2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 チアジド系薬剤又はその類似化合物(例えばクロルタリドン等のスルフォンアミド誘導体)に対する過敏症の既往歴のある患者
2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[
9.5参照]
2.4 重篤な肝機能障害のある患者[
9.3.1参照]
2.7 体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している患者[低ナトリウム血症、低カリウム血症等の電解質失調を悪化させるおそれがある。][
9.1.2、
11.1.7、
11.1.15参照]
2.8 アリスキレンを投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[
10.1参照]
2.9 デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者[
10.1参照]
過度な血圧低下のおそれ等があり、本剤を高血圧治療の第一選択薬としないこと。
ロサルヒド配合錠LD「日医工」
成人には1日1回1錠(ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして50mg/12.5mg)を経口投与する。
本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。
ロサルヒド配合錠HD「日医工」
成人には1日1回1錠(ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして100mg/12.5mg)を経口投与する。
本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。
原則として、ロサルタンカリウム50mgで効果不十分な場合にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして50mg/12.5mgの投与を、ロサルタンカリウム100mg又はロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして50mg/12.5mgで効果不十分な場合にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして100mg/12.5mgの投与を検討すること。[
8.1参照]
8.1 本剤はロサルタンカリウム50mgあるいは100mgとヒドロクロロチアジド12.5mgの配合剤であり、ロサルタンカリウムとヒドロクロロチアジド双方の副作用が発現するおそれがあり、適切に本剤の使用を検討すること。[7.参照]
8.2 一過性の血圧低下(ショック症状、意識消失、呼吸困難等を伴う)を起こすおそれがあるので、本剤投与中は定期的(投与開始時:2週間ごと、安定後:月1回程度)に血圧のモニタリングを実施すること。
8.3 本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは低カリウム血症を起こすことが知られている。ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして50mg/12.5mgが投与された国内臨床試験において、血清カリウム値は低下傾向を示し、また低カリウム血症の発現頻度は高カリウム血症よりも高かった。したがって、低カリウム血症の発現がより懸念されるので、血清カリウム値のモニタリングを定期的に実施し、観察を十分に行うこと。[
9.1.2、
11.1.7参照]
8.4 本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは高尿酸血症を発現させるおそれがあるので、本剤投与中は定期的に血清尿酸値のモニタリングを実施し、観察を十分に行うこと。[
9.1.8参照]
8.5 本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは血糖値上昇若しくは糖尿病顕性化のおそれがあるので、観察を十分に行うこと。[
9.1.8参照]
8.6 本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは重篤な血液障害を発現させるおそれがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[
11.1.10参照]
8.7 降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.8 手術前24時間は投与しないことが望ましい。アンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中の患者は、麻酔及び手術中にレニン・アンジオテンシン系の抑制作用による高度な血圧低下を起こすおそれがある。
8.9 本剤の成分を含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中にまれに肝炎等の重篤な肝障害があらわれたとの報告がある。肝機能検査を実施するなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
8.10 本剤の投与により利尿効果が急激にあらわれることがあるので、電解質失調、脱水に十分注意すること。
8.11 夜間の休息が特に必要な患者には、夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
8.12 本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは急性近視、閉塞隅角緑内障、脈絡膜滲出を発現させるおそれがあるので、急激な視力の低下や眼痛等の異常が認められた場合には、直ちに眼科医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[
11.1.16参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
9.1.2 血清カリウム値異常の患者
9.1.3 高カリウム血症の患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。本剤の成分であるロサルタンカリウムは、高カリウム血症を増悪させるおそれがある。
