○蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、痒疹、そう痒を伴う
尋常性乾癬
<気管支喘息、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、痒疹、そう痒を伴う尋常性乾癬>
通常、成人にはエピナスチン塩酸塩として1回20mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<アレルギー性鼻炎>
通常、成人にはエピナスチン塩酸塩として1回10〜20mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<効能共通>
8.1 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に注意させること。
8.2 効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
<気管支喘息>
8.3 気管支拡張剤、ステロイド剤などと異なり、すでに起こっている喘息発作や症状を速やかに軽減する薬剤ではないので、このことは患者に十分説明しておく必要がある。
<アレルギー性鼻炎>
8.4 季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 長期ステロイド療法を受けている患者
本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は、十分な管理下で徐々に行うこと。
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害又はその既往歴のある患者は、肝障害が悪化又は再燃することがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠前及び妊娠初期試験(ラット)では受胎率の低下が、器官形成期試験(ウサギ)では胎児致死作用が、いずれも高用量で認められたとの報告がある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
定期的に副作用・臨床症状(発疹、口渇、胃部不快感等)の観察を行い、異常が認められた場合には、減量(例えば10mg/日)又は休薬するなど適切な処置を行うこと。高齢者では肝・腎機能が低下していることが多く、吸収された本剤は主として腎臓から排泄される。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、LDHの上昇等の肝機能障害(初期症状:全身倦怠感、食欲不振、発熱、嘔気・嘔吐等)、黄疸があらわれることがある。
11.1.2 血小板減少(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
過敏症 | 発疹 | じん麻疹、かゆみ、そう痒性紅斑 | 浮腫(顔面、手足等) |
精神神経系 | 眠気、倦怠感、頭痛、めまい | 不眠、悪夢、しびれ感、頭がボーッとした感じ | 幻覚、幻聴 |
消化器 | 嘔気、食欲不振、胃部不快感、胃もたれ感、腹痛、下痢、口渇 | 嘔吐、胃重感、便秘、口唇乾燥感、腹部膨満感 | 口内炎 |
腎臓 | | 蛋白尿 | |
泌尿器 | | 尿閉 | 頻尿、血尿等の膀胱炎様症状 |
循環器 | 心悸亢進 | | |
呼吸器 | | 呼吸困難、去痰困難、鼻閉 | |
血液 | | 白血球数増加 | 血小板減少 |
その他 | | 月経異常、ほてり、にがみ、味覚低下、胸痛 | 女性型乳房、乳房腫大 |
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
空腹時投与した場合は食後投与よりも血中濃度が高くなることが報告されている。気管支喘息及びアレルギー性鼻炎に対しては就寝前投与、じん麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、痒疹、そう痒を伴う尋常性乾癬に対しては食後投与で有効性及び安全性が確認されている。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<気管支喘息>
17.1.1 国内第II相試験(前期)
成人気管支喘息患者205例を対象とし、エピナスチン塩酸塩10mg又は20mg1日1回及び20mg1日2回を4週間経口投与した臨床試験の結果、各群の効果はほぼ同様であり、エピナスチン塩酸塩10mg又は20mg1日1回の有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における臨床試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
気管支喘息 | 20/57 | 35.1% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は3.1%(2/65例)で、眠気1.5%(1/65例)、口渇1.5%(1/65例)、鼻閉感1.5%(1/65例)であった
注1)9)。
17.1.2 国内第II相試験(後期)
成人気管支喘息患者200例を対象とし、エピナスチン塩酸塩10mg又は20mg1日1回を6週間経口投与した二重盲検比較試験の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における臨床試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
