医療用医薬品 : カペシタビン

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医薬品情報


総称名 カペシタビン
一般名 カペシタビン
欧文一般名 Capecitabine
製剤名 カペシタビン錠
薬効分類名 抗悪性腫瘍剤
薬効分類番号 4223
ATCコード L01BC06
KEGG DRUG D01223 カペシタビン
商品一覧 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報 2020年5月 改訂(承認条件削除) (第3版)


警告 禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 取扱い上の注意 包装 主要文献

商品情報 組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
カペシタビン錠300mg「サワイ」 (後発品) CAPECITABINE 沢井製薬 4223005F1030 111.3円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品

警告

本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、本剤及び各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれがあるので、併用を行わないこと(「相互作用」の項参照)。

本剤とワルファリンカリウムとの併用により、血液凝固能検査値異常、出血が発現し死亡に至った例も報告されている。これらの副作用は、本剤とワルファリンカリウムの併用開始数日後から本剤投与中止後1ヶ月以内の期間に発現しているので、併用する場合には血液凝固能検査を定期的に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと(「相互作用」の項参照)。

禁忌

次の患者には投与しないこと

本剤の成分又はフルオロウラシルに対し過敏症の既往歴のある患者

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者(「相互作用」の項参照)

重篤な腎障害のある患者(「慎重投与」の項参照)

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

効能・効果及び用法・用量

効能効果

手術不能又は再発乳癌

結腸・直腸癌

胃癌

効能効果に関連する使用上の注意

手術不能又は再発乳癌に対して

本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。

単剤投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法の増悪若しくは再発例に限る。

併用療法に関して、初回化学療法における有効性及び安全性は確立していない。

結腸癌における術後補助化学療法に対して

Dukes C以外の結腸癌における術後補助化学療法での、本剤の有効性及び安全性は確立していない。また、国内での術後補助化学療法に関する検討は行われていない(「臨床成績」の項参照)。

用法用量

手術不能又は再発乳癌にはA法又はB法を使用する。結腸・直腸癌における補助化学療法にはB法を使用し、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法を使用する。直腸癌における補助化学療法で放射線照射と併用する場合にはD法を使用する。胃癌には白金製剤との併用でC法を使用する。

A法

体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、21日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。

体表面積1回用量
1.31m2未満900mg
1.31m2以上1.64m2未満1,200mg
1.64m2以上1,500mg

B法

体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

体表面積1回用量
1.33m2未満1,500mg
1.33m2以上1.57m2未満1,800mg
1.57m2以上1.81m2未満2,100mg
1.81m2以上2,400mg

C法

体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

体表面積1回用量
1.36m2未満1,200mg
1.36m2以上1.66m2未満1,500mg
1.66m2以上1.96m2未満1,800mg
1.96m2以上2,100mg

D法

体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、5日間連日経口投与し、その後2日間休薬する。これを繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

体表面積1回用量
1.31m2未満900mg
1.31m2以上1.64m2未満1,200mg
1.64m2以上1,500mg

用法用量に関連する使用上の注意

各用法の開始用量(1回用量)は以下の体表面積あたりの用量から算出している。

A法

825mg/m2

B法

1,250mg/m2

C法

1,000mg/m2

D法

825mg/m2

治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌及び胃癌における術後補助化学療法において、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は、「臨床成績」の項の内容を熟知した上で、患者の状態やがん化学療法歴に応じて選択すること。

結腸癌における術後補助化学療法において、他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合には、「臨床成績」の項の内容を熟知した上で、本剤を適宜減量すること。

他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合には、併用する他の抗悪性腫瘍剤の添付文書を熟読すること。

休薬・減量について

B法及びC法において副作用が発現した場合には、以下の規定を参考にして休薬・減量を行うこと。なお、胃癌における術後補助化学療法においてGrade2の非血液毒性が発現した場合には、以下のGrade3の休薬・減量規定を参考にして休薬・減量を考慮すること。

