医療用医薬品 : ベタメタゾンリン酸エステルNa

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医薬品情報


総称名 ベタメタゾンリン酸エステルNa
一般名 ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム
欧文一般名 Betamethasone Sodium Phosphate
製剤名 ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム液
薬効分類名 眼科、耳鼻科用合成副腎皮質ホルモン剤
薬効分類番号 1315 1329
ATCコード S01BA06 S01CB04 S03BA03
KEGG DRUG
D00972 ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム
KEGG DGROUP
DG00095 ベタメタゾン
DG01955 副腎皮質ステロイド
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ベタメタゾンリン酸エステルNa・PF眼耳鼻科用液0.1%「日点」 (後発品) Betamethasone Sodium Phosphate PF Ophthalmic and Otorhinologic Solution ロートニッテン 1315706Q2129 32.2円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

(眼科用)
外眼部及び前眼部の炎症性疾患の対症療法(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、前眼部ブドウ膜炎、術後炎症)
(耳鼻科用)
外耳・中耳(耳管を含む)又は上気道の炎症性・アレルギー性疾患(外耳炎、中耳炎、アレルギー性鼻炎等)、術後処置

6. 用法及び用量

(眼科用)
通常、1日3〜4回、1回1〜2滴ずつ点眼する。
なお、症状により適宜増減する。
(耳鼻科用)
通常、1日1〜数回、適量を点耳、点鼻、耳浴、ネブライザー又はタンポンにて使用するか、又は患部に注入する。
なお、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、本剤の投与により全身性の作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児の成長遅延、骨密度の低下、白内障、緑内障、中心性漿液性網脈絡膜症を含む)が発現する可能性がある。特に長期間、大量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性の作用が認められた場合には適切な処置を行うこと。
8.2 連用により、数週後から眼圧亢進、また、緑内障があらわれることがあるので、定期的に眼圧検査を実施すること。[11.1.1参照]
8.3 長期連用を避けること。[11.2参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 以下の患者には治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
(1)角膜上皮剥離又は角膜潰瘍の患者
これらの疾患が増悪するおそれがある。
(2)ウイルス性結膜・角膜疾患、結核性眼疾患、真菌性眼疾患又は化膿性眼疾患の患者
これらの疾患が増悪するおそれがある。
(3)耳又は鼻に結核性又はウイルス性疾患のある患者
これらの疾患が増悪するおそれがある。
9.1.2 糖尿病の患者
糖尿病が増悪するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、長期・頻回使用を避けること。
9.7 小児等
特に2歳未満の場合には慎重に使用すること。小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 緑内障(0.1%未満)
連用により、数週後から眼圧亢進、また、緑内障があらわれることがある。[8.2参照]
11.1.2 角膜ヘルペス、角膜真菌症、眼部の緑膿菌感染症の誘発(いずれも頻度不明)
11.1.3 眼部の穿孔(頻度不明)
角膜ヘルペス、角膜潰瘍又は外傷等に使用した場合には穿孔を生じることがある。
11.1.4 後嚢白内障(0.1%未満)
長期使用により、後嚢白内障があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%未満頻度不明
過敏症刺激感 
 角膜沈着物(術後炎症に本剤を使用した場合)
耳・鼻 局所に化膿性の感染症
下垂体・副腎皮質系 長期使用による下垂体・副腎皮質系機能の抑制1)、クッシング症候群
その他全身使用の場合と同様な症状注)創傷治癒の遅延

