医療用医薬品 : イノラス

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医薬品情報


総称名 イノラス
製剤名 経腸栄養剤(経口・経管両用)
薬効分類名 たん白アミノ酸製剤
薬効分類番号 3259
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年5月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
イノラス配合経腸用液 ENORAS Liquid for Enteral Use イーエヌ大塚製薬 3259120S1021 1.41円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 牛乳たん白アレルギーを有する患者[本剤は牛乳由来のたん白質が含まれているため、ショック、アナフィラキシーを引き起こすことがある。]
2.3 イレウスのある患者[消化管の通過障害がある。]
2.4 腸管の機能が残存していない患者[水、電解質、栄養素などが吸収されない。]
2.5 高度の肝・腎障害のある患者[9.2.19.3.1参照]
2.6 重症糖尿病などの糖代謝異常のある患者[高血糖、高ケトン血症などを起こすおそれがある。]
2.7 先天性アミノ酸代謝異常の患者[アシドーシス、嘔吐、意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがある。]

4. 効能または効果

一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。

5. 効能または効果に関連する注意

本剤を術後に投与する場合、胃、腸管の運動機能が回復し、水分の摂取が可能になったことを確認すること。

6. 用法及び用量

通常、成人標準量として1日562.5〜937.5mL(900〜1,500kcal)を経管又は経口投与する。経管投与の投与速度は50〜400mL/時間とし、持続的又は1日数回に分けて投与する。経口投与は1日1回又は数回に分けて投与する。なお、年齢、体重、症状により投与量、投与速度を適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤の投与初期には低速度から投与を開始すること。
7.2 経口食により十分な栄養摂取が可能となった場合には、速やかに経口食にきりかえること。

8. 重要な基本的注意

8.1 投与初期には、低速度から投与を開始し、特に観察を十分に行うこと。下痢などの副作用が認められた場合には、速度を下げて症状の改善を待つ、若しくは減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
8.2 ビタミン、電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので、必要に応じて補給すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 短腸症候群の患者
下痢の増悪をきたすおそれがある。
9.1.2 急性膵炎の患者
膵炎が増悪するおそれがある。
9.1.3 水分の補給に注意を要する以下の患者
・意識不明の患者
・口渇を訴えることのできない患者
・高熱を伴う患者
・重篤な下痢など著しい脱水症状の患者
水分バランスを失いやすい。
9.1.4 甲状腺機能低下症の患者
症状を悪化させるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎障害のある患者
投与しないこと。高窒素血症などを起こすおそれがある。[2.5参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 高度の肝障害のある患者
投与しないこと。肝性昏睡などを起こすおそれがある。[2.5参照]
9.4 生殖能を有する者
9.5.1参照]
9.5 妊婦
9.5.1 妊娠3箇月以内又は妊娠を希望する女性
投与する場合は、用法及び用量に留意し、本剤によるビタミンAの投与は5,000IU/日未満に留めるなど必要な注意を行うこと。外国において、妊娠前3箇月から妊娠初期3箇月までにビタミンAを10,000IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査結果1)がある。
(本剤937.5mL/1,500kcal中にビタミンA4,718IU(1,415.5μgRE)を含有する。)[9.4参照]
9.5.2 妊婦(妊娠3箇月以内の女性を除く)
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
投与量、投与速度に注意して投与すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ワルファリンワルファリンの作用が減弱することがある。メナテトレノン(ビタミンK2)がワルファリンの作用に拮抗するため(本剤はメナテトレノンを16.66μg/125mL(200kcal)、24.99μg/187.5mL(300kcal)含有する)。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
血圧低下、意識障害、呼吸困難、チアノーゼ、悪心、胸内苦悶、顔面潮紅、そう痒感、発汗等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
消化器注)下痢、軟便、便秘腹部膨満感、腹痛、悪心、嘔吐、肝機能検査値の異常
その他 皮疹、蕁麻疹、発熱、頭痛
臨床検査値の異常変動
(血液)
ナトリウム低下、
血糖値の上昇、
中性脂肪の上昇、
白血球数の増加
AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTP、LAP、尿素窒素、カリウム、クレアチニン、カルシウム、クロールの上昇、
クロール、カルシウム、総コレステロール、遊離脂肪酸、総ビリルビン、尿酸、総たん白、アルブミンの低下、
血糖値の低下、
血小板数の増加、
赤血球数の減少、
血色素量、ヘマトクリット値の低下
臨床検査値の異常変動
(尿)
 たん白定性、ウロビリノーゲン定性、ケトン体定性、尿糖定性の陽性、
ナトリウム、クロール、カルシウム、カリウムの低下と上昇、
pHの上昇