休薬・減量の規定

NCIによる毒性のGrade判定注) 治療期間中の処置治療再開時の投与量
Grade1休薬・減量不要減量不要
Grade2初回発現Grade0-1に軽快するまで休薬減量不要
2回目発現Grade0-1に軽快するまで休薬減量段階1
3回目発現Grade0-1に軽快するまで休薬減量段階2
4回目発現投与中止・再投与不可
Grade3初回発現Grade0-1に軽快するまで休薬減量段階1
2回目発現Grade0-1に軽快するまで休薬減量段階2
3回目発現投与中止・再投与不可
Grade4初回発現投与中止・再投与不可
あるいは治療継続が患者にとって望ましいと判定された場合は、Grade0-1に軽快するまで投与中断
減量段階2

上記の休薬・減量の規定に応じて減量を行う際、次の用量を参考にすること。

1,250mg/m2相当量で投与を開始した場合の減量時の投与量

体表面積1回用量
減量段階1減量段階2
1.13m2未満900mg600mg
1.13m2以上1.21m2未満1,200mg
1.21m2以上1.45m2未満900mg
1.45m2以上1.69m2未満1,500mg
1.69m2以上1.77m2未満1,200mg
1.77m2以上1,800mg

1,000mg/m2相当量で投与を開始した場合の減量時の投与量

体表面積1回用量
減量段階1減量段階2
1.41m2未満900mg600mg
1.41m2以上1.51m2未満1,200mg
1.51m2以上1.81m2未満900mg
1.81m2以上2.11m2未満1,500mg
2.11m2以上1,200mg

一旦減量した後は増量は行わないこと。

注)B法による国内臨床試験においてはNCI-CTC(Ver.2.0)によりGradeを判定した。手足症候群は以下の判定基準に従った。
また、C法による国内臨床試験においては手足症候群も含めてCTCAE v3.0又はCTCAE v4.03によりGradeを判定した。

手足症候群の判定基準

Grade臨床領域機能領域
1しびれ、皮膚知覚過敏、ヒリヒリ・チクチク感、無痛性腫脹、無痛性紅斑日常生活に制限を受けることはない症状
2腫脹を伴う有痛性皮膚紅斑日常生活に制限を受ける症状
3湿性落屑、潰瘍、水疱、強い痛み日常生活を遂行できない症状
該当する症状のGradeが両基準(臨床領域、機能領域)で一致しない場合は、より適切と判断できるGradeを採用する

「結腸癌及び胃癌における術後補助化学療法」に関しては、投与期間が8コースを超えた場合の有効性及び安全性は確立していない。

使用上の注意

慎重投与

腎障害のある患者〔副作用が重症化又は発現率が上昇するおそれがある(「重要な基本的注意」の項参照)。〕

肝障害のある患者

冠動脈疾患の既往歴のある患者〔心障害があらわれるおそれがある。〕

骨髄抑制のある患者〔骨髄抑制が増強するおそれがある(「重要な基本的注意」の項参照)。〕

消化管潰瘍又は出血のある患者〔症状が悪化するおそれがある。〕

高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

重要な基本的注意

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後、本剤の投与を行う場合は、少なくとも7日以上の間隔をあけること(「相互作用」の項参照)。

本剤投与中は定期的(特に投与初期は頻回)に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、休薬等の適切な処置を行うこと。

感染症・出血傾向の発現又は悪化に十分注意すること。

生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

治癒切除不能な進行・再発の胃癌、直腸癌における補助化学療法に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」1)2)等)を熟読すること。

相互作用

相互作用序文

本剤が肝チトクロームP450(CYP2C9)の酵素蛋白合成系に影響し、酵素活性が低下する可能性があるので、CYP2C9で代謝を受ける薬剤と併用する場合に併用薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。

薬物代謝酵素用語

CYP2C9

併用禁忌

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤
(ティーエスワン)
早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後7日以内は本剤を投与しないこと。ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する。

