第I相試験及び前期第II相試験では、0.5mg/日〜10mg/日
注)までの用量で合計90例の閉経後乳癌患者において、アナストロゾールの有効性及び安全性が検討されている
4)5)。また、閉経後健康女性(単回、反復各12例)を対象とした臨床薬理試験においてアナストロゾール0.5mg/日及び1mg/日における薬力学的作用(血中エストロゲン濃度低下作用)について検討された
1)。
第I相試験では、1mg群の6例中1例に副作用が認められ、嘔気、頭痛及びめまいが各1件であった。
前期第II相試験では、1mg群の34例中19例(55.9%)に副作用が認められ、主な副作用は、LDH上昇5例(14.7%)、白血球減少4例(11.8%)及び吐き気、AST上昇、ALT上昇、血清コレステロール上昇、アルブミン低下、好酸球増多、ほてりが各2例(5.9%)であった。
閉経後健康女性を対象とした臨床薬理試験では、単回投与1mg群の6例中1例に副作用が認められ、頭重感であった。反復投与1mg群の6例中1例(16.7%)に副作用が認められ、発汗、のぼせ感及び四肢のむくみ感が各1件であった。
注)本剤の承認用量及び用法は「本剤1mgを1日1回、経口投与する」である。
海外臨床データを国内へ外挿する妥当性を確認するために臨床薬理及び薬効に関するブリッジング試験が実施されている
6)7)8)。
アナストロゾールの薬力学的作用及び薬物動態に人種間で差がないことを確認する目的で実施した臨床薬理に関するブリッジング試験においては、日本人と白人の閉経後健康女性(各24例)を比較し、アナストロゾールの薬力学的効果及び薬物動態は日本人と白人で同様であることが確認された。
また、日本人におけるアナストロゾールの有効性の確認を目的として、閉経後進行・再発乳癌患者(日本人31例)を対象に下記海外試験と同様のデザインで実施した薬効に関するブリッジング試験では、日本人におけるアナストロゾールの有効性及び安全性が白人と同程度であることが確認された。
海外で実施された閉経後進行・再発乳癌患者を対象とした二重盲検比較試験(対照薬:タモキシフェンクエン酸塩)を上記薬効に関するブリッジング試験と合わせて解析した結果、評価対象例699例(海外668例、日本31例)のUICC判定基準にもとづく抗腫瘍効果は奏効率でタモキシフェン群32.8%(114/348例)に対し、アナストロゾール群で33.3%(117/351例)であった。また、病勢の進行までの期間(Time to progression:TTP)の中央値は251日間(約8.3ヵ月)に対し252日間(約8.3ヵ月)であり、本薬はタモキシフェンと少なくとも同等の有用性が認められた(追跡期間の中央値:約18ヵ月)。
後期第II相試験注1) 実施国/地域 (試験番号) | 抗腫瘍効果奏効率注2) (奏効例/評価例) アナストロゾール群 | 抗腫瘍効果奏効率注2) (奏効例/評価例) タモキシフェン群 | 病勢の進行までの期間(TTP)の中央値 (評価例)注3) アナストロゾール群 | 病勢の進行までの期間(TTP)の中央値 (評価例)注3) タモキシフェン群 |
日本 (JP0027) | 45.5% (5/11) | 35.0% (7/20) | − | − |
海外 (IL0027) | 32.9% (112/340) | 32.6% (107/328) | 251日間 (340) | 252日間 (328) |
日本+海外 (JP0027+IL0027) | 33.3% (117/351) | 32.8% (114/348) | 251日間 (351) | 252日間 (348) |
臨床薬理に関するブリッジング試験において、アナストロゾールが投与された48例のうち、日本人24例中8例(33%)、白人24例中17例(71%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛(日本人5例[21%]、白人8例[33%])、下痢(日本人3例[13%]、白人4例[17%])、不眠(日本人0例、白人3例[13%])及び腹痛(日本人3例[13%]、白人0例)であった。
薬効に関するブリッジング試験において、アナストロゾールが投与された347例(日本人11例、外国人336例)のうち、123例(35.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、ほてり(血管拡張)64例(18.4%)、嘔気26例(7.5%)及び脱毛症8例(2.3%)であった。日本では、アナストロゾールが投与された11例中4例(36.4%)に副作用が認められ、ほてり(血管拡張)、嘔気、間質性肺炎及び性器出血を伴った子宮内膜増殖症が各1例であった。
世界21ヵ国で実施した閉経後早期乳癌患者の術後補助療法大規模比較試験において
9)10)、追跡期間の中央値約68ヵ月時点(2004年3月31日データカットオフ)での再発・死亡・対側乳癌の発生率は、アナストロゾール群(アナストロゾール1mg/日+プラセボ)18.4%(575/3,125例)、タモキシフェン群(タモキシフェン20mg/日+プラセボ)20.9%(651/3,116例)であった。無病期間のハザード比は0.87(95%信頼区間0.78-0.97、p=0.01)であり、アナストロゾール群はタモキシフェン群と比較して乳癌再発リスクを13%低下させた。遠隔再発までの期間のハザード比は0.86(95%信頼区間0.74-0.99、p=0.04)であり、アナストロゾール群はタモキシフェン群と比較して遠隔転移の再発リスクを14%低下させた。また、ホルモン受容体陽性患者における対側乳癌のハザード比は0.47(95%信頼区間0.29-0.75、p=0.001)であり、アナストロゾール群はタモキシフェン群と比較して対側乳癌発生リスクを53%低下させた。なお、追跡期間の中央値約47ヵ月時点でのアナストロゾール・タモキシフェン併用群(アナストロゾール1mg/日+タモキシフェン20mg/日)とタモキシフェン群との比較においては、無病期間のハザード比1.04(95%信頼区間0.92-1.19、p=0.5)であり、アナストロゾールの併用による追加効果は認められなかった。
アナストロゾール・タモキシフェン併用群3,097例中1,979例(63.9%)に副作用が認められ、主な副作用は、血管拡張1,171例(37.8%)、白帯下227例(7.3%)及び体重増加170例(5.5%)であった。アナストロゾール群3,092例中1,734例(56.1%)に副作用が認められ、主な副作用は、血管拡張976例(31.6%)及び体重増加160例(5.2%)であった(2001年6月29日データカットオフ)。
ホルモン受容体陽性閉経後乳癌患者への多施設共同無作為化二重盲検比較試験(日本人97例、日本人以外354例)において
11)、術前療法としてアナストロゾール又はタモキシフェンを3ヵ月間投与した後の抗腫瘍効果(奏効率)は、アナストロゾール群39.5%(90/228例)、タモキシフェン群35.4%(79/223例)で群間に有意差は認めなかった。
アナストロゾール群228例に認められた主な有害事象は、悪心47例(20.6%)、脱毛症35例(15.4%)、ほてり19例(8.3%)、頭痛15例(6.6%)及び嘔吐12例(5.3%)であった。