医療用医薬品 : イルベサルタン

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医薬品情報


総称名 イルベサルタン
一般名 イルベサルタン
欧文一般名 Irbesartan
製剤名 イルベサルタン口腔内崩壊錠
薬効分類名 長時間作用型ARB
薬効分類番号 2149
ATCコード C09CA04
KEGG DRUG
D00523 イルベサルタン
KEGG DGROUP
DG01495 アンジオテンシンII受容体拮抗薬
DG03231 血圧降下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年5月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
イルベサルタンOD錠50mg「トーワ」 (後発品) IRBESARTAN OD TABLETS 50mg"TOWA" 東和薬品 2149046F4022 10.4円/錠 処方箋医薬品注)
イルベサルタンOD錠100mg「トーワ」 (後発品) IRBESARTAN OD TABLETS 100mg"TOWA" 東和薬品 2149046F5029 17.3円/錠 処方箋医薬品注)
イルベサルタンOD錠200mg「トーワ」 (後発品) IRBESARTAN OD TABLETS 200mg"TOWA" 東和薬品 2149046F6025 26.2円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
2.3 アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[10.1参照]

4. 効能または効果

高血圧症

6. 用法及び用量

通常、成人にはイルベサルタンとして50〜100mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は200mgまでとする。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤を含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中に重篤な肝機能障害があらわれたとの報告がある。肝機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[11.1.5参照]
8.2 降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.3 手術前24時間は投与しないことが望ましい。アンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中の患者は、麻酔及び手術中にレニン−アンジオテンシン系の抑制作用による高度な血圧低下を起こす可能性がある。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
9.1.2 高カリウム血症の患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。高カリウム血症を増悪させるおそれがある。
また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。
9.1.3 脳血管障害のある患者
過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。
9.1.4 厳重な減塩療法中の患者
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。[11.1.3参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
過度の降圧により腎機能を悪化させるおそれがある。
9.2.2 血液透析中の患者
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。[11.1.3参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害のある患者、特に胆汁性肝硬変及び胆汁うっ滞のある患者
本剤は主に胆汁中に排泄されるため、血中濃度が上昇するおそれがある。[16.5参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性
妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている1)2)
本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。[9.5参照]
(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。
・妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。
・妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。
・妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期にアンジオテンシンII受容体拮抗剤又はアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。[2.29.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物試験(ラット)において乳汁中への移行が認められている。また、動物試験(ラット出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験)の50mg/kg/日以上で哺育期間において出生児の体重増加抑制が認められている。
9.8 高齢者
低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
アリスキレンフマル酸塩
ラジレス
(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)
2.3参照]
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。レニン−アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
10.2 併用注意
カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン、トリアムテレン等
カリウム補給剤
塩化カリウム
血清カリウム値が上昇することがある。機序:本剤のアルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。
危険因子:腎機能障害のある患者
利尿降圧剤
フロセミド、トリクロルメチアジド等
11.1.3参照]
一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、利尿降圧剤を投与中の患者に本剤を投与する場合は、低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。利尿降圧剤で治療を受けている患者では、体液量の減少によりレニン活性が亢進しており、降圧作用が増強するおそれがある。
アリスキレンフマル酸塩腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。
なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
レニン−アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤
エナラプリル、イミダプリル等
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。レニン−アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
ロキソプロフェン、インドメタシン等
本剤の降圧作用が減弱するおそれがある。血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成阻害により、本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
ロキソプロフェン、インドメタシン等
腎機能が低下している患者では、更に腎機能が悪化するおそれがある。プロスタグランジンの合成阻害により、腎血流量が低下するためと考えられる。
リチウム
炭酸リチウム
リチウム中毒が報告されている。リチウムの再吸収はナトリウムと競合するため、本剤のナトリウム排泄作用により、リチウムの再吸収が促進されると考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血管浮腫(頻度不明)
顔面、口唇、咽頭、舌等の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがある。
11.1.2 高カリウム血症(頻度不明)
11.1.3 ショック、失神、意識消失(頻度不明)
冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。[9.1.49.2.210.2参照]
11.1.4 腎不全(頻度不明)
11.1.5 肝機能障害、黄疸(0.1〜1%未満)
AST、ALT、ALP、γ-GTPの上昇等の肝機能障害があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.6 低血糖(頻度不明)
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。
11.1.7 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
過敏症発疹、じん麻疹、そう痒 
循環器動悸、血圧低下、起立性低血圧、徐脈、心室性期外収縮、心房細動頻脈
精神神経系めまい、頭痛、もうろう感、眠気、不眠、しびれ感 
消化器悪心、嘔吐、便秘、下痢、胸やけ、胃不快感、腹痛 
肝臓ALT上昇、AST上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇、ALP上昇、γ-GTP上昇 
腎臓BUN上昇、クレアチニン上昇、尿中蛋白陽性、尿沈渣異常 
血液赤血球減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、白血球減少、好酸球増加、白血球増加 
その他咳嗽、胸痛、倦怠感、ほてり、浮腫、霧視、頻尿、味覚異常、発熱、関節痛、筋痛、背部痛、筋力低下、CK上昇、血清カリウム上昇、尿酸上昇、コレステロール上昇、総蛋白減少、CRP上昇性機能異常、耳鳴

