医療用医薬品 : ネオファーゲン

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医薬品情報


総称名 ネオファーゲン
一般名 グリチルリチン酸一アンモニウム
グリシン
L-システイン
欧文一般名 Monoammonium Glycyrrhizinate
Glycine
L-Cysteine
製剤名 グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・L-システイン配合注射剤
薬効分類名 抗アレルギー・肝臓疾患用剤
薬効分類番号 3919 4490
KEGG DRUG
D04990 グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ネオファーゲン静注20mL (後発品) Neophagen I.V.injection 20mL 大塚製薬工場 3919502A1376 61円/管 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 アルドステロン症、ミオパチー、低カリウム血症の患者[低カリウム血症、高血圧症等を悪化させるおそれがある。]

4. 効能または効果

○小児ストロフルス、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症、口内炎、フリクテン、薬疹・中毒疹
○慢性肝疾患における肝機能異常の改善

6. 用法及び用量

<小児ストロフルス、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症、口内炎、フリクテン、薬疹・中毒疹>
通常、成人には1日1回5〜20mLを静脈内に注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<慢性肝疾患における肝機能異常の改善>
慢性肝疾患に対しては1日1回40〜60mLを静脈内に注射又は点滴静注する。
年齢、症状により適宜増減する。
なお、増量する場合は1日100mLを限度とする。

8. 重要な基本的注意

8.1 ショック等の発現を予測するため、十分な問診を行うこと。
8.2 ショック発現時に救急処置のとれる準備をしておくこと。
8.3 投与後、患者を安静な状態に保たせ、十分な観察を行うこと。
8.4 甘草を含有する製剤との併用は、本剤に含まれるグリチルリチン酸が重複し、偽アルドステロン症があらわれやすくなるので注意すること。[11.1.3参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。グリチルリチン酸一アンモニウムを大量投与したときの動物実験(ラット)において腎奇形等が認められている1)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。グリチルリチン酸一アンモニウムを投与したときの動物実験(ラット)において乳汁移行が認められている2)
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。臨床での使用経験において、低カリウム血症等の副作用の発現率が高い傾向が認められている。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ループ利尿剤
エタクリン酸、
フロセミド等
チアジド系及びその類似降圧利尿剤
トリクロルメチアジド、
クロルタリドン等
低カリウム血症(脱力感、筋力低下等)があらわれるおそれがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を行うなど十分に注意すること。これらの利尿作用が、本剤に含まれるグリチルリチン酸のカリウム排泄作用を増強し、血清カリウム値の低下があらわれやすくなる。
モキシフロキサシン塩酸塩心室性頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長を起こすおそれがある。本剤が有するカリウム排泄作用により血清カリウム濃度が低下すると、モキシフロキサシン塩酸塩による心室性頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長が発現するおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシーショック(頻度不明)
血圧低下、意識消失、呼吸困難、心肺停止、潮紅、顔面浮腫等があらわれることがある。
11.1.2 アナフィラキシー(頻度不明)
呼吸困難、潮紅、顔面浮腫等があらわれることがある。
11.1.3 偽アルドステロン症(頻度不明)
増量又は長期連用により高度の低カリウム血症、低カリウム血症の発現頻度の上昇、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等があらわれるおそれがある。
また、低カリウム血症の結果として、脱力感、筋力低下などがあらわれるおそれがある。[8.4参照]
頻度は使用成績調査を含む
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症 発疹蕁麻疹、そう痒
体液・電解質血清カリウム値の低下注) 浮腫
循環器血圧上昇注)  
消化器 上腹部不快感嘔気・嘔吐
呼吸器  咳嗽
  一過性の視覚異常(目のかすみ、目のチカチカ等)
その他 全身倦怠感、筋肉痛、異常感覚(しびれ感、ピリピリ感等)、発熱、過呼吸症状(肩の熱感、四肢冷感、冷汗、口渇、動悸)、尿糖陽性頭痛、熱感、気分不良