併用注意

ワルファリンカリウム併用開始数日後から本剤投与中止後1ヶ月以内の期間に血液凝固能検査値異常、出血の発現が報告されている。定期的に血液凝固能検査(プロトロンビン時間、INR等)を行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。本剤が肝チトクロームP450(CYP2C9)の酵素蛋白合成系に影響し、酵素活性が低下している可能性が考えられている。
フェニトインフェニトインの血中濃度が上昇したとの報告があるので、フェニトインの血中濃度の変化に注意すること。本剤が肝チトクロームP450(CYP2C9)の酵素蛋白合成系に影響し、酵素活性が低下している可能性が考えられている。
トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤副作用が増強するおそれがある。フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の代謝に影響を及ぼす可能性がある。

副作用

副作用発現状況の概要

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

(頻度不明)

脱水症状

激しい下痢(初期症状:腹痛、頻回の軟便等)があらわれ脱水症状まで至ることがあるので観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し補液、電解質投与等の適切な処置を行うこと。

手足症候群(Hand-foot syndrome)

手掌及び足底に湿性落屑、皮膚潰瘍、水疱、疼痛、知覚不全、有痛性紅斑、腫脹等の手足症候群があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。

心障害

心筋梗塞、狭心症、律動異常、心停止、心不全、突然死、心電図異常(心房性不整脈、心房細動、心室性期外収縮等)等の心障害があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。

肝障害、黄疸

肝機能検査値異常、黄疸を伴う肝障害があらわれ、肝不全に至った症例も報告されているので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、肝機能検査値異常を伴わない黄疸があらわれることが報告されている。

腎障害

腎機能検査値異常を伴う腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

骨髄抑制

汎血球減少、顆粒球減少等の骨髄抑制が、また、骨髄抑制の持続により易感染症、敗血症等があらわれることがあるので定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。

口内炎

口内炎(粘膜炎、粘膜潰瘍、口腔内潰瘍等)があらわれることがあるので観察を十分に行い、有痛性の紅斑、口内潰瘍、舌潰瘍等が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。

間質性肺炎

間質性肺炎(初期症状:咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を行い、副腎皮質ホルモン剤を投与するなど適切な処置を行うこと。

重篤な腸炎

出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等があらわれることがあるので観察を十分に行い、激しい腹痛・下痢・血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

重篤な精神神経系障害(白質脳症等)

歩行障害、麻痺、錐体外路症状、失調、協調運動障害、平衡障害、構音障害、意識障害、嗜眠、錯乱、健忘、指南力低下、知覚障害、尿失禁等があらわれることがある。また、このような症状が白質脳症等の初期症状としてあらわれることがあるので観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

血栓塞栓症

深部静脈血栓症、脳梗塞、肺塞栓症等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)

皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

重大な副作用 (類薬)

