医療用医薬品 : ガザイバ

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医薬品情報


総称名 ガザイバ
一般名 オビヌツズマブ(遺伝子組換え)
欧文一般名 Obinutuzumab(Genetical Recombination)
製剤名 オビヌツズマブ(遺伝子組換え)注
薬効分類名 抗悪性腫瘍剤 ヒト化抗CD20モノクローナル抗体
薬効分類番号 4291
ATCコード L01FA03
KEGG DRUG
D09321 オビヌツズマブ
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2024年6月 改訂(第4版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ガザイバ点滴静注1000mg GAZYVA for Intravenous Infusion 中外製薬 4291444A1028 458799円/瓶 生物由来製品, 劇薬, 処方箋医薬品注)

1. 警告

本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して、十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与すること。

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○CD20陽性の濾胞性リンパ腫
○CD20陽性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)

5. 効能または効果に関連する注意

<効能共通>
5.1 フローサイトメトリー法等により検査を行い、CD20抗原が陽性であることが確認された患者に使用すること。
<CD20陽性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)>
5.2 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.417.1.5参照]

6. 用法及び用量

<CD20陽性の濾胞性リンパ腫>
通常、成人には、オビヌツズマブ(遺伝子組換え)として1日1回1000mgを点滴静注する。導入療法は、以下のサイクル期間及び投与サイクル数とし、1サイクル目は1、8、15日目、2サイクル目以降は1日目に投与する。維持療法では、単独投与により2カ月に1回、最長2年間、投与を繰り返す。
○シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロン又はメチルプレドニゾロン併用の場合
3週間を1サイクルとし、8サイクル
○シクロホスファミド水和物、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロン又はメチルプレドニゾロン併用の場合
3週間を1サイクルとし、8サイクル
○ベンダムスチン塩酸塩併用の場合
4週間を1サイクルとし、6サイクル
<CD20陽性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)>
アカラブルチニブとの併用において、通常、成人には、オビヌツズマブ(遺伝子組換え)として、アカラブルチニブとの併用での1サイクル目の1日目に100mg、2日目に900mg、8日目及び15日目に1000mg、2サイクル目以降は1日目に1000mgを点滴静注する。28日間を1サイクルとし、最大で6サイクル投与を繰り返す。

