医療用医薬品 : レボセチリジン塩酸塩

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医薬品情報


総称名 レボセチリジン塩酸塩
一般名 レボセチリジン塩酸塩
欧文一般名 Levocetirizine hydrochloride
製剤名 シロップ用レボセチリジン塩酸塩
薬効分類名 持続性選択H1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤
薬効分類番号 4490
ATCコード R06AE09
KEGG DRUG
D08118 レボセチリジン塩酸塩
KEGG DGROUP
DG01482 ヒスタミンH1受容体拮抗薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2023年12月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
レボセチリジン塩酸塩DS0.5%「タカタ」 (後発品) Levocetirizine Hydrochloride Dry Syrup"TAKATA" 高田製薬 4490028R1058 46.7円/g 処方箋医薬品

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分又はピペラジン誘導体(セチリジン、ヒドロキシジンを含む)に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 重度の腎障害(クレアチニンクリアランス10mL/min未満)のある患者[7.19.2.116.6.1参照]

4. 効能または効果

[成人]
アレルギー性鼻炎
○蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症
[小児]
アレルギー性鼻炎
○蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

6. 用法及び用量

[成人]
通常、成人には1回1g(レボセチリジン塩酸塩として5mg)を1日1回、就寝前に用時溶解して経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高投与量は1日2g(レボセチリジン塩酸塩として10mg)とする。
[小児]
通常、6ヵ月以上1歳未満の小児には1回0.25g(レボセチリジン塩酸塩として1.25mg)を1日1回、用時溶解して経口投与する。
通常、1歳以上7歳未満の小児には1回0.25g(レボセチリジン塩酸塩として1.25mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に用時溶解して経口投与する。
通常、7歳以上15歳未満の小児には1回0.5g(レボセチリジン塩酸塩として2.5mg)を1日2回、朝食後及び就寝前に用時溶解して経口投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1
腎障害患者では、血中濃度半減期の延長が認められ、血中濃度が増大するため、クレアチニンクリアランスに応じて、下表のとおり投与量の調節が必要である。[2.29.2.19.2.216.6.1参照]
成人患者の腎機能に対応する用法及び用量の目安
 クレアチニンクリアランス(mL/min)
≧8050〜7930〜4910〜29
推奨用量5mgを1日に1回2.5mgを1日に1回2.5mgを2日に1回2.5mgを週に2回
(3〜4日に1回)
腎障害を有する小児患者では、各患者の腎クリアランスと体重を考慮して、個別に用量を調整すること。
7.2 高齢者では、低用量(例えば2.5mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。[9.8参照]

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
8.2 効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
<アレルギー性鼻炎>
8.3 季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
痙攣を発現するおそれがある。[11.1.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害(クレアチニンクリアランス10mL/min未満)のある患者
投与しないこと。高い血中濃度が持続するおそれがある。[2.27.116.6.1参照]
9.2.2 腎障害のある患者(重度の腎障害のある患者を除く)
高い血中濃度が持続するおそれがある。[7.116.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害のある患者
高い血中濃度が持続するおそれがある。[16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤を通過することが報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。セチリジン注)塩酸塩において、ヒト乳汁中へ移行することが報告されている。
注)ラセミ体であるセチリジンのR-エナンチオマーがレボセチリジンである。
9.7 小児等
6ヵ月未満の乳児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
慎重に投与し、異常が認められた場合は減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。腎機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある。[7.216.6.3参照]