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
<共通>
・遮光して保存すること。
<眼科用>
・薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
・患眼を開瞼して結膜嚢内に点眼し、1〜5分間閉瞼して涙嚢部を圧迫させた後、開瞼すること。
・他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上間隔をあけてから点眼すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
眼科手術後の患者10例に0.1%ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム液を1回1滴点眼した場合の血漿中濃度をラジオイムノアッセイにて測定した。血漿中濃度(平均値±標準誤差)は点眼30分後に467±138pg/mL、1時間後は479±109pg/mL、2時間後478±150pg/mLを示し、以後漸減し、6時間後は235±61pg/mLを示した2)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ステロイドは細胞質に存在する熱ショック蛋白質、抑制蛋白質と複合体を形成したステロイド受容体に結合後核内に移行し、ステロイド反応性の遺伝子を活性化させ、その薬理作用を発揮すると考えられている。また、血管内皮細胞やリンパ球等の細胞膜の障害を抑制するような膜の安定性に関与する作用や、フォスフォリパーゼA2と呼ばれる細胞膜リン脂質からロイコトリエンやプロスタグランジンなど種々の炎症惹起物質を誘導する重要な酵素の機能を抑える作用も知られている。その作用機序としては、単量体のステロイドとその受容体が複合体を形成することで、NFκBやAP-1と呼ばれるサイトカイン産生の誘導や細胞接着分子の発現等を調節している細胞内転写因子の機能を抑制することで、2量体の受容体と結合した場合、リポコルチン等の誘導を介して、炎症を制御すると考えられている。免疫抑制作用に関しては、リンパ球に対する直接的な機能抑制、アポトーシスの誘導によると考えられている3)
18.2 薬理作用
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウムは合成糖質副腎皮質ホルモンであり、抗炎症作用、抗アレルギー作用を示す3)
18.3 生物学的同等性試験
18.3.1 ラット急性結膜浮腫に対する効果
ベタメタゾンリン酸エステルNa・PF眼耳鼻科用液0.1%「日点」とリンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%の効果をカラゲニンによるラット実験的急性結膜浮腫モデルを用いて、浮腫重量を指標として比較した結果、両剤に有意差は認められず、生物学的に同等であると判断された(Tukeyの多重比較)4)
18.3.2 家兎ブドウ膜炎に対する効果
ベタメタゾンリン酸エステルNa・PF眼耳鼻科用液0.1%「日点」とリンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%の効果をリポポリサッカライドによる家兎実験的ブドウ膜炎モデルを用いて、房水中蛋白濃度を指標として比較した結果、両剤に有意差は認められず、生物学的に同等であると判断された(Tukeyの多重比較)5)
18.3.3 ラットアレルギー性鼻炎に対する抗鼻炎効果
ベタメタゾンリン酸エステルNa・PF眼耳鼻科用液0.1%「日点」とリンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%の効果を卵白アルブミンによるラットアレルギー性鼻炎モデルを用いて、鼻汁中の漏出色素量及び漏出ライソゾーム酵素活性を指標として比較した結果、いずれも両剤に有意差は認められず、生物学的に同等であると判断された(Tukeyの多重比較)6)
18.3.4 モルモットアレルギー性鼻炎に対する抗鼻閉効果
ベタメタゾンリン酸エステルNa・PF眼耳鼻科用液0.1%「日点」とリンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%の効果を卵白アルブミンによるモルモットアレルギー性鼻炎モデルを用いて、鼻閉回数を指標として比較した結果、両剤に有意差は認められず、生物学的に同等であると判断された(Tukeyの多重比較)7)
18.3.5 モルモット急性中耳炎に対する効果
ベタメタゾンリン酸エステルNa・PF眼耳鼻科用液0.1%「日点」とリンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%の効果についてモルモット実験的急性中耳炎モデルを用いて、充血及び浮腫の合計スコアを指標として比較した結果、両剤に有意差は認められず、生物学的に同等であると判断された(Steel-Dwassの多重比較)8)
18.3.6 ラット耳介浮腫に対する効果
ベタメタゾンリン酸エステルNa・PF眼耳鼻科用液0.1%「日点」とリンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%の効果をクロトン油によるラット実験的耳介浮腫モデルを用いて、耳介厚さ増加率を指標として比較した結果、両剤に有意差は認められず、生物学的に同等であると判断された(Tukeyの多重比較)9)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム

一般的名称 ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム
一般的名称(欧名) Betamethasone Sodium Phosphate
化学名 9-Fluoro-11β,17,21-trihydroxy-16β-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione 21-(disodium phosphate)
分子式 C22H28FNa2O8P
分子量 516.40
融点 約213℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶性の粉末又は塊で、においはない。水に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。吸湿性である。
KEGG DRUG D00972

20. 取扱い上の注意

20.1 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2 開栓後4週間経過した場合は、残液を使用しないこと。

22. 包装

プラスチック点眼容器
5mL×10本

23. 主要文献

  1. 飯塚啓介 他, 日本耳鼻咽喉科学会会報, 85, 1573-1577, (1982) »DOI
  2. 沖本峰子 他, 日本眼科学会雑誌, 83, 887-897, (1979) »PubMed
  3. 片山一朗, アレルギー, 55, 1279-1283, (2006) »DOI
  4. 社内資料:生物学的同等性試験I
  5. 社内資料:生物学的同等性試験II
  6. 社内資料:生物学的同等性試験III
  7. 社内資料:生物学的同等性試験IV
  8. 社内資料:生物学的同等性試験V
  9. 社内資料:生物学的同等性試験VI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ロートニッテン株式会社 医薬情報問合せ窓口
〒457-0038 名古屋市南区桜本町40番地の2
電話:0120-691-910
FAX:052-823-9115
製品情報問い合わせ先
ロートニッテン株式会社 医薬情報問合せ窓口
〒457-0038 名古屋市南区桜本町40番地の2
電話:0120-691-910
FAX:052-823-9115

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ロートニッテン株式会社
名古屋市南区桜本町40番地の2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/01/22 版