医療用医薬品 : メトホルミン塩酸塩 |
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総称名 | メトホルミン塩酸塩 |
一般名 | メトホルミン塩酸塩 |
欧文一般名 | Metformin Hydrochloride |
薬効分類名 | ビグアナイド系経口血糖降下剤 |
薬効分類番号 | 3962 |
ATCコード | A10BA02 |
KEGG DRUG |
D00944
メトホルミン塩酸塩
商品一覧 米国の商品 相互作用情報 |
KEGG DGROUP |
DG01684
ビグアナイド系糖尿病薬
商品一覧 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
---|---|---|---|---|---|
メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「日医工」 | Metformin Hydrochloride MT | 日医工 | 3962002F2094 | 10.1円/錠 | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「日医工」 (後発品) | Metformin Hydrochloride MT | 日医工 | 3962002F3112 | 10.1円/錠 | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり,死亡に至った例も報告されている。乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。(「禁忌」の項参照)
腎機能障害又は肝機能障害のある患者,高齢者に投与する場合には,定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与すること。特に75歳以上の高齢者では,本剤投与の適否を慎重に判断すること。(「慎重投与」,「重要な基本的注意」,「高齢者への投与」の項参照)
次の患者には投与しないこと
次に示す患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい。(「重要な基本的注意」,「重大な副作用」の項参照)]
乳酸アシドーシスの既往のある患者
重度の腎機能障害(eGFR30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)[腎臓における本剤の排泄が減少し,本剤の血中濃度が上昇する。]
重度の肝機能障害のある患者[肝臓における乳酸の代謝能が低下する。]
心血管系,肺機能に高度の障害(ショック,心不全,心筋梗塞,肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢,嘔吐等の胃腸障害のある患者,経口摂取が困難な患者等)
過度のアルコール摂取者[肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また,脱水状態を来すことがある。(「併用禁忌」の項参照)]
重症ケトーシス,糖尿病性昏睡又は前昏睡,1型糖尿病の患者[輸液,インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須である。]
重症感染症,手術前後,重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。また,乳酸アシドーシスを起こしやすい。]
栄養不良状態,飢餓状態,衰弱状態,脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者[低血糖を起こすおそれがある。]
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
本剤の成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
ただし,下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
食事療法・運動療法のみ
食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
通常,成人にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し,1日2〜3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが,通常1日750〜1,500mgとする。なお,患者の状態により適宜増減するが,1日最高投与量は2,250mgまでとする。
通常,10歳以上の小児にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し,1日2〜3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが,通常1日500〜1,500mgとする。なお,患者の状態により適宜増減するが,1日最高投与量は2,000mgまでとする。
中等度の腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では,メトホルミンの血中濃度が上昇し,乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため,以下の点に注意すること。特に,eGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(「重要な基本的注意」,「重大な副作用」,「薬物動態」の項参照)
投与は,少量より開始すること。
投与中は,より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し,投与の適否及び投与量の調節を検討すること。
効果不十分な場合は,メトホルミン塩酸塩として1日最高投与量を下表の目安まで増量することができるが,効果を観察しながら徐々に増量すること。また,投与にあたっては,1日量を1日2〜3回分割投与すること。
中等度の腎機能障害のある患者における1日最高投与量の目安
