医療用医薬品 : ポリスチレンスルホン酸Ca

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医薬品情報


総称名 ポリスチレンスルホン酸Ca
一般名 ポリスチレンスルホン酸カルシウム
欧文一般名 Calcium Polystyrene Sulfonate
薬効分類名 高カリウム血症改善剤
薬効分類番号 2190
ATCコード V03AE01
KEGG DRUG
D03270 ポリスチレンスルホン酸カルシウム
KEGG DGROUP
DG01160 ポリスチレンスルホン酸
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年6月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ポリスチレンスルホン酸Ca散96.7%分包5.17g<ハチ> (後発品) Calcium Polystyrene Sulfonate Powder<Hachi> 東洋製薬化成 2190016B1043 7.6円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
腸閉塞の患者[腸管穿孔を起こすおそれがある。]

4. 効能または効果

急性及び慢性腎不全に伴う高カリウム血症

6. 用法及び用量

通常成人1日15.51〜31.02g(ポリスチレンスルホン酸カルシウムとして15〜30g)を2〜3回にわけ、その1回量を水30〜50mLを用いて経口投与する。
なお、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 腸管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍があらわれることがあるので、高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐、下血等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。[9.1.1-9.1.311.1.111.2参照]
8.2 本剤を経口投与するにあたっては、患者に排便状況を確認させ、便秘に引き続き腹痛、腹部膨満感、嘔吐等の症状があらわれた場合には、医師等に相談するよう指導すること。[14.2参照]
8.3 過量投与を防ぐため、規則的に血清カリウム値及び血清カルシウム値を測定しながら投与すること。また異常を認めた場合には、減量又は休薬等の適切な処置を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 便秘を起こしやすい患者
腸閉塞、腸管穿孔を起こすおそれがある。[8.111.1.1参照]
9.1.2 腸管狭窄のある患者
腸閉塞、腸管穿孔を起こすおそれがある。[8.111.1.1参照]
9.1.3 消化管潰瘍のある患者
症状を増悪させるおそれがある。[8.111.1.1参照]
9.1.4 副甲状腺機能亢進症の患者
イオン交換で血中カルシウム濃度が上昇するおそれがある。
9.1.5 多発性骨髄腫の患者
イオン交換で血中カルシウム濃度が上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ジギタリス剤
ジゴキシン等
ジギタリス中毒作用が増強されることがある。本剤の血清カリウム値低下作用による。
アルミニウム、マグネシウム又はカルシウムを含有する制酸剤又は緩下剤
乾燥水酸化アルミニウムゲル
水酸化マグネシウム
沈降炭酸カルシウム等
本剤の効果が減弱するおそれがある。非選択的に左記薬剤の陽イオンと交換する可能性がある。
アルミニウム、マグネシウム又はカルシウムを含有する制酸剤又は緩下剤
乾燥水酸化アルミニウムゲル
水酸化マグネシウム
沈降炭酸カルシウム等
全身性アルカローシスなどの症状があらわれたとの報告がある1)2)3)腸管内に分泌された重炭酸塩の中和を妨げる1)
甲状腺ホルモン製剤
レボチロキシン等
左記薬剤の効果が減弱することがあるので、服用時間をずらすなど注意すること。本剤が消化管内で左記薬剤を吸着することにより、これらの薬剤の吸収を阻害すると考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 腸管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍(いずれも頻度不明)
これらの病態を疑わせる高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐、下血等の異常が認められた場合には、投与を中止し、聴診、触診、画像診断等を実施し、適切な処置を行うこと4)。[8.19.1.1-9.1.3参照]
注1)発現頻度は副作用頻度調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満頻度不明
過敏症  発疹
消化器便秘注2)悪心、嘔気、食欲不振、胃部不快感下痢
電解質 低カリウム血症 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
本剤は内服用にのみ使用すること。
14.2 薬剤交付時の注意
消化管への蓄積を避けるため、便秘を起こさせないように注意すること。[8.2参照]

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本剤のソルビトール懸濁液を経口投与し、結腸狭窄、結腸潰瘍等を起こした症例が報告されている。
15.1.2 類薬(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)で、そのソルビトール懸濁液を経口投与し、小腸の穿孔、腸粘膜壊死、大腸潰瘍、結腸壊死等を起こした症例が報告されている。
15.1.3 本剤とアルギン酸ナトリウムとの併用により、消化管内に不溶性のゲルを生じたとの報告がある。

