2.1 有効な抗菌剤の存在しない感染症・全身の真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
こう鼻後十分の呼吸を行わせ、吸気の際に本剤を1側鼻孔より1回噴霧し、この際他側の鼻孔は指で閉鎖する。
次いで他側鼻孔に同様の操作を行う。
成人は、通常1回上記1操作の吸入(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして100μg)を、1日4回鼻腔内に噴霧吸入する。小児は、通常1回上記1操作の吸入(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして100μg)を、1日2回鼻腔内に噴霧吸入する。なお、年齢・体重・症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は、成人では16吸入、小児では8吸入を限度とする。また、症状の緩解がみられた場合は、その後の経過を観察しながら減量する。
8.1 本剤の投与期間中に鼻症状の悪化がみられた場合には、抗ヒスタミン剤あるいは、全身性ステロイド剤を短期間併用し、症状の軽減にあわせて併用薬剤を徐々に減量すること。
8.2 本剤には持続効果が認められるので、特に通年性の患者において長期に使用する場合は、症状の改善状態が持続するようであれば、本剤の減量又は休薬につとめること。
8.3 全身性ステロイド剤の減量は本剤の吸入開始後症状の安定をみて徐々に行う。減量にあたっては一般のステロイド剤の減量法に準ずる。
8.4 全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って、気管支喘息、ときに湿疹、蕁麻疹、眩暈、動悸、倦怠感、顔のほてり、結膜炎等の症状が発現・増悪することがある。このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 結核性疾患又は感染症(有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症を除く)の患者
9.1.2 反復性鼻出血の患者
9.1.3 高血圧の患者
9.1.4 糖尿病の患者
9.1.5 重症な肥厚性鼻炎や鼻茸の患者
本剤の鼻腔内での作用を確実にするため、これらの症状がある程度減少するよう他の療法を併用するとよい。
9.1.6 長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者
全身性ステロイド剤の減量中並びに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払うこと。また、必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと。これらの患者では副腎皮質機能不全となっていることが考えられる。
9.1.7 喘息発作重積状態又は喘息の急激な悪化状態の患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 本剤はステロイド剤であることを考慮し、非ステロイド系薬剤によって諸症状の緩解が得られない場合に使用すること。
9.7.2 使用に当たっては、使用法を正しく指導し、経過の観察を十分行うこと。長期、大量使用により発育障害をきたすおそれがある。
9.7.3 低出生体重児、新生児、乳児又は5才以下の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら投与期間に注意するなど慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼圧亢進、緑内障(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 |
過敏症 | 蕁麻疹等の発疹、紅斑、そう痒、浮腫 |
鼻腔 | 鼻症状(刺激感、そう痒感、乾燥感、不快感)注)、くしゃみ発作、鼻出血注)、感染注)、異臭感、嗅覚障害 |
口腔並びに呼吸器 | 咽喉頭症状(刺激感、異物感)、感染注) |
消化器 | 食欲不振、悪心、嘔吐、下痢 |
循環器 | 高血圧 |
精神神経系 | 頭痛、めまい |
その他 | 気管支喘息の発現・増悪、鼻中隔穿孔 |
13.1 症状
下垂体・副腎皮質系機能抑制があらわれることがある。この抑制が長期にわたった場合、副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがある。
13.2 処置
全身性ステロイド療法を中止する手順で本剤を徐々に減量すること。
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 患者には製品添付の「鼻用定量噴霧器の使用方法」(説明書)を渡し、使用方法を十分指導すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
レセルピン系製剤、α-メチルドパ製剤等の降圧剤には、副作用として鼻閉がみられることがある。このような降圧剤服用中のアレルギー性鼻炎又は血管運動性鼻炎の患者に、本剤を投与すると、鼻閉症状に対する本剤の効果が隠蔽されるおそれがあるので、臨床的観察を十分に行いながら投与すること。
18.1 作用機序
合成糖質副腎皮質ホルモンで局所炎症作用はベタメタゾンよりも強い。したがって糖質コルチコイドとしての一般作用、すなわち糖新生、消炎、抗アレルギー作用、抗エオジン白血球減少作用を有する
1)。
18.2 抗炎症作用
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルは、ヒト皮膚における血管収縮試験においてトリアムシノロンアセトニドの5倍、デキサメタゾンの約600倍の局所抗炎症作用を示した
2)。
18.3 生物学的同等性試験
18.3.1 TDI鼻塗布感作モルモットにおける誘発症状の抑制
TDI(Toluene 2,4-diisocyanate)を抗原とした鼻塗布感作モルモットにおいて、本剤及びアルデシンAQネーザルは誘発症状(くしゃみ、水様性鼻汁、喘鳴)を抑制し、両剤間に有意差は認められなかった
3)。
18.3.2 卵白アルブミン吸入感作モルモットにおける血管透過性亢進の抑制
アルブミンによる吸入感作モルモットにおける鼻汁中の漏出色素量を指標とし、血管透過性抑制効果をみた試験で、本剤及びアルデシンAQネーザルは鼻腔粘膜からの色素の漏出量を抑制し、両剤間に有意差は認められなかった
3)。