13. 過量投与

13.1 処置
本剤は血液透析では除去できない。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
14.1.3 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性18例にイルベサルタン50、100及び200mgをクロスオーバー法により空腹時単回経口投与したとき、血漿中には主として活性を有する未変化体で存在した。その薬物動態パラメータを表1に示す。3)
表1 薬物動態パラメータ
投与量(mg)nCmax(ng/mL)Tmax(hr)AUC(ng・hr/mL)T1/2(hr)
50181084±3751.4±0.73821±120810.1±5.9
100181758±4831.6±0.96848±197413.6±15.4
200182098±4552.0±1.311742±354915.2±18.6
16.1.2 反復投与
健康成人男性6例にイルベサルタン50、100mgを1日1回7日間食後に反復経口投与したとき、血漿中濃度は投与開始後約3〜4日で定常状態に達し、両投与量とも蓄積性はみられなかった。4)5)
また、高齢者を含む本態性高血圧症患者14例にイルベサルタン100、200mgを1日1回8日間食後に反復経口投与したとき、Cmax及びAUCに投与1日目と投与8日目との間で有意な差はなく、両投与量とも蓄積性はみられなかった。6)
16.1.3 生物学的同等性試験
<イルベサルタンOD錠100mg「トーワ」>
イルベサルタンOD錠100mg「トーワ」とアバプロ錠100mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(イルべサルタンとして100mg)健康成人男子に絶食単回経口投与(水なしで服用及び水で服用)して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。7)
(1)水なしで服用(アバプロ錠100mgは水で服用)
図1 血漿中濃度推移
表2 薬物動態パラメータ
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
イルベサルタンOD錠100mg「トーワ」6766±19811987±5801.33±0.4316.02±13.60
アバプロ錠100mg6914±21351721±5501.63±0.8112.31±6.63
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
(2)水で服用
図2 血漿中濃度推移
表3 薬物動態パラメータ
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
イルベサルタンOD錠100mg「トーワ」7642±25651797±5151.69±0.8211.34±14.51
アバプロ錠100mg7128±15841813±4931.54±0.949.52±4.36
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
<イルベサルタンOD錠200mg「トーワ」>
イルベサルタンOD錠200mg「トーワ」とアバプロ錠200mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(イルべサルタンとして200mg)健康成人男子に絶食単回経口投与(水なしで服用及び水で服用)して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。8)
(1)水なしで服用(アバプロ錠200mgは水で服用)
図3 血漿中濃度推移
表4 薬物動態パラメータ
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
イルベサルタンOD錠200mg「トーワ」10972±37522499±8631.52±0.8711.56±6.45
アバプロ錠200mg11136±45442319±8701.44±0.749.83±4.61
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
(2)水で服用
図4 血漿中濃度推移
表5 薬物動態パラメータ
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
イルベサルタンOD錠200mg「トーワ」12396±37582644±9291.71±0.9710.23±4.53
アバプロ錠200mg12049±44062425±7101.29±0.7110.94±7.16
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合率
ヒト血清蛋白結合率は約97%であった(in vitro)。9)
16.4 代謝
イルベサルタンは、主としてCYP2C9による酸化的代謝とグルクロン酸抱合により代謝される。ヒト肝ミクロソームを用いて、CYP活性に対するイルベサルタンの阻害作用について検討した結果、CYP1A2、CYP2D6及びCYP2E1に対しては阻害せず、CYP2A6、CYP2C8、CYP2C9及びCYP3A4に対して阻害作用が認められたものの、いずれも阻害の程度は弱かった(in vitro)。10)11)12)
16.5 排泄