推算糸球体濾過量(eGFR)(mL/min/1.73m2) | 1日最高投与量の目安 |
45≦eGFR<60 | 1,500mg |
30≦eGFR<45 | 750mg |
慎重投与
次に掲げる状態の患者
不規則な食事摂取,食事摂取量の不足[低血糖を起こすおそれがある。]
激しい筋肉運動[低血糖を起こすおそれがある。]
軽度〜中等度の腎機能障害[乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」,「重要な基本的注意」の項参照)]
軽度〜中等度の肝機能障害[乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。(「重要な基本的注意」の項参照)]
感染症[乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。]
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
「併用注意」(1)に示す薬剤との併用[乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。]
他の糖尿病用薬を投与中の患者(「併用注意」,「重大な副作用」の項参照)
重要な基本的注意
まれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがある。リスク因子としては,腎機能障害,肝機能障害,低酸素血症を伴いやすい状態,脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む),過度のアルコール摂取,感染症,高齢者等が知られている。特に,脱水,過度のアルコール摂取等により患者の状態が急変することもあるので,以下の点に注意すること。(「重大な副作用」の項参照)
本剤の投与開始前及びその後も投与中は定期的に,腎機能(eGFR等)及び肝機能を確認するとともに,患者の状態に十分注意して投与の適否及び投与量の調節を検討すること。なお,高齢者等,特に慎重な経過観察が必要な場合には,より頻回に確認すること。(「禁忌」,「用法・用量に関連する使用上の注意」,「高齢者への投与」の項参照)
脱水症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤(利尿剤,SGLT2阻害剤等)との併用時には,特に脱水に注意すること。(「併用注意」の項参照)
本剤の投与開始時及びその後も投与中は適切に,以下の内容を患者及びその家族に十分指導すること。
過度のアルコール摂取を避けること。(「禁忌」,「併用禁忌」の項参照)
発熱,下痢,嘔吐,食事摂取不良等の体調不良(シックデイ)の時は脱水状態が懸念されるため,いったん服用を中止し,医師に相談すること。(「禁忌」の項参照)
乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害,倦怠感,筋肉痛,過呼吸等)があらわれた場合には,直ちに受診すること。(「重大な副作用」の項参照)
ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては,本剤の併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので,検査前は本剤の投与を一時的に中止すること(ただし,緊急に検査を行う必要がある場合を除く)。ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。なお,投与再開時には,患者の状態に注意すること。(「併用注意」の項参照)
低血糖症状を起こすことがあるので,高所作業,自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。また,低血糖症状に関する注意について,患者及びその家族に十分指導すること。
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等,糖尿病類似の症状(腎性糖尿,甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法,運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。
投与する場合には,少量より開始し,血糖値,尿糖等を定期的に検査し,薬剤の効果を確かめ,本剤を3〜4ヵ月投与しても効果が不十分な場合には,速やかに他の治療法への切り替えを行うこと。
投与の継続中に,投与の必要がなくなる場合や,減量する必要がある場合があり,また患者の不養生,感染症の合併等により効果がなくなったり,不十分となる場合があるので,食事摂取量,体重の推移,血糖値,感染症の有無等に留意のうえ,常に投与継続の可否,投与量,薬剤の選択等に注意すること。
相互作用
相互作用序文
本剤はほとんど代謝されず,未変化体のまま尿中に排泄される。
併用禁忌
アルコール(過度の摂取) | 乳酸アシドーシスを起こすことがある。本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒)を避けること。 | 肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また,脱水状態を来すことがある。 |
併用注意
ヨード造影剤 | 併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。 ヨード造影剤を用いて検査を行う場合には,本剤の投与を一時的に中止すること。(「重要な基本的注意」の項参照) | 腎機能が低下し,本剤の排泄が低下することが考えられている。 |
腎毒性の強い抗生物質 ゲンタマイシン等 | 併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に減量・中止するなど適切な処置を行うこと。 | 腎機能が低下し,本剤の排泄が低下することが考えられている。 |
