヒルドイドローション0.3%の角層中の薬物量(平均値±標準偏差)は、ヘパリン類似物質ローション0.3%「ニプロ」が0.787±0.272μg/2.54cm2、ヒルドイドローション0.3%が0.783±0.265μg/2.54cm2であった。
得られた角層中の薬物量の平均値の差を90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.70)〜log(1.43)の範囲内であり、両製剤の生物学的同等性が確認された2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<ソフト軟膏>
17.1.1 国内一般臨床試験
皮脂欠乏症患者30例、進行性指掌角皮症患者29例を対象にヘパリン類似物質軟膏0.3%の適量を1日2〜3回、皮脂欠乏症は2週間、進行性指掌角皮症は4週間単純塗擦した一般臨床試験3)における改善率は、次のとおりであった。
副作用は認められなかった。
表 対象疾患別の改善率
対象疾患名改善率(%)(改善以上)
皮脂欠乏症96.7(29/30)
進行性指掌角皮症72.4(21/29)
17.1.2 国内一般臨床試験
皮脂欠乏症患者30例、進行性指掌角皮症患者30例を対象にヘパリン類似物質軟膏0.3%の適量を1日2〜3回、皮脂欠乏症は2週間、進行性指掌角皮症は4週間単純塗擦した一般臨床試験4)における改善率は、次のとおりであった。
副作用は認められなかった。
表 対象疾患別の改善率
対象疾患名改善率(%)(改善以上)
皮脂欠乏症93.3(28/30)
進行性指掌角皮症70.0(21/30)
<ローション>
17.1.3 国内一般臨床試験
皮脂欠乏症患者54例、進行性指掌角皮症患者27例を対象にヘパリン類似物質ローション0.3%の適量を1日2〜3回、皮脂欠乏症は2週間、進行性指掌角皮症は4週間単純塗擦した一般臨床試験5)における改善率は、次のとおりであった。
副作用は認められなかった。
表 対象疾患別の改善率
対象疾患名改善率(%)(改善以上)
皮脂欠乏症98.1(53/54)
進行性指掌角皮症85.2(23/27)
17.1.4 国内一般臨床試験
肥厚性瘢痕・ケロイド患者20例を対象にヘパリン類似物質ローション0.3%の適量を1日1〜数回、8週間単純塗擦又はガーゼ等にのばして貼付した一般臨床試験6)における改善率(改善以上)は、66.7%(10/15例)であった。
副作用は認められなかった。
17.1.5 国内一般臨床試験
外傷(捻挫、挫傷)患者20例を対象にヘパリン類似物質ローション0.3%の適量を1日数回、10日間塗擦した一般臨床試験7)における改善率(改善以上)は、100%(18/18例)であった。
副作用は認められなかった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
作用機序は明確ではない。
18.2 血液凝固抑制作用
血液凝固時間を延長し、血液凝固抑制作用を示す(ヒト8)9)、イヌ8)、ウサギ9))。
18.3 血流量増加作用
水素クリアランス法による実験で、皮膚組織血流量の増加を認めた10)11)(ウサギ)。
18.4 血腫消退促進作用
実験的血腫の消退促進を認めた10)(ウサギ)。
18.5 角質水分保持増強作用
皮膚に対する保湿効果を有し(ヒト)12)、実験的乾燥性皮膚において角質水分保持増強作用を認めた11)13)(モルモット)。
18.6 線維芽細胞増殖抑制作用
組織癒着防止に関する実験で、線維芽細胞増殖の抑制を認めた8)14)(ウサギ)。
18.7 抗炎症作用
紫外線紅斑抑制作用を有する15)(モルモット)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ヘパリン類似物質

一般的名称 ヘパリン類似物質
一般的名称(欧名) Heparinoid
物理化学的性状 ・帯黄白色の無晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。
・水に溶けやすく、メタノール、エタノール、アセトン又はn-ブタノールにほとんど溶けない。
・水溶液(1→20)のpHは5.3〜7.6である。
KEGG DRUG D04799

22. 包装

<ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「ニプロ」>
25g×10本[チューブ]
100g[ボトル]
500g[ボトル]
<ヘパリン類似物質ローション0.3%「ニプロ」>
50g×10本[ボトル]

23. 主要文献

  1. 社内資料:生物学的同等性試験(油性クリーム0.3%)
  2. 社内資料:生物学的同等性試験(ローション0.3%)
  3. 長島正治ら, 臨床医薬, 10 (7), 1671-1682, (1994)
  4. 原田昭太郎ら, 臨床医薬, 10 (7), 1683-1693, (1994)
  5. 原田昭太郎ら, 臨床医薬, 17 (7), 1051-1062, (2001)
  6. 大島良夫ら, 臨床医薬, 17 (7), 1079-1087, (2001)
  7. 山崎 誠ら, 臨床医薬, 17 (7), 1071-1078, (2001)
  8. 中安国裕, 東京慈恵会医科大学雑誌, 76 (2), 494-514, (1961)
  9. 石川浩一ら, 外科, 17 (12), 849-854, (1955)
  10. 木戸裕子ら, 基礎と臨床, 30 (3), 463-469, (1996)
  11. 土肥孝彰ら, 薬理と治療, 29 (2), 127-134, (2001)
  12. 安藤隆夫ら, 日本香粧品科学会誌, 8 (3), 246-250, (1984)
  13. 難波和彦, 久留米医学会雑誌, 51 (6), 407-415, (1988)
  14. 間狩 孝, 日本外科宝函, 28 (9), 3757-3776, (1959)
  15. Raake W., Arzneim.-Forsch./Drug Res., 34 (4), 449-451, (1984) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939
製品情報問い合わせ先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ニプロ株式会社
大阪府摂津市千里丘新町3番26号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版