7. 用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 有害事象により本剤を投与できなかった場合には、回復するまで投与を延期すること。
7.2 本剤投与によるinfusion reactionを軽減させるために、本剤投与の30分〜1時間前に、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤の前投与を行うこと。また、副腎皮質ホルモン剤と併用しない場合は、本剤の投与に際して、副腎皮質ホルモン剤の前投与を考慮すること。
<CD20陽性の濾胞性リンパ腫>
7.3 導入療法中に併用する抗悪性腫瘍剤を中止した場合、本剤単独投与を継続することができる。
7.4 50mg/時の投与速度で点滴静注を開始すること。Infusion reactionが認められなかった場合には、患者の状態を観察しながら投与速度を下表のように変更することができる。
本剤の投与速度
投与時期投与速度
第1サイクル初回投与50mg/時で開始し、30分毎に50mg/時ずつ、最大400mg/時まで上げることができる。
2回目以降前回の投与でGrade 2以上のinfusion reactionが発現しなかった場合は、100mg/時で投与を開始し、30分毎に100mg/時ずつ、最大400mg/時まで上げることができる。
第2サイクル以降第1サイクルの投与でGrade 3以上のinfusion reactionが発現しなかった場合は、最初の30分は100mg/時で開始し、その後最大900mg/時まで上げることができる。なお、前回の投与でGrade 3のinfusion reactionが発現した場合は、初回投与時の速度で行うこと。
7.5 Infusion reactionが発現した場合、下表のように、本剤の投与中断、中止、投与速度の変更等の対応を行うこと。
Infusion reaction発現時の処置及び投与再開時の投与速度
Infusion reactionのGrade処置投与再開時の投与速度
Grade 2以下投与を中断するか投与速度を下げて適切な処置を行うこと。投与を中断した場合、infusion reactionが回復後、投与を再開できる。投与中断前の半分以下の速度とすること。その後、infusion reactionが認められなかった場合は、以下のように投与速度を上げることができる。
・infusion reaction発現時、第1サイクルの投与方法で投与していた場合は、30分毎に50mg/時ずつ、最大400mg/時まで投与速度を上げることができる。
・infusion reaction発現時、投与時間短縮投与方法注)で投与していた場合は、最大900mg/時まで上げることができる。
Grade 3投与を中断して適切な処置を行うこと。Infusion reactionが回復後、投与を再開できる。ただし、Grade 3のinfusion reactionが再発した場合は、投与を直ちに中止し、本剤を再投与しないこと。投与中断前の半分以下かつ400mg/時以下の速度とすること。その後、infusion reactionが認められなかった場合は、30分毎に50mg/時ずつ、最大400mg/時まで投与速度を上げることができる。
Grade 4投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。また、本剤を再投与しないこと。
<CD20陽性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)>
7.6 アカラブルチニブを28日間投与した後に本剤の投与を開始すること。
7.7 25mg/時の投与速度で点滴静注を開始すること。Infusion reactionが認められなかった場合には、患者の状態を観察しながら投与速度を下表のように変更することができる。
本剤の投与速度
投与時期投与速度
第1サイクル1日目
(100mg)
25mg/時で4時間以上かけて投与する。
投与速度を上げないこと。
2日目
(900mg)
前回の投与でinfusion reactionが発現しなかった場合は、50mg/時で投与を開始し、30分毎に50mg/時ずつ、最大400mg/時まで上げることができる。なお、前回の投与でinfusion reactionが発現した場合は、25mg/時で投与を開始し、30分毎に50mg/時ずつ、最大400mg/時まで上げることができる。
8日目及び15日目
(1000mg)
前回の投与でinfusion reactionが発現せず、最終的な投与速度が100mg/時以上であった場合は、100mg/時で投与を開始し、30分毎に100mg/時ずつ、最大400mg/時まで上げることができる。なお、前回の投与でinfusion reactionが発現した場合は、50mg/時で投与を開始し、30分毎に50mg/時ずつ、最大400mg/時まで上げることができる。
第2サイクル以降1日目
(1000mg)
7.8 Infusion reactionが発現した場合、下表のように、本剤の投与中断、中止、投与速度の変更等の対応を行うこと。
Infusion reaction発現時の処置及び投与再開時の投与速度
Infusion reactionのGrade処置投与再開時の投与速度
Grade 2以下投与を中断するか投与速度を下げて適切な処置を行うこと。投与を中断した場合、infusion reactionが回復後、投与を再開できる。投与中断前の半分以下の速度とすること。その後、infusion reactionが認められなかった場合は、以下のように投与速度を上げることができる。
・infusion reaction発現時、第1サイクル1日目の投与方法で投与していた場合は、25mg/時まで投与速度を上げることができる。
・infusion reaction発現時、第1サイクル2日目以降の投与方法で投与していた場合は、30分毎に50mg/時ずつ、最大400mg/時まで上げることができる。
Grade 3投与を中断して適切な処置を行うこと。Infusion reactionが回復後、投与を再開できる。ただし、Grade 3のinfusion reactionが再発した場合は、投与を直ちに中止し、本剤を再投与しないこと。
Grade 4投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。また、本剤を再投与しないこと。

