18.1.1 ヒト消化管粘膜にはラクツロースを単糖類に分解する酵素がないので、経口投与されたラクツロースの大部分は消化吸収されることなく下部消化管に達し、細菌による分解をうけて有機酸(乳酸、酢酸等)を生成しpHを低下させた。その結果、pH値酸性側で十分生育できるLactobacillusは増加し、Bacteroides、E.coli等は減少した
7)8)。
18.1.2 下部消化管に達したラクツロースは、その浸透圧作用により緩下作用を発揮するが、さらにウサギ腸管を用いた実験によりラクツロースの分解により生成した有機酸が腸管運動を亢進させることが示された
9)。
18.1.3 ヒト腸管ではpHが高いほどアンモニアの腸管吸収率の高いことが認められているが、ラクツロースの分解によって生成した有機酸により腸管内pHが低下するため、腸管でのアンモニア産生及びアンモニアの腸管吸収が抑制され、血中のアンモニアが低下した
10)11)。
18.1.4 ヒトの高アンモニア血症等の肝障害に対しては、多くの場合食事性蛋白の制限を必要とするがラクツロースの経口投与により蛋白摂取の増量が可能となり、血清アルブミン値の改善が認められた
12)。
高アンモニア血症モデルラットを用いた試験で、本剤群では対照群(無処置)と比較して血中アンモニア濃度の有意な低下が認められた
13)。
ラットを用いた試験で、本剤群では対照群(無処置)と比較して糞便pHの有意な低下が認められた
14)。
便秘症モデルラットを用いた試験で、本剤群では対照群(無処置)と比較して緩下作用の増強及び糞便排泄量の有意な増加が認められた
15)。