利尿作用を有する薬剤 利尿剤 SGLT2阻害剤等 | 脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがある。脱水症状があらわれた場合には,本剤の投与を中止し,適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照) | 利尿作用を有する薬剤により,体液量が減少し脱水状態になることがある。 |
糖尿病用薬 インスリン製剤 スルホニルウレア剤 速効型インスリン分泌促進薬 α-グルコシダーゼ阻害剤 チアゾリジン系薬剤 DPP-4阻害剤 GLP-1受容体作動薬 SGLT2阻害剤 | 併用により低血糖が起こることがある。 スルホニルウレア剤併用時に低血糖のリスクが増加するおそれがある。 患者の状態を十分観察しながら投与する。低血糖症状が認められた場合には,通常はショ糖を投与し,α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース,ボグリボース,ミグリトール)との併用の場合にはブドウ糖を投与すること。 | 併用による血糖降下作用の増強。 |
たん白同化ホルモン剤 | 併用により低血糖が起こることがある。 スルホニルウレア剤併用時に低血糖のリスクが増加するおそれがある。 患者の状態を十分観察しながら投与する。低血糖症状が認められた場合には,通常はショ糖を投与し,α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース,ボグリボース,ミグリトール)との併用の場合にはブドウ糖を投与すること。 | 機序不明。 |
サリチル酸剤 アスピリン等 | 併用により低血糖が起こることがある。 スルホニルウレア剤併用時に低血糖のリスクが増加するおそれがある。 患者の状態を十分観察しながら投与する。低血糖症状が認められた場合には,通常はショ糖を投与し,α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース,ボグリボース,ミグリトール)との併用の場合にはブドウ糖を投与すること。 | サリチル酸剤の血糖降下作用が考えられている。 |
β遮断剤 プロプラノロール等 | 併用により低血糖が起こることがある。 スルホニルウレア剤併用時に低血糖のリスクが増加するおそれがある。 患者の状態を十分観察しながら投与する。低血糖症状が認められた場合には,通常はショ糖を投与し,α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース,ボグリボース,ミグリトール)との併用の場合にはブドウ糖を投与すること。 | β遮断作用によりアドレナリンを介した低血糖からの回復を遅らせることが考えられている。 |
モノアミン酸化酵素阻害剤 | 併用により低血糖が起こることがある。 スルホニルウレア剤併用時に低血糖のリスクが増加するおそれがある。 患者の状態を十分観察しながら投与する。低血糖症状が認められた場合には,通常はショ糖を投与し,α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース,ボグリボース,ミグリトール)との併用の場合にはブドウ糖を投与すること。 | モノアミン酸化酵素阻害剤によるインスリン分泌促進,糖新生抑制が考えられている。 |
アドレナリン | 併用により血糖降下作用が減弱することがある。 患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | アドレナリンによる末梢での糖利用抑制,肝での糖新生促進,インスリン分泌抑制が考えられている。 |
副腎皮質ホルモン | 併用により血糖降下作用が減弱することがある。 患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 副腎皮質ホルモンによる肝での糖新生促進等が考えられている。 |
甲状腺ホルモン | 併用により血糖降下作用が減弱することがある。 患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 甲状腺ホルモンは糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている。 |
卵胞ホルモン | 併用により血糖降下作用が減弱することがある。 患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 卵胞ホルモンには耐糖能を変化させ,血糖を上昇させる作用が認められている。 |
利尿剤 | 併用により血糖降下作用が減弱することがある。 患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 利尿剤によるカリウム喪失によりインスリン分泌の低下が考えられている。 |
ピラジナミド | 併用により血糖降下作用が減弱することがある。 患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 機序不明。 |
イソニアジド | 併用により血糖降下作用が減弱することがある。 患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | イソニアジドによる炭水化物代謝阻害が考えられている。 |
ニコチン酸 | 併用により血糖降下作用が減弱することがある。 患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | ニコチン酸による血糖上昇作用が考えられている。 |
フェノチアジン系薬剤 | 併用により血糖降下作用が減弱することがある。 患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | フェノチアジン系薬剤によるインスリン分泌抑制,副腎からのアドレナリン遊離が考えられている。 |
シメチジン ドルテグラビル ビクテグラビル バンデタニブ | 本剤の血中濃度が上昇し,作用が増強するおそれがある。観察を十分に行い,必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与すること。 | これらの薬剤の腎臓での有機カチオン輸送系阻害作用により,本剤の排泄が阻害されると考えられている。 |
副作用
副作用発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
