2.1 本剤及び本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 重度の高ナトリウム血症あるいは重度の高クロール血症を有する患者[本剤は塩化ナトリウムを含有するため症状を悪化させるおそれがある。]
2.3 肺水腫、うっ血性心不全など水分過負荷のある患者[循環血液量を増加させるため症状を悪化させるおそれがある。]
2.4 頭蓋内出血中の患者[頭蓋内出血を悪化させるおそれがある。]
2.5 乏尿あるいは無尿を伴う腎不全の患者[
9.2.1参照]
2.6 透析治療を受けている患者[本剤の排泄が遅れるおそれがある。]
持続的に静脈内投与する。投与量及び投与速度は、症状に応じ適宜調節するが、1日50mL/kgを上限とする。
7.1 投与に際しては、通常成人では本剤500mL当たり、小児では10mL/kg当たり30分以上かけて点滴静注することが望ましい。
8.1 アナフィラキシーが起こることがあるため、最初の10〜20mLは患者をよく観察しながらゆっくりと投与すること。
8.2 組織残留性を考慮して投与は必要最小限にとどめること。
8.3 本剤の高用量投与により、凝固因子及びその他の血漿蛋白などの血液成分の希釈が起きることがある。さらに、血液成分の希釈のみによらない凝固異常が生じることがあることから、患者の状態に応じて本剤の用量を適宜調節した上で、必要に応じて血液製剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[
9.1.3参照]
8.4 腎機能及び体液バランスについてモニタリングするなど、患者の状態を十分に観察しながら適切な量を投与すること。
8.5 急性腎障害等の腎機能障害があらわれ腎代替療法が必要となるおそれがあるので、腎機能を定期的に観察すること。
8.6 血清電解質をモニターすること。
8.7 投与期間は、循環血液量減少、血行動態及び血液希釈の程度に応じて調節すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心不全のある患者
9.1.2 出血性素因のある患者
9.1.3 外傷性大出血の患者
本剤の高用量投与により血液成分の過度の希釈が起こり出血を助長するおそれがある。[
8.3参照]
9.1.4 敗血症の患者(重症の敗血症の患者を除く)
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 乏尿あるいは無尿を伴う腎不全の患者
投与しないこと。腎不全の患者では本剤の排泄が遅れるおそれがある。[
2.5参照]
9.2.2 重度の腎機能障害のある患者
水分過負荷となるおそれ及び腎機能が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。なお、本剤の母乳中への移行は不明である。
9.7 小児等
9.7.1 低出生体重児、新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 海外臨床試験において、41例の非心臓外科手術を受けた新生児を含む2歳未満の小児での本剤の平均投与量は16±9mL/kgであった
1)。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
11.1.2 腎機能障害(頻度不明)
急性腎障害等の腎機能障害があらわれ腎代替療法が必要となるおそれがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 10%以上 | 1〜10%未満 | 1%未満 |
| 血液 | | | 貧血、赤血球減少 |
| 臨床検査 | 血清アミラーゼ増加 | 血中クロール増加、血中ナトリウム増加 | 活性化部分トロンボプラスチン時間延長、プロトロンビン時間延長、血中ナトリウム減少、血中カリウム減少、血中クレアチニン増加 |
| 皮膚 | | | そう痒症 |
| 呼吸器 | | | 呼吸不全 |
| その他 | | | 処置後出血、創傷出血 |
本剤投与により血中にマクロアミラーゼが形成され、血清アミラーゼ値が高値となることがあるので、膵機能障害を疑わせる臨床症状が認められ、膵機能検査を行う場合には、血清アミラーゼ以外(血清リパーゼ等)の検査も行うこと。
13.1 症状
循環器系の過負荷の原因となるため、肺水腫等が認められる場合がある。
13.2 処置
14.1 全般的な注意
14.1.1 使用時には、感染に対する配慮をすること。
