細菌のDNAの高次構造を変換するDNA gyraseに作用し、DNA複製を阻害することにより、殺菌的に作用する
6)。
抗菌スペクトラムは広範囲におよび、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、ミクロコッカス属、コリネバクテリウム属、バシラス属等のグラム陽性菌及びモラクセラ属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、インフルエンザ菌、ヘモフィルス・エジプチウス(コッホ・ウィークス菌)、シュードモナス属、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、ステノトロホモナス(ザントモナス)・マルトフィリア、アシネトバクター属、フラボバクテリウム属、アルカリゲネス属等のグラム陰性菌の眼感染症の起炎菌に対し、強い抗菌力を示す
7)8)9)(
in vitro)。
ウサギに0.3%ノルフロキサシン点眼液を1回1滴点眼し、1時間後緑膿菌を接種したところ、発症の予防又は病変の進行の遅延が認められた。また、菌接種後から2時間毎に1回1滴で1日6回、3日間点眼したところ病変は認められなかった
10)。
18.4.1 Rプラスミド上からはノルフロキサシンの耐性遺伝子はみつかっていない
11)。
18.4.2 継代培養による耐性獲得実験においてナリジクス酸及びピペミド酸に比べ耐性が獲得されにくい
12)(
in vitro)。
ウサギを用いた緑膿菌性角膜感染症に対する効果を、緑膿菌の接種による角膜混濁により検討した。眼球角膜表面に6mm径の円形の創及びその内側に交差する創をつくり緑膿菌を接種し、そこにノルフロキサシン点眼液0.3%「杏林」、バクシダール点眼液0.3%及び対照群としてノルフロキサシン点眼液0.3%「杏林」基剤を接種1時間前に点眼することで予防効果を、また接種2時間後より2時間毎に1日6回3日間連続点眼することで治療効果を検討した。角膜混濁のスコア
※について、Mann-WhitneyのU検定を行った結果、ノルフロキサシン点眼液0.3%「杏林」及びバクシダール点眼液0.3%は対照群と比較して有意な予防及び治療効果を示し、また両製剤間において有意な差は認められなかったことより、生物学的な同等性が確認された
13)。
投与薬剤 | 菌接種後の角膜混濁のスコア※ |
1日 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 | 8日 |
予防効果 | ノルフロキサシン点眼液0.3%「杏林」基剤 | 0.2±0.2 | 1.8±0.4 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 |
ノルフロキサシン点眼液0.3%「杏林」 | 0.0±0.0 | 0.3±0.3 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 |
バクシダール点眼液0.3% | 0.0±0.0 | 0.2±0.2 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 | 0.7±0.7 |
治療効果 | ノルフロキサシン点眼液0.3%「杏林」基剤 | 1.3±0.2 | 3.5±0.2 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 | 4.0±0.0 |
ノルフロキサシン点眼液0.3%「杏林」 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 |
バクシダール点眼液0.3% | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 | 0.0±0.0 |
※)角膜混濁のスコア
0:角膜混濁がない、1:角膜混濁が直径6mmより小さい、2:角膜混濁が直径6mm全体におよぶ、3:角膜混濁が直径6mmより大きい、4:角膜混濁が角膜全体におよぶ