医療用医薬品 : ビホナゾール

List   Top

医薬品情報


総称名 ビホナゾール
一般名 ビホナゾール
欧文一般名 Bifonazole
製剤名 ビホナゾール製剤
薬効分類名 外用抗真菌剤
薬効分類番号 2655
ATCコード D01AC10
KEGG DRUG
D01775 ビホナゾール
KEGG DGROUP
DG01883 イミダゾール系抗真菌薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ビホナゾールクリーム1%「イワキ」 (後発品) Bifonazole Cream 1% "IWAKI" 岩城製薬 2655708N1318 10.9円/g
ビホナゾール外用液1%「イワキ」 (後発品) Bifonazole Solution 1% "IWAKI" 岩城製薬 2655708Q1195 10.9円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

下記の皮膚真菌症の治療
足部白癬、体部白癬、股部白癬
指間びらん症、間擦疹、皮膚カンジダ症
癜風

6. 用法及び用量

1日1回患部に塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 他のイミダゾール系抗真菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者
9.5 妊婦
妊婦(3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット静脈内投与)で乳汁中へ移行することが報告されている。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<クリーム>
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
皮膚皮膚炎、発赤紅斑、そう痒、びらん、水疱局所の刺激感、鱗屑、亀裂、皮膚軟化、乾燥、浮腫、じん麻疹
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<外用液>
 0.1〜5%未満頻度不明
皮膚亀裂、皮膚炎、そう痒、発赤、びらん、乾燥局所の刺激感、紅斑、鱗屑、水疱、皮膚軟化、浮腫、じん麻疹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
基剤として使用されている油脂性成分は、コンドーム、ペッサリー等の避妊用ラテックスゴム製品の品質を劣化・破損する可能性があるため、これらとの接触を避けさせること。
14.2 薬剤投与時の注意
<製剤共通>
14.2.1 眼科用として角膜、結膜には使用しないこと。
14.2.2 著しいびらん面には使用しないこと。
<外用液>
14.2.3 亀裂、びらん面には注意して使用すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人の無傷皮膚(臍上部)及び炎症皮膚(大腿部の慢性湿疹)表面200cm214C-ビホナゾールの1%含有クリーム1.52gを塗布、6時間密封包帯した後洗浄し、118時間にわたって血中濃度を測定した場合、無傷皮膚では約9.5時間後、炎症皮膚では約8時間後、それぞれ約1.0ng/mL、3.4ng/mLの最高血中濃度に達する1)(外国人データ)。
また、健康成人の無傷皮膚(臍上部)及び炎症皮膚(背部の急性湿疹)表面200cm214C-ビホナゾールの1%含有液1.56mLを塗布、6時間密封包帯した後洗浄し、118時間にわたって血中濃度を測定した場合、無傷皮膚では約10時間後、炎症皮膚では約5時間後、それぞれ約1.6ng/mL、約8.0ng/mLの最高血中濃度に達する1)(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 吸収率
健康成人の無傷皮膚(臍上部)及び炎症皮膚(大腿部の慢性湿疹)表面200cm214C-ビホナゾールの1%含有クリーム1.52gを塗布、6時間密封包帯した後洗浄したところ、皮膚からの吸収率は無傷皮膚では約0.6%、炎症皮膚では2.4%である1)(外国人データ)。
また、健康成人の無傷皮膚(臍上部)及び炎症皮膚(背部の急性湿疹)表面200cm214C-ビホナゾールの1%含有液1.56mLを塗布、6時間密封包帯した後洗浄したところ、皮膚からの吸収率は無傷皮膚では約0.8%、炎症皮膚では3.6%である1)(外国人データ)。
16.2.2 皮膚浸透性
健康成人の背部無傷皮膚表面100cm214C-ビホナゾールの1%含有クリーム500mgを塗布、その後24〜168時間にわたり各時点でテープはく離法(15回はく離)を施行し、皮膚(角質層)を採取した(はく離1〜5回目:層1、6〜10回目:層2、11〜15回目:層3)。これら標本の経時的放射能推移曲線下の面積を指標とした場合、それぞれ7066(層1)、1237(層2)、626(層3)μCi・hと良好な浸透性を示している2)(外国人データ)。
また、健康成人の無傷皮膚表面20cm214C-ビホナゾールの1%含有液0.15mLを塗布、12時間密封包帯した後、皮膚の各層の濃度を測定した場合、次のとおりである1)(外国人データ)。
角質層有棘層乳頭層網状層
200-1000μg/cm3約20μg/cm35-10μg/cm3約2μg/cm3
16.5 排泄
健康成人の無傷皮膚(臍上部)及び炎症皮膚(大腿部の慢性湿疹)表面200cm214C-ビホナゾールの1%含有クリーム1.52gを塗布、6時間密封包帯した後洗浄したところ、5日目までの排泄は無傷皮膚では約0.3%が尿中、約0.25%が糞便中、炎症皮膚では約1%が尿中、約1.2%が糞便中に排泄される1)(外国人データ)。
また、健康成人の無傷皮膚(臍上部)及び炎症皮膚(背部の急性湿疹)表面200cm214C-ビホナゾールの1%含有液1.56mLを塗布、6時間密封包帯した後洗浄したところ、5日目までの排泄は無傷皮膚では約0.4%が尿中、約0.3%が糞便中、炎症皮膚では約1.7%が尿中に排泄される。炎症皮膚での糞便中への排泄についてのデータは得られていない1)(外国人データ)。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ビホナゾールは、真菌細胞に対して二元的な作用機序を有する。低濃度域では細胞膜の必須構成脂質成分であるエルゴステロールの合成を阻害し、高濃度域ではそれに加えて細胞膜のリン脂質と特異的に結合することにより膜の物性を変化させる。いずれの効果も最終的に細胞膜の構造・機能を障害し、その結果、抗真菌作用が発現される3)4)
18.2 抗真菌作用
18.2.1 ビホナゾールは、Kimmig培地上で各種ヒト病原真菌の90%以上の菌株において4μg/mL以下の最小発育阻止濃度(MIC)を示す5)
18.2.2 ビホナゾールは、発育期にある皮膚糸状菌に対して極めて低い濃度(ナノグラム単位)より菌糸の発育を抑制し、5μg/mL以上の濃度で殺真菌作用を示す。また、Candida albicansに対しては、0.125μg/mL以上の濃度で寄生形態である仮性菌糸の形成を抑制する5)6)
18.2.3 Trichophyton mentagrophytesによるモルモット実験的白癬モデルにビホナゾール1%クリームまたはビホナゾール1%液を感染後3日目に1回局所適用した場合、無処置対照群では症状の増悪が認められるが、処置群では数日以内に治癒する5)
18.3 感染防御効果
モルモットの背部皮膚面に1%クリーム0.5gを塗布し、12、24、48、72時間後にTrichophyton mentagrophytesの分生子浮遊液を接種した実験では、48〜72時間にわたり感染防御効果が認められている5)
また、モルモットの背部皮膚面に1%液0.5mLを塗布し、12、24、48、72時間後にTrichophyton mentagrophytesの分生子浮遊液を接種した実験では、36〜48時間にわたり感染防御効果が認められている5)
18.4 生物学的同等性試験
18.4.1 in vitro抗菌力
ビホナゾールクリーム1%「イワキ」とマイコスポールクリーム1%の各真菌に対するMIC値は(ビホナゾール濃度として)皮膚糸状菌に対し0.39〜6.25μg/mL、酵母類に対し31.25μg/mL、癜風菌に対し25μg/mLであり、優れた抗菌活性を示し、すべての真菌に対して同じMIC値を示したことから、両剤の生物学的同等性が確認された7)
また、ビホナゾール外用液1%「イワキ」とマイコスポール外用液1%の各真菌に対するMIC値は(ビホナゾール濃度として)皮膚糸状菌に対し0.39〜6.25μg/mL、酵母類に対し31.25μg/mL、癜風菌に対し50μg/mLであり、優れた抗菌活性を示し、すべての真菌に対して同じMIC値を示したことから、両剤の生物学的同等性が確認された7)
18.4.2 治療効果
Trichophyton mentagrophytesによるモルモット実験的白癬モデルに、ビホナゾールクリーム1%「イワキ」とマイコスポールクリーム1%をそれぞれ感染後3日目より14日間連続塗布(ビホナゾールとして3mg/日)し、塗布8日目以降、有意な症状の改善を認め、切片陽性率も有意な陰性化を示した。その結果、両剤の治療効果に有意な差は認められず、両剤の生物学的同等性が確認された7)
また、ビホナゾール外用液1%「イワキ」とマイコスポール外用液1%において同様の試験を行った結果、両剤の治療効果に有意な差は認められず、両剤の生物学的同等性が確認された7)
18.4.3 感染防御効果
モルモット背部にビホナゾールクリーム1%「イワキ」とマイコスポールクリーム1%を1回塗布し(ビホナゾールとして3mg)、2〜3日後にTrichophyton mentagrophytesを接種したが、3日間にわたり病変スコア及び切片陽性率の有意な低下が認められ、明らかな感染防御効果を示した。その結果、両剤の感染防御効果に有意差は認められなかったことから、両剤の生物学的同等性が確認された7)
また、ビホナゾール外用液1%「イワキ」とマイコスポール外用液1%において同様の試験を行った結果、両剤の感染防御効果に有意な差は認められず、両剤の生物学的同等性が確認された7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ビホナゾール

