医療用医薬品 : カルボシステイン

List   Top

医薬品情報


総称名 カルボシステイン
一般名 L-カルボシステイン
欧文一般名 L-Carbocisteine
製剤名 L-カルボシステイン錠・L-カルボシステイン細粒
薬効分類名 気道粘液調整・粘膜正常化剤
薬効分類番号 2233
ATCコード R05CB03
KEGG DRUG
D00175 L-カルボシステイン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2023年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」 Carbocisteine Tablets 250mg「TSURUHARA」 鶴原製薬 2233002F1344 10.4円/錠
カルボシステイン錠500mg「ツルハラ」 Carbocisteine Tablets 500mg「TSURUHARA」 鶴原製薬 2233002F2162 10.4円/錠
カルボシステイン細粒50%「ツルハラ」 (後発品) Carbocisteine Fine Granules 50%「TSURUHARA」 鶴原製薬 2233002C1089 19.6円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○下記疾患の去痰
上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核
○慢性副鼻腔炎の排膿

6. 用法及び用量

カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」
L-カルボシステインとして通常成人1回500mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
 1回量投与回数
カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」2錠1日3回
経口投与
カルボシステイン錠500mg「ツルハラ」
L-カルボシステインとして通常成人1回500mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
 1回量投与回数
カルボシステイン錠500mg「ツルハラ」1錠1日3回
経口投与
カルボシステイン細粒50%「ツルハラ」
L-カルボシステインとして通常成人1回500mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
 1回量投与回数
カルボシステイン細粒50%「ツルハラ」1g1日3回
経口投与

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心障害のある患者
類薬で心不全のある患者に悪影響を及ぼしたとの報告がある。
9.3 肝機能障害患者
肝機能が悪化することがある。[11.1.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な措置を行うこと。
11.1.1 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、Al-P、LDHの上昇等があらわれることがある。[9.3参照]
11.1.3 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
呼吸困難、浮腫、蕁麻疹等があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な措置を行うこと。
 0.1〜5%未満注)0.1%未満注)頻度不明
消化器食欲不振、下痢、腹痛悪心、嘔吐、腹部膨満感、口渇 
過敏症発疹湿疹、紅斑浮腫、発熱、呼吸困難
その他 そう痒感 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
<錠>
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
<カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」>
カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」とムコダイン錠250mgをクロスオーバー法によりそれぞれ2錠(L-カルボシステインとして500mg)を、健康成人男子に絶食時単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された1)。また、カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」の処方変更を行うにあたり、処方変更後製剤と処方変更前製剤について上記と同様の生物学的同等性試験を実施し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された1)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-7.5(μg・hr/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」15.0±0.64.5±0.21.96±0.043.8±0.6
ムコダイン錠250mg14.9±0.84.6±0.11.88±0.072.7±0.4
250mg錠 処方変更前後製剤の薬物動態
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-9(μg・hr/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
処方変更前製剤(250mg、錠剤)14.3±1.04.9±0.21.8±0.11.3±0.1
処方変更後製剤(250mg、錠剤)13.9±0.94.9±0.32.2±0.11.9±0.2
<カルボシステイン細粒50%「ツルハラ」>
カルボシステイン細粒50%「ツルハラ」とムコダイン細粒50%をクロスオーバー法によりそれぞれ1g(L-カルボシステインとして500mg)を、健康成人男子に絶食時単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された2)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-7.5(μg・hr/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
カルボシステイン細粒50%「ツルハラ」14.8±0.84.4±0.11.92±0.063.0±0.4
ムコダイン細粒50%15.0±0.74.7±0.21.92±0.063.5±0.6
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.8 その他
<カルボシステイン錠500mg「ツルハラ」>
カルボシステイン錠500mg「ツルハラ」は、カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた3)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症及び肺結核の去痰>
17.1.1 国内実薬及びプラセボ対照二重盲検比較試験
喀痰喀出困難を訴える慢性気管支炎、気管支拡張症、肺気腫、気管支喘息、肺結核などの慢性呼吸器疾患患者を対象に、1週間の観察期の後カルボシステイン、実薬対照であるメチルシステイン又はプラセボを2週間投与する二重盲検比較試験を実施した。解析対象集団250例での全般改善度(軽度改善以上を有効とした場合の有効率)は、カルボシステイン群72.0%(59/82例)、メチルシステイン群64.6%(53/82例)、プラセボ群48.8%(42/86例)であり、カルボシステイン群はプラセボ群と比べて有意に改善した(p<0.01)。また、痰の切れの改善度はカルボシステイン群58.5%(48/82例)、メチルシステイン群51.2%(42/82例)、プラセボ群40.7%(35/86例)であり、カルボシステイン群はプラセボ群と比べて有意に改善した(p<0.01)。その他、痰の回数、咳の頻度、咳の強さにおいてもカルボシステイン群はプラセボ群と比べて有意に改善した(p<0.05)。
カルボシステイン群の副作用発現頻度は12.0%(11/92例)であり、主な副作用は、食欲不振、腹部不快感などの消化器症状であった4)
<慢性副鼻腔炎の排膿>
17.1.2 国内実薬対照二重盲検比較試験
慢性副鼻腔炎患者を対象に、カルボシステイン又は実薬対照であるL-システインエチル塩酸塩を4週間投与する二重盲検比較試験を実施した。解析対象集団242例での全般改善度は下表のとおりであり、カルボシステインの有用性が認められている。
カルボシステイン群の副作用発現頻度は1.5%(2/134例)、嘔吐1例、口渇感1例であった5)
表 全般改善度
薬剤改善率
カルボシステインL-システインエチル塩酸塩
評価項目著明改善20.2%*(25/124例)6.8%(8/118例)
中等度改善以上53.2%*(66/124例)32.2%(38/118例)
軽度改善以上91.1%(113/124例)84.7%(100/118例)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
カルボシステインは、粘液の調整作用及び粘膜の正常化作用により粘液線毛輸送能を改善し、喀痰、鼻汁の排泄を促進する6)
18.2 粘液構成成分調整作用
<上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症及び肺結核の去痰>
慢性気道疾患患者の喀痰中のシアル酸、フコースの構成比を正常化した7)
亜硫酸ガス曝露により変化するシアル酸/フコース分解酵素及びシアル酸/フコース合成酵素活性を正常化した。同時に、その分泌粘液の主成分であるムチン(Muc-5acタンパク質)生成の増加を抑制した(ラット)8)
18.3 杯細胞過形成抑制作用
<上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症及び肺結核の去痰>
亜硫酸ガス曝露モデルにおいて気道の杯細胞過形成を抑制した(ラット)9)
18.4 気道炎症抑制作用
<上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症及び肺結核の去痰>
亜硫酸ガス曝露により増加する気道への炎症細胞浸潤(数)、活性酸素量及びエラスターゼ活性を抑制した(ラット)9)10)
fMLPにより刺激したヒト好中球の活性化を抑制した(in vitro)11)
18.5 粘膜正常化作用
<上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症及び肺結核の去痰>
慢性気管支炎患者の気管支粘膜上皮の線毛細胞の修復を促進した12)
18.6 粘液線毛輸送能改善作用
<慢性副鼻腔炎の排膿>
慢性副鼻腔炎患者で、低下した鼻粘膜粘液線毛輸送能を改善した13)
18.7 粘膜正常化作用
<慢性副鼻腔炎の排膿>
エンドトキシン注入あるいは亜硫酸ガス曝露による副鼻腔粘膜の障害を軽減し、修復を促進した(ウサギ)14)15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. L-カルボシステイン

