ラットに
14C-トリメブチンを経口投与後30分での放射能濃度は、肝臓、消化管内容、腎臓では高く、肺、脾臓、膵臓、副腎では中程度、血液、骨格筋、脳、精巣等では低かった。
3H-標識体投与時の同時点では、消化管内容、腎臓、肝臓に高く、肺、血液、心筋には中程度、精巣及び脳では低かった。いずれの標識化合物投与時でも、72時間後には極めて低い濃度となった
2)。
ラットに
3H/
14C-トリメブチンを1日1回、7日及び14日間連続経口投与した際の組織内濃度は、14日連続投与してもそれらの値は7回連続投与群とほとんど同程度か、むしろ低くなる臓器・組織もあった。14日連続投与後72時間目の
14C濃度はかなり低くなり、特定の臓器・組織に残留する傾向は認められなかった。一方、組織内
3H濃度についてみると、分布パターンにおいて
14C-標識体の場合と若干異なるところもあったが、
14C-標識体の場合と同様に、特定の臓器・組織に残留する傾向は認められなかった
4)。
妊娠後期の雌ラットに
14C-トリメブチンを経口投与した際の母体組織内濃度は投与後30分値が最も高く、以後経時的に減少していった。卵巣、子宮、胎盤の濃度は母体血中濃度にほぼ等しく、胎児、羊水の濃度は極めて低かった。胎児1匹当りの放射能移行量は母体投与量の約0.02%であった
5)。
分娩後6日目の母体ラットに
14C-トリメブチン(30mg/kg)を経口投与した際、哺乳児中の放射能濃度は4時間から8時間にかけて最高値に達し、乳児1匹への放射能移行量は、8時間までに母体投与量の約0.04%と推定された
5)。[
9.6参照]