18.5.1 角膜上皮のn-ヘプタノールによる損傷に対する作用(ウサギ)
n-ヘプタノールにより角膜上皮を損傷させたウサギのモデルを用いて、角膜損傷直後、2、4及び6時間後に、右眼にヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.1%、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」基剤を、左眼には対照群として生理食塩液を各々50μL点眼し、角膜上皮損傷面積を指標として比較検討した(n=10)。各群の左右眼の比較はStudentのt検定あるいはAspin-Welchのt検定を行い、右眼の群間比較はTukey型の多重比較検定を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.1%の平均損傷面積は対照群及び基剤群に比べ有意に小さく、角膜上皮損傷に対する明らかな治癒促進作用が認められ、また両製剤の損傷面積は統計学的に差がなく、生物学的な同等性が確認された
10)。
18.5.2 角膜上皮の外科的損傷に対する作用(ウサギ)
角膜上皮を外科的に損傷させたウサギのモデルを用いて、前項と同様の試験方法にて、角膜損傷面積を指標として比較検討した(n=10)。その結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.1%の平均損傷面積は対照群及び基剤群に比べ有意に小さく、また両製剤の損傷面積は統計学的に差がなく、両剤の角膜上皮損傷に対する治癒促進作用は生物学的に同等であることが確認された
10)。
18.5.3 角膜乾燥防止作用に対する作用(in vivo)(ウサギ)
ウサギの右眼にヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.1%、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」基剤を各々50μL点眼し、左眼は対照群として無処置眼とし、点眼1時間後に両眼を摘出し、角膜乾燥重量を測定して水分保有率を算出した(n=10)。各群の水分保有率の比較はTukey型の多重比較検定を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」とヒアレイン点眼液0.1%間の平均水分保有率に有意差は認められず、生物学的な同等性が確認された
10)。
18.5.4 角膜乾燥防止作用に対する作用(in vitro)
寒天培地にヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.1%、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」基剤を各々50μLを添加し、添加0.2、0.5、1、2、3、4時間後の寒天培地重量を測定し乾燥防止作用を比較検討した(n=10)。各群間の比較はTukey型の多重比較検定を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.1%の相対重量は添加0.5時間以降4時間まで無処置対照群を有意に上回っており、添加後1及び2時間でも基剤群に対しても有意差があり、寒天乾燥防止作用が認められ、また両製剤間の相対重量に統計的な差はなく、生物学的に同等な角膜乾燥防止作用が確認された
10)。
18.5.5 n-ヘプタノール損傷による実験的角膜上皮障害モデルに対する治療効果(ウサギ)
n-ヘプタノールにより角膜上皮を損傷させたウサギのモデルに対して、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.3%、生理食塩液(対照群)を点眼し、角膜上皮損傷面積を指標として比較検討した(n=10)。各観察時点での角膜損傷面積率(%)及び角膜損傷面積率−時間曲線下面積に関して、Tukey型多重比較検定により各投与群間の比較を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.3%投与群ともに対照群との間に有意な差が認められ、また、両製剤群間では有意な差が認められず、両製剤は同等の治療効果を有すると考えられ、生物学的同等性が確認された
10)。
18.5.6 外科的剥離による実験的角膜上皮障害モデルに対する治療効果(ウサギ)
角膜上皮を外科的に剥離させたウサギのモデルに対して、前項と同様の試験方法にて、角膜上皮損傷面積を指標として比較検討した(n=10)。各観察時点での角膜損傷面積率(%)及び角膜損傷面積率−時間曲線下面積に関して、Tukey型多重比較検定により各投与群間の比較を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.3%投与群ともに対照群との間に有意な差が認められ、また、両製剤群間では有意な差が認められず、両製剤は同等の治療効果を有すると考えられ、生物学的同等性が確認された
10)。
18.5.7 ドライアイモデルに対する角膜乾燥防止効果(ウサギ)
ウサギのドライアイモデルに対して、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」、ヒアレイン点眼液0.3%、生理食塩液(対照群)を点眼し、点眼3時間後眼球摘出し、角膜上皮障害部位をメチレンブルーで染色し、角膜からの抽出液中の色素吸光度を指標として角膜乾燥防止効果を比較検討した(n=10)。各群から得られた抽出液の吸光度についてTukey型多重比較検定により各投与群間の比較を行った結果、ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「杏林」及びヒアレイン点眼液0.3%投与群ともに対照群との間に有意な差が認められ、また、両製剤群間では有意な差が認められなかったことから、生物学的同等性が確認された
10)。