5.1 本剤の投与は貧血症に伴う日常生活活動の支障が認められる患者に限定すること。なお、投与初期における投与対象は、血液透析患者ではヘモグロビン濃度で10g/dL(ヘマトクリット値で30%)未満を目安とし、活動性の高い比較的若年の血液透析患者、腹膜透析患者及び保存期慢性腎臓病患者ではヘモグロビン濃度で11g/dL(ヘマトクリット値で33%)未満を目安とする。
5.2 本剤の投与に際しては、腎性貧血であることを確認し、他の貧血症(失血性貧血、汎血球減少症等)には投与しないこと。
6.1 血液透析患者
・初回用量
成人
通常、成人にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、週1回20μgを静脈内投与する。
小児
通常、小児にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、週1回0.33μg/kg(最高20μg)を静脈内投与する。
・エリスロポエチン(エポエチン アルファ(遺伝子組換え)、エポエチン ベータ(遺伝子組換え)等)製剤からの切替え初回用量
成人
通常、成人にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、週1回15〜60μgを静脈内投与する。
・維持用量
成人
貧血改善効果が得られたら、通常、成人にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、週1回15〜60μgを静脈内投与する。週1回投与で貧血改善が維持されている場合には、その時点での1回の投与量の2倍量を開始用量として、2週に1回投与に変更し、2週に1回30〜120μgを静脈内投与することができる。
小児
貧血改善効果が得られたら、通常、小児にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、週1回5〜60μgを静脈内投与する。週1回投与で貧血改善が維持されている場合には、その時点での1回の投与量の2倍量を開始用量として、2週に1回投与に変更し、2週に1回10〜120μgを静脈内投与することができる。
なお、いずれの場合も貧血症状の程度、年齢等により適宜増減するが、最高投与量は、1回180μgとする。
6.2 腹膜透析患者及び保存期慢性腎臓病患者
・初回用量
成人
通常、成人にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、2週に1回30μgを皮下又は静脈内投与する。
小児
通常、小児にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、2週に1回0.5μg/kg(最高30μg)を皮下又は静脈内投与する。
・エリスロポエチン(エポエチン アルファ(遺伝子組換え)、エポエチン ベータ(遺伝子組換え)等)製剤からの切替え初回用量
成人
通常、成人にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、2週に1回30〜120μgを皮下又は静脈内投与する。
小児
通常、小児にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、2週に1回10〜60μgを皮下又は静脈内投与する。
・維持用量
成人
貧血改善効果が得られたら、通常、成人にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、2週に1回30〜120μgを皮下又は静脈内投与する。2週に1回投与で貧血改善が維持されている場合には、その時点での1回の投与量の2倍量を開始用量として、4週に1回投与に変更し、4週に1回60〜180μgを皮下又は静脈内投与することができる。
小児
貧血改善効果が得られたら、通常、小児にはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、2週に1回5〜120μgを皮下又は静脈内投与する。2週に1回投与で貧血改善が維持されている場合には、その時点での1回の投与量の2倍量を開始用量として、4週に1回投与に変更し、4週に1回10〜180μgを皮下又は静脈内投与することができる。
なお、いずれの場合も貧血症状の程度、年齢等により適宜増減するが、最高投与量は、1回180μgとする。
7.1 貧血改善効果の目標値は学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。
7.2 小児の初回用量
7.2.1 血液透析患者
通常、小児には下表を参考に、ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、週1回5〜20μgを静脈内投与する
1)。
体重 | 本剤投与量 |
30kg未満 | 5μg |
30kg以上40kg未満 | 10μg |
40kg以上60kg未満 | 15μg |
