医療用医薬品 : ルテウム

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医薬品情報


総称名 ルテウム
一般名 プロゲステロン
欧文一般名 Progesterone
製剤名 プロゲステロン製剤
薬効分類名 黄体ホルモン製剤
薬効分類番号 2477
ATCコード G03DA04
KEGG DRUG
D00066 プロゲステロン
KEGG DGROUP
DG02004 プロゲステロン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2022年4月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ルテウム腟用坐剤400mg LUTEUM VAGINAL SUPPOSITORIES あすか製薬 2477700H3023 541.9円/個 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 乳癌又は生殖器癌の既往歴又はその疑いのある患者[腫瘍の悪化又は顕性化を促すおそれがある。]
2.3 診断の確定していない異常性器出血のある患者[病因を見のがすおそれがある。]
2.4 動脈又は静脈の血栓塞栓症、重度の血栓性静脈炎又はその既往歴のある患者[血液凝固能が亢進され、これらの症状が悪化又は再発することがある。][11.1.1参照]
2.5 稽留流産又は子宮外妊娠の患者[妊娠維持作用により死亡胎児の排出が困難になるおそれがある。]
2.6 重度の肝機能障害のある患者[9.3.1参照]
2.7 ポルフィリン症の患者[症状が悪化するおそれがある。]

4. 効能または効果

生殖補助医療における黄体補充

6. 用法及び用量

プロゲステロンとして1回400mgを1日2回、採卵日(又はホルモン補充周期下での凍結胚移植ではエストロゲン投与により子宮内膜が十分な厚さになった時点)から最長10週間(又は妊娠12週まで)腟内に投与する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の投与中止により、不安、気分変化、発作感受性の増大を引き起こす可能性があるので、投与中止の際には注意するよう患者に十分説明すること。
8.2 傾眠状態や浮動性めまいを引き起こすことがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分説明すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 てんかん又はその既往歴のある患者
副腎皮質ホルモン様作用により病態に影響を及ぼすおそれがある。
9.1.2 うつ病又はその既往歴のある患者
注意深く観察し、症状の悪化を認めた場合は、投与を中止するなど注意すること。副腎皮質ホルモン様作用により病態に影響を及ぼすおそれがある。
9.1.3 片頭痛、喘息又はその既往歴のある患者
病態に影響を及ぼすおそれがある。
9.1.4 心疾患又はその既往歴のある患者
ナトリウムや体液の貯留により、症状が増悪するおそれがある。
9.1.5 糖尿病の患者
糖尿病が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎疾患又はその既往歴のある患者
ナトリウムや体液の貯留により、症状が増悪するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪するおそれがある。[2.6参照]
9.3.2 中等度以下の肝機能障害のある患者
症状が増悪するおそれがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の成分は、ヒト母乳中へ移行するとの報告がある。

10. 相互作用

10.2 併用注意
他の腟剤
抗真菌剤等
本剤の作用が増強又は減弱する可能性がある。プロゲステロンの放出及び吸収を変化させる可能性がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血栓症(頻度不明)
心筋梗塞、脳血管障害、動脈又は静脈の血栓塞栓症(静脈血栓塞栓症又は肺塞栓症)、血栓性静脈炎、網膜血栓症があらわれたとの報告がある。[2.4参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上5%未満頻度不明
生殖器不正子宮出血、外陰腟そう痒症絨毛膜下血腫、切迫流産、外陰部腟カンジダ症稽留流産、自然流産、骨盤痛、卵巣腫大
乳房  乳房圧痛、乳房痛、乳房不快感
精神神経系  傾眠、頭痛、浮動性めまい、味覚異常、気分動揺、気分変化
消化器 下腹部痛、腹痛腹部不快感、腹部膨満、放屁、上腹部痛、便秘、下痢、嘔吐、胃拡張
皮膚  発疹、そう痒症
その他  適用部位そう痒感、不快感、疲労、冷感、体温変動感、寝汗、体重増加、関節痛、直腸新生物、失禁、頻尿、ほてり