8. 重要な基本的注意

8.1 B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。[9.1.211.1.6参照]
8.2 好中球減少、発熱性好中球減少、白血球減少があらわれることがあるので、本剤の治療開始前、治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、本剤の投与にあたっては、G-CSF製剤の適切な使用に関しても考慮すること。[9.1.511.1.3参照]
8.3 血小板減少があらわれることがあるので、患者の状態を注意深く観察し、また頻回に血液検査を行うこと。[9.1.511.1.4参照]
8.4 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.2参照]
8.5 間質性肺疾患があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状を十分に観察すること。[11.1.10参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症を合併している又は再発性感染症の既往歴を有する患者
免疫抑制作用により感染症を悪化させる又は再発させるおそれがある。[11.1.5参照]
9.1.2 肝炎ウイルスの感染又は既往を有する患者
本剤の治療期間中及び治療終了後は、継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、B型肝炎ウイルスの再活性化により肝炎があらわれるおそれがある。[8.111.1.6参照]
9.1.3 心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者
投与中又は投与後に不整脈、狭心症等を悪化又は再発させるおそれがある。[11.1.8参照]
9.1.4 肺機能障害のある患者又はその既往歴のある患者
投与中又は投与直後に気管支攣縮や低酸素症を伴う急性の呼吸器障害があらわれ、肺機能を悪化させるおそれがある。[11.1.1参照]
9.1.5 重篤な骨髄機能低下のある患者
好中球減少及び血小板減少を増悪させ重篤化させるおそれがある。[8.28.311.1.311.1.4参照]
9.1.6 腫瘍量の多い患者
Infusion reactionがあらわれ、重篤化させるおそれがある。[11.1.1参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(カニクイザル)において、出生児でBリンパ球数の枯渇が認められている。また、ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られている。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(カニクイザル)において、乳汁への移行が報告されている。ヒトでの乳汁移行を検討したデータはない。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。臨床試験において、高齢者に重篤な副作用の発現率が高い傾向が認められている。

