医療用医薬品 : チメピジウム臭化物

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医薬品情報


総称名 チメピジウム臭化物
一般名 チメピジウム臭化物水和物
欧文一般名 Timepidium Bromide Hydrate
製剤名 チメピジウム臭化物錠
薬効分類名 鎮痙・鎮痛剤
薬効分類番号 1249
ATCコード A03AB19
KEGG DRUG
D02535 チメピジウム臭化物水和物
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
チメピジウム臭化物錠30mg「サワイ」 (後発品) TIMEPIDIUM BROMIDE Tablets[SAWAI] 沢井製薬 1249005F1122 5.9円/錠

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
2.2 前立腺肥大による排尿障害のある患者[抗コリン作用による膀胱平滑筋の弛緩、膀胱括約筋の緊張により排尿困難を悪化させるおそれがある。]
2.3 重篤な心疾患のある患者[抗コリン作用により心拍数が増加し、心臓に過負荷をかけることがあるため、症状を悪化させるおそれがある。]
2.4 麻痺性イレウスの患者[抗コリン作用により消化管運動を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]
2.5 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○次の疾患における痙攣並びに運動障害に伴う疼痛の緩解
胃炎、胃・十二指腸潰瘍、腸炎、胆のう・胆道疾患、尿路結石
○膵炎に起因する疼痛の緩解

6. 用法及び用量

通常成人には、1回チメピジウム臭化物水和物として30mgを1日3回経口投与する。
年齢・症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 視調節障害、眠気、めまいを起こすことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 前立腺肥大のある患者(排尿障害のある患者を除く)
抗コリン作用による膀胱平滑筋の弛緩、膀胱括約筋の緊張により排尿困難を悪化させるおそれがある。
9.1.2 うっ血性心不全のある患者
抗コリン作用により心拍数が増加し、心臓に過負荷をかけることがあるため、症状を悪化させるおそれがある。
9.1.3 不整脈のある患者
抗コリン作用により心拍数が増加し、心臓に過負荷をかけることがあるため、症状を悪化させるおそれがある。
9.1.4 潰瘍性大腸炎の患者
中毒性巨大結腸があらわれることがある。
9.1.5 甲状腺機能亢進症の患者
抗コリン作用により頻脈、体温上昇等の交感神経興奮様症状が増強するおそれがある。
9.1.6 高温環境にある患者
抗コリン作用により発汗抑制が起こり、体温調節が困難になるおそれがある。
9.1.7 開放隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
口渇、排尿困難、便秘等に注意すること。高齢者では、抗コリン作用による症状があらわれやすい。

10. 相互作用

10.2 併用注意
抗コリン作用を有する薬剤
三環系抗うつ剤
フェノチアジン系薬剤
抗ヒスタミン剤等
抗コリン作用(口渇、便秘、麻痺性イレウス、尿閉等)が増強することがある。
併用する場合には、定期的に臨床症状を観察し、用量に注意する。
相加的に作用(抗コリン作用)を増強させる。
MAO阻害剤本剤の作用が増強することがある。
異常が認められた場合には、本剤を減量するなど適切な処置を行う。
MAO阻害剤は抗コリン作用を増強させる。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められる場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満
羞明視調節障害
精神神経系頭痛、めまい眠気
消化器口渇、便秘食欲不振、軟便、腹部膨満感、悪心・嘔吐、腹鳴
循環器心悸亢進 
過敏症発疹 
泌尿器排尿困難 
その他 顔面潮紅、倦怠感

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

本剤の代謝物により、赤味がかった着色尿があらわれることがあるので、ウロビリノーゲン等の尿検査には注意すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
プラセボとの比較を含む4種の二重盲検比較試験の結果、疼痛に対する有用性が認められた1)2)3)4)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ムスカリン受容体遮断薬で、アトロピンと同様に副交感神経興奮による反応を抑制することにより様々な作用を現す。これらの作用のうち、本薬はその内臓平滑筋弛緩作用が臨床的に利用され、主として鎮痙薬として用いられる5)
18.2 鎮痙作用
18.2.1 迷走神経刺激によるラットの胃の痙縮に対し、静脈内投与でアトロピンの約3倍、ブチルスコポラミン臭化物の約5倍の抑制作用を示す6)
18.2.2 2mg/kgの経口投与で、ネコの胃の自動運動を最大60%程度抑制し、その作用は投与後30〜60分で最大となり、約2時間持続する。また、5〜40μg/kgの静脈内投与で空腸、Oddi筋、膀胱の自動運動及び骨盤神経刺激による大腸の攣縮を抑制する7)
18.2.3 0.5mg/kgの静脈内投与で、イヌの十二指腸、Oddi筋の自動運動を抑制し、胆のう内圧を下降させる8)。また、0.1mg/kgの静脈内投与で、尿管の自動運動を抑制する9)
18.3 胃液・遊離塩酸分泌抑制作用
0.2mg/kgの静脈内投与で、胃瘻ラットの胃液及び遊離塩酸の分泌を抑制し、その作用はブチルスコポラミン臭化物より強い6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. チメピジウム臭化物水和物

一般的名称 チメピジウム臭化物水和物
一般的名称(欧名) Timepidium Bromide Hydrate
化学名 (5RS)-3-(Dithien-2-ylmethylene)-5-methoxy-1,1-dimethylpiperidinium bromide monohydrate
分子式 C17H22BrNOS2・H2O
分子量 418.41
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又は酢酸(100)に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けやすく、水又は無水酢酸にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。1.0gを新たに煮沸して冷却した水100mLに溶かした液のpHは5.3〜6.3である。メタノール溶液(1→20)は旋光性を示さない。
KEGG DRUG D02535

22. 包装

PTP
100錠(10錠×10)

23. 主要文献

  1. 三好秋馬他, 臨床評価, 2 (2), 207-228, (1974)
  2. 中島敏夫他, 臨牀と研究, 50 (9), 2737-2747, (1973)
  3. 男全正三他, 臨床評価, 2 (1), 69-104, (1974)
  4. 名尾良憲他, 薬理と治療, 12 (1), 353-363, (1984)
  5. 第十八改正日本薬局方解説書, C-3257-3260, (2021), (廣川書店)
  6. Tamaki,H.et al., Jpn.J.Pharmacol., 22, 685-699, (1972) »PubMed
  7. Tamaki,H.et al., Jpn.J.Pharmacol., 23, 391-400, (1973) »PubMed
  8. 玉沢佳巳他, 基礎と臨床, 9 (3), 577-582, (1975)
  9. 石神襄次他, 泌尿器科紀要, 18 (9), 757-764, (1972)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966
製品情報問い合わせ先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版