13. 過量投与

傾眠状態があらわれることがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 本剤は腟内にのみ投与し、内服しないよう指導すること。
14.1.2 本剤の基剤として使用されている油脂性成分は、コンドーム等の避妊用ラテックスゴム製品の品質を劣化・破損する可能性があるため、これらとの接触を避けさせること。
14.1.3 本剤は一度溶けた場合に品質が劣化することがあるので、涼しい場所(25℃以下)で保管し、一度溶けた製剤は使用しないよう指導すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
黄体ホルモン剤の使用と先天異常児出産との因果関係はいまだ確立されたものではないが、心臓・四肢等の先天異常児を出産した母親では、対照群に比して妊娠初期に黄体又は黄体・卵胞ホルモン剤を使用していた率に有意差があるとする疫学調査の結果が報告されている1)2)3)4)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
閉経前の日本人健康成人女性に本剤400mgを単回経腟投与した時の薬物動態パラメータ及び血漿中プロゲステロン濃度推移(変化量:各採血ポイントの血漿中プロゲステロン濃度から投与前の生体内血漿中プロゲステロン濃度を差し引いた値)は以下のとおりであった5)
投与量AUC0-72(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
400mg267.4±152.410.7±3.29.8±7.811.2±4.0
16.1.2 反復投与
閉経前の日本人健康成人女性に、本剤800mg(1回400mgを1日2回)を5日間反復経腟投与した結果、1日目と5日目の薬物動態パラメータ及び血漿中プロゲステロン濃度推移(変化量:各採血ポイントの血漿中プロゲステロン濃度から投与前の生体内血漿中プロゲステロン濃度を差し引いた値)は以下のとおりであった6)
投与量時期AUC0-τ(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)
800mg/日(400mg×2回)1日目92.1±23.811.1±3.6
5日目146.8±43.915.6±4.4
16.3 分布
ヒト血清中のプロゲステロンはおよそ17%がコルチコステロイド結合グロブリン(CBG)に、80%がアルブミンに結合し、2.5%が非結合型で存在する7)(外国人データ)。
16.4 代謝
プロゲステロンはヒトにおいて速やかに代謝され、代謝クリアランスは60L/day/kgであった8)(外国人データ)。
プロゲステロンの代謝物としては、5α-pregnane-3α,20α-diol(allopregnanediol)、5α-pregnane-3β,20α-diol、3α-hydroxy-5β-pregnan-20-one(pregnanolone)などがある9)
16.5 排泄
ヒトに[14C]プロゲステロンを静脈内投与したときの尿及び糞中への排泄率は、それぞれ46〜59%及び8〜17%であった。胆汁中への放射能の排泄率は約30%であった10)(外国人データ)。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
体外受精−胚移植を受けた日本人不妊女性74例に、本剤1回400mgを1日2回10週間経腟投与した結果、臨床的妊娠率(投与3〜4週時胎嚢確認)は35.1%(26/74例)、妊娠継続率(投与4〜5週時胎児心拍確認)は27.4%(20/73例)、妊娠継続率(投与10週時胎児心拍確認)は26.4%(19/72例)、生化学的妊娠率(投与2〜3週時妊娠検査陽性:血中hCG-βの基準値に基づく)は41.9%(31/74例)であった。
本剤を投与した81例中16例(19.8%)に副作用が認められた。発現した副作用は、不正子宮出血9例(11.1%)、外陰腟そう痒症6例(7.4%)、絨毛膜下血腫、切迫流産、下腹部痛各2例(2.5%)、腹痛及び外陰部腟カンジダ症各1例(1.2%)であった11)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
プロゲステロンは主に卵巣において産生され、排卵後の着床が可能となる分泌期にその産生が高まる。一方、妊娠成立後のプロゲステロン産生は妊娠7〜8週以後に卵巣から胎盤へ移行する。ヒト子宮内膜間質細胞におけるプロゲステロン受容体の発現は受精卵の着床時期である分泌期中期に最も強く発現し、また、子宮筋にもプロゲステロン受容体は存在する。プロゲステロンは、プロゲステロン受容体を介して転写活性を促進することによって作用を発現する。
18.2 子宮内膜の分泌相への変化
卵巣を摘出した雌性ウサギにエストロゲンとプロゲステロンを投与したときの子宮内膜の組織学的変化を検討した結果、エストロゲンにより肥厚増殖した子宮内膜に対しプロゲステロンはその増殖を止め、腺組織拡張などを惹起し、子宮内膜の組織像を分泌相へ変化させた12)
18.3 子宮内膜間質細胞の脱落膜化作用
受精卵が子宮内膜に着床するには、子宮内膜間質細胞の脱落膜化が必要である。脱落膜は、卵巣を摘出した雌性マウスにエストロゲン及びプロゲステロンを投与し、子宮内膜に対し物理的な刺激を加えても形成されるが、プロゲステロン受容体欠損マウスではこのような脱落膜化反応は認められないことから、プロゲステロン及びその受容体を介するシグナルが子宮内膜間質細胞における脱落膜形成に必須であることが示された13)
18.4 着床効果及び妊娠維持作用
雌性ウサギの卵巣を交尾48時間後に摘出し、プロゲステロンを投与して着床に対する効果を検討した結果、プロゲステロンを投与したウサギに着床が認められた。また、妊娠中期に卵巣を摘出したウサギ及びラットにプロゲステロンを投与(ラットはエストロゲンを併用)して妊娠維持に対する効果を検討した結果、プロゲステロンはウサギ及びラットいずれにおいても妊娠維持作用を示した14)
18.5 子宮筋に対する収縮抑制作用
卵巣を摘出した雌性ウサギに対するエストロゲンの子宮収縮の増大作用に対して、プロゲステロンはその収縮を抑制した15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. プロゲステロン