類似化合物(ドキシフルリジン等)で次のような副作用が報告されている。

溶血性貧血

溶血性貧血があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。

その他の副作用

 頻度不明
精神神経系不眠症、うつ病、錯感覚、味覚異常、頭痛、浮動性めまい
消化器消化不良、鼓腸、食道炎、十二指腸炎、胃腸出血、胃炎、口内乾燥、軟便、口渇、胃不快感、悪心、食欲不振、嘔吐、便秘、腹痛、上腹部痛、口唇炎
循環器胸痛、下肢浮腫、心筋症、心筋虚血、頻脈
呼吸器呼吸困難、咳嗽
血液貧血、赤血球数減少、白血球数減少、リンパ球数減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、血小板数減少、単球数増加、プロトロンビン時間延長、好中球数減少
皮膚爪の異常(爪甲離床症、脆弱爪、爪変色、爪ジストロフィー等)、紅斑性皮疹、皮膚亀裂、光線過敏、放射線照射リコール症候群、皮膚乾燥、剥脱性皮膚炎、皮膚落屑、そう痒症、皮膚炎、色素沈着障害、発疹、脱毛症
眼障害(結膜炎、角膜炎、眼刺激等)、流涙増加
肝臓・腎臓肝機能異常、血中クレアチニン増加、血中ビリルビン増加、AST(GOT)増加、LDH増加、ALT(GPT)増加、Al-P増加、尿沈渣陽性、蛋白尿、BUN増加、尿中ブドウ糖陽性
その他無力症、脱力、四肢痛、電解質異常、胸痛、筋痛、高トリグリセリド血症、倦怠感、体重減少、発熱、血中ブドウ糖増加、鼻咽頭炎、体重増加、疲労、背部痛、血中アルブミン減少、関節痛、血圧上昇
 頻度不明
精神神経系錯感覚、異常感覚、感覚鈍麻、神経毒性(末梢性感覚ニューロパシー、末梢性運動ニューロパシー等)、味覚異常、神経痛、浮動性めまい、頭痛、不眠症
消化器消化不良、口内乾燥、悪心、食欲不振、嘔吐、便秘、腹痛、口唇炎、胃不快感、下腹部痛、歯周病、歯痛、歯肉出血、上腹部痛、齲歯、歯肉炎
呼吸器呼吸困難、鼻出血、鼻漏、発声障害、鼻粘膜障害、咽喉痛、しゃっくり
血液発熱性好中球減少症、好中球数減少、血小板数減少、白血球数減少、ヘモグロビン減少、貧血、リンパ球数減少
皮膚色素沈着障害、発疹、爪の障害、脱毛症、爪囲炎、蕁麻疹、皮膚乾燥、そう痒症
流涙増加、霧視
肝臓・腎臓蛋白尿、AST(GOT)増加、肝機能異常、血尿、ALT(GPT)増加、血中ビリルビン増加、Al-P増加、γ-GTP増加、血中アルブミン減少
その他無力症、温度変化不耐症、低カリウム血症、顎痛、低ナトリウム血症、悪寒、粘膜の炎症、口腔カンジダ症、疼痛、高トリグリセリド血症、疲労、注射部位反応(疼痛、血管炎、紅斑、腫脹等)、過敏症、倦怠感、体重減少、背部痛、胸部不快感、潮紅、膀胱炎、高血圧、発熱、上気道感染(鼻咽頭炎等)、四肢痛、浮腫、関節痛、筋骨格痛、起立性低血圧、血中リン減少、CRP増加、頻脈

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。〔特に80歳以上の高齢者において、重症の下痢、嘔気、嘔吐等の発現率が上昇したとの報告がある。〕

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

動物実験で胚致死作用及び催奇形作用が報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔マウスにおいて、早期胚死亡、脳室拡張、骨格変異の増加、化骨遅延(198mg/kg/日以上 反復投与)、サルにおいて、流産、胚死亡(90mg/kg/日以上 反復投与)が報告されている。〕

授乳婦に投与する場合には、授乳を避けさせること。〔動物実験(マウス)において、乳汁への移行(198mg/kg 単回投与)が報告されている。〕

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。

過量投与

本剤の過量投与により、嘔気、嘔吐、下痢、粘膜炎、消化管刺激・出血、骨髄抑制等があらわれることがある。このような場合には、症状に応じて一般的な対症療法を行うこと。

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)

その他の注意

フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。

薬物動態

生物学的同等性試験

.カペシタビン錠300mg「サワイ」と標準製剤を男女癌患者[結腸・直腸癌患者]にそれぞれ1錠(カペシタビンとして300mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中カペシタビン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。3)

各製剤1錠投与時の薬物動態パラメータ

 Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)AUC0-4hr(ng・hr/mL)
カペシタビン錠300mg「サワイ」1386±7870.6±0.50.5±0.2745±221
標準製剤(錠剤、300mg)1308±6120.7±0.40.5±0.1758±236
(Mean±S.D.)

