医療用医薬品 : チモロール

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医薬品情報


総称名 チモロール
一般名 チモロールマレイン酸塩
欧文一般名 Timolol Maleate
製剤名 チモロールマレイン酸塩点眼液
薬効分類名 緑内障・高眼圧症治療剤
薬効分類番号 1319
ATCコード C07AA06 S01ED01
KEGG DRUG
D00603 チモロールマレイン酸塩
KEGG DGROUP
DG03201 眼圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年11月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
チモロール点眼液0.25%「日新」 (後発品) Timolol Ophthalmic Solution 0.25%"NISSIN" 日新製薬-山形 1319702Q1140 43.6円/mL
チモロール点眼液0.5%「日新」 (後発品) Timolol Ophthalmic Solution 0.5%"NISSIN" 日新製薬-山形 1319702Q2154 52.3円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 気管支喘息又はその既往歴のある患者、気管支痙攣又は重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者[喘息発作の誘発・増悪がみられるおそれがある。][11.1.2参照]
2.3 コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(II、III度)又は心原性ショックのある患者[これらの症状を増悪させるおそれがある。][11.1.3参照]

4. 効能または効果

緑内障、高眼圧症

6. 用法及び用量

通常、0.25%製剤を1回1滴、1日2回点眼する。
(なお、充分な効果が得られない場合は0.5%製剤を用いて1回1滴、1日2回点眼する。)

8. 重要な基本的注意

8.1 全身的に吸収される可能性があり、β-遮断剤全身投与時と同様の副作用があらわれることがあるので、留意すること。
8.2 縮瞳剤から本剤投与に切り替える場合、縮瞳作用の消失に伴い、屈折調整を必要とすることがある。また、閉塞隅角緑内障に本剤を単独使用し眼圧上昇を来した例が報告されているので、閉塞隅角緑内障への使用に際しては縮瞳剤との併用が必要である1)

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 肺高血圧による右心不全のある患者
肺高血圧症による右心不全の症状を増悪させるおそれがある。[11.1.3参照]
9.1.2 うっ血性心不全のある患者
うっ血性心不全の症状を増悪させるおそれがある。[11.1.3参照]
9.1.3 糖尿病性ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある患者
アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。
9.1.4 コントロール不十分な糖尿病のある患者
血糖値に注意すること。低血糖症状をマスクすることがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。器官形成期のラットに500mg/kg/dayを経口投与した試験で骨化遅延が、マウスに1,000mg/kg/day、ウサギに200mg/kg/dayを経口投与した試験で死亡胎児数の増加が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することがある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は、主としてCYP2D6によって代謝される。[16.4参照]
薬物代謝酵素用語
CYP2D6
10.2 併用注意
オミデネパグ イソプロピル結膜充血等の眼炎症性副作用の発現頻度の上昇が認められている。機序不明
アドレナリン
ジピベフリン塩酸塩
散瞳作用が助長されたとの報告がある。機序不明
カテコールアミン枯渇剤:
レセルピン等
交感神経系に対し、過剰の抑制を来すことがあり、低血圧、徐脈を生じ、眩暈、失神、起立性低血圧を起こすことがある。カテコールアミンの枯渇を起こす薬剤は、β-遮断作用を相加的に増強する可能性がある。
β-遮断剤(全身投与):
アテノロール
プロプラノロール塩酸塩
メトプロロール酒石酸塩
眼圧下降あるいはβ-遮断剤の全身的な作用が増強されることがある。作用が相加的にあらわれることがある。
カルシウム拮抗剤:
ベラパミル塩酸塩
ジルチアゼム塩酸塩
房室伝導障害、左室不全、低血圧を起こすおそれがある。相互に作用が増強される。
ジギタリス製剤:
ジゴキシン
ジギトキシン
心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれるおそれがある。相加的に作用(心刺激伝導抑制作用)を増強させる。
CYP2D6阻害作用を有する薬剤:
キニジン硫酸塩水和物
選択的セロトニン再取り込み阻害剤
β-遮断作用(例えば心拍数減少、徐脈)が増強するとの報告がある。これらの薬剤は本剤の代謝酵素であるP450(CYP2D6)を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼類天疱瘡(頻度不明)
結膜充血、角膜上皮障害、乾性角結膜炎、結膜萎縮、睫毛内反、眼瞼眼球癒着等があらわれることがある。
11.1.2 気管支痙攣、呼吸困難、呼吸不全(いずれも頻度不明)
β-受容体遮断による気管支平滑筋収縮作用により、気管支痙攣、呼吸困難、呼吸不全があらわれることがある。[2.2参照]
11.1.3 心ブロック、うっ血性心不全、心停止(いずれも頻度不明)
β-受容体遮断による陰性変時・変力作用により、心ブロック、うっ血性心不全、心停止があらわれることがある。[2.39.1.19.1.2参照]
11.1.4 脳虚血、脳血管障害(いずれも頻度不明)
11.1.5 全身性エリテマトーデス(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上1〜5%未満1%未満頻度不明
灼熱感・かゆみ・異物感等の眼刺激症状霧視・視力低下等の視力障害、角膜炎・角膜びらん・角膜上皮障害等の角膜障害、結膜充血、眼乾燥感眼瞼炎、眼瞼浮腫、眼痛、眼瞼下垂、眼脂、羞明角膜知覚低下、複視、結膜炎、結膜浮腫、眼底黄斑部の浮腫・混濁注)
循環器  徐脈等の不整脈、低血圧失神、浮腫、レイノー現象、四肢冷感、動悸
精神神経系  頭痛、めまい抑うつ、重症筋無力症の増悪、悪夢、感覚異常、不眠
消化器  悪心下痢、消化不良、腹痛、口渇
その他  不快、倦怠感脱力感、耳鳴、筋肉痛、胸部圧迫感、発疹、咳

