2.1 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により、眼圧が上昇し症状を悪化させるおそれがある。]
2.2 前立腺肥大等による排尿障害がある患者[抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある。][
9.1.6参照]
2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.4 有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[ステロイドの作用により症状を悪化させるおそれがある。]
2.5 デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者[
10.1参照]
気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入β
2刺激剤及び長時間作用性吸入抗コリン剤の併用が必要な場合)
患者に対し、次の注意を与えること。
本剤は発現した発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、急性の発作に対しては使用しないこと。
通常、成人にはエナジア吸入用カプセル中用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg及びモメタゾンフランカルボン酸エステルとして80μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。
なお、症状に応じてエナジア吸入用カプセル高用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg及びモメタゾンフランカルボン酸エステルとして160μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。
7.1 本剤は吸入用カプセルであり、必ず本剤専用の吸入用器具(ブリーズヘラー)を用いて吸入し、内服しないこと。[
14.1.2参照]
7.2 本剤は1日1回、時間を問わず一定の時間帯に吸入すること。吸入できなかった場合は、可能な限り速やかに1回分を吸入すること。ただし1日1回を超えて吸入しないこと。
8.1 本剤は喘息の急性症状を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用するよう患者を指導すること。
8.2 本剤の投与期間中に発現する気管支喘息の急性の発作に対しては、短時間作用性吸入β2刺激剤等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。
また、その薬剤の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、疾患の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。
そのような状態では患者の生命が脅かされる可能性があるので、患者の症状に応じてステロイド療法の強化(本剤のより高い用量への変更等)を考慮すること。
8.3 本剤の投与終了後に症状の悪化があらわれることがあるので、患者自身の判断で本剤の使用を中止することがないよう指導すること。また、投与を中止する場合には観察を十分に行うこと。
8.4 本剤の投与期間中に喘息に関連した事象及び喘息の悪化があらわれることがある。本剤の投与開始後に喘息症状がコントロール不良であったり、悪化した場合には、患者自身の判断で本剤の吸入を中止せずに、医師に相談するよう指導すること。
8.5 本剤は患者の喘息症状に応じて最適な用量を選択する必要があるため、本剤の投与期間中は患者を定期的に診察すること。
8.6 全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により全身性の作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児の成長遅延、骨密度の低下、白内障、緑内障を含む)が発現する可能性があるので、吸入ステロイド剤の投与量は患者毎に喘息をコントロールできる最少用量に調節すること。特に長期間、高用量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性の作用が認められた場合には患者の喘息症状を観察しながら適切な処置を行うこと。
8.7 本剤の吸入により気管支痙攣が誘発され生命を脅かすおそれがある。気管支痙攣が認められた場合は、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.8 過度に使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、用法・用量を超えて使用しないよう注意すること。また、患者に対し、本剤の過度の使用による危険性を理解させ、1日1回を超えて使用しないよう注意を与えること。本剤の気管支拡張作用は通常24時間持続するので、その間は次の投与を行わないこと。[