10. 相互作用

10.2 併用注意
生ワクチン又は弱毒生ワクチン接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。本剤のBリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。
降圧剤一過性の血圧下降があらわれることがある。血圧下降を増強させるおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 Infusion reaction(51.9%)
アナフィラキシー、血圧低下、悪心、悪寒、気管支痙攣、咽頭・咽喉刺激感、喘鳴、喉頭浮腫、心房細動、頻脈、過敏症等を含むinfusion reactionがあらわれることがあり、初回投与時の本剤投与中又は投与開始後24時間以内に多く認められているが、それ以降や、2回目投与以降の本剤投与時にも認められている。抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤の前投与を行った患者においても重度なinfusion reactionが発現したとの報告がある。異常が認められた場合には投与中断、中止、投与速度の変更等の対応を行い、適切な処置(抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤の投与等)を行うこと。[9.1.49.1.6参照]
11.1.2 腫瘍崩壊症候群(0.9%)
異常が認められた場合は本剤の投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[8.4参照]
11.1.3 好中球減少、白血球減少
好中球減少(42.2%)、発熱性好中球減少(5.3%)、白血球減少(8.1%)があらわれることがあり、好中球減少については、遷延する例や本剤の投与終了から4週間以上経過して発現する例も報告されている。[8.29.1.5参照]
11.1.4 血小板減少(11.9%)
血小板減少(本剤投与中又は投与後24時間以内に発現する血小板減少を含む)があらわれることがあり、初回サイクルで多く報告されている。また、出血により死亡に至る可能性がある。異常が認められた場合には血小板輸血や本剤の休薬等の適切な処置を行うとともに、回復するまで定期的に血液検査を実施すること。[8.39.1.5参照]
11.1.5 感染症(29.0%)
細菌、真菌、あるいはウイルスによる感染症(敗血症、肺炎等)があらわれ、死亡に至った例も報告されているので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察すること。[9.1.1参照]
11.1.6 B型肝炎ウイルスの再活性化による劇症肝炎、肝炎の増悪(頻度不明)
死亡に至る可能性もある。異常が認められた場合には、直ちに抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[8.19.1.2参照]
11.1.7 進行性多巣性白質脳症(PML)(0.1%)
本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。またPMLと診断された場合は、以降本剤を再投与しないこと。
11.1.8 心障害(頻度不明)
不整脈(心房細動等)、狭心症、心筋梗塞、心不全等があらわれ、死亡に至った例も報告されている。[9.1.3参照]
11.1.9 消化管穿孔(0.1%)
11.1.10 間質性肺疾患(0.4%)
異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.5参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 10%以上2%以上10%未満2%未満頻度不明
皮膚 脱毛症、発疹、そう痒症、帯状疱疹、潮紅、紅斑、皮膚乾燥蕁麻疹、多汗症、点状出血、皮膚炎、湿疹、寝汗 
  結膜炎、眼充血 
肝臓 ALT上昇、AST上昇  
血液 貧血、リンパ球数減少静脈炎、血栓性静脈炎、静脈障害リンパ節痛
消化器悪心(37.5%)、便秘、嘔吐、下痢腹痛、口内炎、消化不良口腔内潰瘍、口内乾燥、胃腸炎、歯周炎、痔核大腸炎
循環器 低血圧、高血圧頻脈、徐脈、動悸 
呼吸器 呼吸困難、咳嗽、口腔咽頭痛、咽頭異常感覚、低酸素症鼻閉、鼻漏 
精神神経系末梢性ニューロパチー、頭痛味覚障害、錯感覚、浮動性めまい、不眠症嗜眠、味覚異常、うつ病 
その他疲労(24.3%)、発熱、悪寒食欲減退、関節痛、無力症、粘膜の炎症、倦怠感、胸部不快感、四肢痛、筋肉痛、挫傷、血中尿酸増加、浮腫背部痛、腫脹、体重減少、胸痛、低カリウム血症、低γグロブリン血症、筋痙縮、頻尿、血中クレアチニン増加、疼痛、注射部位疼痛、糖尿病、排尿困難、尿失禁、骨痛 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤の投与時にはバイアルから必要量を抜き取り、日局生理食塩液で希釈して以下の総液量とすること。希釈液として日局生理食塩液以外は使用しないこと。
1回投与量抜き取り量希釈後の総液量
100mg4mL100mL
900mg36mL250mL
1000mg40mL250mL
14.1.2 調製時は静かに転倒混和すること。
14.1.3 用時調製し、調製後は速やかに使用すること。
14.1.4 やむを得ず、調製後速やかに使用せず希釈液を保存する場合は、2〜8℃で保存し、調製の翌日までに使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 他剤との混注をしないこと。
14.2.2 0.2又は0.22μmのインラインフィルターを使用すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与時
CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫患者に本剤200、400、800及び1200mg注1)を点滴静注したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。AUClast及びCmaxは200〜1200mgの用量範囲で用量比例性を示した。全身クリアランス(CL)及び消失半減期(t1/2)は投与量によらず同程度の値を示した1)
