溶剤(日本薬局方注射用水)20mLで完全に溶解して使用する。
<治療>
通常、症状にもよるが、なるべく早期に10,000〜20,000単位(40mL〜80mL)を患部周辺を避けた筋肉内(皮下)又は静脈内に注射するか、あるいは生理食塩液等で希釈して点滴静注する。
なお、症状が軽減しない時は3〜4時間ごとに5,000単位(20mL)ずつ追加注射する。
<予防>
なるべく早期に5,000〜10,000単位(20mL〜40mL)を筋肉内(皮下)又は静脈内に注射する。
7.1 ウマ血清過敏症試験を行い、反応陰性あるいは軽微の場合は、本剤の1mLを皮下に注射して30分間反応を観察し、異常のない場合には、所要量を以下のとおり注射する。[
14.1.1参照]
7.1.1 筋肉内又は静脈内に注射する場合には、ゆっくり時間をかけて注射すること。ショックは5〜10分の間に発現することが多いがその間は勿論、さらに30分後まで血圧を測定する。著しい血圧降下がおこったら、直ちにアドレナリンの注射等、適切な処置を行う。
7.1.2 点滴静注する場合は、本剤を生理食塩液等で10〜20倍に希釈して1分間1〜2mL位の速さで注射し、血圧測定その他の観察を続けること。
8.1 本剤の投与により血清病(ショック、アナフィラキシー及びその他の過敏症)があらわれることがあるため、使用前に必ず次の事項について問診を行うこと
1)。
・以前にウマ血清の注射を受けたことの有無及びその際の異常の有無
・薬剤アレルギーの有無
・蕁麻疹の既往歴の有無
・アトピー性素因の既往歴及び家族歴の有無
8.3 本剤の使用にあたっては、あらかじめ血清病に備えて、アドレナリン、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ステロイド剤、リンゲル液及び血圧計等の準備をしておくこと
1)。[
14.3.1、
14.3.2参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 ウマ血清に対しショック、アナフィラキシー(血圧降下、喉頭浮腫、呼吸困難等)及びその他の過敏症の既往を有する者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。本剤の投与により血清病があらわれることがある。本剤の投与を必要とする場合は、ウマ血清過敏症試験及び除感作処置等を行うこと
1)。[
14.1.1、
14.1.2参照]
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
| | 頻度不明 |
| 過敏症注) | 蕁麻疹様発疹2)、発赤3)、腫脹2)、疼痛2)、発熱2)、関節痛2)等 |
14.1 薬剤投与前の注意(血清病の予防)
14.1.1 ウマ血清過敏症試験
本剤を添付の溶剤で溶解した後、さらに生理食塩液で約10倍に希釈し、下記の(1)、(2)のいずれかの試験を行う。
この試験においてもショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、慎重に試験を行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと
2)。
なお、抗毒素治療の既往歴又は高度の過敏症の者に本剤の使用は危険であるが、やむを得ず使用するときは、除感作処置を行う。[
7.1、
8.2、
9.1.1、
14.1.2参照]
(1)皮内試験法
10倍希釈液0.1mLを皮内に注射して、30分間全身症状の有無及び注射局所の反応を観察し、下記の判定基準により判定する。
[判定基準]
陽性
高度の過敏症
著しい血圧の降下、顔面蒼白、冷汗、虚脱、四肢末端の冷感、呼吸困難などの全身症状の発現
軽度の過敏症
陰性
(2)点眼試験法
10倍希釈液の1滴を片眼に点眼後、20〜30分間観察し、下記の判定基準により判定する。
[判定基準]
14.1.2 除感作処置
本剤を添付の溶剤で溶解した後、さらに生理食塩液で100〜1,000倍(上記の過敏症試験で特に強い症状を示した者には1,000倍から始める)に希釈して、その0.1mLを皮内に注射後、30分間観察する。血圧、全身症状等に異常がなければ、次に10倍希釈液の0.1mLを皮内に注射し、30分間異常がなければ本剤の1.0mLを皮下に注射する。さらに30分間観察し、異常がなければ最後に所要量全量を注射する。
上記の除感作処置のいずれかの段階で異常が見られたら、その後1時間経過してから異常を起こした前の段階にもどして、以後反復して増量していく。
強度の過敏症を示した場合には、アドレナリン、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ステロイド剤等を注射して様子を見る。全身症状がみられなくなったら次の段階に移る。[
9.1.1、
14.1.1参照]
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 ガスえその治療は、できるだけ早期に本剤を注射し、さらに抗生物質等の併用も必要である。本剤の注射はできるだけ静脈注射が望ましい。早期治療が遅れて患部の損傷が著しいときは、外科的処置による患部の切除も必要である。
14.2.2 破傷風菌の混合感染の危険性が考慮される場合には、次の処置をとることが望ましい
4)。
・破傷風基礎免疫完了者
・破傷風基礎免疫未完了者
抗破傷風人免疫グロブリン250〜500IU投与、同時に反対側へ沈降破傷風トキソイドを接種
14.2.3 本剤の溶解は使用直前に行うこと。
14.2.4 本剤は保存剤を含有していないので、溶解後は直ちに使用し、残液を保存して再使用することは厳に避けること。
14.3 薬剤投与後の注意(血清病の治療)
14.3.1 本剤投与後ショック、アナフィラキシーを起こし、急激な血圧降下、喉頭浮腫、呼吸困難等を示した場合は、アドレナリン等を注射する。治療を速やかに行うほど予後は良好である。
緊急時には、蘇生バッグ、喉頭鏡・吸引器、気管内チューブ、酸素ボンベを使用し救急蘇生を行う
1)。
軽度の血清病は多くの場合予後良好であり、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ステロイド剤等の投与を行う。[
8.3、
11.1.1参照]
14.3.2 本剤投与後30分から12日ごろにも血清病が発現することがある。これは数日で消失するが急性腎炎を伴うこともある。
全身の皮膚そう痒のため睡眠できないときは、抗ヒスタミン剤、アドレナリン及び睡眠剤等の投与が望ましい。腎障害にはその治療を行う。
なお、血清病はいったん治癒した後、再発することもある。[
8.3参照]
18.1 作用機序
抗毒素は毒素を特異的に中和して、その毒作用を止めることにより毒素性疾患には特効的である。しかし、抗毒素は生体内で遊離状態にある毒素は完全に中和するが、組織に結合した毒素は中和しにくい。したがって、治療に際し、発病後できるだけ早期に本剤を投与するのが効果的である。
マウスを用いた抗毒素による治療効果の成績では、毒素注射後、抗毒素投与までの時間が長くなるにしたがい、治療に必要な抗毒素の量は大量となり、ある程度以上の時間が経過した後は、いくら大量の抗毒素を投与しても治療効果は示されないという報告がある
5)。
バイアル
(溶剤:日本薬局方注射用水20mL 1バイアル添付)