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
静脈内投与は、患者の状態を観察しながらできるだけ投与速度を緩徐にすること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
グリチルリチン酸又は甘草を含有する製剤の経口投与により、横紋筋融解症があらわれたとの報告がある。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
18.1.1 抗炎症作用
(1)抗アレルギー作用
ウサギにおけるアルツス反応抑制3)等の抗アレルギー作用を有する。また、グリチルリチンはコルチゾンの作用に対し、ストレス反応抑制作用を増強、抗肉芽作用及び胸腺萎縮作用に拮抗的に作用し、抗浸出作用に対しては影響を及ぼさなかった4)
(2)アラキドン酸代謝系酵素の阻害作用
グリチルリチン酸は、アラキドン酸代謝系の初発酵素であるホスホリパーゼA25)6)とアラキドン酸から炎症性ケミカルメディエーターを産生するリポキシゲナーゼ7)に直接結合する。グリチルリチン酸は、これらの酵素のリン酸化を介する活性化を選択的に阻害する6)7)
18.1.2 免疫調節作用
グリチルリチン酸は、in vitroの実験系において、(1)T細胞活性化調節作用8)、(2)インターフェロン-γ誘起作用9)、(3)NK細胞活性化作用10)、(4)胸腺外Tリンパ球分化増強作用11)等の作用が示されている。
18.1.3 実験的肝細胞障害抑制作用
グリチルリチン酸はラットの初代培養肝細胞を用いたin vitroの実験系で、四塩化炭素による肝細胞障害を抑制することが示されている12)
18.1.4 肝細胞増殖促進作用
グリチルリチン酸、並びにグリチルレチン酸は、ラットの初代培養肝細胞を用いたin vitroの実験系において、肝細胞の増殖促進作用を有することが示されている13)
18.1.5 ウイルス増殖抑制・不活化作用
グリチルリチン酸はin vitroの実験系でヘルペスウイルス等の増殖抑制・不活化作用が示されている14)15)
18.1.6 グリシン、L-システイン塩酸塩の作用
グリシン及びL-システイン塩酸塩は、グリチルリチン酸の大量長期投与による電解質代謝異常に基づく偽アルドステロン症の発症を抑制ないし軽減する等の作用を有する16)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. グリチルリチン酸一アンモニウム

一般的名称 グリチルリチン酸一アンモニウム
一般的名称(欧名) Monoammonium Glycyrrhizinate
化学名 Monoammonium of 20β-carboxy-11-oxo-30-norolean-12-en-3β-yl-2-O-β-D-glucopyranuronosyl-β-D-glucopyranosiduronic acid
分子式 C42H61O16NH4
分子量 839.96
物理化学的性状 白色の結晶性粉末である。
希エタノールにやや溶けにくく、水に溶けにくく、エタノール(95)及びジエチルエーテルにほとんど溶けない。
理化学知見その他 19.1 グリチルリチン酸一アンモニウム
KEGG DRUG D04987

19.2. グリシン

一般的名称 グリシン
一般的名称(欧名) Glycine
化学名 Aminoacetic acid
分子式 C2H5NO2
分子量 75.07
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末で、味は甘い。
水又はギ酸に溶けやすく、エタノール(95)にほとんど溶けない。
結晶多形が認められる。
理化学知見その他 19.2 グリシン
KEGG DRUG D00011

19.3. L-システイン

一般的名称 L-システイン
一般的名称(欧名) L-Cysteine
化学名 (2R)-2-Amino-3-sulfanylpropanoic acid
分子式 C3H7NO2S
分子量 121.16
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末で、特異なにおいがあり、味はえぐい。
水に溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
1mol/L塩酸試液に溶ける。
理化学知見その他 19.3 L-システイン
KEGG DRUG D00026

20. 取扱い上の注意

20.1 品質保持のためにガスバリア性の外袋で包装し、脱酸素剤を封入しているので、外袋は使用時まで開封しないこと。
20.2 以下の場合には使用しないこと。
・容器表面に水滴や結晶が認められる場合
・容器から薬液が漏れている場合
・性状その他薬液に異状が認められる場合

22. 包装

50管 プラスチックアンプル(脱酸素剤入り)

23. 主要文献

  1. Mantovani A.,et al., Fd Chem Toxic., 26 (5), 435-440, (1988)
  2. Yoshida T.,et al., 薬理と治療, 39 (3), 309-327, (2011)
  3. 栗栖 明,他, 最新医学, 9 (別冊), 1260-1267, (1954)
  4. 熊谷 朗, 代謝, 10 (臨時増刊号), 632-645, (1973)
  5. 沖増英治,他, 医学のあゆみ, 122 (3), 174-177, (1982)
  6. Ohtsuki K.,et al., Biol Pharm. Bull., 21 (6), 574-578, (1998) »PubMed
  7. Shimoyama Y.,et al., FEBS Lett., 391, 238-242, (1996) »PubMed
  8. Zhang Y.,et al., Immunol Lett., 32 (2), 147-152, (1992) »PubMed
  9. Abe N.,et al., Microbiol Immunol., 26 (6), 535-539, (1982) »PubMed
  10. 熊谷勝男, Minophagen Med Rev., 17 (Suppl), 21-25, (1987)
  11. Kimura M.,et al., Biotherapy., 5, 167-176, (1992) »PubMed
  12. ヒキノ ヒロシ, 薬学雑誌, 105 (2), 109-118, (1985) »DOI
  13. Kimura M.,et al., Eur J Pharm., 431, 151-161, (2001)
  14. Pompei R.,et al., Nature., 281, 689-690, (1979) »PubMed
  15. Baba M.,et al., Antiviral Res., 7 (2), 99-107, (1987) »PubMed
  16. 熊谷 朗,他, 薬理と治療, 7 (10), 2933-2938, (1979)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400
製品情報問い合わせ先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社大塚製薬工場
徳島県鳴門市撫養町立岩字芥原115
26.2 販売提携
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版