一般的名称 プロゲステロン
一般的名称(欧名) Progesterone
化学名 Pregn-4-ene-3,20-dione
分子式 C21H30O2
分子量 314.46
融点 128〜133℃
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
結晶多形が認められる。
KEGG DRUG D00066

22. 包装

28個[4個(プラスチック製コンテナ)×7]

23. 主要文献

  1. Levy,E.P.et al., Lancet., 1 (7803), 611, (1973) »PubMed
  2. Nora,J.J.et al., Lancet., 1 (7809), 941-942, (1973) »PubMed »DOI
  3. Janerich,D.T.et al., New Engl.J.Med., 291 (14), 697-700, (1974) »PubMed »DOI
  4. Nora,J.J.et al., New Engl.J.Med., 291 (14), 731-732, (1974) »PubMed
  5. 社内資料:薬物動態試験、単回投与
  6. 社内資料:薬物動態試験、反復投与
  7. Leighton,J.et al., First draft on the 52th meeting of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives(JECFA), (2000), (Geneva,WHO)
  8. Little,B.et al., Am.J.Obstet Gynecol., 123 (5), 527-534, (1975) »PubMed
  9. 第十七改正日本薬局方解説書, C4770-4774, (2016), (廣川書店)
  10. Sandberg,AA.et al., J.Clin.Endocr. Metab., 18 (3), 253-265, (1958) »PubMed
  11. 宇津宮隆史他, 新薬と臨牀, 65 (12), 1590-1601, (2016)
  12. DeManno,D.et al., Steroids., 68 (10-13), 1019-1032, (2003) »PubMed
  13. Lydon,JP.et al., Genes Dev., 9 (18), 2266-2278, (1995) »PubMed
  14. 清水清美, 日本産科婦人科学会雑誌, 11 (7), 871-880, (1959)
  15. 落合東朔, 日本産科婦人科学会雑誌, 22 (1), 1-9, (1970)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
あすか製薬株式会社 くすり相談室
〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号
電話:0120-848-339
FAX:03-5484-8358
製品情報問い合わせ先
あすか製薬株式会社 くすり相談室
〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号
電話:0120-848-339
FAX:03-5484-8358

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
あすか製薬株式会社
東京都港区芝浦二丁目5番1号
26.2 販売元
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/11/19 版