医療用医薬品 : イノラス |
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販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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イノラス配合経腸用液 | ENORAS Liquid for Enteral Use | イーエヌ大塚製薬 | 3259120S1021 | 1.57円/mL |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
牛乳たん白アレルギーを有する患者[本剤は牛乳由来のたん白質が含まれているため、ショック、アナフィラキシーを引き起こすことがある。]
イレウスのある患者[消化管の通過障害がある。]
腸管の機能が残存していない患者[水、電解質、栄養素などが吸収されない。]
高度の肝・腎障害のある患者[肝性昏睡、高窒素血症などを起こすおそれがある。]
重症糖尿病などの糖代謝異常のある患者[高血糖、高ケトン血症などを起こすおそれがある。]
先天性アミノ酸代謝異常の患者[アシドーシス、嘔吐、意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがある。]
一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。
経口食により十分な栄養摂取が可能となった場合には、速やかに経口食にきりかえること。
通常、成人標準量として1日562.5〜937.5mL(900〜1,500kcal)を経管又は経口投与する。経管投与の投与速度は50〜400mL/時間とし、持続的又は1日数回に分けて投与する。経口投与は1日1回又は数回に分けて投与する。なお、年齢、体重、症状により投与量、投与速度を適宜増減する。
本剤は、経腸栄養剤であるため、静脈内へは投与しないこと。
本剤の投与初期には低速度から投与を開始すること。
慎重投与
短腸症候群の患者[下痢の増悪をきたすおそれがある。]
急性膵炎の患者[膵炎が増悪するおそれがある。]
水分の補給に注意を要する下記患者[下記の患者では水分バランスを失いやすい。]
意識不明の患者
口渇を訴えることのできない患者
高熱を伴う患者
重篤な下痢など著しい脱水症状の患者
甲状腺機能低下症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
重要な基本的注意
本剤を術後に投与する場合、胃、腸管の運動機能が回復し、水分の摂取が可能になったことを確認すること。
ビタミン、電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので、必要に応じて補給すること。
相互作用
併用注意
ワルファリン | ワルファリンの作用が減弱することがある。 | メナテトレノン(ビタミンK2)がワルファリンの作用に拮抗するため(本剤はメナテトレノンを24.99μg/187.5mL(300kcal)含有する)。 |
副作用
副作用発現状況の概要
第III相比較試験(検証的試験)の安全性評価対象107例のうち副作用発現例数は11例(10.3%)、副作用発現件数は11件であった。その内訳は消化器系の副作用が下痢5件(4.7%)、軟便1件(0.9%)、便秘1件(0.9%)であり、その他は血中ナトリウム減少1件(0.9%)、血中ブドウ糖増加1件(0.9%)、血中トリグリセリド増加1件(0.9%)、白血球数増加1件(0.9%)であった。(承認時)
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用 (類薬)
ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、意識障害、呼吸困難、チアノーゼ、悪心、胸内苦悶、顔面潮紅、そう痒感、発汗等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
0.1〜5%未満 | 頻度不明注3) | |
消化器注1) | 下痢、軟便、便秘 | 腹部膨満感、腹痛、悪心、嘔吐、肝機能検査値の異常 |
その他注2) | 皮疹、蕁麻疹、発熱、頭痛 |
0.1〜5%未満 | 頻度不明注) | |
血液 | ナトリウム低下、血糖値の上昇、中性脂肪の上昇、白血球数の増加 | AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、LDH、γ-GTP、LAP、尿素窒素、カリウム、クレアチニン、カルシウム、クロールの上昇、クロール、カルシウム、総コレステロール、遊離脂肪酸、総ビリルビン、尿酸、総たん白、アルブミンの低下、血糖値の低下、血小板数の増加、赤血球数の減少、血色素量、ヘマトクリット値の低下 |
尿 | たん白定性、ウロビリノーゲン定性、ケトン体定性、尿糖定性の陽性、ナトリウム、クロール、カルシウム、カリウムの低下と上昇、pHの上昇 |
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、投与量、投与速度に注意して投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
外国において、妊娠前3ヶ月から妊娠初期3ヶ月までにビタミンAを10,000IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査結果1)があるので、妊娠3ヶ月以内又は妊娠を希望する婦人に投与する場合は用法・用量に留意し、本剤によるビタミンAの投与は5,000IU/日未満に留めるなど必要な注意を行うこと。(本剤937.5mL/1,500kcal中にビタミンA4,718IU(1,415.5μgRE)を含有する。)
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
投与に際して
投与初期には、低速度から投与を開始し、特に観察を十分に行うこと。下痢などの副作用が認められた場合には、速度を下げて症状の改善を待つ、若しくは減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
万一容器等の破損により、製剤に異常が認められた場合には使用しないこと。
投与方法
分割投与の開始時又は持続的投与の数時間ごとに、胃内容物の残存を確認すること。
経管投与においては、分割投与の終了ごと、あるいは持続的投与の数時間ごとに少量の水でチューブをフラッシングすること。
使用時に配合成分由来の沈殿物又は浮遊物(結晶性のリン酸水素カルシウムや脂肪など)がみられることがあるため、開封直前によく振って分散させてから使用すること。
本剤を加温する場合は高温(70℃以上)を避け、未開封のまま湯煎にて行うこと。
保存等
凍結保存や室温を上回る温度下での保存は避けること。
開封後は、微生物汚染及び直射日光を避け、できるだけ早めに使い切ること。やむを得ず保管する場合は、冷蔵庫に保管し、24時間以内に使い切ること。
その他
可塑剤としてDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate;フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含むポリ塩化ビニル製の栄養セット及びフィーディングチューブ等を使用した場合、DEHPが製剤中に溶出するので、DEHPを含まない栄養セット及びフィーディングチューブ等を使用することが望ましい。
経腸栄養による栄養管理を必要とする患者を対象とした多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験(検証的試験)を実施した2)。投与期間は移行期3日、維持期7日、維持期終了翌日の合計11日間とした。本剤群50例、対照薬(ラコールNF配合経腸用液)群50例で検討した。本剤群の維持期の1回平均投与速度は260.1±92.3mL/時間(最低108mL/時間、最高464mL/時間)であった。主要評価項目であるRapid Turnover Proteinは両群で同様に推移し、対照薬と同様の栄養管理が可能と認められた。
胃瘻カテーテルを留置したラットを用い、対照薬(ラコールNF配合経腸用液)と栄養効果を比較検討した結果、剖検日体重、臓器重量(肝臓、腎臓、脾臓、脂肪組織)、屠体重量、血液生化学指標(総蛋白、アルブミン、トリグリセリド、総コレステロール)に差は認められなかったことから、同等の栄養効果を有すると考えられた3)。
イノラス配合経腸用液
187.5mL×24パウチ
1. | Rothman K.J.et al., New Engl J Med., 333 (21), 1369-1373, (1995) »PubMed »DOI |
2. | 丸山 道生,他, 新薬と臨牀, 68 (5), 572-594, (2019) |
3. | 社内資料(薬理試験) |
改訂履歴 |
2019年3月 作成 (第1版) |
文献請求先 |
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。 |
業態及び業者名等 |
製造販売元 販売提携 販売提携 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2021/1/20 版 |