医療用医薬品 : ナフトピジル

List   Top

医薬品情報


総称名 ナフトピジル
一般名 ナフトピジル
欧文一般名 Naftopidil
薬効分類名 前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤
薬効分類番号 2590
KEGG DRUG
D01674 ナフトピジル
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2023年6月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ナフトピジルOD錠25mg「トーワ」 (後発品) NAFTOPIDIL OD TABLETS 25mg"TOWA" 東和薬品 2590009F6227 10.4円/錠 処方箋医薬品注)
ナフトピジルOD錠50mg「トーワ」 (後発品) NAFTOPIDIL OD TABLETS 50mg"TOWA" 東和薬品 2590009F4224 13.7円/錠 処方箋医薬品注)
ナフトピジルOD錠75mg「トーワ」 (後発品) NAFTOPIDIL OD TABLETS 75mg"TOWA" 東和薬品 2590009F5220 20.5円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

前立腺肥大症に伴う排尿障害

5. 効能または効果に関連する注意

本剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意し、本剤投与により期待する効果が得られない場合には手術療法等、他の適切な処置を考慮すること。

6. 用法及び用量

通常、成人にはナフトピジルとして1日1回25mgより投与を始め、効果が不十分な場合は1〜2週間の間隔をおいて50〜75mgに漸増し、1日1回食後経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は75mgまでとする。

8. 重要な基本的注意

8.1 起立性低血圧があらわれることがあるので、体位変換による血圧変化に注意すること。
8.2 本剤の投与初期又は用量の急増時等に、起立性低血圧に基づくめまい、立ちくらみ等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。
8.3 本剤投与開始時に降圧剤投与の有無について問診を行い、降圧剤が投与されている場合には血圧変化に注意し、血圧低下がみられたときには、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。[10.2参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重篤な心疾患のある患者
使用経験がない。
9.1.2 重篤な脳血管障害のある患者
使用経験がない。
9.3 肝機能障害患者
健常人に比し、最高血漿中濃度が約2倍、血漿中濃度曲線下面積が約4倍に増加したとの報告がある。
9.8 高齢者
低用量(例えば12.5mg/日等)から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として肝臓から排泄されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため、排泄が遅延し、高い血中濃度が持続するおそれがある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
利尿剤
降圧剤
8.3参照]
降圧作用が増強するおそれがあるので、減量するなど注意すること。本剤及び併用薬の降圧作用が互いに協力的に作用する。
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物等
併用により、症候性低血圧があらわれるおそれがある。これらは血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.2 失神、意識喪失(頻度不明)
血圧低下に伴う一過性の意識喪失等があらわれることがある。
注)発現頻度は使用成績調査を含む
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜1%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹そう痒感、蕁麻疹多形紅斑
精神神経系めまい・ふらつき、頭痛・頭重倦怠感、眠気、耳鳴、しびれ感、振戦、味覚異常頭がボーッとする
循環器立ちくらみ、低血圧動悸、ほてり、不整脈(期外収縮、心房細動等)頻脈
消化器胃部不快感、下痢便秘、口渇、嘔気、嘔吐、膨満感、腹痛 
肝臓AST、ALTの上昇LDH、Al-Pの上昇 
血液  血小板数減少
 霧視術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)、色視症
その他 浮腫、尿失禁、悪寒、眼瞼浮腫、肩こり、鼻閉、勃起障害女性化乳房、胸痛

