既存治療で効果不十分な下記疾患
○次のいずれかの状態を示す
クローン病の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
○中等症から重症の
潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
<関節リウマチ>
5.1 過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ薬(メトトレキサート製剤を含む)等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与を行うこと。また、メトトレキサート製剤に本剤を上乗せすることのリスク・ベネフィットを判断した上で使用すること。
<ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎>
5.2 過去の治療において、他の薬物療法(シクロスポリン等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に本剤の投与を行うこと。
<乾癬>
5.3 過去の治療において、既存の全身療法(紫外線療法を含む)等の適切な治療を行っても、皮疹が体表面積の10%以上に存在する場合、もしくは難治性の皮疹、関節症状又は膿疱を有する場合に本剤の投与を行うこと。
<強直性脊椎炎>
5.4 過去の治療において、他の薬物療法(非ステロイド性抗炎症剤等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に本剤の投与を行うこと。
<クローン病>
5.5 過去の治療において、栄養療法、他の薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、アザチオプリン等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に本剤の投与を行うこと。なお、寛解維持投与は漫然と行わず経過を観察しながら行うこと。
<潰瘍性大腸炎>
5.6 過去の治療において、他の薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、アザチオプリン等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に本剤の投与を行うこと。寛解維持効果は確認されていないため、寛解導入後には本剤の継続投与の必要性を検討し、他の治療法への切替えを考慮すること。
<関節リウマチ>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ後続2]として、体重1kg当たり3mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。なお、6週の投与以後、効果不十分又は効果が減弱した場合には、投与量の増量や投与間隔の短縮が可能である。これらの投与量の増量や投与間隔の短縮は段階的に行う。1回の体重1kg当たりの投与量の上限は、8週間の間隔であれば10mg、投与間隔を短縮した場合であれば6mgとする。また、最短の投与間隔は4週間とする。本剤は、メトトレキサート製剤による治療に併用して用いること。
<ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ後続2]として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。
<乾癬>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ後続2]として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。なお、6週の投与以後、効果不十分又は効果が減弱した場合には、投与量の増量や投与間隔の短縮が可能である。これらの投与量の増量や投与間隔の短縮は患者の状態に応じて段階的に行う。1回の体重1kg当たりの投与量の上限は、8週間の間隔であれば10mg、投与間隔を短縮した場合であれば6mgとする。また、最短の投与間隔は4週間とする。
<強直性脊椎炎>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ後続2]として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後6〜8週間の間隔で投与を行うこと。
<クローン病>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ後続2]として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。なお、6週の投与以後、効果が減弱した場合には、投与量の増量又は投与間隔の短縮が可能である。投与量を増量する場合は、体重1kg当たり10mgを1回の投与量とすることができる。投与間隔を短縮する場合は、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし、最短4週間の間隔で投与することができる。
