医療用医薬品 : ベオーバ

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医薬品情報


総称名 ベオーバ
一般名 ビベグロン
欧文一般名 Vibegron
製剤名 ビベグロン錠
薬効分類名 選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤
薬効分類番号 2590
ATCコード G04BD15
KEGG DRUG
D10433 ビベグロン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年10月 改訂(第5版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ベオーバ錠50mg Beova Tablets 50mg 杏林製薬 2590017F1025 146.1円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 本剤を適用する際、十分な問診により臨床症状を確認するとともに、類似の症状を呈する疾患(尿路感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌などの下部尿路における新生物等)があることに留意し、尿検査等により除外診断を実施すること。なお、必要に応じて専門的な検査も考慮すること。
5.2 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、それに対する治療を優先させること。

6. 用法及び用量

通常、成人にはビベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重篤な心疾患のある患者
心拍数増加等により、症状が悪化するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 高度の肝機能障害のある患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において胎児への移行が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。[16.6.3参照]

10. 相互作用

相互作用序文
ビベグロンはCYP3A4又はP-糖タンパク(P-gp)の基質であることが示唆されている。
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
薬物代謝酵素用語
P-糖タンパク(P-gp)
10.2 併用注意
アゾール系抗真菌剤
イトラコナゾール等
HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビル等
16.7.2参照]
ケトコナゾールと併用したとき、ビベグロンの血中濃度が上昇したとの報告がある。CYP3A4及びP-gpを阻害する薬物と併用することにより、ビベグロンの血中濃度が上昇する可能性がある。
リファンピシン
フェニトイン
カルバマゼピン
ビベグロンの作用が減弱する可能性がある。CYP3A4及びP-gpを誘導する薬物と併用することにより、ビベグロンの血中濃度が低下する可能性がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 尿閉(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1〜2%未満1%未満頻度不明
精神神経系  頭痛、めまい、不眠症、傾眠
消化器口内乾燥、便秘 悪心、腹部膨満、消化不良、胃炎、胃食道逆流性疾患、下痢、腹痛、食欲減退
循環器  QT延長、動悸
泌尿器・腎臓尿路感染(膀胱炎等)、残尿量増加 排尿躊躇、膀胱痛、遺尿、排尿困難
皮膚  発疹、多汗症、そう痒症
 羞明眼乾燥、霧視
肝臓 AST上昇、ALT上昇肝機能異常、γ-GTP上昇、Al-P上昇
その他  疲労、ほてり、高脂血症、体液貯留、筋肉痛、浮腫、CK上昇、口渇、血圧上昇、胸部不快感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性6例にビベグロン10〜300mg注)を空腹時に単回経口投与したとき、Cmax及びAUCinfは投与量比以上の上昇を示したが、tmax及びt1/2は投与量によらず一定であった。
図1 空腹時単回投与したときの血漿中濃度推移
表1 空腹時単回投与したときの薬物動態パラメータ
投与量Cmax(nmol/L)tmax(hr)AUCinf(μmol・hr/L)t1/2(hr)
10mg6.57(60.9)1.00(1.00-4.00)0.212(30.3)60.5(40.8)
50mg134(34.7)3.00(0.800-3.00)1.92(27.2)64.0(12.6)
100mg360(70.3)2.50(0.500-4.00)3.89(23.1)58.9(21.3)
200mg1090(40.3)2.00(0.500-4.00)11.5(16.2)59.1(16.7)
300mg1580(36.8)2.00(1.00-4.00)13.7(25.5)60.7(15.7)
16.1.2 反復投与
健康成人男性6例にビベグロン50、100及び200mg注)を1日1回14日間空腹時反復投与したときのAUC0-24は、投与1日目と比べて1.84〜2.29倍であった。ビベグロンの血漿中濃度は、投与開始後7日以内に定常状態に達した。
表2 反復投与したときの薬物動態パラメータ
投与量投与日(日)Cmax(nmol/L)tmax##(hr)AUC0-24(μmol・hr/L)t1/2(hr)
50mg190.1(73.7)1.00(0.500-4.00)0.559(69.4)
14110(67.2)3.00(0.500-3.00)1.28(43.5)69.6(9.9)
100mg1324(135.6)1.50(0.500-6.00)1.89(86.1)
14354(60.3)2.00(2.00-4.00)3.72(29.6)64.9(34.9)
200mg1778(57.4)2.00(1.00-4.00)5.31(46.3)
141380(28.1)1.00(0.500-6.00)9.76(14.8)59.7(3.3)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性8例にビベグロン50mgを食後に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下の通りであった。空腹時に投与したときのCmax及びAUCinfは、食後投与したときに比べ、それぞれ1.73及び1.40倍であったが、tmax及びt1/2に影響は認められなかった。
表3 食後単回投与したときの薬物動態パラメータ
Cmax(nmol/L)tmax(hr)AUCinf(μmol・hr/L)t1/2(hr)
89.7(84.3)1.00(0.500-2.00)1.37(39.7)68.9(15.0)
16.3 分布
ビベグロンの血漿タンパク結合率は49.6%〜51.3%であった。ビベグロンの血液/血漿中濃度比は0.8〜1.0であった(in vitro)。
16.4 代謝
ビベグロン経口投与後のヒト血漿中には主に未変化体として存在し、代謝物として3種のグルクロン酸抱合体及び2種の酸化的代謝物が認められた(日本人及び外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男性6例に14Cで標識したビベグロン100mg注)を単回経口投与したマスバランス試験の結果、投与後20日までに、投与放射能の20.3%が尿中に、59.2%が糞中に排泄された。未変化体は尿中放射能の92.7%、糞中放射能の91.0%を占めた(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