13.1参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 結核性疾患又は感染症(有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症を除く)の患者
9.1.2 甲状腺機能亢進症の患者
9.1.3 心血管障害(冠動脈疾患、急性心筋梗塞、不整脈、高血圧、心不全、QT間隔延長等)の患者又はこれらの既往歴のある患者
9.1.4 糖尿病の患者
血糖値をモニタリングするなど慎重に投与すること。高用量のβ2刺激剤又はステロイド剤を投与すると、血糖値が上昇するおそれがある。
9.1.5 てんかん等の痙攣性疾患のある患者
9.1.6 前立腺肥大(排尿障害のある場合を除く)のある患者
9.1.7 低酸素血症の患者
血清カリウム値に注意すること。低酸素血症により血清カリウム値の低下の心リズムに及ぼす影響が増強されることがある。[
11.1.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者(eGFRが30mL/min/1.73m2未満の患者)又は透析を必要とする末期腎不全の患者
治療上の有益性と危険性を勘案して慎重に投与し、副作用の発現に注意すること。グリコピロニウムの血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。[
16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。モメタゾンフランカルボン酸エステルの経皮又は経口投与による動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形性作用が報告されている。インダカテロールの動物実験(ウサギ)で骨格変異の発生率増加を伴う生殖発生毒性が報告されている。また、インダカテロール及びグリコピロニウムの動物実験で胎盤通過性が報告されている(インダカテロール:ラット、グリコピロニウム:マウス、ウサギ、イヌ)。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。インダカテロール、グリコピロニウム及びモメタゾンフランカルボン酸エステルの動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
血管浮腫、呼吸困難、舌・口唇・顔面の腫脹、蕁麻疹、皮疹などがあらわれることがある。
11.1.3 心房細動(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1%以上 | 1%未満 | 頻度不明 |
感染症および寄生虫症 | − | − | カンジダ症、尿路感染 |
代謝および栄養障害 | − | − | 高血糖 |
神経系障害 | − | − | 頭痛 |
心臓障害 | − | − | 頻脈 |
呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 発声障害(8.7%) | − | 口腔咽頭痛、咳嗽 |
胃腸障害 | − | − | 胃腸炎、口内乾燥 |
皮膚および皮下組織障害 | − | − | 発疹、そう痒症 |
筋骨格系および結合組織障害 | − | 筋痙縮、筋骨格痛 | − |
腎および尿路障害 | − | − | 排尿困難 |
一般・全身障害および投与部位の状態 | − | − | 発熱 |
13.1 症状
β
2刺激剤の薬理学的作用による症状(頻脈、振戦、動悸、頭痛、悪心、嘔吐、傾眠、心室性不整脈、代謝性アシドーシス、低カリウム血症及び高血糖等)、抗コリン剤の薬理学的作用による症状(口内乾燥、動悸、排尿困難、眼圧上昇、便秘等)やステロイド剤による副腎皮質系機能抑制が発現するおそれがある。[
8.8参照]
13.2 処置
β刺激作用による心血管症状に対する治療剤として心選択性β遮断剤があるが、気管支痙攣を誘発する可能性があるため、使用にあたっては十分に注意すること。
16.1 血中濃度
日本人健康成人に本剤中用量(150/50/80μg)又は本剤高用量(150/50/160μg)を反復吸入投与したとき、投与初日及び投与14日目のインダカテロール、グリコピロニウム及びモメタゾンフランカルボン酸エステルの血漿中濃度はそれぞれ15分、5分及び1〜2時間(中央値)で最高値に達した。AUCから算出した累積率(Racc、平均値)は、インダカテロールで3.09〜3.32、グリコピロニウムで2.74〜2.86、モメタゾンフランカルボン酸エステルで1.37〜1.50であった。