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
14.1.3 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 類似化合物(プラゾシン塩酸塩)で腎及びその他の動脈狭窄、脚部及びその他の動脈瘤等の血管障害のある高血圧患者で、急性熱性多発性関節炎がみられたとの報告がある。
15.1.2 α1遮断薬を服用中又は過去に服用経験のある患者において、α1遮断作用によると考えられる術中虹彩緊張低下症候群(Intraoperative Floppy Iris Syndrome)があらわれるとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
動物実験(マウス)において、300mg/kg/日(臨床最大用量の約200倍)を2年間経口投与した場合、雌で乳腺腫瘍の発生頻度が対照群に比し有意に増加したとの報告がある。また、マウスに同用量を77週間経口投与した結果、血清プロラクチンが対照群に比し上昇したとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与・反復投与
健康成人にナフトピジル25、50及び100mg注)を空腹時に単回経口投与したとき、下記のデータが得られている。1)
 25mg50mg100mg注)
Tmax(時間)0.45±0.210.75±0.710.65±0.22
Cmax(ng/mL)39.3±10.370.1±32.9134.8±55.8
半減期(時間)15.2±4.710.3±4.120.1±13.7
また、1回50mgを1日2回食後反復経口投与注)すると、血清中濃度は4回目投与で定常状態に達した。1)
16.1.2 生物学的同等性試験
<ナフトピジルOD錠75mg「トーワ」>
ナフトピジルOD錠75mg「トーワ」とフリバスOD錠75mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ナフトピジルとして75mg)健康成人男子に絶食単回経口投与(水なしで服用及び水で服用)して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。2)
(1)水なしで服用
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-24(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(時間)半減期(時間)
ナフトピジルOD錠75mg「トーワ」325.3±100.2128.1±58.50.70±0.499.81±5.07
フリバスOD錠75mg327.0±99.6127.5±54.90.92±0.859.40±3.84
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
(2)水で服用
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-24(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(時間)半減期(時間)
ナフトピジルOD錠75mg「トーワ」273.2±120.5129.7±79.80.66±0.718.60±2.63
フリバスOD錠75mg260.8±126.2120.7±68.60.56±0.2510.55±8.07
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人にナフトピジル50mgを空腹時及び食後に単回経口投与すると、最高血清中未変化体濃度到達時間はそれぞれ0.75時間及び2.20時間であり、食後投与で遅延する傾向を示し、血清中濃度−時間曲線下面積はわずかに増大したが、最高血清中濃度及び消失相の半減期に変化がなく、ナフトピジルの吸収に及ぼす食事の影響は少なかった。1)
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合率
健康成人にナフトピジル100mg注)を空腹時単回経口投与したときの血清蛋白結合率は98.5%であった。3)
16.4 代謝
主要代謝反応は、未変化体のグルクロン酸抱合及びメトキシフェニル基の水酸化であった。3)
16.5 排泄
健康成人にナフトピジル25、50及び100mg注)を単回経口投与したときの投与後24時間までの尿中未変化体排泄率はいずれも0.01%以下であった。1)
16.8 その他
<ナフトピジルOD錠25mg「トーワ」、ナフトピジルOD錠50mg「トーワ」>
ナフトピジルOD錠25mg「トーワ」及びナフトピジルOD錠50mg「トーワ」は、ナフトピジルOD錠75mg「トーワ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた。2)
注)本剤の承認された用法・用量は、「通常、成人にはナフトピジルとして1日1回25mgより投与を始め、効果が不十分な場合は1〜2週間の間隔をおいて50〜75mgに漸増し、1日1回食後経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は75mgまでとする。」である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
自覚症状、ウロダイナミクス検査(最大尿流率、平均尿流率等)において、用量依存的かつ有意な改善が認められた。また、二重盲検比較試験の結果、1日1回投与において有用性が確認された。二重盲検比較試験を含む496例の臨床試験成績の改善率は以下のとおりである。4)5)6)7)8)9)10)
試験方法改善率(「改善」以上)
一般臨床試験58.5%(234/400)
二重盲検比較試験71.9%(69/96)
さらに、長期投与例30例においても安定した有効性が認められた。7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
α1受容体遮断作用に基づき前立腺部及び尿道に分布する交感神経の緊張を緩和し、尿道内圧を低下させ、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する。11)12)
18.2 ヒトでの作用
18.2.1 交感神経系α受容体に対する親和性
ヒト前立腺膜標本を用いた受容体結合実験で、α1受容体への親和性を示した。13)
18.2.2 前立腺に対する作用
α1受容体作動薬によるヒト摘出前立腺平滑筋の収縮を抑制した。8)
18.2.3 排尿障害改善作用
前立腺肥大症に伴う排尿障害患者に対する臨床薬理試験において、最大尿道閉鎖圧及び最小尿道抵抗が有意に低下し、最大尿流率及び平均尿流率が有意に増加した。9)
18.3 動物での作用
18.3.1 前立腺、尿道及び膀胱三角部に対する作用
α1受容体作動薬によるウサギ摘出前立腺、尿道及び膀胱三角部平滑筋の収縮を抑制した。14)
18.3.2 尿道内圧に対する作用
無麻酔雄ウサギにおいて、尿道内圧を用量依存的に低下させた。また、麻酔雄イヌにおいては、α1受容体作動薬による血圧上昇に対する抑制よりも、尿道内圧上昇を選択的に抑制した。12)14)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ナフトピジル

一般的名称 ナフトピジル
一般的名称(欧名) Naftopidil
化学名 (2RS)-1-[4-(2-Methoxyphenyl)piperazin-1-yl]-3-(naphthalen-1-yloxy)propan-2-ol
分子式 C24H28N2O3
分子量 392.49
融点 126〜129℃
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。無水酢酸に極めて溶けやすく、N,N-ジメチルホルムアミド又は酢酸(100)に溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。光によって徐々に淡褐色となる。N,N-ジメチルホルムアミド溶液(1→10)は旋光性を示さない。
KEGG DRUG D01674

22. 包装

<ナフトピジルOD錠25mg「トーワ」>
100錠[10錠×10:PTP]
300錠[バラ]
<ナフトピジルOD錠50mg「トーワ」>
100錠[10錠×10:PTP]
300錠[バラ]
<ナフトピジルOD錠75mg「トーワ」>
100錠[10錠×10:PTP]
300錠[バラ]

23. 主要文献

  1. 中島 光好他, 臨床医薬, 8 (Suppl.3), 11-29, (1992)
  2. 信岡 史将他, 新薬と臨牀, 64 (10), 1165-1190, (2015)
  3. 寺門 敬夫他, 臨床医薬, 8 (Suppl.3), 3-9, (1992)
  4. 深谷 保男他, 西日本泌尿器科, 54 (5), 697-710, (1992)
  5. 山口 脩他, 基礎と臨床, 31 (3), 1315-1360, (1997)
  6. 山口 脩他, 臨床医薬, 8 (3), 699-722, (1992)
  7. 山西 友典他, 泌尿器外科, 5 (4), 359-363, (1992)
  8. 山中 直人他, 泌尿器科紀要, 37, 1759-1772, (1991)
  9. Yasuda,K.,et al., Prostate., 25, 46-52, (1994) »PubMed
  10. 平川 真治他, 西日本泌尿器科, 53 (4), 572-578, (1991)
  11. 第十八改正日本薬局方解説書, C-3809, (2021)
  12. Takei,R.,et al., Jpn.J.Pharmacol., 79, 447-454, (1999) »PubMed
  13. Yamada,S.,et al., Life Sci., 50 (2), 127-135, (1992) »PubMed
  14. 森 龍太郎他, 薬理と治療, 20 (2), 375-381, (1992)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379
製品情報問い合わせ先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
東和薬品株式会社
大阪府門真市新橋町2番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版