医療用医薬品 : ポビドンヨード

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医薬品情報


総称名 ポビドンヨード
一般名 ポビドンヨード
欧文一般名 Povidone-Iodine
製剤名 ポビドンヨード外用液
薬効分類名 外用消毒剤
薬効分類番号 2612
ATCコード D08AG02 D09AA09 D11AC06 G01AX11 R02AA15 S01AX18
KEGG DRUG
D00863 ポビドンヨード
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ポビドンヨード外用液10%「明治」 (後発品) POVIDONE-IODINE SOLUTION「MEIJI」 Meiji Seikaファルマ 2612701Q3466 1.31円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤又はヨウ素に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

手術部位(手術野)の皮膚の消毒、手術部位(手術野)の粘膜の消毒、皮膚・粘膜の創傷部位の消毒、熱傷皮膚面の消毒、感染皮膚面の消毒

6. 用法及び用量

<手術部位(手術野)の皮膚の消毒、手術部位(手術野)の粘膜の消毒>
本剤を塗布する。
<皮膚・粘膜の創傷部位の消毒、熱傷皮膚面の消毒、感染皮膚面の消毒>
本剤を患部に塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 甲状腺機能に異常のある患者
血中ヨウ素の調節ができず甲状腺ホルモン関連物質に影響を与えるおそれがある。
9.1.2 重症の熱傷患者
ヨウ素の吸収により、血中ヨウ素値が上昇することがある。
9.5 妊婦
妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
長期にわたる広範囲の使用を避けること1)
本剤を妊婦の腟内に長期間使用し、新生児に一過性の甲状腺機能低下があらわれたとの報告がある2)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
長期にわたる広範囲の使用を避けること1)
ポビドンヨード製剤を腟内に使用し、乳汁中の総ヨウ素値が一過性に上昇したとの報告がある3)
9.7 小児等
本剤を新生児に使用し、一過性の甲状腺機能低下を起こしたとの報告がある4)

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(0.1%未満)
呼吸困難、不快感、浮腫、潮紅、蕁麻疹等があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%未満
過敏症発疹
皮膚接触皮膚炎、そう痒感、灼熱感、皮膚潰瘍、皮膚変色
甲状腺血中甲状腺ホルモン値(T3、T4値等)の上昇あるいは低下などの甲状腺機能異常