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
・本剤に含まれているベンザルコニウム塩化物はソフトコンタクトレンズに吸着されることがあるので、ソフトコンタクトレンズを装用している場合には、点眼前にレンズを外し、点眼後少なくとも5〜10分間の間隔をあけて再装用すること。
・薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
・患眼を開瞼して結膜のう内に点眼し、1〜5分間閉瞼して涙のう部を圧迫させた後、開瞼すること。
・他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上間隔をあけてから点眼すること。
・遮光して保存すること。

16. 薬物動態

16.4 代謝
・チモロールは主としてCYP2D6により代謝される2)in vivo)。
14C-チモロール4mgを単回経口投与した後のヒト尿中には、ジメチルエチルアミノ基が脱離して生成されたカルボン酸代謝物、及びモルホリン環が開裂した代謝物が認められた3)(外国人データ)。
10.参照]
16.8 その他
16.8.1 生物学的同等性試験
ウサギ房水中薬物濃度比較試験
<チモロール点眼液0.25%「日新」>
チモロール点眼液0.25%「日新」とチモプトール点眼液0.25%について、クロスオーバー法により、チモロールとして約0.25mgをウサギに点眼して房水中チモロール濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両製剤の生物学的同等性が確認された4)
<チモロール点眼液0.5%「日新」>
チモロール点眼液0.5%「日新」とチモプトール点眼液0.5%について、クロスオーバー法により、チモロールとして約0.5mgをウサギに点眼して房水中チモロール濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両製剤の生物学的同等性が確認された5)

18. 薬効薬理

18.2 生物学的同等性試験
眼圧下降作用
<チモロール点眼液0.25%「日新」>
チモロール点眼液0.25%「日新」とチモプトール点眼液0.25%について、水負荷により眼圧が上昇したウサギに、チモロールとして約0.25mgを点眼したところ、直後より眼圧上昇を持続的かつ著明に抑制し、生理食塩液及びチモロール点眼液0.25%「日新」の基剤と比較して両製剤とも同様の有意な眼圧下降作用を示した。また、統計解析を行った結果、両製剤の生物学的同等性が確認された4)
<チモロール点眼液0.5%「日新」>
チモロール点眼液0.5%「日新」とチモプトール点眼液0.5%について、水負荷により眼圧が上昇したウサギに、チモロールとして約0.5mgを点眼したところ、直後より眼圧上昇を持続的かつ著明に抑制し、生理食塩液及びチモロール点眼液0.5%「日新」の基剤と比較して両製剤とも同様の有意な眼圧下降作用を示した。また、統計解析を行った結果、両製剤の生物学的同等性が確認された5)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. チモロールマレイン酸塩

一般的名称 チモロールマレイン酸塩
一般的名称(欧名) Timolol Maleate
化学名 (2S)-1-[(1,1-Dimethylethyl)amino]-3-(4-morpholin-4-yl-1,2,5-thiadiazol-3-yloxy)propan-2-ol monomaleat
分子式 C13H24N4O3S・C4H4O4
分子量 432.49
融点 約197℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、水又はエタノール(99.5)にやや溶けやすい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
KEGG DRUG D00603

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は、遮光して保存すること。

22. 包装

<チモロール点眼液0.25%「日新」>
5mL×10瓶(プラスチック点眼容器)
<チモロール点眼液0.5%「日新」>
5mL×10瓶(プラスチック点眼容器)

23. 主要文献

  1. 宇治幸隆他, 眼科臨床医報, 74, 1036-1042, (1980)
  2. Lennard,M.S.et al., Br.J.Clin.Pharmacol., 27, 429-434, (1989) »PubMed
  3. Tocco,D.J.et al., Drug Metab.Dispos., 8, 236-240, (1980) »PubMed
  4. 社内資料:生物学的同等性試験(点眼液0.25%)
  5. 社内資料:生物学的同等性試験(点眼液0.5%)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日新製薬株式会社 安全管理部
〒994-0069 山形県天童市清池東二丁目3番1号
電話:023-655-2131
FAX:023-655-3419
Email:d-info@yg-nissin.co.jp
製品情報問い合わせ先
日新製薬株式会社 安全管理部
〒994-0069 山形県天童市清池東二丁目3番1号
電話:023-655-2131
FAX:023-655-3419
Email:d-info@yg-nissin.co.jp

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日新製薬株式会社
山形県天童市清池東二丁目3番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版