単回投与後の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
単回投与時の薬物動態パラメータ
用量(mg)例数AUClast(μg・day/mL)Cmax(μg/mL)CL(mL/day)t1/2(day)
2003305±39.579.0±17.2257±12.69.65±2.00
4003768±109157±24.4220±49.010.9±1.80
80031470±297358±37.2347±82.46.11±0.617
120031970±624415±81.7248±15514.5±8.87
注1)承認された最大用量は1000mgである。
16.1.2 反復投与時
未治療CD20陽性濾胞性リンパ腫患者に化学療法(CHOP又はベンダムスチン)併用下で本剤を、1サイクル3週間を最大8サイクル又は1サイクル4週間を最大6サイクルにわたって点滴静注したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)。なお、本剤はサイクル1の1日目及び8日目、以降は各サイクルの1日目に1000mgを点滴静注した注2)(外国人における成績)。
反復投与時の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
反復投与時の薬物動態パラメータ
併用薬時期例数AUClast(μg・day/mL)Cmax(μg/mL)CL(mL/day)t1/2(day)
CHOPサイクル1の1日目271310±380324±82.7
サイクル1の8日目313640±1640406±128
サイクル82820700±8300638±223126±33.637.2±11.6
ベンダムスチンサイクル1の1日目321249±427314±88.2
サイクル1の8日目345750±2580502±151
サイクル63022700±12700646±18397.9±34.339.0±12.7
注2)CD20陽性の濾胞性リンパ腫の承認された用法及び用量は、導入療法では1サイクル目の1、8、15日目、2サイクル目以降の1日目、維持療法では2カ月に1回の1000mgの点滴静注である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<CD20陽性の濾胞性リンパ腫>
17.1.1 国際共同第III相ランダム化比較試験(BO21223試験[GALLIUM試験])
未治療のCD20陽性低悪性度非ホジキンリンパ腫患者1401例(日本人129例を含む)を対象に、リツキシマブ+化学療法(CHOP注1)、CVP注2)又はベンダムスチン注3))併用療法を対照群とし、本剤と化学療法を併用したときの有効性を検討した。本剤1000mgを3週間毎(CHOP又はCVP併用時)又は4週間毎(ベンダムスチン併用時)に各サイクルの1日目に投与し、サイクル1のみ8日目、15日目にも本剤1000mgを投与した。リツキシマブは375mg/m2を3週間毎(CHOP又はCVP併用時)又は4週間毎(ベンダムスチン併用時)に各サイクルの1日目に投与した。導入療法期間は3週間毎の場合は8サイクル、4週間毎の場合は6サイクルとした。導入療法終了時に部分奏効以上の奏効が得られた場合は、維持療法として本剤1000mg又はリツキシマブ375mg/m2を2カ月毎に2年間投与した。その結果、濾胞性リンパ腫患者1202例において、本剤併用群では、対照群に比べ主要評価項目である治験責任医師判定による無増悪生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]:0.66[0.51〜0.85]、[層別Log-rank検定:P=0.0012(有意水準両側0.012)]、2016年1月31日データカットオフ)、中央値[95%信頼区間]は本剤併用群では未達[推定不能]、対照群では未達[47.1カ月〜推定不能]であった3)。濾胞性リンパ腫患者の安全性評価対象595例(日本人65例を含む)において、565例(95.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、infusion reaction(59.0%)、好中球減少(45.5%)、悪心(43.0%)、感染症(37.0%)、疲労(26.9%)、発熱(25.5%)であった。
注1)3週間を1サイクルとし、シクロホスファミド750mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2及びビンクリスチン1.4mg/m2を各サイクル1日目に投与し、プレドニゾン(国内未承認)/プレドニゾロン100mg又はメチルプレドニゾロン80mgを各サイクルの1日目〜5日目に投与。
注2)3週間を1サイクルとし、シクロホスファミド750mg/m2及びビンクリスチン1.4mg/m2を各サイクル1日目に投与し、プレドニゾン(国内未承認)/プレドニゾロン100mg又はメチルプレドニゾロン80mgを各サイクルの1日目〜5日目に投与。
注3)4週間を1サイクルとし、ベンダムスチン90mg/m2を各サイクルの1日目及び2日目に投与。
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
17.1.2 海外第III相ランダム化比較試験(GAO4753g試験[GADOLIN試験])
リツキシマブ治療抵抗性のCD20陽性低悪性度非ホジキンリンパ腫患者396例を対象に、ベンダムスチンを対照群とし、本剤とベンダムスチンを併用したときの有効性を検討した。対照群は、ベンダムスチン120mg/m2を4週間毎に各サイクルの1日目及び2日目に投与注4)し、最大6サイクル繰り返した。維持療法期においては経過観察とされた。本剤併用群は、本剤1000mgを4週間毎に各サイクルの1日目に投与し、サイクル1のみ8日目、15日目にも本剤1000mgを投与した。併用するベンダムスチンは90mg/m2を各サイクルの1日目及び2日目に投与した。導入療法期間は6サイクルとし、導入療法終了時に病勢の進行が認められない場合は、維持療法として本剤1000mgを2カ月毎に2年間投与した。その結果、低悪性度非ホジキンリンパ腫患者396例において、本剤併用群では、対照群に比べ主要評価項目である中央判定による無増悪生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]:0.55[0.40〜0.74]、[層別Log-rank検定:P=0.0001(有意水準両側0.015)]、2014年9月1日データカットオフ)、中央値[95%信頼区間]は本剤併用群では未達[22.5カ月〜推定不能]、対照群では14.9カ月[12.8〜16.6カ月]であった。また、濾胞性リンパ腫患者321例における中央判定による無増悪生存期間のハザード比[95%信頼区間]は0.48[0.34〜0.68]であった4)。濾胞性リンパ腫患者の安全性評価対象164例において、156例(95.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、infusion reaction(64.6%)、悪心(45.7%)、疲労(35.4%)、好中球減少(33.5%)、感染症(28.7%)であった。