<潰瘍性大腸炎>
通常、インフリキシマブ(遺伝子組換え)[インフリキシマブ後続2]として、体重1kg当たり5mgを1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行うこと。
<効能共通>
7.1 本剤と他の生物学的製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。
<関節リウマチ>
7.2 国内及び海外の臨床試験により、メトトレキサート製剤併用での有効性及び安全性が確認されている。国内臨床試験におけるメトトレキサート製剤の併用量は、6mg/週以上であり、メトトレキサート併用時の本剤に対する抗体の産生率は、メトトレキサート非併用時よりも低かった。なお、メトトレキサート製剤以外の抗リウマチ薬併用の有用性は確立していない。[
8.8、
16.1.3参照]
7.3 初回、2週、6週投与までは10mg/kg等への増量投与は行わないこと。また、増量により感染症の発現頻度が高まる恐れがあるため、感染症の発現には十分注意すること。10mg/kg等の高用量を初回投与から行うことにより、重篤な感染症の発現頻度が高まったとの報告がある
1)。
7.4 本剤による効果は、通常投与開始から14週以内に得られることが確認されている。14週以内に全く効果が得られない場合や、増量や投与間隔の短縮を行っても効果が得られない場合には、現在の治療計画の継続を慎重に再考すること。
7.5 本剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用は行わないこと。海外で実施したプラセボを対照とした臨床試験において、本剤を含む抗TNF製剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用療法を受けた患者では併用による効果の増強は示されておらず、感染症及び重篤な感染症の発現率が本剤を含む抗TNF製剤のみによる治療を受けた患者での発現率と比べて高かった。
<乾癬>
7.6 初回、2週、6週投与までは10mg/kg等への増量投与は行わないこと。また、増量により感染症の発現頻度が高まる恐れがあるため、感染症の発現には十分注意すること。本剤による効果が全く認められない場合や、増量や投与間隔の短縮を行っても症状の改善が認められない場合には、現在の治療計画の継続を慎重に再考すること。
<クローン病>
7.7 本剤を初回投与後、2週、6週と投与した後、臨床症状や内視鏡所見等により治療効果を評価すること。効果が認められない場合には、さらに継続投与を行っても効果が得られない可能性があり、他の治療法を考慮すること。また、10mg/kgへの増量や投与間隔の短縮は、5mg/kg 8週間隔投与による治療により効果は認められたものの、維持療法中に効果が減弱し、症状の再燃が認められた患者に対して行うこと。増量又は投与間隔の短縮を行っても効果が認められない場合には、他の治療法を考慮すること。
<潰瘍性大腸炎>
7.8 本剤を初回投与後、2週、6週と投与した後、8週時点で臨床症状や内視鏡所見等により治療効果を評価すること。効果が認められない場合には、さらに継続投与を行っても効果が得られない可能性があり、他の治療法を考慮すること。
8.1 本剤は血中濃度が長期にわたり持続するため(5mg/kg投与時は少なくとも8〜12週間)、この間には副作用の発現に注意すること。また、他の生物製剤との切り替えの際も注意すること。
8.2 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。
また、本剤投与中も、胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核症の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること。[
1.1、
1.2.2、
2.2、
9.1.2、
11.1.2参照]
8.3 本剤を含む抗TNF製剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。[
9.1.3参照]
8.4 本剤を投与した後、発熱、咳嗽、呼吸困難等の間質性肺炎の症状があらわれた場合には速やかに主治医に連絡するよう患者に説明すること。[
9.1.5、
11.1.5参照]
8.5 本剤治療中は、生ワクチン接種を行わないこと。また、本剤の投与と生ワクチン接種との間隔は十分にあけることが望ましい。やむを得ず生ワクチン接種から本剤の投与まで十分な間隔をあけることができない場合には、リスク・ベネフィットを慎重に判断した上で使用すること。生ワクチンによる感染症発現の可能性が否定できない。