日本人健康成人に本剤150/50/80又は150/50/160μgを1日1回反復吸入投与したときのインダカテロール、グリコピロニウム及びモメタゾンフランカルボン酸エステルの薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータ | 投与日 | インダカテロール |
150/50/80μg 16例 | 150/50/160μg 14例 |
Tmax(h) | Day1 | 0.250(0.250-0.500) | 0.250(0.250-0.250) |
Day14 | 0.250(0.250-0.250) | 0.250(0.250-0.250) |
Cmax(pg/mL) | Day1 | 388±98.2 | 338±96.8 |
Day14 | 595±162 | 593±165 |
AUC0-24h(h・pg/mL) | Day1 | 1090±273 | 1010±347 |
Day14 | 3360±1020 | 3330±1240 |
薬物動態パラメータ | 投与日 | グリコピロニウム |
150/50/80μg 16例 | 150/50/160μg 14例 |
Tmax(h) | Day1 | 0.0833(0.0833-0.0833) | 0.0833(0.0833-0.0833) |
Day14 | 0.0833(0.0833-0.0833) | 0.0833(0.0833-0.08330) |
Cmax(pg/mL) | Day1 | 318±170 | 296±141 |
Day14 | 467±164 | 464±198 |
AUC0-24h(h・pg/mL) | Day1 | 294±74.4 | 278±87.8 |
Day14 | 772±162 | 751±131 |
薬物動態パラメータ | 投与日 | モメタゾンフランカルボン酸エステル |
150/50/80μg 16例 | 150/50/160μg 14例 |
Tmax(h) | Day1 | 2.00(0.500-3.00) | 1.00(0.250-2.00) |
Day14 | 2.00(0.250-3.00) | 2.00(0.250-3.00) |
Cmax(pg/mL) | Day1 | 105±17.2 | 197±36.0 |
Day14 | 141±26.5 | 268±50.6 |
AUC0-24h(h・pg/mL) | Day1 | 936±141 | 1730±291 |
Day14 | 1270±202 | 2540±357 |
Tmaxは中央値(最小値−最大値)を、それ以外は平均値±標準偏差を示す。
日本人及び白人健康成人に本剤150/50/80又は150/50/160μgを1日1回14日間反復吸入投与したときのインダカテロール、グリコピロニウム及びモメタゾンフランカルボン酸エステルの14日目の血漿中濃度推移
インダカテロール
グリコピロニウム
モメタゾンフランカルボン酸エステル
血漿中濃度は、平均値±標準偏差で示した。
本剤を吸入投与したときの定常状態におけるインダカテロール、グリコピロニウム、及びモメタゾンフランカルボン酸エステルの血漿中トラフ濃度は、単剤投与時のインダカテロールマレイン酸塩、グリコピロニウム、及びモメタゾンフランカルボン酸エステル(ツイストヘラーによる中用量400μg及び高用量800μg)と同程度であった。
16.2 吸収
健康成人に本剤を吸入投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは、インダカテロールで約43%
1)、グリコピロニウムで40%
2)と推定された(外国人のデータ)。
健康成人にインダカテロールを経口投与
注)したときの吸入投与時に対する相対的バイオアベイラビリティは46%であり、インダカテロールは消化管からも吸収されることが考えられた
3)(外国人のデータ)。
健康成人にグリコピロニウムを吸入投与したときの血漿中曝露量に対する肺吸収及び消化管吸収の寄与はそれぞれ約90%及び約10%であった。経口投与時
注)の絶対的バイオアベイラビリティは約5%であった
2)(外国人のデータ)。
16.3 分布
インダカテロールのヒト血清中蛋白結合率は94%〜95%、ヒト血漿中蛋白結合率は95%〜96%であった
4)。
健康成人にインダカテロールを静脈内投与したときの分布容積は2,560Lであった
1)(外国人のデータ)。
グリコピロニウムのヒト血漿中蛋白結合率は1〜10ng/mLの濃度範囲で38%〜41%であった
5)。
健康成人にグリコピロニウムを静脈内投与したときの定常状態時及び消失相での分布容積はそれぞれ83L及び376Lであった
2)(外国人のデータ)。
モメタゾンフランカルボン酸エステルのヒト血漿蛋白結合率は99.0%〜99.5%であった。
16.4 代謝
健康成人男子に
14Cインダカテロール800μg
