外国で実施された術前又は術後にアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬を投与された切除不能、局所再発又は転移性乳癌患者を対象
注7)にゲムシタビンとパクリタキセルとの併用投与(GT群:3週を1コースとして、1日目にゲムシタビン1250mg/m
2及びパクリタキセル175mg/m
2を投与し、8日目にゲムシタビン1250mg/m
2を投与)をパクリタキセル単独投与(T群:3週を1コースとして、1日目にパクリタキセル175mg/m
2を投与)と比較した第III相試験を実施した。その結果は以下のとおりであった
16)。
注7)臨床的にアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬の使用が禁忌で他の1レジメンの化学療法剤による術前・術後補助化学療法後の手術不能又は再発乳癌患者も対象患者に含まれている。
| GT群 | T群 | HR(95%CI) | p値 |
生存期間 | 18.6ヵ月注8) | 15.8ヵ月注8) | 0.817(0.667-1.000) | 0.0489注9) |
無増悪生存期間 | 5.3ヵ月注8) | 3.4ヵ月注8) | 0.74(0.62-0.88) | 0.0008注9) |
奏効率 | 41.4%(110/266) | 26.2%(69/263) | 奏効率の差注10):15.1%(95%CI:7.1-23.2) |
本試験のゲムシタビン群における副作用(臨床検査値異常変動を含む)は262例中256例(97.7%)に認められた。主な副作用は脱毛症(231例)、ニューロパチー(167例)、ヘモグロビン減少(158例)であった。重篤な副作用は発熱性好中球減少症8例(3.1%)、好中球数減少6例(2.3%)、ヘモグロビン減少、発熱4例(1.5%)等であった。[
7.2参照]
転移・再発乳癌に対する全身性の前治療歴のない転移・再発又は局所進行性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の乳癌患者847例(日本人87例を含む)を対象に、ペムブロリズマブ200mg3週間間隔投与+化学療法(ゲムシタビン[3週を1コースとし、ゲムシタビン1000mg/m
2を各コースの1日目、8日目に投与]及びカルボプラチン、パクリタキセル又はnab-パクリタキセル)の併用療法
注12)の有効性及び安全性が、プラセボ+化学療法(ゲムシタビン及びカルボプラチン、パクリタキセル又はnab-パクリタキセル)の併用療法
注13)を対照とした二重盲検試験で検討された。両群とも、ゲムシタビン及びカルボプラチン、パクリタキセル又はnab-パクリタキセルは、担当医師が患者ごとに選択した。なお、画像評価で疾患進行が認められた場合に、疾患進行を示す症状が認められない等の臨床的に安定している患者では、次回以降の画像評価で疾患進行が認められるまでペムブロリズマブの投与を継続することが可能とされた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)とされ、ペムブロリズマブ+化学療法の併用療法はプラセボ+化学療法の併用療法と比較して、PD-L1陽性(CPS
注11)≧10)の患者323例(日本人28例を含む)においてPFSを有意に延長した(表1及び図1)
17)。
PD-L1陽性(CPS≧10)のペムブロリズマブ+ゲムシタビン及びカルボプラチンが併用投与された患者における安全性解析対象例125例中122例(97.6%)(日本人14例中14例を含む)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、貧血75例(60.0%)、悪心64例(51.2%)、好中球減少症63例(50.4%)、好中球数減少44例(35.2%)、疲労42例(33.6%)、血小板数減少41例(32.8%)、血小板減少症40例(32.0%)、白血球減少症35例(28.0%)、ALT増加35例(28.0%)、嘔吐30例(24.0%)、白血球数減少30例(24.0%)及びAST増加27例(21.6%)であった。[
7.2参照]
注11)PD-L1を発現した細胞数(腫瘍細胞、マクロファージ及びリンパ球)を総腫瘍細胞数で除し、100を乗じた値
表1)有効性成績(KEYNOTE-355試験)[PD-L1陽性(CPS≧10)の患者]
| ペムブロリズマブ200mg Q3W+化学療法注12)(220例) | プラセボ+化学療法注13)(103例) |
PFS† | 中央値[月](95%信頼区間) | 9.7(7.6,11.3) | 5.6(5.3,7.5) |
ハザード比††(95%信頼区間) P値§ | 0.65(0.49,0.86) 0.0012 | − |
注12)ペムブロリズマブ200mg Q3W(各コースの1日目に投与)と以下の化学療法(担当医師が患者ごとに選択)を併用した[本剤1000mg/m2及びカルボプラチンAUC 2mg・min/mL相当量(1コース21日間、各コースの1、8日目に投与)、パクリタキセル90mg/m2(1コース28日間、各コースの1、8、15日目に投与)又はnab-パクリタキセル100mg/m2(1コース28日間、各コースの1、8、15日目に投与)]。
注13)プラセボQ3W(各コースの1日目に投与)と以下の化学療法(担当医師が患者ごとに選択)を併用した[本剤1000mg/m2及びカルボプラチンAUC 2mg・min/mL相当量(1コース21日間、各コースの1、8日目に投与)、パクリタキセル90mg/m2(1コース28日間、各コースの1、8、15日目に投与)又はnab-パクリタキセル100mg/m2(1コース28日間、各コースの1、8、15日目に投与)]。
図1)PFSのKaplan-Meier曲線(KEYNOTE-355試験)[PD-L1陽性(CPS≧10)の患者]