8.6 本剤投与中はinfusion reactionに対する適切な薬剤治療(アドレナリン、副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤又はアセトアミノフェン等)や緊急処置を直ちに実施できるよう十分な体制のもとで、投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。また、遅発性過敏症(3日以上経過後)があらわれることがあるので、患者に十分説明し、発疹、発熱、そう痒、手・顔面浮腫、蕁麻疹、頭痛等が発現した場合、主治医に連絡するよう指示するなど適切な対応をとること。[
1.3.1、
1.3.2、
2.3、
8.8、
9.1.7、
11.1.3、
11.1.7、
14.2.2参照]
8.7 臨床試験における投与後3年間の追跡調査で、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍の発現が報告されている。慢性炎症性疾患のある患者に長期の免疫抑制剤を投与した場合、感染症や悪性リンパ腫の発現の危険性が高まることが報告されている。また、本剤を含む抗TNF製剤を使用した小児や若年成人においても、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍が報告されている。本剤に起因するか明らかでないが、悪性腫瘍等の発現には注意すること。[
1.1、
15.1.4参照]
8.8 本剤はマウス蛋白由来部分があるため、ヒトには異種蛋白であり、投与後、本剤に対する抗体が産生されることがある。臨床試験において本剤に対する抗体の産生が確認された患者群は、抗体が産生されなかった患者群に比べ、infusion reactionの発現が多い傾向にあり、また、本剤の血中濃度の持続が短くなる傾向がみられ、血中濃度が低下した患者では効果の減弱の可能性がある。[
1.3.1、
2.3、
7.2、
8.6、
9.1.7、
11.1.3、
14.2.2、
16.1.2-
16.1.7、
16.6.1参照]
8.9 本剤を投与した患者において、乾癬が悪化又は新規発現したとの報告がある。重症な場合には本剤投与の中止を考慮すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者
9.1.2 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者
(1)結核の既感染者は、問診及び胸部レントゲン検査等を定期的(投与開始後2ヵ月間は可能な限り1ヵ月に1回、以降は適宜必要に応じて)に行うことにより、結核症状の発現に十分に注意すること。結核を活動化させるおそれがある。[
1.1、
1.2.2、
2.2、
8.2、
11.1.2参照]
(2)結核の既往歴を有する場合及び結核が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として抗結核薬の投与をした上で、本剤を投与すること。
・胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
・結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
・インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査などの検査により、既感染が強く疑われる患者
・結核患者との濃厚接触歴を有する患者
9.1.3 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体またはHBs抗体陽性)
肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤を含む抗TNF製剤が投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。なお、これらの報告の多くは、他の免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与した患者に起きている。[
8.3参照]
9.1.4 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者及び家族歴のある患者
(1)脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者については、神経学的評価や画像診断等の検査を行い、慎重に危険性と有益性を評価した上で本剤適用の妥当性を検討し、投与後は十分に観察を行うこと。脱髄疾患発現のおそれがある。[
1.1、
1.4、
2.4、
11.1.4参照]
(2)脱髄疾患の家族歴のある患者は、適宜画像診断等の検査を実施し、十分に注意すること。脱髄疾患発現のおそれがある。[
1.1、
1.4、
2.4、
11.1.4参照]
9.1.5 間質性肺炎の既往歴のある患者
定期的に問診を行うなど、注意すること。間質性肺炎が増悪又は再発することがある。[
8.4、
11.1.5参照]
9.1.6 重篤な血液疾患(汎血球減少、再生不良性貧血等)の患者又はその既往歴のある患者
9.1.7 本剤投与経験のある患者
