医療用医薬品 : ベタメタゾン吉草酸エステル

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医薬品情報


総称名 ベタメタゾン吉草酸エステル
一般名 ベタメタゾン吉草酸エステル
欧文一般名 Betamethasone Valerate
製剤名 ベタメタゾン吉草酸エステルローション
薬効分類名 副腎皮質ホルモン外用剤
薬効分類番号 2646
ATCコード C05AA05 D07AC01 D07XC01 S02BA07 S03BA03
KEGG DRUG
D01357 ベタメタゾン吉草酸エステル
KEGG DGROUP
DG00095 ベタメタゾン
DG01955 副腎皮質ステロイド
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ベタメタゾン吉草酸エステルローション0.12%「イワキ」 (後発品) Betamethasone Valerate Lotion 0.12%"IWAKI" 岩城製薬 2646701Q1054 8.5円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)[これらの疾患が増悪するおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.3 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある。]
2.4 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が遅延するおそれがある。]

4. 効能または効果

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、乾癬、皮膚そう痒症、鼓室形成手術・内耳開窓術・中耳根治手術の術創、進行性壊疽性鼻炎

5. 効能または効果に関連する注意

皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。

6. 用法及び用量

通常1日1〜数回、適量を患部に塗布する。
なお、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 大量又は長期にわたる広範囲の使用により、副腎皮質ホルモン剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがある。[9.59.79.811.1.1参照]
8.2 本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は、使用を中止すること。
8.3 症状改善後は、できるだけ速やかに使用を中止すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。[8.1参照]
9.7 小児等
長期・大量使用により発育障害1)を来すとの報告がある。
また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること。[8.1参照]
9.8 高齢者
大量又は長期にわたる広範囲の使用に際しては特に注意すること。一般に副作用があらわれやすい。[8.1参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障(頻度不明)
眼瞼皮膚への使用に際しては眼圧亢進、緑内障2)を起こすことがある。
大量又は長期にわたる広範囲の使用により、緑内障、後嚢白内障等があらわれることがある。[8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満注1頻度不明
過敏症 皮膚の刺激感、接触性皮膚炎、発疹
 中心性漿液性網脈絡膜症
皮膚の感染症注2 細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛嚢炎・せつ等)、真菌症(カンジダ症、白癬等)、ウイルス感染症
その他の皮膚症状注3魚鱗癬様皮膚変化、紫斑、多毛、色素脱失ステロイドざ瘡(尋常性ざ瘡に似るが、白色の面皰が多発する傾向)、ステロイド酒さ・口囲皮膚炎(口囲、顔面全体に紅斑、丘疹、毛細血管拡張、痂皮、鱗屑)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張)
下垂体・副腎皮質系 下垂体・副腎皮質系機能の抑制注4

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
14.1.1 使用時
(1)よく振って使用すること。
(2)化粧下、ひげそり後等に使用することのないよう注意すること。
14.1.2 使用部位
眼科用として使用しないこと。

16. 薬物動態

16.2 吸収
正常なヒト腋窩皮膚に0.15% 3H-標識ベタメタゾン吉草酸エステルクリームを30分、1時間、2時間、4時間、8時間密封法(ODT)により塗布後、薬剤を除去し、オートラジオグラフ法により経表皮吸収及び経皮膚付属器官吸収を検討した結果、共に吸収が良好であった3)
表16-1 経表皮吸収及び経皮膚付属器官吸収
部位\密封(ODT)時間30分1時間2時間4時間8時間
角質層
マルピギー層++
毛嚢壁(外側)++++++
毛嚢壁(内側)++++
皮脂腺++++
アポクリン腺細胞++++
アポクリン腺腔++
16.5 排泄
乾癬患者2例及び天疱瘡患者1例に0.1% 3H-標識ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏を密封法(ODT)により塗布した場合、7日間の尿中回収率は塗布量の2.0〜18.5%であった4)(外国人データ)。
表16-2 尿中回収率
疾患名塗布面積1日塗布量(ODT)塗布日数7日間の尿中回収率(合計)
乾癬体表の50%20mg1日間2.0%
乾癬体表の50%25mg2日間8.7%
天疱瘡体表の20%10mg3日間18.5%