気管支喘息 | 29/78 | 37.2% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は7.2%(7/97例)で、ALT上昇2.1%(2/97例)、AST上昇2.1%(2/97例)、Al-P上昇1.0%(1/97例)、眠気1.0%(1/97例)、口のにがみ1.0%(1/97例)、悪夢1.0%(1/97例)、心悸亢進1.0%(1/97例)であった
注1)10)。
17.1.3 国内第III相試験
成人気管支喘息患者226例を対象とし、エピナスチン塩酸塩20mgを1日1回あるいはケトチフェン1mg1日2回を10週間経口投与した二重盲検比較試験の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
気管支喘息 | 51/95 | 53.7% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は8.7%(10/115例)で、口渇2.6%(3/115例)、動悸1.7%(2/115例)、倦怠感0.9%(1/115例)、めまい0.9%(1/115例)、頭痛0.9%(1/115例)、痰のつまる感じ0.9%(1/115例)、悪心0.9%(1/115例)、腹部膨満感0.9%(1/115例)、便秘0.9%(1/115例)、月経周期の不順0.9%(1/115例)であった
注1)11)。
注1)1例に複数の副作用がある。
17.1.4 国内第III相試験
成人気管支喘息患者70例を対象とし、エピナスチン塩酸塩10mg又は20mg1日1回を12週間以上経口投与した一般臨床試験[1]の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
気管支喘息 | 21/34 | 61.8% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は5.9%(3/51例)で、眠気2.0%(1/51例)、不眠2.0%(1/51例)、薬疹2.0%(1/51例)であった
12)。
17.1.5 国内第III相試験
成人気管支喘息患者20例を対象とし、エピナスチン塩酸塩20mg1日1回を12週間以上経口投与した一般臨床試験[2]の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
気管支喘息 | 12/19 | 63.2% |
<アレルギー性鼻炎>
17.1.6 国内第II相試験(前期)
通年性アレルギー性鼻炎患者183例を対象とし、エピナスチン塩酸塩5mg、10mg、20mg1日1回を2週間経口投与した臨床試験の結果、5mg投与より10mg及び20mg投与の有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
アレルギー性鼻炎 | 42/99 | 42.4% |
エピナスチン塩酸塩10mg及び20mgの副作用発現割合は1.7%(2/116例)で、全身倦怠感0.9%(1/116例)、発疹0.9%(1/116例)であった
14)。
17.1.7 国内第II相試験(後期)
通年性アレルギー性鼻炎患者194例を対象とし、エピナスチン塩酸塩10mg又は20mg1日1回を2週間経口投与した二重盲検試験の結果、10mg以上の投与量で有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
アレルギー性鼻炎 | 63/149 | 42.3% |
エピナスチン塩酸塩10mg及び20mgの副作用発現割合は5.4%(10/184例)で、眠気1.6%(3/184例)、頭痛1.1%(2/184例)、呼吸困難、口内乾燥、嘔気、むかつき、胃痛、皮疹、手掌の皮むけ、タンパク尿各0.5%(1/184例)であった
注2)15)。
17.1.8 国内第III相試験
通年性アレルギー性鼻炎患者222例を対象とし、エピナスチン塩酸塩10mg1日1回又はアゼラスチン1mg1日2回を2週間経口投与した二重盲検比較試験の結果、エピナスチン塩酸塩10mg投与の有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
アレルギー性鼻炎 | 47/94 | 50.0% |
エピナスチン塩酸塩10mgの副作用発現割合は7.8%(8/102例)で、眠気3.9%(4/102例)、頭痛、口渇、胃部不快感、下痢、じん麻疹各1.0%(1/102例)であった
注2)16)。
注2)1例に複数の副作用がある。
17.1.9 国内第III相試験
通年性アレルギー性鼻炎患者38例を対象とし、エピナスチン塩酸塩10mg又は20mg1日1回を8週間以上経口投与した一般臨床試験[1]の結果、エピナスチン塩酸塩10mg及び20mg投与の有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
アレルギー性鼻炎 | 26/38 | 68.4% |
エピナスチン塩酸塩10mg及び20mgの副作用発現割合は2.6%(1/38例)で、発疹2.6%(1/38例)であった
17)。
17.1.10 国内第III相試験
通年性アレルギー性鼻炎患者31例を対象とし、エピナスチン塩酸塩10mg1日1回を4週間以上経口投与した一般臨床試験[2]の結果、エピナスチン塩酸塩10mg投与の有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
アレルギー性鼻炎 | 17/29 | 58.6% |
エピナスチン塩酸塩10mgの副作用発現割合は3.2%(1/31例)で、眠気3.2%(1/31例)であった
18)。
<じん麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、痒疹、そう痒を伴う尋常性乾癬>
17.1.11 国内第II相試験(前期)
