医療用医薬品 : クロルフェネシンカルバミン酸エステル

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医薬品情報


総称名 クロルフェネシンカルバミン酸エステル
一般名 クロルフェネシンカルバミン酸エステル
欧文一般名 chlorphenesin carbamate
薬効分類名 筋緊張性疼痛疾患治療剤
薬効分類番号 1225
KEGG DRUG
D00770 クロルフェネシンカルバミン酸エステル
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2022年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「ツルハラ」 (後発品) Chlorphenesin Carbamate Tablets「TSURUHARA」 鶴原製薬 1225001F1165 6.5円/錠
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「ツルハラ」 (後発品) Chlorphenesin Carbamate Tablets「TSURUHARA」 鶴原製薬 1225001F2293 6.5円/錠

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤及び類似化合物(メトカルバモール等)に対し、過敏症の既往歴のある患者
2.2 肝障害患者[9.3.1参照]

4. 効能または効果

運動器疾患に伴う有痛性痙縮
腰背痛症、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊椎分離・辷り症、脊椎骨粗鬆症、頸肩腕症候群

6. 用法及び用量

クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「ツルハラ」
通常成人1回クロルフェネシンカルバミン酸エステルとして250mg(錠125mg 2錠)を1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「ツルハラ」
通常成人1回クロルフェネシンカルバミン酸エステルとして250mg(錠250mg 1錠)を1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

ねむけ、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者
The United States DISPENSATORY,27th Ed.301(1973)及びMARTINDALE The Extra Pharmacopoeia,26th Ed.1891(1972)に準拠した。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害患者
投与しないこと。Modern Drug Encyclopedia,13th Ed.155(1975)に準拠した。[2.2参照]
9.3.2 肝障害の既往歴のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
フェノチアジン系薬剤
〔クロルプロマジン塩酸塩等〕
相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること。機序は不明である。
中枢神経抑制剤
〔バルビツール酸誘導体等〕
相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること。機序は不明である。
モノアミン酸化酵素阻害剤相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること。機序は不明である。
アルコール相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること。機序は不明である。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
11.1.2 中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)
頻度は承認時の一般臨床試験及び市販後の調査の合算に基づいている。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜1%未満0.1%未満頻度不明
精神神経系めまい・ふらつき
ねむけ
頭痛・頭重感
倦怠感
脱力感
 
消化器腹痛注1)
消化不良注2)
嘔気
胃腸障害
下痢
便秘
口内乾燥
舌炎
悪心
 
血液  白血球減少
血小板減少
過敏症発疹注3)浮腫・腫脹感
そう痒感
口内炎
熱感
 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
国内の臨床試験で8週間を超えた投与例は限られており、本剤を長期間投与する場合は、臨床検査(血液検査、尿検査及び肝機能検査等)を行うことが望ましい。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性
<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「ツルハラ」>
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「ツルハラ」とリンラキサー錠125mgをクロルフェネシンカルバミン酸エステルとして250mg(2錠)をクロスオーバー法により、健康成人男子に絶食時単回経口投与して血漿中濃度を測定した試験において、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法により統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された1)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-12(μg・hr/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「ツルハラ」19.4±0.83.8±0.11.5±0.22.3±0.4
リンラキサー錠125mg18.5±1.03.6±0.11.4±0.12.2±0.3
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、血液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「ツルハラ」>
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「ツルハラ」とリンラキサー錠250mgをクロルフェネシンカルバミン酸エステルとして250mg(1錠)をクロスオーバー法により、健康成人男子に絶食時単回経口投与して血漿中濃度を測定した試験において、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法により統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された2)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-12(μg・hr/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「ツルハラ」18.7±0.83.6±0.11.5±0.22.2±0.4
リンラキサー錠250mg18.0±0.53.6±0.11.6±0.22.0±0.1
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、血液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
ラットに14C-クロルフェネシンカルバミン酸エステルを経口投与した場合、3時間後の放射活性は胃、小腸、肝、脊髄、副腎、腎の順に高かった。長時間にわたる特定組織への残存は認められなかった3)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
一般臨床試験及び市販後の調査を含めた運動器疾患に伴う有痛性痙縮に対する本剤の効果は以下の通りである4)5)6)7)8)9)10)11)12)
疾患名有効率(%)【有効以上】
腰背痛症68.3(3267/4786)
変形性脊椎症57.5(2695/4689)
椎間板ヘルニア60.3(1425/2363)
脊椎分離・辷り症58.9(458/778)
脊椎骨粗鬆症55.0(516/939)
頸肩腕症候群60.4(1349/2232)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
脊髄における多シナプス反射経路の介在ニューロンの選択的抑制と筋紡錘活動抑制により筋弛緩作用を示す。
18.2 筋弛緩作用
回転円筒法(マウス、ラット)、傾斜板法(マウス)、握力試験(マウス、ラット)などによるクロルフェネシンカルバミン酸エステルの筋弛緩効果は、メトカルバモールより強く、その作用は持続的である13)14)
筋弛緩作用(マウス回転円筒法)
薬剤名ED50(mg/kg)
p.o.
持続時間(min)
i.p.
クロルフェネシンカルバミン酸エステル265.0115(100mg/kg)
メトカルバモール595.060(200mg/kg)
18.3 脊髄反射電位に対する作用
ネコの脊髄後根電気刺激実験において、クロルフェネシンカルバミン酸エステルは脊髄の多シナプス反射経路における介在ニューロンを選択的に遮断し、神経インパルスの伝達を抑制することにより、骨格筋の痙縮を緩解させる15)。またラットの脊髄に対して、運動ニューロンの軸索起始部の興奮性を、シナプスの膜安定化作用により低下させ、筋弛緩作用を示す16)
18.4 γ-運動ニューロンに対する作用
除脳ラットのγ-運動ニューロンの自発活動をメフェネシン、メトカルバモールに比し持続的に抑制し、筋弛緩作用を示す13)
18.5 実験的固縮緩解作用
ラットのSherrington型除脳固縮、Pollock and Davis型貧血性固縮の緩解作用はメフェネシンより強くまた持続的である17)
18.6 脳波に対する作用
ウサギ慢性脳波実験において、クロルフェネシンカルバミン酸エステルは著明な筋弛緩症状を呈する用量においても、脳各部位の覚醒水準に大きく影響を与えることなく、鎮静作用はごく軽度である18)
脳波に対する作用(ウサギ慢性電極植込み法)
薬剤名行動覚醒反応
中脳網様体視床内側中心核後部視床下部
クロルフェネシンカルバミン酸エステル(100mg/kg i.d.)筋弛緩著明、
軽度鎮静、
3時間後回復
閾値上昇率
10〜20%
閾値上昇率
20〜40%
閾値上昇率
10〜25%
クロルメザノン(100mg/kg i.d.)軽度筋弛緩、
鎮静状態、
5〜6時間後回復
軽度抑制閾値上昇率
50〜70%
閾値上昇率
40〜60%
18.7 骨格筋緊張及びそれに伴う疼痛に対する作用
腰部痛、肩凝りを主訴とする患者に本剤を投与し、客観的な評価が可能な筋緊張度測定器により筋緊張度を測定した結果、緊張度の明らかな低下が認められた19)
腰痛、背痛、頸部痛及び肩部痛を主訴とする患者に本剤を投与し、皮電点(病変部直上皮膚に生ずる疼痛の投影所見)の検索を行った結果、皮電点の減少が認められた20)
腰痛症と診断された患者に本剤を投与し、幹最大前屈時の指床間距離の測定、筋電図によるAPテスト(幹前屈運動時におこる活動電位の出現様式による判定)を行った結果、改善が他覚的に認められた21)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クロルフェネシンカルバミン酸エステル