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。本剤投与による生殖発生毒性試験は実施されていない(本剤がヒトTNFα特異的で動物実験が実施できないため)。また、マウスTNFαを中和する抗体投与により、マウスを用いて検討された結果では、催奇形性、母体毒性、胎児毒性は認められていない。
9.5.2 本剤は胎盤通過性があるとの報告がある。従って、本剤の投与を受けた患者からの出生児においては、感染のリスクが高まる可能性があるため、生ワクチンを接種する際には注意が必要である。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
<クローン病及び潰瘍性大腸炎>
9.7.1 6歳未満の幼児等を対象とした国内臨床試験は実施していないため、これらの患者には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与し、副作用の発現に十分注意すること。
<上記以外の効能>
9.7.2 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと。
一般に生理機能(免疫機能等)が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 感染症(3.5%)
敗血症、肺炎(ニューモシスティス肺炎を含む)、真菌感染症、脳炎、髄膜炎(リステリア菌性髄膜炎を含む)、骨髄炎等の重篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることがある。なお、死亡に至った症例の多くは、感染症によるものであった。[
1.1、
1.2.1、
2.1、
9.1.1参照]
11.1.2 結核(0.3%)
結核の発症は、投与初期からあらわれる可能性がある。また、肺外結核(髄膜、胸膜、リンパ節等)もあらわれることがあることからその可能性も十分考慮した観察を行うこと。[
1.1、
1.2.2、
2.2、
8.2、
9.1.2参照]
11.1.3 重篤なinfusion reaction(0.6%)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、気管支痙攣、血圧上昇、血圧低下、血管浮腫、チアノーゼ、低酸素症、発熱、蕁麻疹等の重篤な副作用)、痙攣があらわれることがある。また、infusion reactionに引き続き脳出血、脳梗塞があらわれることがある。[
1.3.1、
2.3、
8.6、
8.8、
9.1.7、
14.2.2参照]
11.1.4 脱髄疾患(0.1%)
11.1.5 間質性肺炎(0.5%)
発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部レントゲン検査、胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し、本剤及びメトトレキサート製剤の投与を中止するとともにニューモシスティス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。主としてメトトレキサート製剤併用時において、間質性肺炎を発現し致命的な経過をたどった症例が報告されている。[
8.4、
9.1.5参照]
11.1.6 肝機能障害(0.1%)
AST、ALT、γ-GTP、LDH等の著しい上昇を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがある。
11.1.7 遅発性過敏症(0.6%)
筋肉痛、発疹、発熱、多関節痛、そう痒、手・顔面浮腫、嚥下障害、蕁麻疹、咽頭痛、頭痛等を伴う遅発性過敏症(3日以上経過後)があらわれることがある。[
1.3.2、
2.3、
8.6、
9.1.7参照]
11.1.8 抗dsDNA抗体の陽性化を伴うループス様症候群(0.4%)
抗dsDNA抗体が陽性化し、関節痛、筋肉痛、皮疹等の症状があらわれることがある。このような場合には、投与を中止すること。
11.1.9 重篤な血液障害(0.1%)
汎血球減少、血小板減少、白血球減少、顆粒球減少、血球貪食症候群、血小板減少性紫斑病があらわれることがある。[
9.1.6参照]
11.1.10 横紋筋融解症(頻度不明)
脱力感、筋肉痛、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇に注意し、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1%以上〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 |
精神・神経系 | 頭痛 | 浮動性めまい、感覚鈍麻、異常感覚 | 頭部不快感、体位性めまい、知覚過敏、失神、嗅覚錯誤、味覚異常、神経痛、不随意性筋収縮、片頭痛、振戦、運動過多、ジスキネジー、脳梗塞、協調運動異常、不眠症、不安、神経過敏、うつ病、感情不安定、多幸気分、錯乱、傾眠(眠気) | 多発性神経障害、ニューロパシー、てんかん発作 |