一般的名称 L-カルボシステイン
一般的名称(欧名) L-Carbocisteine
化学名 (2R)-2-Amino-3-carboxymethylsulfanylpropanoic acid
分子式 C5H9NO4S
分子量 179.19
融点 約186℃(分解)
物理化学的性状 本品は白色の結晶性の粉末で、においはなく、わずかに酸味がある。
本品は水に極めて溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。
本品は希塩酸又は水酸化ナトリウム試液に溶ける。
KEGG DRUG D00175

22. 包装

<カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」>
PTP:100錠(10錠×10)、1,000錠(10錠×100、乾燥剤入り)、6,000錠(10錠×600、乾燥剤入り)
バラ[缶]:1,200錠(乾燥剤入り)
<カルボシステイン錠500mg「ツルハラ」>
PTP:100錠(10錠×10)、1,000錠(10錠×100、乾燥剤入り)
<カルボシステイン細粒50%「ツルハラ」>
バラ:100g、1,000g
分包:1g×1,200包(乾燥剤入り)

23. 主要文献

  1. 社内資料:生物学的同等性試験(錠250mg)
  2. 社内資料:生物学的同等性試験(細粒50%)
  3. 社内資料:生物学的同等性試験(錠500mg)
  4. 伊藤和彦,他, 臨床と研究, 57 (4), 1296-1309, (1980)
  5. 馬場駿吉,他, 耳鼻と臨床, 34 (1), 33-47, (1988) »DOI
  6. 第十八改正日本薬局方解説書, C1415-C1420, (2021), (廣川書店)
  7. 安岡劭,他, 気管支学, 8 (3), 312-320, (1986) »DOI
  8. Ishibashi,Y.et al., Eur.J.Pharmacol., 487, 7-15, (2004) »PubMed
  9. Sueyoshi,S.et al., Int.Arch.Allergy Immunol., 134, 273-280, (2004) »PubMed
  10. 石橋祐二,他, 日本呼吸器学会雑誌, 39, 17-23, (2001)
  11. Ishii,Y.et al., Eur.J.Pharmacol., 449, 183-189, (2002) »PubMed
  12. 荻原正雄,他, 気管支学, 4 (3), 235-244, (1982) »DOI
  13. 間島雄−,他, 耳鼻臨床, 80, 1313-1319, (1987) »DOI
  14. 前山拓夫,他, 耳鼻咽喉科展望, 29, 447-457, (1986) »DOI
  15. 大橋淑宏,他, 日本耳鼻咽喉科学会会報, 88, 1056-1060, (1985) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
鶴原製薬株式会社 医薬情報部
〒563-0036 大阪府池田市豊島北1丁目16番1号
電話:072-761-1456(代表)
FAX:072-760-5252
製品情報問い合わせ先
鶴原製薬株式会社 医薬情報部
〒563-0036 大阪府池田市豊島北1丁目16番1号
電話:072-761-1456(代表)
FAX:072-760-5252

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
鶴原製薬株式会社
大阪府池田市豊島北1丁目16番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版