通常、成人には、エテルカルセチドとして1回5mgを開始用量とし、週3回、透析終了時の返血時に透析回路静脈側に注入する。
以後は、患者の副甲状腺ホルモン(PTH)及び血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1回2.5〜15mgの範囲内で適宜用量を調整し、週3回、透析終了時の返血時に投与する。
7.1 本剤は血中カルシウムの低下作用を有するので、血清カルシウム濃度が低値でないこと(目安として8.4mg/dL以上)を確認して投与を開始すること。
7.2血清カルシウム濃度は、本剤の開始時及び用量調整時は週1回測定し、維持期には2週に1回以上測定すること。血清カルシウム濃度が8.4mg/dL未満に低下した場合は、下表のように対応すること。なお、血清カルシウム濃度の検査は、本剤の薬効及び安全性を適正に判断するために投与前に実施することが望ましい。[
8.1、
9.1、
11.1.1、
11.1.3参照]
| 血清カルシウム濃度 | 対応 |
| 処置 | 検査 | 増量・再開 |
| 8.4mg/dL未満 | 原則として本剤の増量を行わず、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与、本剤の減量等の処置を考慮すること。 | 血清カルシウム濃度を週1回以上測定し、心電図検査を実施することが望ましい。 | 増量する場合には、目安として8.4mg/dL以上に回復したことを確認後、増量すること。 |
| | 7.5mg/dL未満 | 直ちに本剤の休薬を行うこと。 | 再開する場合には、目安として8.4mg/dL以上に回復したことを確認後、休薬前の用量か、それ以下の用量から再開すること。 |
低アルブミン血症(血清アルブミン濃度が4.0g/dL未満)がある場合には、補正カルシウム濃度
※を指標に用いることが望ましい。
※補正カルシウム濃度(mg/dL)=血清カルシウム濃度(mg/dL)−血清アルブミン濃度(g/dL)+4.0
7.3 増量する場合には増量幅を5mgとし、4週間以上の間隔をあけて行うこと。ただし、血清カルシウム濃度やPTHが管理目標値を下回らないように、2.5mgの増量も考慮すること。
7.4 PTHが管理目標値の範囲に維持されるように、定期的にPTHを測定すること。PTHの測定は本剤の開始時及び用量調整時(目安として投与開始から3ヵ月程度)は月2回とし、PTHがほぼ安定したことを確認した後は月1回とすることが望ましい。PTHが管理目標値を下回った場合、減量又は休薬を考慮すること。なお、PTHの測定は、本剤の薬効及び安全性を適正に判断するために投与前に実施することが望ましい。
8.1 本剤投与中は定期的に血清カルシウム濃度を測定し、低カルシウム血症が発現しないよう十分注意すること。[
9.1.1参照]低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合には、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与、本剤の減量等の処置を考慮すること。[
7.2参照]また、本剤投与中にカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を中止した際には、低カルシウム血症の発現に注意すること。[
11.1.1、
11.1.3参照]
8.2 本剤は静脈内に投与するペプチド製剤であることから、過敏症反応を発現させる可能性があるため、本剤投与終了後は患者の状態を十分に観察すること。
8.3 本剤の開始時及び用量調整時は頻回に患者の症状を観察し、副作用の発現などに注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。なお、動物実験(ラット及びウサギ)において、それぞれ4.5及び2.25mg/kg/日(臨床最大用量15mg、週3回投与での曝露量のそれぞれ約2.2及び5.9倍に相当する)を器官形成期に静脈内急速投与した結果、母動物に対する影響(血清カルシウム低下、振戦、体重及び摂餌量の減少)により胎児体重の低値が認められたが、催奇形性は認められなかった。動物実験(ラット)において、1.5及び3mg/kg/日(臨床曝露量にほぼ相当する)を着床から離乳時まで静脈内急速投与した結果、母動物に対する影響により、生産児数及びその生存率のわずかな低値や授乳期間中の出生児の一過性の体重増加抑制が認められ、妊娠期間のわずかな延長も認められた。また、動物実験(ラット)で胎盤を通過することが報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
高齢者では慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.1 低カルシウム血症、血中カルシウム減少
低カルシウム血症(1.0%)、血中カルシウム減少(14.7%)に基づくと考えられる症状(心不全の増悪、QT延長、しびれ、筋痙攣、気分不良、不整脈、血圧低下及び痙攣等)があらわれた場合には、血清カルシウム濃度を確認し、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること。[
7.2、
8.1、
9.1.1、
11.1.3参照]
11.1.2 心不全の増悪(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
| | 1〜3%未満 | 1%未満 | 頻度不明 |
| 心臓障害 | | 心房細動、右脚ブロック、心室性期外収縮、心筋梗塞、上室性期外収縮、頻脈性不整脈 | |