血液 | | 貧血(鉄欠乏性貧血、溶血性貧血)、カリウム減少、血小板数増加 | リンパ節炎、脾腫、単球減少症、リンパ球減少症、リンパ球増加症、単球増加症、白血球増加症、好中球増加症、好酸球増加症、赤血球異常、低カリウム血症、好酸球数減少、骨髄球数増加、アミラーゼ増加、総蛋白減少、総蛋白増加、アルブミン減少、クロール減少、ナトリウム減少、血沈亢進、リンパ球形態異常(異形リンパ球)、リンパ節症、後骨髄球数増加、尿酸増加、カリウム増加、CRP増加、ヘマトクリット減少 | 血栓性血小板減少性紫斑病 |
循環器 | | ほてり、潮紅、高血圧、低血圧、動悸、血圧低下、血圧上昇 | 血腫、蒼白、末梢性虚血、徐脈、不整脈、頻脈、心室性期外収縮、狭心症、心不全、心拍数増加 | 血管炎(IgA血管炎) |
呼吸器 | 気道感染、咽喉頭炎 | 呼吸困難、気管支炎、咳嗽、鼻炎、副鼻腔炎 | 発声障害、咽喉絞扼感、鼻出血、胸膜炎、胸水、喘息、気管支痙攣、胸部X線(CT)異常、PaO2低下、KL-6増加、扁桃炎 | 間質性肺線維症 |
肝臓 | | ALP増加 | 脂肪肝、肝炎、胆嚢炎、肝腫大、高ビリルビン血症 | |
泌尿器 | 血尿(尿潜血) | 尿路感染、尿中ブドウ糖陽性、尿中蛋白陽性、BUN増加、尿沈渣 | 腎盂腎炎、排尿困難、尿中白血球陽性、頻尿、クレアチニン増加、尿中ウロビリノーゲン増加、膀胱炎 | |
消化器 | 悪心 | 嘔吐、下痢、腹痛、便秘、胃腸炎 | 上腹部痛、嚥下障害、逆流性食道炎、腸閉塞、腸管狭窄、消化不良、血便、腸管穿孔、胃炎、痔核、肛門周囲痛、憩室炎、腹部膨満、胃ポリープ、胃潰瘍、腹膜炎、腹部不快感、腸炎、胃不快感、軟便、放屁 | |
消化器 | | 口内炎、歯周病 | 口腔内潰瘍形成、歯痛、口唇炎、口腔内痛、齲歯、唾液腺炎、口渇、舌炎 | |
皮膚 | 発疹(膿疱性皮疹、斑状皮疹、斑状丘疹状皮疹、小水疱性皮疹、そう痒性皮疹、湿疹、紅斑性皮疹、頭部粃糠疹、丘疹、血管炎性皮疹) | 白癬、皮膚炎(脂漏性皮膚炎、水疱性皮膚炎、乾癬様皮膚炎、ざ瘡様皮膚炎)、毛包炎、そう痒症、蕁麻疹、紅斑(発赤)、多汗症 | 麦粒腫、せつ、皮膚真菌感染、皮膚裂傷、皮膚嚢腫、ざ瘡、皮膚乾燥、皮膚変色、皮膚剥脱、脱毛症、乾癬、斑状出血、点状出血、皮膚潰瘍、脂漏、過角化、光線過敏性反応、皮膚腫瘤、多毛症、アトピー性皮膚炎 | |
投与部位 | | | 注射部位反応(注射部位疼痛、注射部位炎症、注射部位腫脹、注射部位出血、注射部位そう痒感) | |
眼 | | | 眼内炎、涙器障害、角膜炎、眼瞼炎、視覚障害、眼痛、眼球乾燥、羞明、強膜炎、緑内障、眼圧上昇、眼脂、結膜炎、結膜充血、視野欠損、網膜静脈閉塞 | |
耳 | | | 耳痛、回転性めまい、耳鳴、耳不快感(耳閉感)、耳感染(外耳炎、中耳炎、迷路炎) | |
筋・骨格系 | | 関節痛、筋痛 | 関節腫脹、背部痛、筋骨格硬直、頚部痛、関節炎、骨痛、腱炎、筋力低下、滑液包炎、CK増加、筋骨格痛 | 皮膚筋炎、多発性筋炎 |
抵抗機構 | 自己抗体陽性(抗DNA抗体陽性、抗カルジオリピン抗体陽性、抗核抗体陽性)、ウイルス感染(帯状疱疹、単純ヘルペス、インフルエンザ様疾患、インフルエンザ) | 膿瘍 | 免疫グロブリン増加、爪周囲炎、限局性感染、サイトメガロウイルス抗原陽性、食道カンジダ症、蜂巣炎 | ニューモシスティス症、サルモネラ症、サルコイドーシス、非結核性マイコバクテリア感染(非結核性抗酸菌症)、クリプトコッカス症 |
代謝 | | 高コレステロール血症 | 糖尿病、高血糖、抗利尿ホルモン不適合分泌、コレステロール減少、トリグリセリド増加 | |
その他 | 発熱 | 悪寒、熱感、倦怠感、疲労、胸痛、疼痛、浮腫(末梢性浮腫、顔面浮腫、全身性浮腫、眼窩周囲浮腫、血管浮腫、咽頭浮腫、喉頭浮腫) | 腟感染、勃起不全、乳房肥大、亀頭包皮炎、不規則月経、腟出血、性器分泌物(白帯下)、無力症、不快感、胸部不快感、嚢胞、食欲不振、食欲亢進、過敏症、体重増加、体重減少、子宮平滑筋腫、リビドー減退、末梢腫脹 | |
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本剤の臨床試験は、国内では62週間(1年)まで、海外では102週間(2年)までの期間で実施されている。また、本剤の長期使用に関する特定使用成績調査は2年間までの期間で実施されている。これらの期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立していない。
15.1.2 150例の中等度から重度のうっ血性心不全の患者(左室駆出率35%以下で、NYHA心機能分類III/IV度)に、プラセボ及び本剤5、10mg/kgを初回、2週後、6週後に3回投与した海外での臨床試験を実施した。その結果、本剤投与群、特に10mg/kg群において心不全症状の悪化及び死亡が高率に認められたとの報告がある。初回投与後28週時点において、10mg/kg群で3例、5mg/kg群で1例の死亡が認められ、プラセボ群では死亡例はなかった。また、症状悪化による入院は、10mg/kg群51例中11例、5mg/kg群50例中3例、プラセボ群49例中5例であった。さらに、1年後の評価における死亡例は、10mg/kg群で8例であったのに対し、5mg/kg群及びプラセボ群ではそれぞれ4例であった。[