60kg以上 | 20μg |
7.2.2 腹膜透析患者及び保存期慢性腎臓病患者
通常、小児には下表を参考に、ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)[ダルベポエチン アルファ後続2]として、2週に1回5〜30μgを皮下又は静脈内投与する
1)。
体重 | 本剤投与量 |
20kg未満 | 5μg |
20kg以上30kg未満 | 10μg |
30kg以上40kg未満 | 15μg |
40kg以上60kg未満 | 20μg |
60kg以上 | 30μg |
7.3 切替え初回用量
以下の患者には下表を参考に、切替え前のエリスロポエチン製剤投与量から本剤の投与量及び投与頻度を決定し、切り替えること。
なお、小児に対して1回3μg/kgを超えて投与する場合、慎重に投与すること(小児に対して1回3μg/kgを超える使用経験はない)。
・エリスロポエチン製剤が週2回あるいは週3回投与されている患者
切替え前1週間のエリスロポエチン製剤投与量を合計し、下表を参考に本剤の初回用量を決定し、週1回から投与を開始する。
・エリスロポエチン製剤が週1回あるいは2週に1回投与されている患者
切替え前2週間のエリスロポエチン製剤投与量を合計し、下表を参考に本剤の初回用量を決定し、2週に1回から投与を開始する。
| 本剤投与量 |
切替え前1週間あるいは2週間のエリスロポエチン製剤投与量の合計(小児は切替え前2週間) | 成人 | 小児 |
3000IU未満 | 15μg | 10μg |
3000IU | 15μg |
4500IU | 20μg | 20μg |
6000IU | 30μg | 30μg |
9000IU | 40μg | 40μg |
12000IU | 60μg | 60μg |
7.4 投与量調整
投与初期にヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値に適度な上昇がみられなかった場合や、維持投与期にヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値が2週連続して目標範囲から逸脱した場合など、用量調整が必要な場合には、下表を参考に投与量を増減すること。なお、増量する場合には原則として1段階ずつ行うこと。
また、小児に対して1回3μg/kgを超えて投与する場合、慎重に投与すること。
成人(皮下投与時)の投与量調整表
段階 | 本剤投与量 |
1 | 15μg |
2 | 30μg |
3 | 60μg |
4 | 90μg |
5 | 120μg |
6 | 180μg |
成人(静脈内投与時)及び小児(皮下又は静脈内投与時)の投与量調整表
段階 | 本剤投与量 |
1 | 5μg |
2 | 10μg |
3 | 15μg |
4 | 20μg |
5 | 30μg |
6 | 40μg |
7 | 50μg |
8 | 60μg |
9 | 80μg |
10 | 100μg |
11 | 120μg |
12 | 140μg |
13 | 160μg |
14 | 180μg |
7.5 投与間隔変更時
7.5.1 本剤の投与間隔を変更する際には、投与間隔を延長する前のヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値の推移を十分に観察し、同一の投与量でヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値が安定した推移を示していることを確認した上で、週1回から2週に1回あるいは2週に1回から4週に1回に変更すること。変更後にはヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値の推移を確認し、適宜調整を行うこと。
7.5.2 1回あたり180μgを投与してもヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値が目標範囲に達しない場合には、投与量を1/2とし、投与頻度を2週に1回から週1回あるいは4週に1回から2週に1回に変更すること。
8.1 本剤投与により抗エリスロポエチン抗体産生を伴う赤芽球癆があらわれることがあるので、本剤投与中に貧血の改善がない、あるいは悪化する場合等は同疾患を疑うこと。[
11.1.6参照]
8.2 本剤の効果発現には鉄の存在が重要であり、鉄欠乏時には鉄剤の投与を行うこと。
8.3 ショック等の反応を予測するため十分な問診をすること。投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。また、投与開始から投与終了後まで、患者を安静な状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。なお、投与開始時あるいは休薬後の初回投与時には、本剤の少量を静脈内あるいは皮内に注入し、異常反応の発現しないことを確認後、全量を投与することが望ましい。[