また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現するおそれがあるので、血清カリウム値のモニタリングを定期的に実施し、観察を十分に行うこと。[
9.1.2、
11.1.7参照]
9.1.4 脳血管障害のある患者
過度の降圧が脳血流不全を惹起し、病態を悪化させるおそれがある。
9.1.5 体液量が減少している患者(水分摂取の不十分な患者、過度の発汗をしている患者)
9.1.6 減塩療法中の患者
低ナトリウム血症を起こすおそれがある。特に、厳重な減塩療法中の患者では、一過性の血圧低下を起こすおそれがある。[
11.1.5、
11.1.15参照]
9.1.7 重篤な冠動脈硬化症又は脳動脈硬化症のある患者
急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
9.1.8 本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者、及び高尿酸血症のある患者
高尿酸血症、高血糖症を来し、痛風、糖尿病の悪化や顕性化のおそれがある。[
8.4、
8.5参照]
9.1.9 下痢、嘔吐のある患者
9.1.10 高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症のある患者
9.1.11 交感神経切除後の患者
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 無尿の患者又は透析患者
9.2.2 急性腎障害の患者
投与しないこと。腎機能を更に悪化させるおそれがある。[
2.6参照]
9.2.3 腎機能障害患者(血清クレアチニン値2.0mg/dL超)
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。ヒドロクロロチアジドにより腎血流量が低下し、ロサルタンカリウムにより腎機能障害が悪化するおそれがある。
9.2.4 腎機能低下患者(血清クレアチニン値1.5〜2.0mg/dL)
本剤投与中は定期的に血清クレアチニン値及び血清尿酸値のモニタリングを実施し、観察を十分に行うこと。血清クレアチニン値上昇及び血清尿酸値上昇のおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
9.3.2 肝機能障害又はその既往のある患者(ただし、重篤な肝機能障害のある患者を除く)
外国において、軽・中等度のアルコール性肝硬変患者にロサルタンカリウム50mgを単回経口投与すると、健康成人と比較してロサルタンの消失速度が遅延し、ロサルタン及びカルボン酸体の血漿中濃度がそれぞれ約5倍及び約2倍に上昇することが報告されている。また、ヒドロクロロチアジドは肝性昏睡を誘発するおそれがある。[
9.3.1参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性
妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている
1)2)。
本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。[
9.5参照]
(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。
・妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。
・妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。
・妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、多臓器不全、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。なお、チアジド系薬剤では新生児又は乳児に高ビリルビン血症、血小板減少症等を起こすことがある。また、利尿効果に基づく血漿量減少、血液濃縮、子宮・胎盤血流量減少があらわれることがある。[
2.3、
9.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ラットの周産期及び授乳期にロサルタンカリウム1mg/kg/day/ヒドロクロロチアジド0.25mg/kg/day〜ロサルタンカリウム50mg/kg/day/ヒドロクロロチアジド12.5mg/kg/dayを投与した試験において、ロサルタンカリウム50mg/kg/day/ヒドロクロロチアジド12.5mg/kg/day群で産児体重の減少及び腎の病理組織学的変化がみられた。また、ロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドの乳汁移行性も確認された。本試験の産児に対する無毒性量はロサルタンカリウム10mg/kg/day/ヒドロクロロチアジド2.5mg/kg/dayであった。ヒドロクロロチアジドは、ヒト母乳中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。乳児は電解質バランスがくずれやすい。
9.8 高齢者
9.8.1 一般に生理機能が低下している。
9.8.2 一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
9.8.3 高齢者でのロサルタンカリウム単独投与における薬物動態試験で、ロサルタン及びカルボン酸体の血漿中濃度が非高齢者に比べて高かった(非高齢者に比較してロサルタン及びカルボン酸体の血漿中濃度がそれぞれ約2倍及び約1.3倍に上昇)。
9.8.4 急激な利尿は血漿量の減少を来し、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
9.8.5 特に心疾患等で浮腫のある高齢者では急激な利尿は急速な血漿量の減少と血液濃縮を来し、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
9.8.6 低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすい。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