2.5参照]
15.1.3 乾癬患者において、本剤と紫外線療法又は既存の全身治療との併用に対する有効性と安全性は確立していない(使用経験がない)。
15.1.4 本剤の臨床試験及び臨床試験終了後3年間又は5年間の追跡調査において、悪性リンパ腫、乳癌、黒色腫、扁平上皮癌、直腸腺癌、基底細胞癌及び皮膚癌等が169例に報告されている。本剤投与と悪性腫瘍発現の関連性を検討するため、実際に悪性腫瘍が認められた例数並びに大規模なデータベースから抽出した同一背景を有する一般集団からの予測例数を表1〜3に示した。この予測例数は、症例毎の性、年齢、追跡期間等よりNIH SEERデータベース(National Institute of Health(NIH)Surveillance,Epidemiology,and End Results(SEER)database)から推定した値を用いた。表1のクローン病患者での比較では、本剤投与群における悪性腫瘍の予測例数14.49例に対し観察例数は21例であった。一方、プラセボ群においては予測例数0.20例に対し観察例数は1例であった。[
1.1、
8.7参照]
表1.クローン病全試験での悪性腫瘍の観察例数及び予測例数
クローン病全試験※a | プラセボ投与例 |
全例追跡期間(人・年) | 悪性腫瘍観察例数 | 悪性腫瘍予測例数 |
a.悪性リンパ腫 | 97 | 0 | 0.01 |
b.非黒色腫性皮膚癌 | 96 | 1 | NA |
c.上記以外の悪性腫瘍 | 96 | 1 | 0.19 |
悪性腫瘍計(a+c)※b | 96 | 1 | 0.20 |
クローン病全試験※a | レミケード投与例 |
全例追跡期間(人・年) | 悪性腫瘍観察例数 | 悪性腫瘍予測例数 |
a.悪性リンパ腫 | 4094 | 2 | 0.65 |
b.非黒色腫性皮膚癌 | 4085 | 8 | NA |
c.上記以外の悪性腫瘍 | 4055 | 19 | 13.85 |
悪性腫瘍計(a+c)※b | 4055 | 21 | 14.49 |
また、関節リウマチ患者での悪性腫瘍の観察例数及び予測例数を表2に示した。本剤投与群では予測例数52.37例に対し観察例数は50例、プラセボ群では、予測例数13.61例に対し観察例数は10例であった。
表2.関節リウマチ全試験での悪性腫瘍の観察例数及び予測例数
関節リウマチ全試験※a | プラセボ投与例 |
全例追跡期間(人・年) | 悪性腫瘍観察例数 | 悪性腫瘍予測例数 |
a.悪性リンパ腫 | 1626 | 0 | 0.46 |
b.非黒色腫性皮膚癌 | 1611 | 6 | NA |
c.上記以外の悪性腫瘍 | 1604 | 10 | 13.16 |
悪性腫瘍計(a+c)※b | 1604 | 10 | 13.61 |
関節リウマチ全試験※a | レミケード投与例 |
全例追跡期間(人・年) | 悪性腫瘍観察例数 | 悪性腫瘍予測例数 |
a.悪性リンパ腫 | 6391 | 9 | 1.79 |
b.非黒色腫性皮膚癌 | 6357 | 24 | NA |
c.上記以外の悪性腫瘍 | 6343 | 41 | 50.80 |
悪性腫瘍計(a+c)※b | 6331 | 50 | 52.37 |
また、全臨床試験における悪性腫瘍の観察例数及び予測例数を表3に示した。本剤投与群の予測例数105.18例に対し観察例数は106例、プラセボ群では予測例数19.46例に対して観察例数が15例であった。
表3.全試験での悪性腫瘍の観察例数及び予測例数
全試験※a | プラセボ投与例 |
全例追跡期間(人・年) | 悪性腫瘍観察例数 | 悪性腫瘍予測例数 |
a.悪性リンパ腫 | 2906 | 1 | 0.72 |
b.非黒色腫性皮膚癌 | 2887 | 12 | NA |
c.上記以外の悪性腫瘍 | 2877 | 14 | 18.75 |
悪性腫瘍計(a+c)※b | 2877 | 15 | 19.46 |
全試験※a | レミケード投与例 |
全例追跡期間(人・年) | 悪性腫瘍観察例数 | 悪性腫瘍予測例数 |
a.悪性リンパ腫 | 17852 | 14 | 4.13 |
b.非黒色腫性皮膚癌 | 17721 | 67 | NA |
c.上記以外の悪性腫瘍 | 17720 | 92 | 101.30 |
悪性腫瘍計(a+c)※b | 17707 | 106 | 105.18 |
15.2 非臨床試験に基づく情報
本剤はヒト及びチンパンジーのTNFαのみに結合能を有し、ラットやカニクイザル等の一般的に動物実験に使用される動物種のTNFαと結合しない。このため、がん原性試験は実施されていない。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。