注4)ベンダムスチン単独投与における国内承認用法・用量:通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(低悪性度非ホジキンリンパ腫患者)
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(濾胞性リンパ腫患者)
17.1.3 国際共同第IV相試験(MO40597試験[GAZELLE試験])
未治療の濾胞性リンパ腫患者113例(日本人27例を含む)を対象に、本剤と化学療法(CHOP注1)、CVP注2)又はベンダムスチン注3))を併用したときの安全性等を検討した。本剤1000mgを3週間毎(CHOP又はCVP併用時)又は4週間毎(ベンダムスチン併用時)に各サイクルの1日目に投与し、サイクル1のみ8日目、15日目にも本剤1000mgを投与した。サイクル1は本剤を50mg/時で開始し、最大400mg/時で投与した。サイクル1でGrade 3以上のinfusion reactionが発現しなかった場合、サイクル2以降に本剤を100mg/時で開始し、最大900mg/時で投与(目標投与時間:90分)した。導入療法期間は3週間毎の場合は8サイクル、4週間毎の場合は6サイクルとした。導入療法終了時に部分奏効以上の奏効が得られた場合は、維持療法として本剤1000mgを2カ月毎に2年間投与した。その結果、主要評価項目であるサイクル1でGrade 3以上のinfusion reactionが発現しなかった被験者のうち、サイクル2におけるGrade 3以上のinfusion reactionの発現割合(95%信頼区間)は0%(0%,3.66%)(0/99例)であった5)。副次評価項目である導入療法終了時点の奏効割合は86.7%[95%信頼区間:79.1-92.4]であった。導入療法終了時点の安全性評価対象113例(日本人27例を含む)において、110例(97.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、infusion reaction(61.1%)、好中球減少症(59.3%)、悪心(36.3%)であった。
<CD20陽性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)>
17.1.4 海外第III相試験(ACE-CL-007試験)
未治療のCD20陽性の慢性リンパ性白血病患者注5)535例を対象に、本剤+アカラブルチニブ併用投与注6)、及びアカラブルチニブ1回100mgを1日2回投与するアカラブルチニブ単独投与の有効性及び安全性を本剤+chlorambucil注7)併用投与(対照群)注8)と比較する非盲検無作為化第III相試験を実施した。
独立評価委員会判定による無増悪生存期間の中間解析の結果、本剤+アカラブルチニブ併用投与群は対照群と比較して、統計学的に有意な延長を示した(主要評価項目:ハザード比0.10、95%信頼区間0.06〜0.17、p<0.0001)。無増悪生存期間の中央値は、本剤+アカラブルチニブ併用投与群で未到達、対照群で22.6カ月であった(2019年2月8日データカットオフ)6)
無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(ACE-CL-007試験)
注5)65歳以上、又は65歳未満で併存疾患を有する([1]クレアチニンクリアランスが30〜69mL/min、[2]Cumulative Illness Rating Scale for Geriatric(CIRS-G)スコアが6超の少なくとも1つを満たす)患者が対象とされた。
注6)28日間を1サイクルとし、アカラブルチニブ1回100mgを1日2回、サイクル1の1日目から投与。本剤100mgをサイクル2の1日目、900mgをサイクル2の2日目、1000mgをサイクル2の8日目及び15日目に投与した後、1000mgをサイクル3からサイクル7の1日目に投与。
注7)chlorambucilは本邦で未承認である。
注8)28日間を1サイクルとし、本剤100mgをサイクル1の1日目、900mgをサイクル1の2日目、1000mgをサイクル1の8日目及び15日目に投与した後、1000mgをサイクル2からサイクル6の1日目に投与。chlorambucil 0.5mg/kgをサイクル1からサイクル6の1日目及び15日目に投与。
本剤+アカラブルチニブ併用投与された178例中133例(74.7%)に副作用が認められた。主な副作用は好中球減少症22.5%(40/178例)、頭痛22.5%(40/178例)、下痢21.9%(39/178例)、挫傷15.2%(27/178例)、疲労12.4%(22/178例)、悪心10.1%(18/178例)、血小板減少症9.6%(17/178例)、発疹6.7%(12/178例)、関節痛6.2%(11/178例)、点状出血5.6%(10/178例)、浮動性めまい5.6%(10/178例)及び貧血5.1%(9/178例)であった。[5.2参照]
17.1.5 国内第I相試験(D8220C00001試験)パート3
未治療のCD20陽性の慢性リンパ性白血病患者注5)10例を対象に、本剤及びアカラブルチニブを併用投与注6)した。治験責任医師判定による奏効率は100%[95%信頼区間:66.4〜100%](9/9例)であった7)8)
10例中9例(90.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛3例(30.0%)、貧血、好中球数減少、血小板数減少、紫斑及び斑状丘疹状皮疹、各2例(20.0%)であった。[5.2参照]

