医療用医薬品 : ブロマゼパム

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医薬品情報


総称名 ブロマゼパム
一般名 ブロマゼパム
欧文一般名 Bromazepam
製剤名 ブロマゼパム坐剤
薬効分類名 マイナートランキライザー坐剤
薬効分類番号 1124
ATCコード N05BA08
KEGG DRUG
D01245 ブロマゼパム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年11月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ブロマゼパム坐剤3mg「サンド」 Bromazepam Suppositories 3mg[SANDOZ] サンド 1124700J1044 68.1円/個 第三種向精神薬, 処方箋医薬品

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
2.3 重症筋無力症の患者[重症筋無力症の症状を悪化させるおそれがある。]

4. 効能または効果

麻酔前投薬

6. 用法及び用量

通常、成人にはブロマゼパムとして1回3mgを術前夜又は麻酔前に直腸内投与する。

8. 重要な基本的注意

8.1 大量連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量を超えないよう慎重に投与すること。[11.1.1参照]
8.2 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心障害のある患者
ジアゼパムで循環器への影響があらわれたとの報告がある。
9.1.2 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれやすい。
9.1.3 衰弱患者
9.1.4 中等度呼吸障害又は重篤な呼吸障害(呼吸不全)のある患者
呼吸器への影響があらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
少量から投与を開始するなど注意すること。
9.3 肝機能障害患者
少量から投与を開始するなど注意すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤を服用していた患者が出産した新生児において、口唇裂、口蓋裂等が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
9.5.2 妊娠後期の女性にベンゾジアゼピン系薬剤を投与した場合、新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
9.5.3 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されている1)。また、黄疸を増強する可能性がある。
9.7 小児等
少量から投与を開始するなど注意すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
少量から投与を開始するなど注意すること。運動失調等の副作用が発現しやすい。

10. 相互作用

10.2 併用注意
アルコール(飲酒)中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。
アルコールとの併用は避けることが望ましい。
ともに中枢神経抑制作用を有するため、相互に作用を増強するおそれがある。
中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体
バルビツール酸誘導体
鎮痛薬
麻酔薬 等
中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。
アルコールとの併用は避けることが望ましい。
ともに中枢神経抑制作用を有するため、相互に作用を増強するおそれがある。
モノアミン酸化酵素阻害剤クロルジアゼポキシドで舞踏病が発現したとの報告がある。機序不明
フルボキサミンマレイン酸塩本剤の血中濃度を上昇させることがあるので、本剤の用量を減量するなど、注意して投与すること。肝臓で酸化的に代謝される本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇、血中半減期を延長、又はAUCを増加させることがある。
シメチジン本剤の中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。本剤のクリアランスが減少し、血中半減期が延長する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 依存性(頻度不明)
大量投与又は連用中における投与量の急激な減少ないし投与中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。[8.1参照]
11.1.2 刺激興奮、錯乱(いずれも頻度不明)
統合失調症等の精神障害者に投与すると逆にこのような症状があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1%以上1%未満頻度不明
中枢神経系  覚醒遅延
精神神経系眠気、ふらつき、めまい頭痛興奮、気分高揚、歩行失調、不眠、性欲への影響、振戦、霧視、構音障害
血液  白血球減少
肝臓  AST・ALTの上昇、Al-Pの上昇、ウロビリノーゲン陽性
循環器  血圧低下
消化器 悪心、嘔吐口渇、食欲不振、便秘、胃部不快感等
過敏症  過敏症状
泌尿器  排尿困難
呼吸器  低換気、高炭酸ガス血症
その他倦怠感 疲労感、脱力感等