一般的名称 クロルフェネシンカルバミン酸エステル
一般的名称(欧名) chlorphenesin carbamate
化学名 (2RS)-3-(4-Chlorophenoxy)-2-hydroxypropyl carbamate
分子式 C10H12ClNO4
分子量 245.66
融点 88〜91℃
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール、エタノール(95)又はピリジンに溶けやすく、水に溶けにくい。
本品のエタノール(95)溶液(1→20)は旋光性を示さない。
KEGG DRUG D00770

22. 包装

<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠125mg「ツルハラ」>
PTP
100錠(10錠(PTP)×10)、1000錠(10錠(PTP)×100)
バラ[缶]
1200錠(乾燥剤入り)
<クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠250mg「ツルハラ」>
PTP
100錠(10錠(PTP)×10)、1000錠(10錠(PTP)×100)
バラ[缶]
1200錠

23. 主要文献

  1. 社内資料:生物学的同等性試験(錠125mg)
  2. 社内資料:生物学的同等性試験(錠250mg)
  3. 野津隆司ほか, 応用薬理, 14 (1), 1-14, (1977)
  4. 伊丹康人ほか, 診療と新薬, 14 (1), 7-30, (1977)
  5. 古屋光太郎ほか, 診療と新薬, 14 (1), 31-43, (1977)
  6. 広畑和志ほか, 診療と新薬, 13 (12), 2669-2676, (1976)
  7. 青木虎吉ほか, 医学のあゆみ, 100 (9), 716-724, (1977)
  8. 佐野精司ほか, 診療と新薬, 13 (12), 2709-2718, (1976)
  9. 広畑和志ほか, 診療と新薬, 14 (1), 45-56, (1977)
  10. 広畑和志ほか, 現代の診療, 20 (12), 2229-2236, (1978)
  11. 三浦幸雄ほか, 現代の診療, 20 (12), 2237-2242, (1978)
  12. 広畑和志ほか, 診療と新薬, 18 (8), 1834-1848, (1981)
  13. 福田英臣ほか, 応用薬理, 13 (5), 701-708, (1977)
  14. 笹島道忠ほか, 応用薬理, 13 (5), 689-700, (1977)
  15. Matthews RJ,et al., Arch int Pharmacodyn., 143, 574-594, (1963) »PubMed
  16. Kurachi M,et al., Jpn J Pharmacol., 36 (1), 7-13, (1984) »PubMed
  17. 福田英臣ほか, 日薬理誌, 70, 341-358, (1974) »PubMed
  18. 渡辺繁紀ほか, 日薬理誌, 73, 479-496, (1977) »PubMed
  19. 桜井実, 診療と新薬, 13 (12), 2645-2652, (1976)
  20. 立野勝彦ほか, 診療と新薬, 13 (12), 2653-2656, (1976)
  21. 宮崎淳弘ほか, 診療と新薬, 13 (12), 2657-2661, (1976)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
鶴原製薬株式会社 医薬情報部
〒563-0036 大阪府池田市豊島北1丁目16番1号
電話:072-761-1456(代表)
FAX:072-760-5252
製品情報問い合わせ先
鶴原製薬株式会社 医薬情報部
〒563-0036 大阪府池田市豊島北1丁目16番1号
電話:072-761-1456(代表)
FAX:072-760-5252

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
鶴原製薬株式会社
大阪府池田市豊島北1丁目16番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版