不快感、口内異常感、発汗、蕁麻疹、呼吸困難、全身潮紅、浮腫等があらわれることがある。
11.1.2 血管浮腫(頻度不明)
顔面、口唇、咽頭、舌等の腫脹があらわれることがある。
11.1.3 急性肝炎又は劇症肝炎(いずれも頻度不明)
11.1.4 急性腎障害(頻度不明)
11.1.5 ショック、失神、意識消失(いずれも頻度不明)
11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.7 低カリウム血症、高カリウム血症(いずれも頻度不明)
11.1.8 不整脈(頻度不明)
心室性期外収縮、心房細動等の不整脈があらわれることがある。
11.1.9 汎血球減少、白血球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)
11.1.10 再生不良性貧血、溶血性貧血(いずれも頻度不明)[
8.6参照]
11.1.11 壊死性血管炎(頻度不明)
11.1.12 間質性肺炎、肺水腫、急性呼吸窮迫症候群(いずれも頻度不明)
間質性肺炎、肺水腫があらわれることがある。また、ヒドロクロロチアジド服用後、数分から数時間以内に急性呼吸窮迫症候群が発現したとの報告がある
3)4)5)6)。
11.1.13 全身性エリテマトーデスの悪化(頻度不明)
11.1.14 低血糖(頻度不明)
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。
11.1.15 低ナトリウム血症(頻度不明)
倦怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐、痙攣、意識障害等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがある。[
2.7、
9.1.6参照]
11.1.16 急性近視、閉塞隅角緑内障、脈絡膜滲出(いずれも頻度不明)
急性近視(霧視、視力低下等を含む)、閉塞隅角緑内障、脈絡膜滲出があらわれることがある。[
8.12参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満注) | 頻度不明 |
精神神経系 | めまい、浮遊感、眠気、頭痛 | 耳鳴、不眠、知覚異常 |
循環器系 | 低血圧、起立性低血圧、動悸 | 調律障害(頻脈等)、胸痛 |
消化器 | 嘔吐・嘔気 | 口内炎、下痢、口角炎、胃不快感、胃潰瘍、腹部仙痛、膵炎、唾液腺炎、便秘、食欲不振、腹部不快感、口渇 |
肝臓 | 黄疸、肝機能障害(AST上昇、ALT上昇、LDH上昇等) | |
腎臓 | BUN上昇、クレアチニン上昇 | |
皮膚 | 発疹、蕁麻疹 | 多形紅斑、光線過敏、紅皮症、紅斑、そう痒、顔面潮紅、皮膚エリテマトーデス |
血液 | 貧血、赤血球数増加、赤血球数減少、ヘマトクリット低下、ヘマトクリット上昇、ヘモグロビン増加、白血球数増加、リンパ球数増加 | 好酸球数増加、好中球百分率増加、リンパ球数減少 |
その他 | 倦怠感、CK上昇、高尿酸血症、高血糖症、頚部異和感、多汗、頻尿、CRP増加、尿中ブドウ糖陽性、尿中赤血球陽性、尿中白血球陽性、尿中蛋白陽性、BNP増加 | 発熱、味覚障害、しびれ感、眼症状(かすみ、異和感等)、黄視症、ほてり、浮腫、筋肉痛、咳嗽、低マグネシウム血症、低クロール性アルカローシス、血清カルシウム増加、インポテンス、高カルシウム血症を伴う副甲状腺障害、筋痙攣、関節痛、鼻閉、紫斑、呼吸困難、血清脂質増加、女性化乳房 |
甲状腺障害のない患者の血清PBIを低下させることがある。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを単回経口投与すると、ロサルタン及びカルボン酸体は、それぞれ投与後1.4及び3.7時間に最高血漿中濃度(Cmax)に達し、消失半減期(t
1/2)1.7及び5.8時間で消失した。ヒドロクロロチアジドの血漿中濃度は、投与後2.8時間でCmaxに達し、t
1/2は7.9時間であった
9)(表1)。
表1 健康成人におけるロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを単回経口投与後の薬物動態パラメータ
| ロサルタンカリウム50mg/ヒドロクロロチアジド12.5mg |
ロサルタン | カルボン酸体 | ヒドロクロロチアジド |
Cmax(ng/mL) | 291.0±96.9 | 592.9±137.4 | 95.9±20.9 |
Tmax(hr) | 1.4±0.8 | 3.7±1.2 | 2.8±0.9 |
AUC0-∞(ng・hr/mL) | 504.8±180.2 | 3674.1±680.2 | 516.2±89.8 |
t1/2(hr) | 1.7±0.6 | 5.8±1.1 | 7.9±1.2 |
16.1.2 反復投与
軽症及び中等症の本態性高血圧症患者にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを1日1回14日間反復経口投与した時、血漿中ロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドのいずれにも蓄積性は認められなかった
10)。
16.1.3 生物学的同等性試験
ロサルヒド配合錠LD「日医工」及びプレミネント配合錠LDを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ロサルタンカリウムとして50mg及びヒドロクロロチアジドとして12.5mg)健康成人男性に絶食単回経口投与して血漿中カルボン酸体
※濃度及びヒドロクロロチアジド濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
11)。
(※ロサルタンの主要活性代謝物)
表2 薬物動態パラメータ(カルボン酸体)
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
AUC0→24(ng・hr/mL) | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | t1/2(hr) |
ロサルヒド配合錠LD「日医工」 | 3423.42±882.74 | 511.88±158.60 | 3.30±0.72 | 4.58±0.40 |