14.1.2 注射針や輸液セットのびん針は、ゴム栓の刻印部(○印)に垂直にゆっくりと刺すこと。斜めに刺した場合、削り片の混入及び液漏れの原因となるおそれがある。また、針は同一箇所に繰り返し刺さないこと。
14.2 薬剤調製時の注意
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 原則として、連結管を用いたタンデム方式による投与は行わないこと。輸液セット内に空気が流入するおそれがある。
14.3.2 容器の目盛りは目安として使用すること。
14.3.3 残液は使用しないこと。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人男性12例に、本剤500mLを30分かけて単回静脈内投与した。本剤の血漿中濃度は点滴静注開始30分後にピークとなり、4例は48時間後に、8例は72時間後に投与前値となった。AUC
(0-inf)は26.72hr・mg/mL、Cmaxは5.5mg/mL、消失半減期(t
1/2,z)は10.9hr、総血漿クリアランス(CL)は1.14L/hr、定常状態時の分布容積(Vss)は12.9L、消失速度定数(kz)は0.066/hrであった
5)。
本剤投与後の血漿中HES濃度の推移を図に示す。
HES130000投与後の血漿中HES濃度の推移
16.5 排泄
日本人健康成人男性12例に、本剤500mLを30分かけて単回静脈内投与した結果、投与開始72時間後までの尿中排泄率は59.4%であった。本剤は全腎排泄の95%以上が投与後24時間に行われ、速やかに腎排泄されることが認められた
5)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
軽度から高度の腎機能障害患者を含む19例を対象とし、本剤500mLを30分間で点滴静注した。血液サンプルを投与前から投与開始72時間後まで採取したときの本剤の薬物動態パラメータ幾何平均値を表に示す(外国人のデータ)
6)。
単回投与時の腎機能障害患者及び腎機能正常者での薬物動態パラメータ
| 腎機能障害の程度 | n | AUC(mg・h/mL) | Cmax(mg/mL) | 総血漿クリアランス(L/h) | 分布容積(L) | 終末期半減期(h) |
高度障害患者 15≦CLCr<30 | 6 | 41.1±1.22 | 4.68±1.19 | 0.733±1.22 | 14.2±1.20 | 15.9±1.09 |
中等度障害患者 30≦CLCr<50 | 4 | 35.1±1.15 | 4.37±1.15 | 0.853±1.14 | 15.4±1.13 | 15.5±1.10 |
軽度障害患者 50≦CLCr<80 | 5 | 20.0±1.07 | 3.48±1.13 | 1.52±1.07 | 27.1±1.07 | 15.9±1.06 |
正常者 80≦CLCr<120 | 4 | 25.5±1.23 | 5.11±1.28 | 1.19±1.23 | 19.9±1.26 | 17.2±1.07 |
尿中排泄率は、CLcrが30mL/min以上の患者では59%であったのに対し、CLcrが15mL/min以上30mL/min未満の患者では51%であった。
16.8 その他
ヒドロキシエチルデンプン(HES)の薬物動態は、分子量、また主にモル置換度に依存する。本剤(6% HES 130000)の血漿中におけるin vivoの平均分子量は、投与直後において70,000〜80,000ダルトンであり、血漿α-アミラーゼによって代謝されてから、腎より排泄される。
18.1 作用機序
ヒドロキシエチルデンプン130000の膠質浸透圧作用による水分保持機能に基づいた循環血液量の維持
18.2 脱血時の生存率に及ぼす作用
ラットの全血量を67%又は50%脱血し、本剤同量又は乳酸リンゲル液3倍量を投与したところ、本剤群の生存率は乳酸リンゲル液群よりも高かった
11)。
18.3 血圧安定化作用
イヌに対し、脱血と同時に同量の本剤を投与する等容量血液希釈を行ったところ、試験中に平均血圧動脈圧の変化は認められず、血圧は安定していた
12)。
20.1 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 以下の場合には使用しないこと。
・外袋内や容器表面に水滴や結晶が認められる場合
・容器から薬液が漏れている場合
・性状その他薬液に異状が認められる場合
・ゴム栓部のキャップがはずれている場合