(頻度不明)
乳酸アシドーシス
乳酸アシドーシス(血中乳酸値の上昇,乳酸/ピルビン酸比の上昇,血液pHの低下等を示す)は予後不良のことが多い。一般的に発現する臨床症状は様々であるが,胃腸症状,倦怠感,筋肉痛,過呼吸等の症状がみられることが多く,これらの症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し,必要な検査を行うこと。なお,乳酸アシドーシスの疑いが大きい場合には,乳酸の測定結果等を待つことなく適切な処置を行うこと。
低血糖
低血糖があらわれることがあるので,患者の状態を十分観察しながら投与する。低血糖症状(初期症状:脱力感,高度の空腹感,発汗等)が認められた場合には通常はショ糖を投与し,α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース,ボグリボース,ミグリトール)との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。
肝機能障害,黄疸
AST(GOT),ALT(GPT),ALP,γ-GTP,ビリルビンの著しい上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症
筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
その他の副作用
頻度不明 | |
消化器注1) | 下痢,悪心,食欲不振,腹痛,消化不良,嘔吐,腹部膨満感,便秘,胃炎,胃腸障害,放屁増加 |
血液 | 貧血,白血球増加,好酸球増加,白血球減少,血小板減少 |
過敏症注2) | 発疹,そう痒 |
肝臓 | 肝機能異常 |
腎臓 | BUN上昇,クレアチニン上昇 |
代謝異常 | 乳酸上昇,CK(CPK)上昇,血中カリウム上昇,血中尿酸増加,ケトーシス |
その他 | めまい・ふらつき,全身倦怠感注1),空腹感,眠気,動悸,脱力感,発汗,味覚異常,頭重,頭痛,浮腫,ビタミンB12減少注3),筋肉痛注1) |
高齢者への投与
高齢者では,腎機能,肝機能等が低下していることが多く,また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすいので,以下の点に注意すること。
本剤の投与開始前,投与中は定期的に,特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認するなど十分に観察しながら慎重に投与すること。[本剤はほとんど代謝されず,未変化体のまま尿中に排泄される。また,肝機能の低下により乳酸の代謝能が低下する。]
腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止や減量を検討すること。特に75歳以上の高齢者では,乳酸アシドーシスが多く報告されており,予後も不良であることが多いため,本剤投与の適否をより慎重に判断すること。[国内において他社が実施した承認時までの臨床試験において,75歳以上の高齢者への1日1,500mgを超える用量の使用経験は限られている。]
血清クレアチニン値が正常範囲内であっても,年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので,eGFR等も考慮して,慎重に患者の状態を観察すること。
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験(ラット,ウサギ)で胎児への移行が認められており,一部の動物実験(ラット)で催奇形作用が報告されている1)。また,妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。]
授乳中の婦人への投与を避け,やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。]
小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は10歳未満の小児に対する安全性は確立していない。
過量投与
症状
乳酸アシドーシスが起こることがある。(「副作用」の乳酸アシドーシスの項参照)
処置
アシドーシスの補正(炭酸水素ナトリウム静注等),輸液(強制利尿),血液透析等の適切な処置を行う。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
その他の注意
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより,低血糖が起こりやすいとの報告がある。
生物学的同等性試験
メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「日医工」
メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「日医工」及び標準製剤を,クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(メトホルミン塩酸塩として250mg)健康成人男性に絶食単回経口投与して血漿中メトホルミン濃度を測定し,得られた薬物動態パラメータ(AUC,Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果,log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり,両剤の生物学的同等性が確認された2)。
判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
AUC0→24(ng・h/mL) | Cmax(ng/mL) | Tmax(h) | t1/2(h) | |
メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「日医工」 | 5431±1286 | 852.16±179.52 | 2.41±1.09 | 4.304±0.655 |
標準製剤(錠剤,250mg) | 5174±1301 | 820.88±287.70 | 2.45±0.99 | 4.584±0.781 |