慢性じん麻疹患者259例を対象とし、エピナスチン塩酸塩5mg、10mg、20mg1日1回及び20mg1日2回を7日間経口投与した結果、10mg又は20mg1日1回投与群でほぼ一定の高い有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
そう痒性皮膚疾患 | 48/61 | 78.7% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は11.1%(7/63例)で、眠気6.3%(4/63例)、倦怠感3.2%(2/63例)、めまい、口渇、嘔気各1.6%(1/63例)であった
注3)19)。
17.1.12 国内第II相試験(後期)
慢性じん麻疹患者177例を対象とし、エピナスチン塩酸塩10mg又は20mg1日1回を2週間経口投与した二重盲検試験の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
そう痒性皮膚疾患 | 71/86 | 82.6% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は16.7%(15/90例)で、眠気8.9%(8/90例)、倦怠感3.3%(3/90例)、口渇2.2%(2/90例)、悪心2.2%(2/90例)、ふらつき感、頭痛、目の奥の痛み、胃部不快感、食欲不振、気持ちが悪い、下痢各1.1%(1/90例)であった
注3)20)。
17.1.13 国内第III相試験
慢性じん麻疹患者249例を対象とし、エピナスチン塩酸塩20mg1日1回又はケトチフェン1mg1日2回を2週間経口投与した二重盲検比較試験の結果、エピナスチン塩酸塩の有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
そう痒性皮膚疾患 | 95/119 | 79.8% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は13.7%(17/124例)で、眠気7.3%(9/124例)、口渇2.4%(3/124例)、倦怠感、めまい、頭重感、頭痛、胃部不快感、食欲不振、気分不良、腹痛各0.8%(1/124例)であった
注3)21)。
17.1.14 国内第III相試験
慢性じん麻疹の患者64例を対象とし、エピナスチン塩酸塩20mg1日1回を8週間経口投与した一般臨床試験[1]の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
そう痒性皮膚疾患 | 56/64 | 87.5% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は6.3%(4/64例)で、眠気3.1%(2/64例)、倦怠感1.6%(1/64例)、胃部不快感1.6%(1/64例)であった
22)。
17.1.15 国内第III相試験
湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症の患者232例を対象とし、エピナスチン塩酸塩20mg1日1回を2週間経口投与した一般臨床試験[2]の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
そう痒性皮膚疾患 | 162/230 | 70.4% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は3.0%(7/232例)で、眠気1.7%(4/232例)、不眠、頭痛、胃重感、口渇、口内乾燥感、腹痛各0.4%(1/232例)であった
注3)23)。
17.1.16 国内第III相試験
湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症、じん麻疹、そう痒を伴う尋常性乾癬の患者207例を対象とし、エピナスチン塩酸塩20mg1日1回を2〜4週間経口投与した一般臨床試験[3]の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
そう痒性皮膚疾患 | 135/184 | 73.4% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は3.9%(8/207例)で、眠気1.4%(3/207例)、頭痛、悪心、胃部不快感、食欲不振、物の味がなくなる、そう痒性紅斑各0.5%(1/207例)であった
注3)24)。
注3)1例に複数の副作用がある。
17.1.17 国内第III相試験
湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症、じん麻疹、そう痒を伴う尋常性乾癬の患者45例を対象とし、エピナスチン塩酸塩20mg1日1回(症状に応じて10mg/日〜40mg/日の範囲で増減可)を2〜12週間経口投与した一般臨床試験[4]の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
そう痒性皮膚疾患 | 26/45 | 57.8% |
エピナスチン塩酸塩20mgの副作用発現割合は4.4%(2/45例)で、頭がボーッとした感じ2.2%(1/45例)、気分が悪い2.2%(1/45例)であった
25)。
17.1.18 国内第III相試験
そう痒を伴う尋常性乾癬の患者35例を対象とし、エピナスチン塩酸塩20mg1日1回を2〜4週間経口投与した一般臨床試験[5]の結果、エピナスチン塩酸塩20mgの有用性が認められた。承認された効能又は効果、用法及び用量における試験成績は次のとおりであった。
投与対象 | 有効例数/効果判定例数 | 有効率 (中等度改善以上) |
そう痒性皮膚疾患 | 17/33 | 51.5% |