10. 相互作用

10.2 併用注意
テオフィリンセチリジン注)塩酸塩との併用により、テオフィリンの薬物動態に変化はないが、セチリジン注)塩酸塩のクリアランスが16%減少する。機序は明らかではない。
リトナビルセチリジン注)塩酸塩との併用により、セチリジン注)塩酸塩の曝露量の増加(40%)及びリトナビルの曝露量のわずかな変化(-11%)が報告されている。リトナビルによりセチリジン注)塩酸塩の腎排泄が阻害される可能性が考えられる。
中枢神経抑制剤
アルコール
中枢神経系に影響を与える可能性がある。中枢神経抑制作用が増強される可能性がある。
ピルシカイニド塩酸塩水和物セチリジン注)塩酸塩との併用により、両剤の血中濃度が上昇し、ピルシカイニド塩酸塩水和物の副作用が発現したとの報告がある。機序は明らかではない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、血圧低下、蕁麻疹、発赤等)があらわれることがある。
11.1.2 痙攣(頻度不明)[9.1.1参照]
11.1.3 肝機能障害(0.6%)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP、LDH、Al-Pの上昇等の肝機能障害(初期症状:全身倦怠感、食欲不振、発熱、嘔気等)、黄疸があらわれることがある。
11.1.4 血小板減少(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
精神神経系眠気、倦怠感頭痛、頭重感、ふらふら感、しびれ感、めまい、浮遊感不眠、振戦、抑うつ、激越、攻撃性、傾眠、疲労、無力症、睡眠障害、錯感覚、幻覚、自殺念慮、失神、健忘注)、不随意運動注)、意識消失注)、悪夢
消化器口渇、嘔気、食欲不振胃不快感、下痢、消化不良、腹痛、腹部不快感、胃痛、口唇炎、便秘、口唇乾燥感、嘔吐、味覚異常、口内炎腹部膨満感、食欲亢進
循環器 動悸、血圧上昇、不整脈(房室ブロック注)、期外収縮、頻脈、発作性上室性頻拍注)、心房細動) 
血液好酸球増多注)好中球減少、リンパ球増多注)、白血球増多、白血球減少、単球増多注)、血小板増加注)、血小板減少注) 
過敏症 発疹、蕁麻疹、浮腫、かぶれ、そう痒感、血管性浮腫多形紅斑、薬疹
 結膜充血、霧視視覚障害、眼球回転発作
肝臓ALT上昇、AST上昇、総ビリルビン上昇Al-P上昇 
腎臓・泌尿器 尿蛋白注)、BUN上昇、尿糖注)、ウロビリノーゲンの異常注)、頻尿、血尿注)排尿困難、尿閉、遺尿注)
その他 耳鳴、月経異常、胸痛、ほてり、息苦しさ関節痛、手足のこわばり、嗅覚異常、鼻出血、脱毛、咳嗽、体重増加、筋肉痛、呼吸困難