血漿中濃度並びにAUC,Cmax等のパラメータは,被験者の選択,体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「日医工」
メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「日医工」及び標準製剤を,クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(メトホルミン塩酸塩として500mg)健康成人男性に絶食単回経口投与して血漿中メトホルミン濃度を測定し,得られた薬物動態パラメータ(AUC,Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果,log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり,両剤の生物学的同等性が確認された2)。
判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
AUC0→24(ng・h/mL) | Cmax(ng/mL) | Tmax(h) | t1/2(h) | |
メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「日医工」 | 9640±997 | 1426.70±173.73 | 2.88±0.96 | 4.032±0.502 |
標準製剤(錠剤,500mg) | 9029±1299 | 1339.23±277.58 | 2.63±1.28 | 4.205±0.514 |
血漿中濃度並びにAUC,Cmax等のパラメータは,被験者の選択,体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
溶出挙動
メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「日医工」は,日本薬局方外医薬品規格第3部に定められた塩酸メトホルミン錠の溶出規格に適合していることが確認されている3)。
腎機能障害患者(外国人データ)
腎機能正常者(クレアチニンクリアランス:>90mL/min),軽度(クレアチニンクリアランス:61〜90mL/min)及び中等度(クレアチニンクリアランス:31〜60mL/min)の腎機能障害者にメトホルミン塩酸塩850mgを空腹時に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった4)。
Cmax(μg/mL) | AUC0-∞(μg・h/mL) | T1/2(h) | CLR(mL/min) | |
腎機能正常者(3例) | 1.64±0.50 | 11.22±3.19 | 11.2±5.2 | 394.7±83.8 |
軽度腎機能障害者(5例) | 1.86±0.52 | 13.22±2.00 | 17.3±21.2 | 383.6±122.3 |
中等度腎機能障害者(4例) | 4.12±1.83 | 58.30±36.58 | 16.2±7.6 | 108.3±57.2 |
血糖低下薬であるが,その機序として,AMPキナーゼの活性化を介してグルコーストランスポーター4を細胞膜へ移動させる作用や,肝臓や骨格筋細胞で脂肪酸の燃焼を促進して細胞内脂肪酸濃度を下げる作用など,インスリン受容体以降のシグナル伝達の促進が考えられている5)。
一般名 | メトホルミン塩酸塩 |
一般名(欧名) | Metformin Hydrochloride |
化学名 | 1,1-Dimethylbiguanide monohydrochloride |
分子式 | C4H11N5・HCl |
分子量 | 165.62 |
融点 | 約221℃(分解) |
性状 | 白色の結晶又は結晶性の粉末である。 水に溶けやすく,酢酸(100)にやや溶けにくく,エタノール(99.5)に溶けにくい。 |
KEGG DRUG | ![]() |
錠剤を取り出すときに特異なにおいがすることがある。[本剤の原料に由来する成分による。]
本剤とオルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は避けること。[一包化して高温高湿度条件下にて保存した場合,本剤が変色することがある。]
安定性試験
本品につき加速試験(40℃,相対湿度75%,6ヵ月)を行った結果,メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「日医工」及びメトホルミン塩酸塩錠500mgMT「日医工」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された6)。
メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「日医工」
100錠(10錠×10;PTP)
1000錠(10錠×100;PTP)
メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「日医工」
100錠(10錠×10;PTP)
1000錠(10錠×100;PTP)
1. | Tuchmann-Duplessis,H.et al., Compt.Rend., 253, 321, (1961) »PubMed |
2. | 日医工株式会社 社内資料:生物学的同等性試験 |
3. | 日医工株式会社 社内資料:溶出試験 |
4. | Sambol N.C.et al., J.Clin.Pharmacol., 35, 1094, (1995) »PubMed »DOI |
5. | 第十七改正日本薬局方解説書, C-5480, (2016) 廣川書店,東京 |
6. | 日医工株式会社 社内資料:安定性試験 |
改訂履歴 |
2018年7月 改訂 |
文献請求先 |
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業態及び業者名等 |
製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2021/4/20 版 |