プレミネント配合錠LD | 3449.84±1007.84 | 533.09±168.67 | 3.50±1.31 | 4.56±0.39 |
図1 血漿中薬物濃度推移(カルボン酸体)
表3 薬物動態パラメータ(ヒドロクロロチアジド)
| 判定パラメータ | 参考パラメータ |
AUC0→24(ng・hr/mL) | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | t1/2(hr) |
ロサルヒド配合錠LD「日医工」 | 515.15±77.12 | 82.07±19.13 | 2.50±0.99 | 7.62±1.01 |
プレミネント配合錠LD | 506.55±83.16 | 78.62±16.08 | 2.76±0.80 | 7.62±0.85 |
図2 血漿中薬物濃度推移(ヒドロクロロチアジド)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
(1)健康成人にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを食後投与すると、空腹時投与に比べてロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドのいずれも最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が遅延(0.7〜1.7時間)し、ロサルタンの血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)は差がなかったものの、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドのAUCがそれぞれ17%及び22%低下したが、臨床上問題とならない程度であった
9)。
(2)健康成人にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgを食後単回経口投与した場合、空腹時投与に比べてロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドのいずれもTmaxが遅延(2.0〜2.8時間)し、ロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドのAUCがそれぞれ22%、23%及び11%低下したが、臨床上問題とならない程度であった
12)。
16.3 分布
ヒトにおけるロサルタン及びカルボン酸体の血漿蛋白結合率は、いずれも98%以上であった。
ヒドロクロロチアジドのヒト血清蛋白結合率は22%であった
13)。
外国人におけるロサルタンの分布容積は34Lであった
14)。
16.4 代謝
ヒトにおいて、ロサルタンは主としてカルボン酸体へ代謝され、この代謝には、主としてCYP2C9が関与した。
ヒトにおいてヒドロクロロチアジドはほとんど代謝されなかった
13)。[
10.参照]
16.5 排泄
健康成人にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを単回経口投与後48時間までに、ロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドが、尿中にそれぞれ投与量の3.7%、7.7%及び66.6%排泄された
9)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害を伴う高血圧症患者(血清クレアチニン値1.5〜2.5mg/dL)にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを1日1回7日間反復経口投与した時のロサルタン及びカルボン酸体のCmaxは、腎機能正常患者に比べ1.2倍高く、AUC
0-24hrは1.5〜1.7倍高かった。ヒドロクロロチアジドのCmax及びAUC
0-24hrは、それぞれ腎機能正常患者の1.4倍及び2.2倍、腎クリアランスは27%であった
15)。
16.6.2 高齢者
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを1日1回7日間反復経口投与後のロサルタン及びカルボン酸体の血漿中濃度は、非高齢者と差はなく、ヒドロクロロチアジドの吸収も非高齢者と差がなかった
16)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
健康成人にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを単回経口投与した後のロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドの血漿中濃度は、各単剤投与後と差がなく、ロサルタンとヒドロクロロチアジドとの薬物動態的な相互作用は認められなかった
9)。
海外において、ロサルタンとシメチジン、フェノバルビタール、ワルファリン、ジゴキシン、ケトコナゾール及びエリスロマイシンとの相互作用について検討したが、いずれも臨床上問題となる薬物動態的な相互作用は認められなかった
17)。ロサルタンとリファンピシン(代謝酵素誘導剤)との併用により、ロサルタン及びカルボン酸体の消失が速くなり、それらのAUCは減少した。また、ロサルタンとフルコナゾール(CYP2C9の阻害剤)の併用により、カルボン酸体のCmax及びAUCが減少したが、ロサルタンのAUCは増加した
18)。
16.8 その他
ロサルヒド配合錠HD「日医工」は、ロサルヒド配合錠LD「日医工」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判定され、生物学的に同等とみなされた
19)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 第III相二重盲検比較試験
日本人を対象とした二重盲検比較試験において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgはロサルタンカリウム50mg投与よりも有意に優れた降圧効果が認められた。降圧効果判定採用154例のうち有効(拡張期血圧が90mmHg未満に又は10mmHg以上低下した症例)と判定された症例は112例(73%)であった。なお、8週間時における拡張期血圧の平均変化量は下図のとおりであった