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

酸化反応を利用した潜血試験において、本剤が検体に混入すると偽陽性を示すことがある5)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
14.1.1 本剤は外用消毒剤であるので、経口投与、吸入、注射、眼及び体腔内(腹腔内、胸腔内等)に使用しないこと。
14.1.2 大量かつ長時間の接触によって接触皮膚炎、皮膚変色があらわれることがあるので、溶液の状態で長時間皮膚と接触させないこと6)。本剤が手術時に体の下にたまった状態や、ガーゼ・シーツ等にしみ込み湿った状態で、長時間皮膚と接触しないよう消毒後は拭き取るか乾燥させるなど注意すること。
14.1.3 眼に入らないように注意すること。入った場合には、水でよく洗い流すこと。
14.1.4 深い創傷に使用する場合の希釈液としては生理食塩液か注射用水を用い、水道水や精製水を用いないこと。
14.1.5 石けん類は本剤の殺菌作用を弱めるので、石けん分を洗い落としてから使用すること。
14.1.6 電気的な絶縁性をもっているので、電気メスを使用する場合には、本剤が対極板と皮膚の間に入らないよう注意すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
ポビドンヨード製剤を腟内に使用し、血中総ヨウ素値及び血中無機ヨウ素値が一過性に上昇したとの報告がある7)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 臨床試験
臨床効果の有効率は1,142例中1,101例96.4%を示し、その内容は手術部位(手術野)では966例中935例96.8%、創傷部位・熱傷皮膚面では64例中63例98.4%、感染皮膚面では112例中103例92.0%であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
水溶液中のポビドンヨード液はヨウ素を遊離し、その遊離ヨウ素(I2)が水を酸化してH2OIが生じる。H2OIは細菌及びウイルス表面の膜タンパク(−SHグループ、チロシン、ヒスチジン)と反応することにより、細菌及びウイルスを死滅させると推定される。
18.2 細菌等に対する効果(in vitro)
18.2.1 ポビドンヨード製剤(10%液剤)が細菌等を殺菌するのに要する最小時間は次のとおりであった8)
被験菌殺菌時間
Staphylococcus aureus ATCC 6538P60秒以内
Staphylococcus aureus R-No.2630秒以内
Staphylococcus epidermidis ATCC 1222830秒以内
Streptococcus pyogenes30秒以内
Corynebacterium diphtheriae30秒以内
Escherichia coli NIHJ30秒以内
Salmonella paratyphi A30秒以内
Salmonella paratyphi B30秒以内
Shigella sonnei30秒以内
Proteus vulgaris OX-1930秒以内
Pseudomonas aeruginosa IAM 100730秒以内
Candida albicans30秒以内
18.2.2 ポビドンヨード製剤(10%液剤)の臨床分離株に対する効果は次のとおりであった9)10)11)12)
被験菌株数ポビドンヨード製剤(10%液剤)の希釈倍率
(PVP-I濃度)
作用時間滅菌率
Staphylococcus aureus(MSSA)2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Staphylococcus aureus(MRSA)2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Escherichia coli1020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Pseudomonas aeruginosa2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Serratia marcescens2020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Burkhorderia cepacia1020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Klebsiella pneumoniae1020倍(0.5%)30秒99.99%以上
Mycobacterium avium2100倍(0.1%)30秒99.9%以上
Mycobacterium kansasii3100倍(0.1%)30秒99.9%以上
Mycobacterium tuberculosis7100倍(0.1%)30秒99.99%以上
Bordetella pertussis1050倍(0.2%)15秒99.99%以上
18.2.3 生物学的同等性試験
ポビドンヨード外用液10%「明治」とイソジン液10%について欧州標準試験法を参考に殺菌効果を比較した結果、両剤とも、同試験法で「有効」と判断される、5分間作用で供試菌数中少なくとも105分の1以下(細菌)若しくは104分の1以下(真菌)まで菌数を減少させる能力を有し、両剤同様の効果が認められた13)
(1)清浄条件(ウシ血清アルブミン非添加)
菌株作用時間
ポビドンヨード外用液10%「明治」イソジン液10%
0.5分1分3分5分0.5分1分3分5分
S.aureus ATCC 6538
E.hirae ATCC 10541
P.aeruginosa ATCC 15442
E.coli ATCC 10536
C.albicans ATCC 10231
(2)汚染条件(ウシ血清アルブミン添加)
菌株作用時間
ポビドンヨード外用液10%「明治」イソジン液10%
0.5分1分3分5分0.5分1分3分5分
S.aureus ATCC 6538
E.hirae ATCC 10541
P.aeruginosa ATCC 15442
E.coli ATCC 10536
C.albicans ATCC 10231
18.3 ウイルスに対する効果(in vitro)
ポビドンヨード製剤(10%液剤)のウイルスに対する効果は次のとおりであった14)15)16)17)18)19)
ウイルスポビドンヨード製剤(10%液剤)の希釈倍率
(PVP-I濃度)
作用時間ウイルス不活化率
単純ヘルペスウイルス10倍(1.0%)30秒99.99%以上
アデノウイルス10倍(1.0%)30秒99.9%以上
風疹ウイルス10倍(1.0%)60秒99.99%以上
麻疹ウイルス10倍(1.0%)60秒99.0%以上
ムンプスウイルス10倍(1.0%)60秒99.99%以上
インフルエンザウイルス10倍(1.0%)30秒99.99%以上
ロタウイルス(サル)10倍(1.0%)30秒99.9%以上
ポリオウイルス2倍(5.0%)30秒99.9%以上
HIV200倍(0.05%)30秒99.9%以上
サイトメガロウイルス10倍(1.0%)30秒99.9%以上
SARSウイルス10倍(1.0%)60秒99.99%以上
鳥インフルエンザウイルス(高病原性)5倍(2.0%)10秒99.99%以上
鳥インフルエンザウイルス(低病原性)5倍(2.0%)10秒99.99%以上
豚インフルエンザウイルス10倍(1.0%)10秒99.99%以上
カリシウイルス(ネコ、イヌ)40倍(0.25%)10秒99.9%以上
マウスノロウイルス50倍(0.2%)15秒99.99%以上
また、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルスに対しても効果が認められた20)21)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ポビドンヨード