11.1.5参照]
8.4 本剤投与中は、ヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値を定期的に観察し、学会のガイドライン等、最新の情報を参考にして、必要以上の造血作用(血液透析患者においてはヘモグロビン濃度で12g/dL超あるいはヘマトクリット値で36%超を目安とする)があらわれないように十分注意すること。
腎性貧血の治療におけるヘモグロビン濃度に関連して、以下の臨床試験成績が報告されている。
・心不全や虚血性心疾患を合併する血液透析患者において、目標ヘモグロビン濃度を14g/dL(ヘマトクリット値42%)に維持した群では、10g/dL(ヘマトクリット値30%)前後に維持した群に比べて死亡率が高い傾向が示されたとの報告がある
2)。
・保存期慢性腎臓病患者における腎性貧血に対する赤血球造血刺激因子製剤による治療について、目標ヘモグロビン濃度を13.5g/dLに設定した患者では、11.3g/dLに設定した患者に比較して、有意に死亡及び心血管系障害の発現頻度が高いことが示されたとの報告がある
3)。
・2型糖尿病で腎性貧血を合併している保存期慢性腎臓病患者において、目標ヘモグロビン濃度を13.0g/dLに設定して赤血球造血刺激因子製剤が投与された患者とプラセボが投与された患者(ヘモグロビン濃度が9.0g/dLを下回った場合に赤血球造血刺激因子製剤を投与)を比較したところ、赤血球造血刺激因子製剤群ではプラセボ群に比較して有意に脳卒中の発現頻度が高いことが示されたとの報告がある
4)。
8.5 本剤投与開始時及び用量変更時には、ヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値が目標範囲に到達し、安定するまでは週1回から2週に1回程度ヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値を確認すること。必要以上の造血作用を認めた場合は、休薬等の適切な処置をとること。
8.6 本剤投与により血圧上昇を認める場合があり、また、高血圧性脳症が報告されているので、血圧、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値等の推移に十分注意しながら投与すること。特に、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値は徐々に上昇させるよう注意すること。また、本剤は持続型製剤であり、エリスロポエチン製剤と比較して造血作用が長時間持続する。臨床試験において、投与中止後もヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値の低下に時間を要する症例が認められていることから、ヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値が回復するまで観察を十分に行うこと。[
9.1.2、
11.1.4参照]
8.7 本剤投与により高カリウム血症を認める場合があるので、食事管理を適切に行うこと。
8.8 血液透析患者においては、本剤投与によりシャントの閉塞や血液透析装置内の残血を認める場合があるので、シャントや血液透析装置内の血流量には十分注意すること。このような場合にはシャントの再造設、抗凝固剤の増量等の適切な処置をとること。
8.9 保存期慢性腎臓病患者に対し本剤を投与する場合には、以下の点を考慮すること。
・水分の調節が困難であるので、水分量と電解質の収支及び腎機能並びに血圧等の観察を十分行うこと。
・慢性腎臓病の進展に伴い、本剤の貧血改善効果が減弱する可能性があるので、本剤投与中は血清クレアチニン濃度やクレアチニンクリアランス等の経過を適宜観察し、増量あるいは投与中止等の適切な処置をとること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心筋梗塞、肺梗塞、脳梗塞等の患者、又はその既往歴を有し血栓塞栓症を起こすおそれのある患者
観察を十分に行うこと。血液粘稠度が上昇するとの報告があり、血栓塞栓症を増悪あるいは誘発するおそれがある。[
11.1.1、
11.1.7参照]
9.1.2 高血圧症の患者
血圧上昇を認める場合があり、また、高血圧性脳症があらわれるおそれがある。[
8.6、
11.1.4参照]
9.1.3 薬物過敏症の既往歴のある患者
9.1.4 アレルギー素因のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット及びウサギ)で胎児・出生児の発育の遅延が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
9.7.1 低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