注)を単回経口投与したとき、血清中には主として未変化体が存在し、総放射能の約1/3を占めた。主な代謝経路は、ベンジル炭素の一水酸化、グルクロン酸抱合、酸化的開裂及びN-脱アルキル化反応と推察された
6)。
インダカテロールは主としてCYP3A4とUGT1A1で代謝され、Pgpの低親和性の基質であることが示唆された
7)8)(外国人のデータ)。
In vitro試験において、グリコピロニウムの主な代謝物は、水酸化による一水酸化体、二水酸化体、並びに加水分解で生じたカルボン酸誘導体であった。酸化的代謝には複数のCYP分子種の関与が考えられた
9)10)11)12)。
グリコピロニウム吸入投与時のカルボン酸誘導体の血漿中暴露量は未変化体と同程度であった
2)。慢性閉塞性肺疾患患者にグリコピロニウムを吸入投与したとき、抱合代謝物は尿中に投与量の約3%排泄された
13)(外国人のデータ)。
モメタゾンフランカルボン酸エステルはヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験では広範な代謝が認められ、生成する複数の代謝物の1つとして6β水酸化体が確認された。6β水酸化体の生成に関与するP450分子種はCYP3A4であることが確認されている。
16.5 排泄
日本人健康成人男子にインダカテロールを単回吸入投与したとき、未変化体の尿中排泄量は投与量の1.6%〜1.9%であった。また、このときの腎クリアランスは1.2〜1.7L/hであった。インダカテロールの全身クリアランス(23L/h)との比較から、腎排泄の寄与は小さいことが示唆された。健康成人男子に
14C標識したインダカテロール800μgを単回経口投与したとき、投与量の85%が糞中に排泄され、尿中への排泄は9.7%であった。糞中への排泄は未変化体(投与量の54%)及び水酸化代謝物(投与量の24%)が主であった
1)6)14)(日本人及び外国人のデータ)。
日本人健康成人にグリコピロニウムを吸入投与したときの未変化体の尿中排泄量は、投与量の13.0%〜15.5%であった。
グリコピロニウムの腎クリアランスは21.4〜23.5L/hであり、尿細管分泌の関与が考えられた
15)。グリコピロニウムの腎クリアランス及び腎外クリアランスは、それぞれ全身クリアランスの60%〜70%及び30%〜40%であった
2)16)。グリコピロニウムを吸入投与したときの消失半減期は33〜57時間であった
2)17)(外国人のデータ)。
健康成人男性に3H-モメタゾンフランカルボン酸エステル約971μg注)を単回吸入投与したとき、放射能は主に糞中に排泄され(73.5%)、尿中放射能排泄率は7.57%であった(外国人のデータ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者におけるインダカテロールの薬物動態
軽度及び中等度の肝機能障害患者にインダカテロールを単回吸入投与したとき、インダカテロールのCmaxは健康成人の0.98倍及び0.77倍、AUCは健康成人の0.87〜1.0倍及び0.95〜1.1倍であった。肝機能障害による血清中蛋白結合率の変化はみられなかった。重度の肝機能障害患者に対する検討は行っていない
18)(外国人のデータ)。
16.6.2 腎機能障害患者におけるグリコピロニウムの薬物動態
腎機能障害患者にグリコピロニウムを吸入投与したとき、軽度又は中等度の腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73m
2以上)及び重度(eGFRが30mL/min/1.73m
2未満)又は透析を必要とする末期腎不全患者のAUCは、それぞれ健康成人の1.0〜1.4倍及び2.1〜2.2倍であった
16)(外国人のデータ)。[
9.2.1参照]
16.6.3 UGT1A1変異型を有する被験者におけるインダカテロールの薬物動態
活性の低いUGT1A1変異型を有する被験者にインダカテロールを反復吸入投与したとき、定常状態時のCmax及びAUCはそれぞれ野生型を有する被験者の1.2倍であった
19)(外国人のデータ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 インダカテロールとエリスロマイシン
健康成人男子にエリスロマイシン400mg(経口投与)とインダカテロール300μg(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.2倍及び1.4〜1.6倍に上昇した
20)(外国人のデータ)。[
10.2参照]
16.7.2 インダカテロールとベラパミル
健康成人男子にベラパミル80mg(経口投与)とインダカテロール300μg(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.5倍及び1.4〜2.0倍に上昇した
21)(外国人のデータ)。[
10.2参照]
16.7.3 インダカテロールとリトナビル