一般的名称 ポビドンヨード
一般的名称(欧名) Povidone-Iodine
化学名 Poly[1-(2-oxopyrrolidin-1-yl)ethylene]iodine
分子式 (C6H9NO)n・xI
物理化学的性状 ポビドンヨードは暗赤褐色の粉末で、僅かに特異なにおいがある。
本品は水又はエタノール(99.5)に溶けやすい。
本品1.0gを水100mLに溶かした液のpHは1.5〜3.5である。
KEGG DRUG D00863

20. 取扱い上の注意

直射日光を避けて保存すること。

22. 包装

250mL

23. 主要文献

  1. Danziger,Y.,et al., Arch Dis Child., 62, 295-296, (1987) »PubMed
  2. 大塚春美ほか, 第30回日本新生児学会総会学術集会プログラム, 328, (1994)
  3. 北村 隆ほか, Progress in Medicine., 7 (5), 1031-1034, (1987)
  4. 竹内 敏ほか, 日本小児外科学会雑誌, 30 (4), 749-754, (1994) »DOI
  5. Bar-Or,D.,et al., Lancet., 2 (8246), 589, (1981) »PubMed
  6. Okano,M., J Am Acad Derm., 20 (5), 860, (1989)
  7. 小室順義ほか, 産科と婦人科, 52 (10), 1696-1702, (1985)
  8. 社内資料:殺菌力試験に関する資料
  9. 国定孝夫ほか, 環境感染, 14 (2), 142-147, (1999) »DOI
  10. 国定孝夫ほか, 環境感染, 15 (2), 156-162, (2000) »DOI
  11. Rikimaru,T.,et al., Dermatology., 195 (Suppl.2), 104-106, (1997)
  12. Suzuki,T.,et al., J Infect Chemother., 18 (2), 272-275, (2012) »PubMed
  13. 社内資料:ポビドンヨード外用液10%「明治」の生物学的同等性試験に関する資料
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  15. Kariwa,H.,et al., Dermatology., 212 (Suppl.1), 119-123, (2006) »PubMed
  16. Ito,H.,et al., Dermatology., 212 (Suppl.1), 115-118, (2006)
  17. 伊藤啓史ほか, 日本化学療法学会雑誌, 57 (6), 508-510, (2009)
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  19. Matsuhira,T.,et al., Exp Anim., 61 (1), 35-40, (2012) »PubMed
  20. 栗村 敬ほか, Biomedica., 2 (12), 1223-1226, (1987)
  21. 野田伸司ほか, 岐衛研所報, 24, 15-21, (1979)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
Meiji Seikaファルマ株式会社 くすり相談室
〒104-8002 東京都中央区京橋2-4-16
電話:フリーダイヤル 0120-093-396
03-3273-3539
FAX:03-3272-2438
製品情報問い合わせ先
Meiji Seikaファルマ株式会社 くすり相談室
〒104-8002 東京都中央区京橋2-4-16
電話:フリーダイヤル 0120-093-396
03-3273-3539
FAX:03-3272-2438

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
Meiji Seikaファルマ株式会社
東京都中央区京橋2-4-16

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版