医療用医薬品 : ヒアルロン酸Na

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医薬品情報


総称名 ヒアルロン酸Na
一般名 精製ヒアルロン酸ナトリウム
欧文一般名 Purified Sodium Hyaluronate
薬効分類名 角結膜上皮障害治療用点眼剤
薬効分類番号 1319
ATCコード S01KA01
KEGG DRUG
D03354 精製ヒアルロン酸ナトリウム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年5月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」 (後発品) HYALURONATE Na Ophthalmic Solution キョーリンリメディオ 1319720Q3191 92.5円/瓶
ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」 (後発品) HYALURONATE Na Ophthalmic Solution キョーリンリメディオ 1319720Y2101 104.4円/瓶

4. 効能または効果

下記疾患に伴う角結膜上皮障害
シェーグレン症候群スティーブンス・ジョンソン症候群眼球乾燥症候群ドライアイ)等の内因性疾患
○術後、薬剤性、外傷、コンタクトレンズ装用等による外因性疾患

6. 用法及び用量

1回1滴、1日5〜6回点眼し、症状により適宜増減する。
なお、通常は0.1%製剤を投与し、重症疾患等で効果不十分の場合には、0.3%製剤を投与する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には診断又は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
診断又は治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1%〜5%未満1%未満頻度不明
眼のそう痒感眼刺激、眼脂、結膜充血、眼の異物感、眼瞼炎、結膜炎びまん性表層角膜炎等の角膜障害、眼痛

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
・薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
・他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上間隔をあけてから点眼すること。
・ソフトコンタクトレンズを装用したまま使用しないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男性(6例)の片眼に1日目0.1%、2日目0.5%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液注)を1回1滴、1日5回点眼し、3日目より0.5%点眼液を1日13回注)7日間点眼した。点眼開始前、3日目、9日目(最終日)及びその翌日の血清中ヒアルロン酸濃度を測定したとき、全ての被験者における全測定時点で点眼前と同様に定量下限(10μg/mL)未満であった1)
注)本剤が承認されている濃度は0.1%及び0.3%であり、用法用量は1日5〜6回点眼で、症状により適宜増減である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験[1]
ドライアイ等に伴う角結膜上皮障害患者115例を対象に、人工涙液を少なくとも1週間点眼後、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液又はグルタチオン点眼液を1日5回、両眼に4週間点眼した結果、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液群の改善率は71.4%(40/56例)であり、グルタチオン点眼液群の31.5%(17/54例)と比較し、有意な改善が認められた。
副作用は0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液群の55例中1例(1.8%)に認められ、しみる1例のみであった2)
17.1.2 国内第III相試験[2]
ドライアイ(シェーグレン症候群を含む)に伴う中等度以上の角結膜上皮障害患者104例208眼を対象に、人工涙液を2週間1日6回点眼後、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(保存剤なし、ディスポーザブル製剤)及び基剤をそれぞれ片眼に1日6回、4週間点眼した結果、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(保存剤なし、ディスポーザブル製剤)群の改善率は51.6%(47/91眼)であり、基剤群の41.8%(38/91眼)と比較し、有意な改善が認められた。
副作用は2例に認められ、結膜浮腫及びアレルギー性結膜炎が各1例であった3)
17.1.3 国内第III相試験[3]
難治性又は重症の角結膜上皮障害患者35例を対象に、0.3%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(保存剤なし、ディスポーザブル製剤)を1日6回、4週間点眼した結果、改善率は76.7%(23/30例)であった。
副作用は35例中1例(2.9%)に認められ、かゆみ1例のみであった4)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ヒアルロン酸ナトリウムはフィブロネクチンと結合し、その作用を介して上皮細胞の接着、伸展を促進すると考えられる5)6)。また、その分子内に多数の水分子を保持することによって優れた保水性を示す7)
18.2 角膜創傷治癒促進作用
外科的に角膜上皮下の基底膜まで剥離したウサギ角膜上皮剥離モデルに対し、0.1〜0.5%ヒアルロン酸ナトリウムを点眼したとき、剥離24時間後より基剤点眼群と比較し有意な創傷面積の減少が認められた8)
18.3 角膜上皮伸展促進作用
ウサギ摘出角膜片の培養系において、ヒアルロン酸ナトリウムは対照群(培養液のみ)と比較して有意に角膜上皮細胞層の伸展を促進した9)in vitro)。
18.4 保水作用
0.1%〜1.0%ヒアルロン酸ナトリウム溶液を寒天平板に滴下したとき、水分蒸発による寒天重量の減少は濃度依存的に抑制された7)in vitro)。
18.5 生物学的同等性試験
<ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」>
18.5.1 角膜上皮のn-ヘプタノールによる損傷に対する作用(ウサギ)
n-ヘプタノールにより角膜上皮を損傷させたウサギのモデルを用いて、角膜損傷直後、2、4及び6時間後に、右眼にヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.1%、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」基剤を、左眼には対照群として生理食塩液を各々50μL点眼し、角膜上皮損傷面積を指標として比較検討した(n=10)。各群の左右眼の比較はStudentのt検定あるいはAspin-Welchのt検定を行い、右眼の群間比較はTukey型の多重比較検定を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.1%の平均損傷面積は対照群及び基剤群に比べ有意に小さく、角膜上皮損傷に対する明らかな治癒促進作用が認められ、また両製剤の損傷面積は統計学的に差がなく、生物学的な同等性が確認された10)
18.5.2 角膜上皮の外科的損傷に対する作用(ウサギ)
角膜上皮を外科的に損傷させたウサギのモデルを用いて、前項と同様の試験方法にて、角膜損傷面積を指標として比較検討した(n=10)。その結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.1%の平均損傷面積は対照群及び基剤群に比べ有意に小さく、また両製剤の損傷面積は統計学的に差がなく、両剤の角膜上皮損傷に対する治癒促進作用は生物学的に同等であることが確認された10)
18.5.3 角膜乾燥防止作用に対する作用(in vivo)(ウサギ)
ウサギの右眼にヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.1%、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」基剤を各々50μL点眼し、左眼は対照群として無処置眼とし、点眼1時間後に両眼を摘出し、角膜乾燥重量を測定して水分保有率を算出した(n=10)。各群の水分保有率の比較はTukey型の多重比較検定を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」とヒアレイン点眼液0.1%間の平均水分保有率に有意差は認められず、生物学的な同等性が確認された10)
18.5.4 角膜乾燥防止作用に対する作用(in vitro
寒天培地にヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.1%、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」基剤を各々50μLを添加し、添加0.2、0.5、1、2、3、4時間後の寒天培地重量を測定し乾燥防止作用を比較検討した(n=10)。各群間の比較はTukey型の多重比較検定を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.1%の相対重量は添加0.5時間以降4時間まで無処置対照群を有意に上回っており、添加後1及び2時間でも基剤群に対しても有意差があり、寒天乾燥防止作用が認められ、また両製剤間の相対重量に統計的な差はなく、生物学的に同等な角膜乾燥防止作用が確認された10)
<ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」>
18.5.5 n-ヘプタノール損傷による実験的角膜上皮障害モデルに対する治療効果(ウサギ)
n-ヘプタノールにより角膜上皮を損傷させたウサギのモデルに対して、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.3%、生理食塩液(対照群)を点眼し、角膜上皮損傷面積を指標として比較検討した(n=10)。各観察時点での角膜損傷面積率(%)及び角膜損傷面積率−時間曲線下面積に関して、Tukey型多重比較検定により各投与群間の比較を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.3%投与群ともに対照群との間に有意な差が認められ、また、両製剤群間では有意な差が認められず、両製剤は同等の治療効果を有すると考えられ、生物学的同等性が確認された10)
18.5.6 外科的剥離による実験的角膜上皮障害モデルに対する治療効果(ウサギ)
角膜上皮を外科的に剥離させたウサギのモデルに対して、前項と同様の試験方法にて、角膜上皮損傷面積を指標として比較検討した(n=10)。各観察時点での角膜損傷面積率(%)及び角膜損傷面積率−時間曲線下面積に関して、Tukey型多重比較検定により各投与群間の比較を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.3%投与群ともに対照群との間に有意な差が認められ、また、両製剤群間では有意な差が認められず、両製剤は同等の治療効果を有すると考えられ、生物学的同等性が確認された10)
18.5.7 ドライアイモデルに対する角膜乾燥防止効果(ウサギ)
ウサギのドライアイモデルに対して、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.3%、生理食塩液(対照群)を点眼し、点眼3時間後眼球摘出し、角膜上皮障害部位をメチレンブルーで染色し、角膜からの抽出液中の色素吸光度を指標として角膜乾燥防止効果を比較検討した(n=10)。各群から得られた抽出液の吸光度についてTukey型多重比較検定により各投与群間の比較を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.3%投与群ともに対照群との間に有意な差が認められ、また、両製剤群間では有意な差が認められなかったことから、生物学的同等性が確認された10)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. 精製ヒアルロン酸ナトリウム

