眼における酸素消費量を増し、ATP産生を増大させることにより調節性眼精疲労を改善する
4)。
調節性眼精疲労患者における0.02%シアノコバラミン点眼液の調節機能に及ぼす影響をプラセボとの二重盲検比較により検討した結果、調節時間及び調節運動においては改善の傾向がみられ、微動調節ではプラセボと比べて有意な改善効果が認められた
5)。
白色ウサギの網膜浮遊液中に0.0025、0.025、0.1、0.5、5.0、10.0、50.0、100.0μg/mLのコバマミド(補酵素型ビタミンB
12)を添加すると、網膜の酸素消費量はいずれも増強し、その程度には用量依存性が認められた
6)(
in vitro)。
カエル及びウサギの坐骨神経を用い、補酵素型ビタミンB
12(もしくはメチルコバラミン)の神経の興奮伝導に対する作用を調べた結果、低濃度では細胞膜を過分極の状態にし、活動電位の振幅を増大させ、高濃度では脱分極を引き起こし、活動電位の振幅を減少させることが示された。より高濃度ではこの脱分極は興奮伝導の遮断をもたらすが、この脱分極が閾値膜電位より小さければ神経細胞の興奮性は増大し、不応期が短縮する可能性のあることが示唆された
7)8)(
in vitro)。
18.5.1 毛様体筋に及ぼす抗疲労効果を指標とした比較試験
眼精疲労に対する効果を、筋に対して繰り返し刺激を与えて減弱した張力に対する影響により検討するため、ウサギの毛様体筋をアセチルコリンにより刺激したときの張力から算出した収縮率で比較した。マグヌス管に懸垂した毛様体筋に対してアセチルコリンによる刺激を繰り返し、その後シアノコバラミン点眼液0.02%「杏林」及びサンコバ点眼液0.02%添加群、並びに対照としてシアノコバラミン点眼液0.02%「杏林」基剤及び無添加群において、再度アセチルコリンにより刺激したときの収縮率について、Tukeyの多重比較検定を行った。
その結果、シアノコバラミン点眼液0.02%「杏林」及びサンコバ点眼液0.02%はいずれの対照群と比較しても収縮率の減弱を有意に抑制し、また両製剤間において有意な差は認められなかったことより、その効果はほぼ同等であると確認された
9)。
18.5.2 角膜炎症眼における結膜嚢内滞留時間及び眼内動態を指標とした薬効薬理比較試験
アルカリ性腐食角膜炎を惹起したウサギにシアノコバラミン点眼液0.02%「杏林」及びサンコバ点眼液0.02%を点眼し、その後涙液及び房水を採取してシアノコバラミン濃度を測定した。
その結果、各時点のシアノコバラミン濃度についてAspin-Welch法による検定もしくはt検定を行ったところ、涙液及び房水のいずれにおいても、シアノコバラミン点眼液0.02%「杏林」及びサンコバ点眼液0.02%の濃度に有意な差は認められなかった。
また濃度の実測値及び対数変換値から算出した薬物動態パラメータ(Cmax、AUCt、MRT)についてAspin-Welch法による検定もしくはt検定を行ったところ、いずれにおいても両製剤の平均値間に有意な差は認められなかったことより、生物学的な同等性が確認された
9)。