クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の体内薬物動態は、その成分及び代謝産物がすべて生体常在物質であることをふまえて解析された。
16.1.1 単回投与
健常成人にクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤を単回経口投与した時、血中クエン酸動態は下表のとおりであった
1)2)。血中ナトリウム、カリウム、重炭酸濃度は、投与後一過性に用量依存的な増加傾向を示した
1)。
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の単回経口投与時の血中クエン酸動態
| 投与量 | Cmax(μg/mL) | Tmax(hr) | t1/2(hr) |
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散 (n=5) | 1(g) | 22.6 | 0.5 | − |
3(g) | 31.8 | 0.5 | 2.6 |
6(g) | 40.0 | 0.5 | 2.2 |
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合錠 (n=24) | 12(錠) | 52.3 | 0.9 | 1.2 |
16.1.2 反復投与
健常成人5名にクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散1日3g(分3)、4g(分4)、9g(分3)を5日間連続経口投与した時、血中クエン酸濃度は用量依存的に増加したが、血中ナトリウム、カリウム、重炭酸濃度に大きな変動はなかった
3)。
ラットに[1,5-
14C]クエン酸を含有するクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散を250mg/kg単回経口投与したところ、放射能は速やかに血中に出現し、全身に分布した
4)。
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の成分であるクエン酸塩は生体常在物質であり、細胞内に存在するTCA回路などで通常の代謝を受け、代謝産物として重炭酸塩を産生すると考えられる
5)。
16.5.1 健常成人5名にクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散1g、3g、6gを単回経口投与した時、尿中重炭酸濃度は用量依存的な増加傾向を示した。投与後24時間までの尿中排泄増加量(コントロール群との差)を指標に尿中総排泄量を評価すると、クエン酸は投与量の約1%であり、ナトリウムとカリウムは投与量にほぼ一致する量であった
1)。
健常成人5名にクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散1日3g(分3)、4g(分4)、9g(分3)を5日間連続経口投与した時、尿中重炭酸濃度は用量依存的な増加を示した。尿中ナトリウム、カリウムに大きな変動はなかった
3)。
16.5.2 ラットに[1,5-
14C]クエン酸を含有するクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散を250mg/kg単回経口投与したところ、投与後1週間までに投与量の86.7%がCO
2として呼気中に排泄された。その他7.0%が尿中へ、1.8%が糞中へ排泄され、2.6%が体内に残存していた
4)。尿中にはクエン酸及び代謝産物の尿素とα-ケトグルタル酸が検出された
5)。