一般的名称 精製ヒアルロン酸ナトリウム
一般的名称(欧名) Purified Sodium Hyaluronate
分子式 (C14H20NNaO11)n
分子量 平均分子量50万〜149万
物理化学的性状 白色の粉末、粒又は繊維状の塊である。
水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
吸湿性である。
KEGG DRUG D03354

22. 包装

<ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」>
プラスチック点眼容器
5mL×10本
<ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」>
プラスチック点眼容器
5mL×10本

23. 主要文献

  1. 第十八改正日本薬局方解説書, C4223-C4226, (2021), (廣川書店)
  2. 北野周作他, 日本眼科紀要, 44, 487-497, (1993)
  3. 榛村重人他, あたらしい眼科, 10, 611-616, (1993)
  4. 北野周作他, あたらしい眼科, 10, 603-610, (1993)
  5. Nakamura,M.et al., J.Cellular Physiol., 159, 415-422, (1994) »PubMed
  6. Nakamura,M.et al., Current Eye Res., 13, 385-388, (1994) »PubMed
  7. Nakamura,M.et al., Cornea., 12, 433-436, (1993) »PubMed
  8. 中村雅胤他, 日本眼科紀要, 46, 1256-1260, (1995)
  9. Nakamura,M.et al., Current Eye Res., 11, 981-986, (1992) »PubMed
  10. キョーリンリメディオ株式会社社内資料:ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」・0.3%「杏林」の生物学的同等性試験に関する資料

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
キョーリンリメディオ株式会社 学術部
〒920-0017 金沢市諸江町下丁287番地1
電話:0120-960189
FAX:0120-189099
製品情報問い合わせ先
キョーリンリメディオ株式会社 学術部
〒920-0017 金沢市諸江町下丁287番地1
電話:0120-960189
FAX:0120-189099

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
キョーリンリメディオ株式会社
富山県南砺市井波885番地
26.2 販売元
杏林製薬株式会社
東京都千代田区大手町一丁目3番7号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版