| 眼障害 | | 眼瞼炎 | |
| 胃腸障害 | 嘔吐、下痢 | 腹部不快感、便秘、腸炎、胃食道逆流性疾患、悪心、口内炎、心窩部不快感、痔出血、口の感覚鈍麻、軟便 | |
| 全身障害 | | 胸痛、倦怠感、突然死 | |
| 感染症 | | 単純ヘルペス | |
| 代謝及び栄養障害 | | 食欲減退 | |
| 筋骨格系及び結合組織障害 | | 側腹部痛、筋痙縮、脊椎すべり症 | 筋肉痛 |
| 神経系障害 | 味覚異常 | ジスキネジア、手根管症候群、視神経炎 | 頭痛、感覚異常 |
| 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | | 鼻出血 | |
| 皮膚及び皮下組織障害 | | 発疹、斑状皮疹、蕁麻疹 | そう痒症 |
| 血管障害 | | 大動脈解離 | 低血圧 |
| 臨床検査 | | 心電図ST部分下降、尿量減少 | 高カリウム血症、低リン酸血症 |
13.1 症状
13.2 処置
低カルシウム血症の徴候及び症状を観察し、低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。
14.1 薬剤調製時の注意
14.2 薬剤投与時の注意
本剤は透析回路静脈側に注入し、皮下、筋肉内には投与しないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外において、他のカルシウム受容体作動薬による過度のPTHの低下により、無形成骨症が生じたとの報告がある。
15.1.2 海外において、他のカルシウム受容体作動薬投与後の急激なPTHの低下により、低カルシウム血症及び低リン酸血症を伴う飢餓骨症候群(hungry bone syndrome)を発現したとの報告がある。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 第III相プラセボ対照二重盲検比較試験
血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者155例(本剤78例、プラセボ77例)を対象に、本剤又はプラセボを5mgより投与開始し、2.5〜15mgの範囲で用量調整を行い週3回12週間透析回路静脈側に注入した。その結果、投与開始85日目の血清iPTH濃度が60〜240pg/mLの範囲となった患者の割合(目標達成患者の割合)は、本剤で59.0%、プラセボで1.3%であり、本剤ではプラセボと比較し有意に高かった(p<0.0001)。
8)
| 投与群 | 目標達成患者の割合 | p値a) |
| 本剤群 | 59.0%(46/78例) | <0.0001(プラセボ群との比較) |
| プラセボ群 | 1.3%(1/77例) |
安全性評価対象となった78例中15例(19.2%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。主な副作用は低カルシウム血症関連事象6例(7.7%)であった。
17.1.2 第III相長期投与試験
血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者190例を対象に、本剤を5mgより投与開始し、2.5〜15mgの範囲で用量調整を行い週3回1年間透析回路静脈側に注入した。その結果、本剤の血清iPTH濃度低下効果は長期にわたり維持され、投与開始365日目に目標値(60〜240pg/mL)に達した患者の割合は87.5%(140/160例)であった。
9)安全性評価対象となった190例中53例(27.9%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。主な副作用は低カルシウム血症関連事象37例(19.5%)であった。
18.1 作用機序
本剤は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体を介して作用を発現する。カルシウム受容体はPTH分泌に加え、PTH生合成及び副甲状腺細胞増殖を制御している。本剤は、カルシウム受容体に作動し、主としてPTH分泌を抑制することで、血中PTH濃度を低下させる。また、反復投与では本剤の副甲状腺細胞増殖抑制作用も血中PTH濃度低下に寄与すると考えられる。
10)11)12)13)14)15)16)17)18)
18.2 薬理作用
18.2.1 PTH分泌抑制作用(in vitro)
本剤は、ラット副甲状腺細胞及び組織からのPTH分泌を濃度依存的に抑制した。
10)13)
18.2.2 副甲状腺細胞増殖抑制作用
本剤は、部分腎摘及びアデニン負荷ラットへの反復皮下投与により副甲状腺細胞増殖を抑制し、副甲状腺過形成の進展を抑制した。
14)15)16)17)
18.2.3 血中PTH及びカルシウム濃度低下効果
本剤は、部分腎摘ラットへの単回静脈内投与により血中PTH及びカルシウム濃度を投与量依存的に低下させた。
10)
18.2.4 骨障害抑制効果
二次性副甲状腺機能亢進症では、血中PTH濃度の上昇による骨障害が発症する。本剤は、部分腎摘ラットへの反復皮下投与により血中PTH濃度の上昇を抑制し、骨代謝回転を低下させることで骨強度低下を抑制した。
17)18)
18.2.5 血管石灰化抑制効果
二次性副甲状腺機能亢進症では、血中PTH濃度の上昇による血管石灰化が発症する。本剤は、部分腎摘及びアデニン負荷ラットへの反復皮下投与により血中PTH濃度の上昇を抑制し、血管石灰化の症状であるリン及びカルシウムの血管への沈着を抑制した。
15)16)
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。