健康成人にリトナビル300mg(経口投与)とインダカテロール300μg(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのAUCが1.6〜1.8倍に上昇した
22)(外国人のデータ)。[
10.2参照]
16.7.4 インダカテロールとケトコナゾール(経口剤は国内未発売)
健康成人男子にケトコナゾール200mg(経口投与)とインダカテロール300μg(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.3倍及び1.9倍に上昇した
23)(外国人のデータ)。[
10.2参照]
16.7.5 グリコピロニウムとシメチジン
健康成人にシメチジン800mg(経口投与)とグリコピロニウム100μg(吸入投与)を併用したとき、グリコピロニウムのAUCは1.2倍に上昇し、腎クリアランスは23%低下した
17)(外国人のデータ)。
16.7.6 グリコピロニウムのin vitro試験
グリコピロニウムはCYP2D6及びCYP3A4/5(ミダゾラム水酸化)に対しては阻害作用を示し、IC50はそれぞれ100μM及び230μMであった
24)25)。トランスポーターを強制発現させたMDCK II細胞を用いた検討で、グリコピロニウムはOCT1及びOCT2に対しては阻害作用を示し、IC50はそれぞれ47μM及び17μMであった
26)。
16.7.7 モメタゾンフランカルボン酸エステルとケトコナゾール(経口剤は国内未発売)
健康成人男子にケトコナゾール200mgを1日2回(経口投与)とモメタゾンフランカルボン酸エステル400μgを1日2回(ツイストヘラーによる吸入投与)を併用したとき、血漿中モメタゾンフランカルボン酸エステル濃度の明らかな上昇を示す例が認められた(外国人のデータ)。[
10.2参照]
注)承認されたインダカテロールの用法及び用量は、1日1回150μgの吸入投与である。承認されたグリコピロニウムの用法及び用量は、1日1回50μgの吸入投与である。承認されたモメタゾンフランカルボン酸エステルの最大用量は1日800μgである。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験(2302試験)
中用量〜高用量ICS/LABAでコントロールが不十分で、過去1年以内の喘息増悪歴を有する成人気管支喘息患者3092例(日本人患者78例を含む)を対象とした52週間の無作為化二重盲検並行群間比較試験で、本剤中用量(150/50/80μg)、高用量(150/50/160μg)、アテキュラ吸入用カプセル中用量(150/160μg)、同吸入用カプセル高用量(150/320μg)を1日1回吸入投与した。投与26週後のトラフFEV
1は下表のとおりであり、本剤中用量とアテキュラ吸入用カプセル中用量及び本剤高用量とアテキュラ吸入用カプセル高用量の対比較において、統計学的に有意な差が認められた。
本剤による副作用は、52週間の治療期間中に本剤高用量群で8.3%(616例中51例)、本剤中用量群で7.5%(617例中46例)に認められた。主な副作用は、本剤高用量群では発声障害3.4%(616例中21例)及び本剤中用量群では発声障害1.3%(617例中8例)であった
27)。
投与26週後におけるトラフFEV1(L)のベースラインからの変化量(FAS、OC)
投与群 | ベースライン | 投与26週後 | ベースラインからの変化量 | 本剤群とアテキュラ群との差[95%信頼区間]# 調整後p値#,※ |
中用量群 | 本剤 | 1.726±0.597 (616) | 2.032±0.707 (535) | 0.301±0.371 (535) | 0.074[0.036,0.112] <0.001 |
アテキュラ | 1.740±0.617 (607) | 1.974±0.722 (526) | 0.229±0.352 (526) |
高用量群 | 本剤 | 1.738±0.610 (615) | 2.039±0.717 (537) | 0.319±0.366 (537) | 0.065[0.027,0.103] 0.002 |
アテキュラ | 1.738±0.610 (611) | 1.998±0.709 (527) | 0.254±0.373 (527) |
S/F群 | 1.709±0.588 (612) | 1.935±0.695 (504) | 0.209±0.375 (504) | / |
光及び湿気を避けるため、ブリスター包装のまま保存すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
<エナジア吸入用カプセル中用量>
14カプセル(7カプセル×2シート、ブリーズヘラー1個)
28カプセル(7カプセル×4シート、ブリーズヘラー1個)
<エナジア吸入用カプセル高用量>
14カプセル(7カプセル×2シート、ブリーズヘラー1個)
28カプセル(7カプセル×4シート、ブリーズヘラー1個)