本剤の投与に際しては血圧及びヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値等を頻回に測定し、投与量又は投与回数を適宜調節すること。一般に高齢者では生理機能が低下しており、また高血圧症等の循環器系疾患を合併することが多い。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 脳梗塞(0.8%)[
9.1.1参照]
11.1.2 脳出血(0.1%)
11.1.3 肝機能障害、黄疸(0.1%)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.5 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(じん麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、咽頭浮腫等)があらわれることがある。[
8.3参照]
11.1.6 赤芽球癆(頻度不明)
抗エリスロポエチン抗体産生を伴う赤芽球癆があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、エリスロポエチン製剤への切替えは避けること。[
8.1参照]
11.1.7 心筋梗塞、肺梗塞(各0.1%未満
注))[
9.1.1参照]
注)発現頻度はネスプ注射液プラシリンジの特定使用成績調査に基づく
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1%以上 | 0.5〜1%未満 | 0.5%未満 | 頻度不明 |
循環器 | 血圧上昇(16.2%) | 不整脈 | 狭心症・心筋虚血、透析時低血圧、動悸、閉塞性動脈硬化症 | |
皮膚 | | そう痒症、発疹 | | |
肝臓 | 肝機能異常(Al-P上昇、γ-GTP上昇、AST上昇、ALT上昇、ビリルビン上昇) | | 胆嚢ポリープ | |
代謝 | | | 血清カリウム上昇、尿酸上昇、貯蔵鉄減少、血中リン上昇、食欲減退、二次性副甲状腺機能亢進症 | |
血液 | | 好酸球増多、血小板減少 | リンパ球減少、白血球減少、白血球増多 | |
腎臓・泌尿器 | | 腎機能の低下(BUN、クレアチニンの上昇等) | 血尿 | |
消化器 | | | 腹痛、嘔気・嘔吐、胃炎、十二指腸炎 | |
感覚器 | 頭痛、倦怠感 | | めまい、不眠症、味覚異常、感音性難聴 | |
眼 | | | 硝子体出血、結膜炎 | |
その他 | シャント血栓・閉塞、LDH上昇 | | 透析回路内残血、筋骨格痛、シャント部疼痛、発熱、胸部不快感、浮腫、止血不良、糖尿病性壊疽 | 熱感・ほてり感 |
14.1 薬剤調製時の注意
14.2 薬剤投与時の注意
プランジャーロッドの無理な操作はしないこと。またバックストップは、投与終了後まで外さないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 がん化学療法又は放射線療法による貧血患者
注)に赤血球造血刺激因子製剤を投与することにより生存期間の短縮が認められたとの報告がある
5)6)。
15.1.2 放射線療法による貧血患者
注)に赤血球造血刺激因子製剤を投与することにより、腫瘍進展又は局所再発のリスクが増加したとの報告がある
6)7)。
15.1.3 プラセボを投与されたがん化学療法による貧血患者
注)に比べて赤血球造血刺激因子製剤の治療を受けた患者で血栓塞栓症の発現頻度が高いことが臨床試験にて示されたとの報告がある
8)。
15.1.4 がん化学療法又は放射線療法を受けていないがんに伴う貧血患者
注)に赤血球造血刺激因子製剤を投与した臨床試験で、プラセボを投与した患者に比べて死亡率が高いことが示されたとの報告がある
9)。
注)これらの患者への投与は、本邦では承認外である。
20.1 できるだけ使用直前までブリスター包装からシリンジを取り出さないこと。外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2 シリンジ先端部のフィルム・チップキャップが外れている、またはシリンジの破損等の異常が認められるときは使用しないこと。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
<ダルベポエチン アルファBS注5μgシリンジ「三和」>
<ダルベポエチン アルファBS注10μgシリンジ「三和」>
<ダルベポエチン アルファBS注15μgシリンジ「三和」>
<ダルベポエチン アルファBS注20μgシリンジ「三和」>
<ダルベポエチン アルファBS注30μgシリンジ「三和」>
<ダルベポエチン アルファBS注40μgシリンジ「三和」>
<ダルベポエチン アルファBS注60μgシリンジ「三和」>
<ダルベポエチン アルファBS注120μgシリンジ「三和」>
<ダルベポエチン アルファBS注180μgシリンジ「三和」>