医療用医薬品 : クエンメット

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医薬品情報


総称名 クエンメット
一般名 クエン酸カリウム
クエン酸ナトリウム水和物
欧文一般名 Potassium Citrate
Sodium Citrate Hydrate
製剤名 クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤
薬効分類名 アルカリ化療法剤−酸性尿・アシドーシス改善−
薬効分類番号 3949
KEGG DRUG
D05624 クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
クエンメット配合散 (後発品) QUENMET Combination Powder 日本薬品工業 3949101A1190 9.7円/g 処方箋医薬品注)
クエンメット配合錠 (後発品) QUENMET Combination Tablets 日本薬品工業 3949101F1120 6.1円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 ヘキサミンを投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善
○アシドーシスの改善

6. 用法及び用量

効能又は効果用法及び用量
クエンメット配合散
痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善通常成人1回1gを1日3回経口投与するが、尿検査でpH6.2から6.8の範囲に入るよう投与量を調整する。
アシドーシスの改善原則として成人1日量6gを3〜4回に分けて経口投与するが、年齢、体重、血液ガス分析結果などから患者の状況に応じ適宜増減する。
効能又は効果用法及び用量
クエンメット配合錠
痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善通常成人1回2錠を1日3回経口投与するが、尿検査でpH6.2から6.8の範囲に入るよう投与量を調整する。
アシドーシスの改善原則として成人1日量12錠を3〜4回に分けて経口投与するが、年齢、体重、血液ガス分析結果などから患者の状況に応じ適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の投与に際しては、患者の血清電解質の変化に注意すること。特に、腎機能障害のある患者に投与する場合や、長期間投与する場合には、血中のカリウム値、腎機能等を定期的に検査すること。[9.211.1.1参照]
8.2 リン酸カルシウムは、アルカリ側で不溶性となることが知られているので、結石防止のため過度の尿アルカリ化は避けるべきである。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 尿路感染症の患者
感染を助長するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
カリウムの排泄低下により、高カリウム血症があらわれやすい。[8.111.1.1参照]
9.3 肝機能障害患者
肝疾患・肝機能障害の症状を悪化させるおそれがある。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
ヘキサミン
(ヘキサミン静注液)
2.1参照]
ヘキサミンの効果を減弱することがあるので併用は避けること。ヘキサミンは酸性尿下で効果を発現するので、尿pHの上昇により効果が減弱することがある。
10.2 併用注意
水酸化アルミニウムゲル他のクエン酸製剤との併用でアルミニウムの吸収が促進されたとの報告があるので、併用する場合には2時間以上投与間隔を置くこと。クエン酸がアルミニウムとキレート化合物を形成し、アルミニウムの吸収を促進させるとの報告がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 高カリウム血症(0.54%)
高カリウム血症に伴い、徐脈、全身倦怠感、脱力感等があらわれることがある。[8.19.2参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%〜2%未満頻度不明
肝臓AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇LDH上昇
腎臓 血中クレアチニン上昇、BUN上昇
消化器胃不快感、下痢、悪心、胸やけ、嘔吐、食欲不振嘔気、口内炎、腹部膨満感、胃痛、舌炎
皮膚発疹そう痒感
泌尿器排尿障害注) 
その他頻脈、残尿感、眠気貧血、全身倦怠感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
<散剤>
14.1.1 服用しにくい場合は、水などに溶かして服用すること。本剤は、塩味が強く服用しにくいことがある。また、痛風・高尿酸血症の患者においては、尿量の増加をはかることが望ましいとされている。
<錠剤>
14.1.2 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の体内薬物動態は、その成分及び代謝産物がすべて生体常在物質であることをふまえて解析された。
16.1.1 単回投与
健常成人にクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤を単回経口投与した時、血中クエン酸動態は下表のとおりであった1)2)。血中ナトリウム、カリウム、重炭酸濃度は、投与後一過性に用量依存的な増加傾向を示した1)
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の単回経口投与時の血中クエン酸動態
 投与量Cmax(μg/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散
(n=5)
1(g)22.60.5
3(g)31.80.52.6
6(g)40.00.52.2
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合錠
(n=24)
12(錠)52.30.91.2
16.1.2 反復投与
健常成人5名にクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散1日3g(分3)、4g(分4)、9g(分3)を5日間連続経口投与した時、血中クエン酸濃度は用量依存的に増加したが、血中ナトリウム、カリウム、重炭酸濃度に大きな変動はなかった3)
16.3 分布
ラットに[1,5-14C]クエン酸を含有するクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散を250mg/kg単回経口投与したところ、放射能は速やかに血中に出現し、全身に分布した4)
16.4 代謝
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の成分であるクエン酸塩は生体常在物質であり、細胞内に存在するTCA回路などで通常の代謝を受け、代謝産物として重炭酸塩を産生すると考えられる5)
16.5 排泄
16.5.1 健常成人5名にクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散1g、3g、6gを単回経口投与した時、尿中重炭酸濃度は用量依存的な増加傾向を示した。投与後24時間までの尿中排泄増加量(コントロール群との差)を指標に尿中総排泄量を評価すると、クエン酸は投与量の約1%であり、ナトリウムとカリウムは投与量にほぼ一致する量であった1)
健常成人5名にクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散1日3g(分3)、4g(分4)、9g(分3)を5日間連続経口投与した時、尿中重炭酸濃度は用量依存的な増加を示した。尿中ナトリウム、カリウムに大きな変動はなかった3)
16.5.2 ラットに[1,5-14C]クエン酸を含有するクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合散を250mg/kg単回経口投与したところ、投与後1週間までに投与量の86.7%がCO2として呼気中に排泄された。その他7.0%が尿中へ、1.8%が糞中へ排泄され、2.6%が体内に残存していた4)。尿中にはクエン酸及び代謝産物の尿素とα-ケトグルタル酸が検出された5)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の作用は、主として代謝産物の重炭酸塩(HCO3-)が、生体において塩基として作用することに基づくと考えられる。
18.2 酸性尿改善作用
塩化アンモニウム誘発酸性尿ラットにおいて用量依存的な酸性尿予防及び治療効果を示した6)。尿酸誘発高尿酸血症ラットの酸性尿に対し、尿pHの上昇作用を示した7)。また尿酸誘発高尿酸血症ラットにおいて、酸性側で溶解度が低下する尿酸の腎組織への沈着を抑制した7)
18.3 アシドーシス改善作用
マレイン酸誘発アシドーシスラットにおいて、低下した血液pH、重炭酸濃度、base excessを用量依存的に増加させた6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クエン酸カリウム