ビベグロン100mg注)を単回経口投与したときのCmax及びAUCinfを健康成人と比べると、軽度の腎機能障害者(eGFR 90〜60mL/min/1.73m2)ではそれぞれ1.96及び1.49倍、中等度の腎機能障害者(eGFR 60〜30mL/min/1.73m2)ではそれぞれ1.68及び2.06倍、高度の腎機能障害者(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)ではそれぞれ1.42及び1.83倍であった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
ビベグロン100mg注)を単回経口投与したときのCmax及びAUCinfを健康成人と比べると、中等度の肝機能障害者(Child-Pughスコア7〜9)ではそれぞれ1.35及び1.27倍であった(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.6.3 高齢者
健康高齢男性(65〜74歳、6例)にビベグロン100mg注)を1日1回14日間反復経口投与したときのCmax及びAUC0-24は、健康成人男性(23〜39歳、5例)と比べて、それぞれ1.88及び1.45倍であった。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 トルテロジン
健康成人12例にビベグロン100mg注)とCYP2D6の基質であるトルテロジン4mgを併用投与したとき、ビベグロンのCmax及びAUC0-24は、ビベグロンを単独投与したときと比べて、それぞれ1.03及び1.08倍であった。また、トルテロジンのCmax及びAUC0-24は、トルテロジンを単独投与したときと比べて、それぞれ1.12及び1.08倍であった(外国人データ)。
16.7.2 ケトコナゾール
健康成人10例にビベグロン100mg注)と強いCYP3A4及びP-gpの阻害剤であるケトコナゾール200mgを併用投与したとき、ビベグロンのCmax及びAUCinfはそれぞれ2.22及び2.08倍であった(外国人データ)。[10.2参照]
※:経口剤国内未発売
16.7.3 ジルチアゼム
健康成人12例にビベグロン100mg注)と中程度のCYP3A4及びP-gpの阻害剤であるジルチアゼム240mgを併用投与したとき、ビベグロンのCmax及びAUCinfはそれぞれ1.68及び1.63倍であった(外国人データ)。
注):本剤の承認用量は50mgである。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相プラセボ対照二重盲検比較試験
過活動膀胱患者1107例を対象にビベグロン50mg、100mg注)又はプラセボを、1日1回食後に12週間経口投与したときの主要評価項目である1日平均排尿回数の変化量、並びに副次評価項目である1日平均尿意切迫感回数の変化量及び1日平均切迫性尿失禁回数の変化量の成績を次に示した。二重盲検比較試験の結果、いずれの評価項目でも、ビベグロン50mg群及び100mg群でプラセボ群に比べ有意な改善が認められた1)
副作用発現頻度は、ビベグロン50mg群で7.6%(28/370例)、100mg群で5.4%(20/369例)及びプラセボ群で5.1%(19/369例)であった。主な副作用は、50mg群で便秘1.6%(6/370例)、口内乾燥1.4%(5/370例)であった。
表1 12週時の1日平均排尿回数の変化量
投与群症例数投与前変化量プラセボ群との比較##
プラセボ群36911.20±2.40−1.21(−1.40,−1.03)
ビベグロン50mg群37011.13±2.37−2.08(−2.27,−1.89)p<0.0001
ビベグロン100mg群36811.08±2.25−2.03(−2.22,−1.84)p<0.0001
表2 12週時の1日平均尿意切迫感回数の変化量
投与群症例数投与前変化量プラセボ群との比較##
プラセボ群3693.77±2.23−1.77(−1.96,−1.58)
ビベグロン50mg群3703.70±2.08−2.28(−2.46,−2.09)p=0.0001
ビベグロン100mg群3683.77±2.25−2.44(−2.63,−2.25)p<0.0001
表3 12週時の1日平均切迫性尿失禁回数の変化量
投与群症例数投与前変化量プラセボ群との比較##
プラセボ群3331.88±1.33−1.08(−1.21,−0.96)
ビベグロン50mg群3291.97±1.48−1.35(−1.48,−1.23)p=0.0015
ビベグロン100mg群3271.86±1.31−1.47(−1.60,−1.34)p<0.0001
17.1.2 国内第III相長期投与試験
過活動膀胱患者166例を対象に、ビベグロン50mgを1日1回食後に52週間経口投与した。また、ビベグロン50mgを8週間投与した後、効果が不十分、かつ安全性に問題ないと治験担当医師が判断し、かつ被験者も増量を希望した場合に限り、1日1回100mg注)へ増量した。8週時及び52週時の1日平均排尿回数の変化量、1日平均尿意切迫感回数の変化量及び1日平均切迫性尿失禁回数の変化量の成績を次に示した。いずれの評価項目でも、ビベグロン50mg用量維持例及び100mg増量例ともに投与前からの改善が認められ、52週時まで減弱することなく維持された2)
副作用発現頻度は、ビベグロン50mg維持例で18.1%(21/116例)、100mg増量例で11.8%(6/51例)であった。主な副作用は、50mg維持例で残尿量増加4.3%(5/116例)、口内乾燥及び膀胱炎2.6%(3/116例)、便秘1.7%(2/116例)、100mg増量例で便秘及び口内乾燥3.9%(2/51例)、関節リウマチ及びそう痒症2.0%(1/51例)であった。
表4 1日平均排尿回数の変化量
投与群症例数投与前8週時変化量52週時変化量
ビベグロン50mg維持例11510.62±1.88−2.52(−2.90,−2.13)−2.71(−3.21,−2.21)
ビベグロン100mg増量例5112.78±2.95−1.85(−2.42,−1.28)−3.16(−3.90,−2.41)
表5 1日平均尿意切迫感回数の変化量
投与群症例数投与前8週時変化量52週時変化量
ビベグロン50mg維持例1153.79±2.59−2.72(−3.14,−2.29)−2.91(−3.43,−2.39)
ビベグロン100mg増量例515.56±3.57−2.19(−2.82,−1.55)−3.42(−4.20,−2.65)
表6 1日平均切迫性尿失禁回数の変化量
投与群症例数投与前8週時変化量52週時変化量
ビベグロン50mg維持例931.81±1.39−1.49(−1.78,−1.20)−1.55(−1.88,−1.22)
ビベグロン100mg増量例452.79±2.60−1.49(−1.91,−1.07)−2.29(−2.76,−1.81)
注):本剤の承認用量は50mgである。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は膀胱平滑筋に存在するβ3アドレナリン受容体を選択的に刺激し、膀胱を弛緩させることで蓄尿機能を亢進し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。
18.2 βアドレナリン受容体に対する作用
ヒトβ3アドレナリン受容体を安定発現させた細胞において、濃度依存的な細胞内cAMP濃度上昇作用を示した。一方、ヒトβ1及びβ2アドレナリン受容体発現細胞においては、細胞内cAMP濃度上昇作用をほとんど示さなかった(in vitro)。
18.3 摘出膀胱組織に対する作用
電気刺激により収縮させたヒト摘出膀胱組織において、濃度依存的な膀胱収縮抑制作用を示した(in vitro)。
18.4 膀胱機能に対する作用
18.4.1 麻酔下のアカゲザルにおいて、用量依存的に膀胱容量を増加させた。
18.4.2 無麻酔下のカニクイザルにおいて、用量依存的に膀胱容量を増加させた。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ビベグロン