一般的名称 ビホナゾール
一般的名称(欧名) Bifonazole
化学名 1-[(RS)-(Biphenyl-4-yl)(phenyl)methyl]-1H-imidazole
分子式 C22H18N2
物理化学的性状 本品は白色〜微黄色の粉末で、におい及び味はない。
本品はジクロロメタンに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
本品のメタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
KEGG DRUG D01775

20. 取扱い上の注意

<外用液>
20.1 火気を避けて保存すること。
20.2 低温(約3℃以下)で凝固するので注意すること。
20.3 合成樹脂を軟化したり、塗料を溶かすことがあるので注意すること。

22. 包装

<ビホナゾールクリーム1%「イワキ」>
10本[10g(チューブ)×10]
50本[10g(チューブ)×50]
600g[ボトル]
<ビホナゾール外用液1%「イワキ」>
10本[10mL(ボトル)×10]
50本[10mL(ボトル)×50]

23. 主要文献

  1. Patzschke K,et al., Arzneim-Forsch., 33, 745-750, (1983) »PubMed
  2. Lucker PW,et al., Dermatologica., 169 (Suppl.1), 51-56, (1984)
  3. 山口英世他, Chemotherapy., 32, 829-841, (1984) »DOI
  4. Barug D,et al., Arzneim-Forsch., 33, 528-537, (1983) »PubMed
  5. Plempel M,et al., Arzneim-Forsch., 33, 517-525, (1983) »PubMed
  6. Osumi M,et al., Dermatologica., 169 (Suppl.1), 19-31, (1984)
  7. 岩城製薬株式会社 社内資料(生物学的同等性試験)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261
製品情報問い合わせ先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
岩城製薬株式会社
東京都中央区日本橋本町4-8-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/06/18 版