血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

臨床成績

結腸癌における術後補助化学療法

(外国人における成績)

Dukes Cの結腸癌を対象とした術後補助化学療法の第3相臨床試験(1,250mg/m2 1日2回、14日間投与・7日間休薬)

外科的切除が実施されたDukes Cの結腸癌患者(1,987例)を対象に、フルオロウラシル・ホリナート療法(5-FU/LV療法、Mayoレジメン注1))又はカペシタビンを単独投与する第3相臨床試験を実施した。その結果、無病生存期間、無再発生存期間、全生存期間において、カペシタビンの5-FU/LV療法に対する非劣性が確認された。(ゼローダ錠300の添付文書による)

無病生存期間のKaplan-Meier曲線

カットオフ日:2007年6月4日

全生存期間のKaplan-Meier曲線

カットオフ日:2007年6月4日

Dukes Cの結腸癌を対象とした術後補助化学療法の第3相臨床試験(1,000mg/m21日2回、14日間投与・7日間休薬)

外科的切除が実施されたDukes Cの結腸癌患者(1,886例)を対象に、フルオロウラシル・ホリナート療法(5-FU/LV療法、Mayoレジメン注1)又はRoswell Parkレジメン)又はXELOX療法(カペシタビンとオキサリプラチン併用)を行う第3相臨床試験を実施した。その結果、無病生存期間においてXELOX療法の5-FU/LV療法に対する優越性が確認された。(ゼローダ錠300の添付文書による)

無病生存期間のKaplan-Meier曲線

カットオフ日:2009年4月30日

全生存期間のKaplan-Meier曲線

カットオフ日:2009年4月30日

治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

(日本人における成績)

進行・転移性結腸・直腸癌を対象とした第1/2相臨床試験(1,000mg/m21日2回、14日間投与・7日間休薬)

進行・転移性結腸・直腸癌患者に対するXELOX療法(カペシタビンとオキサリプラチン併用)の奏効率は66.7%(4/6)であり、XELOX+BV療法(XELOX療法とベバシズマブ併用)の奏効率は71.9%(41/57)であった。また、XELOX+BV療法の無増悪生存期間(PFS)の中央値は336.0日(95%信頼区間:293-380日)であった。(ゼローダ錠300の添付文書による)

(外国人における成績)

転移性結腸・直腸癌を対象とした第3相臨床試験(1,000mg/m21日2回、14日間投与・7日間休薬)

転移性結腸・直腸癌患者2,035例を対象に、オキサリプラチン・フルオロウラシル・ホリナート療法(FOLFOX4療法)、FOLFOX4療法+プラセボ(P)、FOLFOX4+ベバシズマブ(BV)療法、XELOX療法、XELOX療法+P、XELOX+BV療法を行う第3相臨床試験を実施した。無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目、全生存期間(OS)を副次的評価項目とした。その結果、FOLFOX4療法に対するXELOX療法の非劣性が主要解析及び副次的解析で認められた。

FOLFOX4療法に対するXELOX療法の非劣性解析結果

主要解析
評価項目注2) FOLFOX4/FOLFOX4+P/FOLFOX4+BV(N=937)XELOX/XELOX+P/XELOX+BV(N=967)ハザード比(97.5%CI)
中央値(日)中央値(日)
PFS259.0241.01.05(0.94;1.18)
OS594.0注3) 600.01.00(0.88;1.13)
副次的解析
評価項目注2) FOLFOX4/FOLFOX4+P(N=620)XELOX/XELOX+P(N=630)ハザード比(97.5%CI)
中央値(日)中央値(日)
PFS241.0220.01.06(0.92;1.22)
OS565.0注4) 572.01.01(0.87;1.17)

また、化学療法(FOLFOX4+P/XELOX+P)に対する化学療法+BV療法の優越性が主要解析で認められ、XELOX療法に対するXELOX+BV療法の優越性が副次的解析で認められた。
(ゼローダ錠300の添付文書による)

化学療法に対する化学療法+BV療法及びXELOX療法に対するXELOX+BV療法の優越性解析結果

主要解析
評価項目注2) FOLFOX4+P/XELOX+P(N=701)FOLFOX4+BV/XELOX+BV(N=699)ハザード比
P値(log-rank test)
中央値(日)中央値(日)
PFS244.0285.00.83
P=0.0023
OS606.0646.00.89
P=0.0769
副次的解析
評価項目注2) XELOX+P(N=350)XELOX+BV(N=350)ハザード比
P値(log-rank test)
中央値(日)中央値(日)
PFS225.0282.00.77
P=0.0026
OS584.0650.00.84
P=0.0698