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 皮膚疾患に対する治療成績
湿疹・皮膚炎群を対象とした治療における有効性評価対象例は21例であり、有効率は90.5%(19例)であった5)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ステロイドは細胞質に存在する熱ショック蛋白質、抑制蛋白質と複合体を形成したステロイド受容体に結合後核内に移行し、ステロイド反応性の遺伝子を活性化させ、その薬理作用を発揮すると考えられている。また、血管内皮細胞やリンパ球等の細胞膜の障害を抑制するような膜の安定性に関与する作用や、フォスフォリパーゼA2と呼ばれる細胞膜リン脂質からロイコトリエンやプロスタグランジンなど種々の炎症惹起物質を誘導する重要な酵素の機能を抑える作用も知られている。
その作用機序としては、単量体のステロイドとその受容体が複合体を形成することで、NFκBやAP-1と呼ばれるサイトカイン産生の誘導や細胞接着分子の発現等を調節している細胞内転写因子の機能を抑制することで、2量体の受容体と結合した場合、リポコルチン等の誘導を介して、炎症を制御すると考えられている。免疫抑制作用に関しては、リンパ球に対する直接的な機能抑制、アポトーシスの誘導によると考えられている6)
18.2 薬理作用
18.2.1 皮膚血管収縮試験
ベタメタゾン吉草酸エステルは健康成人20例における皮膚血管収縮試験において、フルオシノロンアセトニドに比べて3.6倍の皮膚血管収縮能を示した7)(外国人データ)。
18.3 生物学的同等性試験
代表的IV型アレルギー反応モデルである塩化ピクリル接触性皮膚炎を用いて、ベタメタゾン吉草酸エステルローション0.12%「イワキ」及びリンデロン-Vローション塗布後の耳介の平均浮腫率を測定し統計解析を行った結果、ベタメタゾン吉草酸エステルローション0.12%「イワキ」及びリンデロン-Vローションとも同様に浮腫率の低値を示し、両剤の生物学的同等性が確認された8)。(マウス、n=10)
 平均浮腫率(%)浮腫抑制率(%)
ベタメタゾン吉草酸エステルローション0.12%「イワキ」25.7±2.383.2
リンデロン-Vローション26.3±2.182.8

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ベタメタゾン吉草酸エステル

一般的名称 ベタメタゾン吉草酸エステル
一般的名称(欧名) Betamethasone Valerate
化学名 9-Fluoro-11β,17,21-trihydroxy-16β-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione 17-pentanoate
分子式 C27H37FO6
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末で、においはない。クロロホルムに溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01357

20. 取扱い上の注意

高温条件下で粘度が変化することがある。

22. 包装

10本[10mL(ボトル)×10]
50本[10mL(ボトル)×50]

23. 主要文献

  1. Vermeer,B.J.et al., Dermatologica., 149, 299-304, (1974) »PubMed
  2. Zugerman,C.et al., Arch.Dermatol., 112, 1326, (1976) »PubMed
  3. 久木田淳ほか, 西日本皮膚科, 33, 129-137, (1971) »DOI
  4. Butler,J.et al., Br.J.Dermatol., 78, 665-668, (1966) »PubMed
  5. 森田カズエ, 皮膚, 10, 409-412, (1968) »DOI
  6. 片山一朗, アレルギー, 55, 1279-1283, (2006) »DOI
  7. McKenzie,A.W.et al., Arch.Dermatol., 89, 741-746, (1964) »PubMed
  8. 岩城製薬株式会社 社内資料(生物学的同等性試験)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261
製品情報問い合わせ先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
岩城製薬株式会社
東京都中央区日本橋本町4-8-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版