20)21)。
図 坐位拡張期血圧の平均変化量(8週間投与時)
Pbo=プラセボ、L=ロサルタンカリウム、H=ヒドロクロロチアジド
†主要評価項目のFAS解析対象例、††平均値(標準偏差)、§最小二乗平均値(95%信頼区間)
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgが投与された患者で自他覚症状の副作用が報告されたのは155例中14例(9.0%)であり、主な副作用は浮動性めまい5例(3.2%)、悪心2例(1.3%)であった。また、臨床検査値の副作用が報告されたのは155例中22例(14.2%)であり、主な臨床検査値の副作用は、尿酸増加8例(5.3%)、ALT増加、CK増加各3例(2.0%)、赤血球数減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、AST増加、BUN増加各2例(1.3%)であった。
また、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgの副作用発現率は、プラセボと同程度であった。
17.1.2 国内第III相長期投与試験
日本人を対象に長期の安全性を検討した第III相試験において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgが投与された患者で自他覚症状の副作用が報告されたのは200例中28例(14.0%)であり、主な副作用は頻尿6例(3.0%)、浮動性めまい4例(2.0%)、右脚ブロック、動悸、異常感、蕁麻疹各2例(1.0%)であった。また、臨床検査値の副作用が報告されたのは200例中26例(13.0%)であり、主な臨床検査値の副作用は尿酸増加6例(3.0%)、ALT増加5例(2.5%)、AST増加、カリウム減少各4例(2.0%)、赤血球数減少、ヘマトクリット減少各3例(1.5%)、白血球数増加、ヘモグロビン減少、LDH増加、CK増加、尿中赤血球陽性各2例(1.0%)であった
22)。
17.1.3 国内第III相二重盲検比較試験
ロサルタンカリウム100mgを服用後に血圧コントロールが不十分であった日本人本態性高血圧症患者を対象とした第III相二重盲検試験において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgはロサルタンカリウム100mg投与よりも、投与8週時の平均トラフ坐位収縮期及び拡張期血圧共に、有意に優れた降圧効果を示した(P<0.001)。投与8週時における平均トラフ坐位血圧のベースラインからの変化量を表1に示す
23)24)。
表1 ロサルタンカリウム100mgで効果不十分な高血圧症患者を対象とした試験での平均トラフ坐位血圧のベースラインからの変化量†(mmHg)
| ベースラインの血圧†† | 投与8週時の変化量† |
ロサルタンカリウム100mg (N=170)§ | 収縮期 | 155.0(10.4) | −5.4(1.0) |
拡張期 | 97.7(5.7) | −3.6(0.6) |
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mg (N=166)§ | 収縮期 | 155.4(11.0) | −14.5(1.0) |
拡張期 | 97.1(5.3) | −8.7(0.6) |
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgが投与された患者で副作用が報告されたのは166例中16例(9.6%)であり、主な副作用は血中尿酸増加4例(2.4%)であった
23)。
17.1.4 国内第III相二重盲検比較試験及び長期投与試験
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを8週間服用後に血圧コントロールが不十分であった日本人本態性高血圧症患者を対象に長期安全性を評価した第III相試験の二重盲検期(8週間)において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgはロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgと比べて、投与8週時の平均トラフ坐位拡張期血圧では同程度の降圧効果を示し、投与8週時の平均トラフ坐位収縮期血圧では上乗せの降圧効果を示した。投与8週時における平均トラフ坐位血圧のベースラインからの変化量を表2に示す
23)25)。
表2 ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgで効果不十分な高血圧症患者を対象とした試験での平均トラフ坐位血圧のベースラインからの変化量†(mmHg)
| ベースラインの血圧†† | 投与8週時の変化量† |
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mg (N=144)§ | 収縮期 | 151.7(9.5) | −6.2(1.0) |
拡張期 | 95.9(5.4) | −5.3(0.7) |
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mg (N=134)§ | 収縮期 | 152.4(11.2) | −8.5(1.0) |
拡張期 | 95.1(4.5) | −5.0(0.7) |
また、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgの降圧効果は、収縮期及び拡張期血圧共に52週時においても持続した
23)。
二重盲検期(8週間)において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgが投与された患者で副作用が報告されたのは134例中7例(5.2%)であった。延長期(52週間)において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgが投与された患者で副作用が報告されたのは265例中32例(12.1%)であり、主な副作用は血中尿酸増加7例(2.6%)、高尿酸血症4例(1.5%)、AST増加、BNP増加各3例(1.1%)であった
23)。