イリノテカン・フルオロウラシル・ホリナート療法の治療歴がある転移性結腸・直腸癌を対象とした第3相臨床試験(1,000mg/m21日2回、14日間投与・7日間休薬)

イリノテカン・フルオロウラシル・ホリナート療法の治療歴がある転移性結腸・直腸癌患者627例を対象に、オキサリプラチン・フルオロウラシル・ホリナート療法(FOLFOX4療法)とXELOX療法を比較する第3相臨床試験を実施した。無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目、全生存期間(OS)を副次的評価項目とした。その結果、FOLFOX4療法に対するXELOX療法の非劣性が認められた。(ゼローダ錠300の添付文書による)

FOLFOX4療法に対するXELOX療法の非劣性解析結果

評価項目注5) FOLFOX4(N=252)XELOX(N=251)ハザード比(95%CI)
中央値(日)中央値(日)
PFS168.0154.01.03(0.87;1.24)
OS402.0393.0注6) 1.05(0.88;1.27)

胃癌における術後補助化学療法

(外国人における成績)

StageII/IIIの胃癌を対象とした術後補助化学療法の第3相臨床試験(1,000mg/m21日2回、14日間投与・7日間休薬)

外科的切除が実施されたStageII/IIIの胃癌患者(1,035例)を対象に、経過観察とXELOX療法(カペシタビンとオキサリプラチン併用)を比較する第3相臨床試験を実施した。無病生存期間を主要評価項目、全生存期間を副次的評価項目とした。その結果、経過観察に対するXELOX療法の優越性が認められた。(ゼローダ錠300の添付文書による)

無病生存期間のKaplan-Meier曲線

カットオフ日:2010年9月24日

全生存期間のKaplan-Meier曲線

カットオフ日:2012年11月22日

注1)本試験における5-FU/LV療法は国内で承認されているレボホリナート・フルオロウラシル療法及びレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法の用法・用量とは異なる。

注2)PFSカットオフ日:2006年1月31日、OSカットオフ日:2007年1月31日

注3)解析対象集団の例数は939例

注4)解析対象集団の例数は622例

注5)PFSカットオフ日:2006年8月31日、OSカットオフ日:2007年2月28日

注6)解析対象集団の例数は252例

薬効薬理

カペシタビンは消化器障害の軽減を目的としたプロドラッグで、肝臓でカルボキシルエステラーゼにより5'-DFCRに、さらにシチジンデアミナーゼにより5'-DFURになり、腫瘍内に高濃度で存在するチミジンホスホリラーゼによって5-FUに変換される。5-FUは主としてDNAの前駆体の生成を阻害することにより抗腫瘍活性を発揮するが、RNAを阻害する経路も報告されている。4)

有効成分に関する理化学的知見

一般名カペシタビン
一般名(欧名)Capecitabine
化学名(+)-Pentyl 1-(5-deoxy-β-D-ribofuranosyl)-5-fluoro-1,2-dihydro-2-oxo-4-pyrimidinecarbamate
分子式C15H22FN3O6
分子量359.35
性状カペシタビンは白色の結晶性の粉末である。メタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けやすく、水にやや溶けにくい。
KEGG DRUGD01223

取扱い上の注意

安定性試験

PTP包装(PTPシートをアルミピロー包装(乾燥剤入り))したものを用いた加速試験(40℃75%RH、6ヶ月)の結果、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。5)

包装

PTP

56錠(14錠×4)、140錠(14錠×10)

主要文献


1. 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:カペシタビン(進行性胃癌)
2. 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:カペシタビン(直腸癌における補助化学療法)
3. 五味邦之他,  新薬と臨床,  67 (10),  1201,  (2018)
4. 田中千賀子他編,  NEW薬理学,改訂第6版,  550,  (2011)  南江堂
5. 沢井製薬(株)社内資料[安定性試験]

作業情報


改訂履歴

2018年12月 改訂
2020年5月 改訂(承認条件削除) (第3版)

文献請求先

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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2020/8/19 版