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体であり、ヒトCD20に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている9)10)11)
18.2 抗腫瘍効果
本剤は、CD20陽性のヒト濾胞性リンパ腫由来RL細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全(SCID)マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した10)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. オビヌツズマブ(遺伝子組換え)

一般的名称 オビヌツズマブ(遺伝子組換え)
一般的名称(欧名) Obinutuzumab(Genetical Recombination)
分子量 約148,000〜150,000
理化学知見その他 オビヌツズマブは、遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体であり、マウス抗ヒトCD20モノクローナル抗体の相補性決定部、並びにヒトIgG1のフレームワーク部及び定常部からなる。オビヌツズマブは、抗体遺伝子とともにβ-1,4-マンノシル−糖タンパク質4-β-N-アセチルグルコサミン転移酵素及びマンノシル−オリゴ糖1,3-1,6-α-マンノシダーゼの遺伝子が導入されたチャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。オビヌツズマブは、449個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び219個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約148,000〜150,000)である。
KEGG DRUG D09321

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

40mL×1バイアル

23. 主要文献

  1. Ogura M,et al., Cancer Sci., 104, 105-10, (2013) »PubMed »DOI
  2. 海外第Ib相試験(BO21000試験)(2018年7月2日承認、申請資料概要2.7.2.2.6)
  3. 国際共同第III相比較試験(BO21223試験)(2018年7月2日承認、申請資料概要2.7.3.2.1)
  4. 海外第III相比較試験(GAO4753g試験)(2018年7月2日承認、申請資料概要2.7.3.2.2)
  5. 社内資料:国際共同第IV相試験(MO40597試験)
  6. Sharman JP,et al., Lancet., 395 (10232), 1278-1291, (2020) »PubMed
  7. Izutsu K,et al., Cancer Sci., 112 (6), 2405-2415, (2021) »PubMed
  8. 社内資料:国内第I相試験(D8220C00001試験)
  9. Mossner E,et al., Blood., 115, 4393-402, (2010) »PubMed
  10. Herter S,et al., Mol Cancer Ther., 12, 2031-42, (2013) »PubMed
  11. マクロファージ/単球によるADCC/ADCP活性(2018年7月2日承認、申請資料概要2.6.2.2.2.3(3))

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本新薬株式会社 製品情報担当
〒601-8550 京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14
電話:フリーダイヤル 0120-321-372
075-321-9064
FAX:075-321-9061
製品情報問い合わせ先
日本新薬株式会社 製品情報担当
〒601-8550 京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14
電話:フリーダイヤル 0120-321-372
075-321-9064
FAX:075-321-9061

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
中外製薬株式会社
東京都中央区日本橋室町2-1-1
26.2 販売
日本新薬株式会社
京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版