13. 過量投与

13.1 処置
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 直腸投与による外用にのみ使用すること。
14.1.2 本剤はできるだけ排便後に投与すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人にブロマゼパム3mg坐剤を投与したところ、投与後約3時間で最高血中濃度に達した2)
16.2 吸収
健康成人にブロマゼパム3mg坐剤を投与したところ、ブロマゼパム5mg錠剤とほぼ同等のbioavailabilityを示した2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内一般臨床試験
術前患者の不眠・不安・緊張・いらいら等の精神症状に対する一般臨床試験の結果、有効以上の有効率は69.8%(88/126)であった。また、やや有効以上は95.2%(120/126)であった。
副作用発現率は4.7%(6/127例)で、主な副作用はめまい1.6%(2/127例)、悪心1.6%(2/127例)、嘔吐1.6%(2/127例)であった3)4)5)
17.1.2 国内二重盲検比較試験
ブロマゼパム5mg錠剤及びプラセボを対照とした手術前夜1回投与の二重盲検比較試験において、実薬群(3mg坐剤及び5mg錠剤)は眠り込みの速さ、睡眠の深さ、睡眠中断の回数、睡眠時間の総計、有用性においてプラセボ群と有意な効果が認められ、5mg錠剤と本剤はほぼ同等であった。
本剤投与群の副作用発現率は37.3%(25/67例)で、主な副作用は眠気25.4%(17/67例)、倦怠感10.4%(7/67例)、ふらつき10.4%(7/67例)であった6)
17.1.3 国内二重盲検比較試験
ブロマゼパム5mg錠剤及びプラセボを対照とした手術前夜及び手術当日術前2時間の2回投与の二重盲検比較試験において、実薬群(3mg坐剤及び5mg錠剤)はプラセボ群に比し前夜睡眠改善効果及び麻酔前投薬効果のいずれにおいても有意に優れており、3mg坐剤群と5mg錠剤群では有意差は認められなかった。
本剤投与群の副作用発現率は2.74%(2/73例)で、ふらつき2.74%(2/73例)、失禁1.37%(1/73例)であった7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜に存在するベンゾジアゼピン受容体にアゴニストとして高い親和性で結合し、GABA親和性を増大させることにより、GABAニューロンの作用を特異的に増強すると考えられている。
18.2 睡眠麻酔増強作用
マウスでの睡眠麻酔増強作用を試験したところ、チオペンタールナトリウム麻酔に対しては、ブロマゼパムの直腸内投与は経口投与とほぼ同程度の作用を示し、ジアゼパムの直腸内投与よりも約2.5倍強い作用を示した。また、エーテル麻酔に対してはブロマゼパムの直腸内投与は経口投与よりも約3倍強い作用を示した8)
18.3 鎮痛作用
Hot Plate法によりマウスでの鎮痛作用を試験したところ、ブロマゼパムの直腸内投与と経口投与はほぼ同程度の効果を示したが、直腸内投与の方が明らかに効果が持続した。また、モルヒネ及びペンタゾシンとの併用により両投与経路とも鎮痛作用の増強が認められた8)
18.4 筋弛緩作用
回転棒法によるマウスでの筋弛緩作用は、ブロマゼパムの直腸内投与の方が経口投与よりも作用が強かった。また、ブロマゼパムの直腸内投与とジアゼパムの直腸内投与を比較すると、ブロマゼパムはジアゼパムの約3.6倍強い作用であった8)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ブロマゼパム

一般的名称 ブロマゼパム
一般的名称(欧名) Bromazepam
化学名 7-Bromo-5-(pyridin-2-yl)-1,3-dihydro-2H-1,4-benzodiazepin-2-one
分子式 C14H10BrN3O
分子量 316.15
融点 約245℃(分解)
物理化学的性状 白色〜淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
酢酸(100)に溶けやすく、メタノール、エタノール(99.5)又はアセトンに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01245

22. 包装

50個[10個×5]

23. 主要文献

  1. Patrick M.J., Lancet I., 542-543, (1972)
  2. 笠間俊男ほか, 基礎と臨床, 17 (3), 1049-1055, (1983)
  3. 並木昭義ほか, 薬理と治療, 11 (6), 2359-2365, (1983)
  4. 高橋 徹ほか, 基礎と臨床, 18 (4), 1661-1666, (1984)
  5. 吉村彰友ほか, 基礎と臨床, 17 (4), 1506-1508, (1983)
  6. 美濃部嶢ほか, 医学のあゆみ, 127 (2), 146-164, (1983)
  7. 百瀬 隆ほか, 新薬と臨床, 32 (6), 877-889, (1983)
  8. 笠間俊男ほか, 日薬理誌, 81, 149-165, (1983) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
サンド株式会社 カスタマーケアグループ
〒105-6333 東京都港区虎ノ門1-23-1
電話:0120-982-001
FAX:03-6257-3633
製品情報問い合わせ先
サンド株式会社 カスタマーケアグループ
〒105-6333 東京都港区虎ノ門1-23-1
電話:0120-982-001
FAX:03-6257-3633

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
サンド株式会社
東京都港区虎ノ門1-23-1
URL:https://www.sandoz.jp/

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版