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 本剤を加温する場合は高温(70℃以上)を避け、未開封のまま湯煎にて行うこと。
14.1.2 使用時に配合成分由来の沈殿物又は浮遊物(結晶性のリン酸水素カルシウムや脂肪など)がみられることがあるため、開封直前によく振って分散させてから使用すること。
14.1.3 可塑剤としてDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate;フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含むポリ塩化ビニル製の栄養セット及びフィーディングチューブ等を使用した場合、DEHPが製剤中に溶出するので、DEHPを含まない栄養セット及びフィーディングチューブ等を使用することが望ましい。
14.1.4 本剤は、経腸栄養剤であるため、静脈内へは投与しないこと。
14.1.5 分割投与の開始時又は持続的投与の数時間ごとに、胃内容物の残存を確認すること。
14.1.6 経管投与においては、分割投与の終了ごと、あるいは持続的投与の数時間ごとに少量の水でチューブをフラッシングすること。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
経腸栄養による栄養管理を必要とする患者100例を対象とした多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験2)において、本剤又はラコールNF配合経腸用液(対照薬)を経管投与した。投与開始後3日間で登録前7日間の1日エネルギー量と同一(±10%以内)の維持エネルギー量まで漸増させ、維持エネルギー量を7日間投与し(維持期)、維持期終了翌日の1回目まで投与した。本剤群の維持期の1日平均投与エネルギー量は926.8±163.0kcal、1回平均投与速度は260.1±92.3mL/hr(最低108mL/hr、最高464mL/hr)であった。
最大解析対象集団100例(本剤群50例、対照薬群50例)において、主要評価項目としたRapid Turnover Protein(トランスサイレチン、レチノール結合蛋白及びトランスフェリン)は両群で同様に推移し、本剤は対照薬と同様の栄養管理が可能と認められた。副作用発現頻度は、本剤群で10.0%(5/50例)、対照薬群で12.0%(6/50例)であり、本剤群の副作用は、下痢、軟便、便秘、血中ナトリウム減少、血中トリグリセリド増加がそれぞれ2.0%(各1/50例)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は腸管より消化吸収され、門脈あるいは胸管、肝臓を経て全身で代謝され栄養補給効果を示す。
18.2 栄養効果
胃瘻カテーテルを留置したラットを用い、本剤の栄養効果を対照薬(ラコールNF配合経腸用液)と比較検討した結果、剖検日体重、臓器重量(肝臓、腎臓、脾臓、脂肪組織)、屠体重量、血液生化学指標に差は認められなかったことから、本剤は対照薬と同様の栄養効果を有すると考えられた3)

20. 取扱い上の注意

20.1 凍結保存や室温を上回る温度下での保存は避けること。
20.2 万一容器等の破損により、製剤に異常が認められた場合には投与しないこと。
20.3 開封後は、微生物汚染及び直射日光を避け、できるだけ早めに使い切ること。やむを得ず保管する場合は、冷蔵庫に保管し、24時間以内に使い切ること。

22. 包装

28パウチ[1パウチ(コーヒーフレーバー、125mL)×28]
28パウチ[1パウチ(紅茶フレーバー、125mL)×28]
28パウチ[1パウチ(ヨーグルトフレーバー、187.5mL)×28]
28パウチ[1パウチ(りんごフレーバー、187.5mL)×28]
28パウチ[1パウチ(コーヒーフレーバー、187.5mL)×28]
28パウチ[1パウチ(いちごフレーバー、187.5mL)×28]

23. 主要文献

  1. Rothman,K.J.et al., The New England Journal of Medicine., 333 (21), 1369-1373, (1995) »PubMed
  2. 丸山道生 他, 新薬と臨牀, 68 (5), 572-594, (2019)
  3. 社内資料(薬理試験)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400
製品情報問い合わせ先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
イーエヌ大塚製薬株式会社
岩手県花巻市二枚橋第4地割3-5
26.2 販売提携
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9
26.3 販売提携
株式会社大塚製薬工場
徳島県鳴門市撫養町立岩字芥原115

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/06/18 版