健康成人において未変化体尿中排泄率は約0.3〜1.3%であった。4)5)
健康成人に14C-標識イルベサルタンを経口投与した場合、放射能の約20%は尿中に排泄され、約54%は糞中に排泄された(外国人データ)。13)9.3.1参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
軽・中等度(9例)、高度(10例)の腎機能障害患者にイルベサルタン100mgを1日1回8日間反復経口投与したとき、腎機能正常者と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。血液透析中の患者を含め、腎機能障害患者に投与した場合にも蓄積傾向はほとんどないことが示唆された(外国人データ)。14)
16.6.2 肝機能障害患者
軽・中等度の肝硬変患者10例に、イルベサルタン300mg注)を空腹時1日1回7日間反復経口投与したとき、健康成人と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。また蓄積傾向がほとんどないことも示唆された(外国人データ)。15)
16.6.3 高齢者
高齢者(65〜80歳、男性10例、女性10例)と若年者(18〜35歳、男性10例)にイルベサルタン25mg注)を1日1回反復経口投与したとき、Cmaxに有意な差はみられなかったが、AUCは若年者に比べて約50〜70%上昇することが示された(外国人データ)。16)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ワルファリン
ワルファリン(CYP2C9の基質)と併用したとき、ワルファリンの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。17)18)
16.8 その他
<イルベサルタンOD錠50mg「トーワ」>
イルベサルタンOD錠50mg「トーワ」は、イルベサルタンOD錠100mg「トーワ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた。19)
注)本剤の承認された1日通常用量は50〜100mg、1日最大用量は200mgである。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
承認時における二重盲検比較試験を含む臨床試験での有効性評価対象例は871例であり、有効率は69.0%(601例)であった。20)
表1 臨床効果
疾患名「下降」の症例数/有効性評価対象例数有効率(%)
本態性高血圧症(軽・中等症)563/82268.5
重症高血圧症18/2281.8
腎障害を伴う高血圧症17/2373.9
腎実質性高血圧症3/4
合計601/87169.0
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 国内製造販売後臨床試験
本態性高血圧症(軽・中等症)患者165例にイルベサルタン50〜200mgを1日1回1年間経口投与したとき、収縮期血圧/拡張期血圧(投与開始前の平均値164.2/98.5mmHg)は投与開始4週後より有意に下降し、安定した降圧作用が維持された。投与終了後の収縮期血圧/拡張期血圧の変化量の平均は−28.5/−14.3mmHgであった。
安全性評価対象例166例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は18例(10.8%)に認められた。主なものは心室性期外収縮、CK上昇、ALP上昇が各2例(1.2%)であった。21)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
In vitro試験においてウサギ摘出大動脈のアンジオテンシンII(AII)誘発収縮を特異的に抑制し、in vivo試験(ラット、イヌ、サル)においてもAII誘発昇圧反応に対して抑制作用を示した。In vitro結合試験から、その抑制作用はAII受容体に対する競合的拮抗に基づくものであり、更にAIIタイプ1受容体(AT1受容体)選択的であることが示唆された。その他の受容体には親和性を示さず、アンジオテンシン変換酵素も阻害しなかった。22)23)24)25)26)27)
18.2 降圧作用
高レニン正常血圧サル、2腎性1クリップ型高血圧ラット、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)において経口投与により用量依存的かつ持続的な降圧作用を示した。イルベサルタンは心拍数に影響を及ぼさなかった。28)29)30)
18.3 高血圧性臓器障害抑制作用
高血圧進展過程の高血圧自然発症ラット(SHR)への反復経口投与により高血圧の進展を抑制した。その作用はイルベサルタン投与中止後も持続しリバウンド現象は認められなかった。
更に、SHRに反復経口投与することにより高血圧の進展に伴う心肥大、並びに左心室及び大動脈の肥厚は抑制された。また、食塩負荷により高血圧性臓器障害と高い死亡率を呈するSHRSPでは、反復経口投与により、脳卒中発症、高血圧性臓器障害及び死亡の著明な抑制が認められた。脳卒中発症後のSHRSPでは、反復経口投与により死亡が抑制され、脳卒中症状も投与直後より著明に改善された。30)31)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. イルベサルタン

