医療用医薬品 : ジピリダモール

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医薬品情報


総称名 ジピリダモール
一般名 ジピリダモール
欧文一般名 Dipyridamole
製剤名 ジピリダモール製剤
薬効分類名 冠循環改善剤
薬効分類番号 2171
ATCコード B01AC07
KEGG DRUG
D00302 ジピリダモール
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年6月 改訂(第4版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ジピリダモール錠12.5mg「JG」 (後発品) Dipyridamole Tablets 長生堂製薬 2171010F1433 6円/錠 処方箋医薬品注)
ジピリダモール散12.5%「JG」 (後発品) Dipyridamole Powder 長生堂製薬 2171010B1067 16.2円/g 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 アデノシン(アデノスキャン)を投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全

6. 用法及び用量

ジピリダモールとして、通常成人1回25mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合、本剤の作用が増強され、副作用が発現するおそれがあるので、併用しないこと。[13.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 低血圧の患者
更に血圧を低下させることがある。
9.1.2 重篤な冠動脈疾患(不安定狭心症、亜急性心筋梗塞、左室流出路狭窄、心代償不全等)のある患者
症状を悪化させることがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス)でわずかに胎児への移行が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ウサギ)で母乳中へ移行することが報告されている。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
アデノシン
(アデノスキャン)
2.2参照]
完全房室ブロック、心停止等が発現することがある。本剤の投与を受けた患者にアデノシン(アデノスキャン)を投与する場合には少なくとも12時間の間隔をおく。もし完全房室ブロック、心停止等の症状があらわれた場合はアデノシン(アデノスキャン)の投与を中止する。本剤は体内でのアデノシンの血球、血管内皮や各臓器での取り込みを抑制し、血中アデノシン濃度を増大させることによりアデノシンの作用を増強する。
10.2 併用注意
キサンチン系製剤
テオフィリン
アミノフィリン
本剤の作用が減弱されるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。テオフィリン等のキサンチン系製剤は、本剤のアデノシンを介した作用を阻害する。
アデノシン三リン酸二ナトリウム本剤はアデノシンの血漿中濃度を上昇させ、心臓血管に対する作用を増強するので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。本剤は体内でのアデノシンの血球、血管内皮や各臓器での取り込みを抑制し、血中アデノシン濃度を増大させることによりアデノシンの作用を増強する。
降圧剤本剤は降圧剤の作用を増強することがあるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。本剤の血管拡張作用により、降圧剤の作用が増強されることがある。
抗凝固剤
ダビガトランエテキシラート、ヘパリン等
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。これら薬剤は抗凝固作用を有するためと考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと注)
11.1.1 狭心症状の悪化(0.1%未満)
11.1.2 出血傾向(頻度不明)
眼底出血、消化管出血、脳出血等の出血傾向があらわれることがある。
11.1.3 血小板減少(頻度不明)
11.1.4 過敏症(頻度不明)
気管支痙攣、血管浮腫等の過敏症があらわれることがある。
注)発現頻度は再評価結果を含む
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと注)
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹 蕁麻疹
精神神経系頭痛、めまい、熱感、のぼせ感、倦怠感  
循環器心悸亢進 潮紅、血圧低下、頻脈
消化器嘔気、嘔吐、食欲不振、口渇、便秘下痢 
肝臓  肝機能検査値異常(AST上昇、ALT上昇等)
その他  胸痛、筋肉痛

