2.1 脳梗塞、心筋梗塞、血栓静脈炎等の血栓性疾患又はその既往歴のある患者[症状が悪化するおそれがある。][
11.1.1参照]
2.2 重篤な肝障害・肝疾患のある患者[
9.3.1参照]
2.3 診断未確定の性器出血、尿路出血のある患者[病因を見のがすおそれがある。]
2.4 稽留流産の患者[妊娠維持作用により子宮内で死亡している胎児の排泄が困難になるおそれがある。]
2.5 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
無月経、月経周期異常(稀発月経、多発月経)又は生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、月経量異常(過少月経、過多月経)、機能性子宮出血、黄体機能不全による不妊症、切迫流早産、習慣性流早産、調節卵巣刺激下における早発排卵の防止
<切迫流早産、習慣性流早産>
5.1 本剤を妊娠維持の目的で投与する場合は、黄体機能不全によると考えられる流早産にとどめること。また、妊娠状態が継続しているか否か確かめること。
<生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整>
5.2 妊娠率や生産率の報告を踏まえると、本剤を含む黄体ホルモン剤と卵胞ホルモン剤の併用で調節卵巣刺激の開始時期の調整を行った場合は、開始時期の調整を行わない場合と比べて、妊娠率や生産率が低下する可能性があるので、このことを患者に説明した上で、本剤の投与の要否は、患者ごとに治療上の必要性を考慮して慎重に判断すること。[
15.1.2参照]
<調節卵巣刺激下における早発排卵の防止>
5.3 新鮮胚移植を予定していない場合のみに用いること。
<無月経、月経周期異常(稀発月経、多発月経)又は生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、月経量異常(過少月経、過多月経)、機能性子宮出血、黄体機能不全による不妊症、切迫流早産、習慣性流早産>
メドロキシプロゲステロン酢酸エステルとして、通常成人1日2.5〜15mgを1〜3回に分割経口投与する。
<調節卵巣刺激下における早発排卵の防止>
メドロキシプロゲステロン酢酸エステルとして、通常、月経周期2〜5日目より1日10mgを1又は2回に分割経口投与する。患者の状態により1日5mgまで減量できる。
<生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、黄体機能不全による不妊症、調節卵巣刺激下における早発排卵の防止>
本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心疾患のある患者又はその既往歴のある患者
ナトリウム又は体液の貯留作用により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 うつ病又はその既往歴のある患者
9.1.3 てんかん又はその既往歴のある患者
副腎皮質ホルモン様作用により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.4 片頭痛、喘息、慢性の肺機能障害又はその既往歴のある患者
9.1.5 糖尿病の患者
9.1.6 ポルフィリン症の患者
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎疾患のある患者又はその既往歴のある患者
ナトリウム又は体液の貯留作用により、症状が悪化するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害・肝疾患のある患者
投与しないこと。症状が悪化するおそれがある。[
2.2参照]
9.4 生殖能を有する者
<無月経、月経周期異常(稀発月経、多発月経)、月経量異常(過少月経、過多月経)、機能性子宮出血、黄体機能不全による不妊症>
問診、内診、基礎体温の測定、免疫学的妊娠診断等により、妊娠していないことを十分確認すること。
9.5 妊婦
9.5.1 大量又は長期投与を避けること。妊娠初期・中期に投与した場合、女子胎児の外性器の男性化又は男子胎児の女性化が起こることがある。
9.5.2 黄体ホルモン剤の使用と先天異常児出産との因果関係はいまだ確立されたものではないが、心臓・四肢等の先天異常児を出産した母親では、対照群に比して妊娠初期に黄体又は黄体・卵胞ホルモン剤を使用していた率に有意差があるとする疫学調査の結果が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。
9.7 小児等
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血栓症(頻度不明)
脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、腸間膜塞栓症、網膜血栓症、血栓性静脈炎等があらわれることがある。[
2.1参照]
11.1.2 うっ血性心不全(頻度不明)
11.1.3 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、じん麻疹等のアナフィラキシーを伴うことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
11.1.4 乳頭水腫(頻度不明)
視力の低下又は消失、眼球突出、複視、片頭痛が急にあらわれた場合には投与を一時中断し、眼科的検査を実施すること。その結果、乳頭水腫であると診断された場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 |
過敏症 | 発疹 |
肝臓 | 肝機能の異常、黄疸 |
電解質代謝 | 浮腫、体重増加 |
消化器 | 食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満、下痢 |
精神神経系 | めまい、頭痛、眠気、神経過敏、不眠、抑うつ |
内分泌 | 乳房痛、月経異常、子宮出血、乳汁漏出、満月様顔貌、無月経、子宮腟部糜爛、帯下の変化 |
糖代謝 | 耐糖能異常 |
全身症状 | 倦怠感、発熱、悪寒 |
皮膚・粘膜 | 脱毛、多毛、ざ瘡、そう痒感、じん麻疹 |
本剤の投与により、下記の検査値が低値を示す可能性がある。
・血清又は尿中ステロイドホルモン(コルチゾール、エストロゲン、プロゲステロン等)
・血清又は尿中ゴナドトロピン(黄体形成ホルモン等)
・性ホルモン結合グロブリン
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 経口製剤での臨床試験成績はないが、外国において、本剤有効成分を含有する筋注製剤の長期投与で骨密度の減少が認められたとの報告がある。
15.1.2 調節卵巣刺激の前周期に低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤を投与した場合の生産率及び継続妊娠率は、投与しなかった場合と比較して低かったとの報告がある。
1)[
5.2参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
ビーグル犬に投与すると乳房に小結節が生じ、そのうちいくつかは悪性であったという報告及びサルに投与すると子宮内膜癌を生じたという報告がある。