一般的名称 イルベサルタン
一般的名称(欧名) Irbesartan
化学名 2-Butyl-3-{[2'-(1H-tetrazol-5-yl)biphenyl-4-yl]methyl}-1,3-diazaspiro[4.4]non-1-en-4-one
分子式 C25H28N6O
分子量 428.53
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。結晶多形が認められる。
KEGG DRUG D00523

20. 取扱い上の注意

開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

<イルベサルタンOD錠50mg「トーワ」>
100錠[10錠×10:PTP]
140錠[14錠×10:PTP]
300錠[バラ、乾燥剤入り]
<イルベサルタンOD錠100mg「トーワ」>
100錠[10錠×10:PTP]
500錠[10錠×50:PTP]
140錠[14錠×10:PTP]
300錠[バラ、乾燥剤入り]
<イルベサルタンOD錠200mg「トーワ」>
100錠[10錠×10:PTP]

23. 主要文献

  1. 阿部真也ほか, 周産期医学, 47, 1353-1355, (2017)
  2. 齊藤大祐ほか, 鹿児島産科婦人科学会雑誌, 29, 49-54, (2021)
  3. 健康成人男性における単回投与試験(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.2.2、2.7.6.3)
  4. 健康成人での反復投与試験(50mg)(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6.3)
  5. 健康成人での反復投与試験(100mg)(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6.3)
  6. 本態性高血圧症患者における薬物動態試験(アバプロ錠:2018年3月29日、再審査報告書)
  7. 社内資料:生物学的同等性試験(OD錠100mg)
  8. 社内資料:生物学的同等性試験(OD錠200mg)
  9. 蛋白結合率(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.2.2)
  10. ヒト肝ミクロソームを用いた酸化代謝におけるCYP2C9の関与(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.5.10)
  11. グルクロン酸抱合の種差(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.5.10)
  12. ヒト肝ミクロソームを用いたCYP阻害の検討(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.5.12)
  13. バイオアベイラビリティ試験(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6.1)
  14. 腎機能障害患者における薬物動態試験(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6.3)
  15. 肝硬変患者における薬物動態試験(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6.3)
  16. 高齢者における薬物動態試験(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6.3)
  17. ワルファリンとの薬物相互作用試験(1)(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6.3)
  18. ワルファリンとの薬物相互作用試験(2)(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.6.3)
  19. 社内資料:生物学的同等性試験(OD錠50mg)
  20. 国内臨床試験(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.7.3.1、2.7.3.3)
  21. 吉永馨ほか, 血圧, 18, 1108-1116, (2011)
  22. ウサギ摘出大動脈における作用(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  23. AII誘発昇圧反応に対する作用(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  24. AII受容体に対する拮抗様式の検討(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  25. AII受容体サブタイプに対する選択性(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  26. 各種受容体及びイオン輸送系に対する作用(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.3)
  27. 各種酵素に対する作用(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.3)
  28. 高レニン正常血圧サルにおける作用(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  29. 2腎性1クリップ型高血圧ラットにおける作用(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  30. 脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットにおける作用(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2)
  31. 高血圧自然発症ラットにおける作用(アバプロ錠:2008年4月16日承認、申請資料概要2.6.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379
製品情報問い合わせ先
東和薬品株式会社 学術部DIセンター
〒570-0081 大阪府守口市日吉町2丁目5番15号
電話:0120-108-932
FAX:06-7177-7379

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
東和薬品株式会社
大阪府門真市新橋町2番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版