13. 過量投与

13.1 症状
本剤の過量服用により熱感、顔面潮紅、発汗、不穏、脱力感、めまい、狭心様症状、血圧低下、頻脈があらわれることがある。[8.1参照]
13.2 処置
激しい胸痛が発現した場合は、アミノフィリンの静注等の適切な処置を行うこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外において慢性安定狭心症の患者を対象にβ遮断剤、カルシウム拮抗剤、および長時間型硝酸剤投与中の本剤の追加投与の効果を検討するため、二重盲検法にてジピリダモール徐放カプセル(1回200mg 1日2回)またはプラセボを24週間追加投与したところ、「運動耐容時間」に対する本剤の追加投与の効果は認められなかったとの試験成績がある。
15.1.2 少数例ではあるが、非抱合型ジピリダモールが胆石中に取り込まれていたことを示す症例がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人7例にジピリダモール50mgを経口投与した場合、速やかに吸収され、1時間で最高血中濃度約1μg/mLに達した(外国人のデータ)1)
16.1.2 反復投与
患者9例にジピリダモール75mg/日を6日間経口投与した場合、血中濃度は常に1μg/mL以下であり、蓄積性は認められなかった(外国人のデータ)1)
16.4 代謝
健康成人7例にジピリダモール50mgを経口投与した場合の主代謝産物は、ジピリダモールのモノグルクロン酸抱合体であった(外国人のデータ)1)
16.5 排泄
健康成人10例にジピリダモール200mgを経口投与した場合、24時間尿中には未変化体は認められず、1%以下のモノグルクロン酸抱合体が認められた(外国人のデータ)1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
国内で実施された臨床試験の結果、承認された効能・効果に対するジピリダモールの臨床効果が認められた2)3)4)5)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
血液中のアデノシンの赤血球、血管壁への再取り込みを抑制し、血液中アデノシン濃度を上昇させることにより冠血管を拡張する(健康成人、モルモット)6)7)
18.2 薬理作用
18.2.1 抗血小板作用
血小板凝集能・粘着能及び放出反応などの血小板機能を抑制する(ウサギ)8)9)
18.2.2 心筋保護作用
ヒポキシアによる心筋内ATP濃度の低下及び心筋ミトコンドリアの形態学的変化を抑制する(イヌ)10)11)
18.2.3 冠動脈の副血行路発達促進作用
冠動脈の副血行路系の発達を促進する(ミニチュアピッグ)12)
18.2.4 冠循環改善作用
冠血管を選択的に拡張し、冠血流量を増加する(イヌ)13)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ジピリダモール

一般的名称 ジピリダモール
一般的名称(欧名) Dipyridamole
化学名 2,2',2'',2'''-{[4,8-Di(piperidin-1-yl)pyrimido[5,4-d]pyrimidine-2,6-diyl]dinitrilo}tetraethanol
分子式 C24H40N8O4
分子量 504.63
融点 165〜169℃
物理化学的性状 黄色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味は僅かに苦い。
クロロホルムに溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00302

22. 包装

<ジピリダモール錠12.5mg「JG」>
100錠[10錠(PTP)×10]
<ジピリダモール散12.5%「JG」>
100g[瓶、バラ]

23. 主要文献

  1. Beisenherz G et al., Arzneimittelforschung., 10, 307, (1960)
  2. 友松達弥ほか, 医学のあゆみ, 110, 121, (1979)
  3. Igloe MC, J Amer Geriat Soc., 18, 233, (1970) »PubMed
  4. Klimt CR.et al., J Am Coll Cardiol., 7, 251, (1986)
  5. PARIS, Circulation., 62, 449, (1980)
  6. Bunag RD.et al., Circulation Res., 15, 83, (1964)
  7. Roos H.et al., Molec Pharmacol., 8, 417, (1972)
  8. 小山哲夫ほか, 日腎誌, 24, 27, (1982) »DOI
  9. Philp R B et al., Nature., 218, 1072, (1968)
  10. Hockerts Th et al., Arzneimittelforschung., 9, 47, (1959)
  11. Lozada B B et al., Cardiologia., 49, 33, (1966)
  12. Nakagawa Y et al., Jpn J Pharmacol., 29, 271, (1979) »DOI
  13. Kadatz R, Arzneimittelforschung., 9, 39, (1959) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172
製品情報問い合わせ先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
長生堂製薬株式会社
徳島市国府町府中92番地
26.2 販売元
日本ジェネリック株式会社
東京都港区芝五丁目33番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版