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

アレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3〜5日前より本剤の投与を中止することが望ましい。

13. 過量投与

13.1 症状
傾眠傾向があらわれることがある。特に小児では激越、落ち着きのなさがあらわれることがある。
13.2 処置
本剤の特異的な解毒剤はなく、また本剤は透析で除去されない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
レボセチリジン塩酸塩DS0.5%「タカタ」とザイザルシロップ0.05%を、クロスオーバー法によりそれぞれ1g及び10mL(レボセチリジン塩酸塩として5mg)、健康成人男性に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された1)
図16-1 血漿中濃度
表16-1 薬物動態パラメータ
 評価パラメータ参考パラメータ
AUCt
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
t1/2
(hr)
レボセチリジン塩酸塩DS0.5%「タカタ」1821.8±335.5240.6±48.50.85±0.857.95±0.99
ザイザルシロップ0.05%1825.8±273.4244.4±52.60.62±0.407.91±1.00
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能低下者
クレアチニンクリアランスが45〜90mL/min(軽度)、10〜45mL/min(中等度)の腎機能低下者、及び血液透析を必要とする重度の腎機能低下者にレボセチリジン塩酸塩5mgを単回経口投与した時、腎機能正常者に比べ、腎機能低下者では、レボセチリジン塩酸塩のAUC0-∞は約1.8〜5.7倍増加し、t1/2は約1.4〜3.9倍に延長した2)(外国人データ)。[2.27.19.2.19.2.2参照]
表16-2 腎機能低下者におけるレボセチリジン塩酸塩の薬物動態パラメータ
腎機能正常
(6例)
軽度低下
(6例)
中等度低下
(6例)
重度低下
(5例)
CLcr
(mL/min/1.73m2
98.7±7.262.4±9.826.4±10.30
Cmax
(ng/mL)
220.5±68.78295.2±60.76320.0±67.06358.0±90.64
AUC0-∞
(ng.hr/mL)
2212.5±282.603884.4±769.858290.9±3653.5412579±3518.4
t1/2(hr)10.4±2.7614.9±3.1225.2±9.7341.0±15.54
CLr
(mL/min/1.73m2
25.6±4.6414.3±5.134.2±2.33
CL/f(L/hr)2.29±0.271.33±0.250.68±0.220.43±0.15
16.6.2 肝障害のある患者
肝機能低下者におけるレボセチリジン塩酸塩の薬物動態の検討は行われていない。
なお、原発性胆汁性肝硬変患者にセチリジン塩酸塩10mgを単回経口投与した場合、肝機能正常者に比べ、血清中濃度消失半減期の延長、Cmaxの上昇、AUCの増大が認められた3)4)5)(外国人データ)。[9.3.1参照]
表16-3 肝障害のある患者におけるセチリジン塩酸塩の薬物動態パラメータ
被験者tmax
(hr)
Cmax
(ng/mL)
t1/2
(hr)
AUC
(mg.hr/L)
健康成人
(14例)
1.0±0.5384±1037.4±1.63.3±0.9
原発性胆汁性肝硬変患者
(6例)
1.0±0.4498±11813.8±1.86.4±1.6
16.6.3 高齢者
高齢者(65〜74歳)9例にレボセチリジン塩酸塩30mg注)を1日1回6日間反復経口投与した時のレボセチリジン塩酸塩の全身クリアランスは、健康成人(21〜60歳)と比較して約25%低かった6)(外国人データ)。[9.8参照]
注)本剤の承認用量は、通常、成人には1回1g(レボセチリジン塩酸塩として5mg)を1日1回、就寝前に用時溶解して経口投与、最高投与量は1日2g(レボセチリジン塩酸塩として10mg)である。
表16-4 高齢者におけるレボセチリジン塩酸塩の薬物動態パラメータ
被験者tmax
(hr)
Cmax
(ng/mL)
t1/2
(hr)
AUC0-∞
(ng.hr/mL)
健康成人
(27例)
0.58
(0.58-2.08)
1635±2686.92±1.1013855±2340
高齢者
(9例)
1.08
(0.58-2.08)
1596±2878.92±1.7120382±6025

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
レボセチリジンは、セチリジンの活性鏡像体であり、第二世代H1受容体拮抗薬である。第二世代H1受容体拮抗薬は、抗コリン作用による副作用がなく、また主に血液-脳関門を通過しないことにより非鎮静性であるといわれる7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. レボセチリジン塩酸塩

一般的名称 レボセチリジン塩酸塩
一般的名称(欧名) Levocetirizine hydrochloride
化学名 2-(2-{4-[(R)-(4-Chlorophenyl)phenylmethyl]piperazin-1-yl}ethoxy)acetic acid dihydrochloride
分子式 C21H25ClN2O3・2HCl
分子量 461.81
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。
KEGG DRUG D08118

20. 取扱い上の注意

プラスチックボトルまたは分包品開封後は、遮光して保存すること。

22. 包装

0.25g×400包[分包]
0.5g×400包[分包]
100g[プラスチック瓶、バラ、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 社内資料:生物学的同等性試験(レボセチリジン塩酸塩DS0.5%「タカタ」)
  2. 腎機能が低下した成人における検討(ザイザル錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.2.2)
  3. 肝機能が低下した成人における検討(ザイザル錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.2.2)
  4. Simons,F.E.R.et al., J Clin Pharmacol., 33, 949-954, (1993) »PubMed
  5. Matzke,G.R.et al., Ann Allergy., 59, 25-30, (1987) »PubMed
  6. 高齢者を対象とした反復経口投与試験(ザイザル錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.2.2)
  7. たか折修二他監訳, グッドマン・ギルマン薬理書(第12版), 1179,2357, (2013), (廣川書店)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
高田製薬株式会社 文献請求窓口
〒336-8666 さいたま市南区沼影1丁目11番1号
電話:0120-989-813
FAX:048-816-4183
製品情報問い合わせ先
高田製薬株式会社 文献請求窓口
〒336-8666 さいたま市南区沼影1丁目11番1号
電話:0120-989-813
FAX:048-816-4183

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
高田製薬株式会社
さいたま市西区宮前町203番地1

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版