一般的名称 ビベグロン
一般的名称(欧名) Vibegron
化学名 (6S)-N-[4-({(2S,5R)-5-[(R)-Hydroxy(phenyl)methyl]pyrrolidin-2-yl}methyl)phenyl]-4-oxo-4,6,7,8-tetrahydropyrrolo[1,2-a]pyrimidine-6-carboxamide
分子式 C26H28N4O3
分子量 444.53
融点 206〜210℃
物理化学的性状 白色〜微黄白色又は灰白色の粉末である。
理化学知見その他
分配比:
有機溶媒相水相分配比
1-オクタノールpH7.0(McIlvaineの緩衝液)0.550
KEGG DRUG D10433

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

100錠[10錠(PTP)×10]
140錠[14錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. 社内資料:国内第III相比較試験(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.2.18)
  2. 社内資料:国内長期投与試験(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.2.19)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
杏林製薬株式会社 くすり情報センター
〒160-0017 東京都新宿区左門町20番地
電話:0120-409-341 受付時間 9:00〜17:30(土・日・祝日・会社休日を除く)
製品情報問い合わせ先
杏林製薬株式会社 くすり情報センター
〒160-0017 東京都新宿区左門町20番地
電話:0120-409-341 受付時間 9:00〜17:30(土・日・祝日・会社休日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
杏林製薬株式会社
東京都千代田区大手町一丁目3番7号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版