一般的名称 クエン酸カリウム
一般的名称(欧名) Potassium Citrate
化学名 Tripotassium 2-hydroxypropane-1,2,3-tricarboxylate hydrate
分子式 C6H5K3O7・H2O
分子量 324.41
物理化学的性状 クエン酸カリウムは無色の結晶又は白色の結晶性の粉末である。
本品は水に極めて溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D05578

19.2. クエン酸ナトリウム水和物

一般的名称 クエン酸ナトリウム水和物
一般的名称(欧名) Sodium Citrate Hydrate
化学名 Trisodium 2-hydroxypropane-1,2,3-tricarboxylate dihydrate
分子式 C6H5Na3O7・2H2O
分子量 294.10
物理化学的性状 クエン酸ナトリウム水和物は無色の結晶又は白色の結晶性の粉末で、においはなく、清涼な塩味がある。
本品は水に溶けやすく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01781

20. 取扱い上の注意

<錠剤>
20.1 開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

<クエンメット配合散>
1g×90包
1g×300包
<クエンメット配合錠>
100錠[10錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]

23. 主要文献

  1. 小川由英、他, 薬理と治療, 14, 5251-5272, (1986)
  2. 日本薬品工業株式会社:生物学的同等性に関する資料(社内資料)
  3. 小川由英、他, 薬理と治療, 14, 5273-5293, (1986)
  4. 春木左千夫、他, 基礎と臨床, 20, 5308-5318, (1986)
  5. 春木左千夫、他, 基礎と臨床, 20, 5330-5338, (1986)
  6. 服部新三郎、他, 腎と透析, 22, 335-340, (1987)
  7. 細谷龍男、他, 尿酸, 10, 75-79, (1986) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本薬品工業株式会社 安全管理課
〒101-0032 東京都千代田区岩本町2丁目2番3号
電話:03-5833-5011
FAX:03-5833-5100
製品情報問い合わせ先
日本薬品工業株式会社 安全管理課
〒101-0032 東京都千代田区岩本町2丁目2番3号
電話:03-5833-5011
FAX:03-5833-5100

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日本薬品工業株式会社
東京都千代田区岩本町2丁目2-3

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版