16. 薬物動態

16.2 吸収
ポリスチレンスルホン酸カルシウムは吸収されないと考えられる5)(家兎 in vitro)。ただし、5μm以下の微粒子は粘膜を経由して吸収され、細網内皮系組織等に沈着することが仔牛による実験で報告6)されているので、ポリスチレンスルホン酸カルシウムは5μm以下の微粒子を0.1%以下に規制している。
16.5 排泄
ポリスチレンスルホン酸カルシウム1g/kg及び3g/kg投与群における経過時間ごとの糞便排泄率を測定した結果、両投与群とも経口投与後24時間で75%以上、72時間で90%以上が糞便中に排泄された5)(ラット)。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを対照とした国内二重盲検比較試験
高カリウム血症を有する慢性腎不全患者75例(透析例63例、非透析例12例)を対象にポリスチレンスルホン酸カルシウム及び対照薬15〜25g/日を2週間経口投与した(透析例はクロスオーバー法)。ポリスチレンスルホン酸カルシウム投与群において透析例(47例)では透析間(透析と透析の間)の血清カリウム値上昇が有意に抑制され(抑制幅0.32〜0.87mEq/L、p<0.01)、非透析例(12例)では血清カリウム値が低下した。透析例及び非透析例のいずれにおいても、対照薬投与群との有意な差は認められなかった。
ポリスチレンスルホン酸カルシウム投与時に認められた副作用は、便秘2/75例(2.7%)、低カリウム血症1/75例(1.3%)であった7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
経口投与後、ポリスチレンスルホン酸カルシウムは消化・吸収されることなく、腸管内、特に結腸付近で、本剤のカルシウムイオンと腸管内のカリウムイオンが交換され、ポリスチレンスルホン酸樹脂としては何ら変化を受けることなしに、そのまま糞便中に排泄される。その結果腸管内のカリウムは体外へ除去される。
18.2 カリウム交換容量
ポリスチレンスルホン酸カルシウムを乾燥したものは7.0〜9.0%のカルシウムを含み、またその1gは試験管内(KCl溶液)において、53〜71mg(1.36〜1.82mEq)のカリウムと交換する(in vitro)。
18.3 全腎摘出ラットにおける血清カリウム値上昇抑制作用
腎摘出Wistar系雄性ラット(n=8)に対して、ポリスチレンスルホン酸カルシウム1.5g/kg/day、3.0g/kg/day、6.0g/kg/dayを2日間、5回経口投与した。血清カリウム値は3.0g/kg/day群(p<0.05)及び6.0g/kg/day群(p<0.01)で有意な減少を示し、その下降は用量反応関係を示した8)
18.4 腎不全患者における血清カリウム値上昇抑制作用
腎不全患者(成人)に対し、ポリスチレンスルホン酸カルシウムを1日15〜30g経口投与した結果、血清カリウム値を約1mEq/L抑制した7)9)10)
18.5 生物学的同等性試験
18.5.1 カリウム交換容量比較試験
本剤とカリエード散のカリウム交換容量を測定した結果、両剤のカリウム交換容量に有意な差は認められず、両剤の生物学的同等性が確認された11)in vitro)。
18.5.2 両腎臓摘出ラットを用いた薬力学的試験
本剤とカリエード散を両腎臓摘出ラットに1.5、3、6g/kg/day(ポリスチレンスルホン酸カルシウム量換算)を経口投与した結果、両剤は両腎臓摘出ラットにおける延命作用及び血清K濃度の増加抑制作用を有し、その作用強度は同程度であり、両剤の生物学的同等性が確認された12)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ポリスチレンスルホン酸カルシウム

一般的名称 ポリスチレンスルホン酸カルシウム
一般的名称(欧名) Calcium Polystyrene Sulfonate
物理化学的性状 微黄白色〜淡黄色の粉末で、におい及び味はない。
水、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D03270

22. 包装

70包[7包×10]
140包[7包×20]

23. 主要文献

  1. Fernandez PC,et al., N Engl J Med., 286, 23-4, (1972) »PubMed
  2. Ziessman HA., South Med J., 69, 497-9, (1976) »PubMed
  3. Schroeder ET., Gastroenterology., 56, 868-74, (1969) »PubMed
  4. Minford EJ,et al., Postgrad Med J., 68, 302, (1992) »PubMed
  5. 和知正幸他, 基礎と臨床, 7, 3528-30, (1973)
  6. Payne JM,et al., Nature., 188, 586-7, (1960) »PubMed
  7. 鈴木好夫他, 診療と保険, 15, 1794-808, (1973)
  8. 和知正幸他, 日本薬理学雑誌, 69, 863-8, (1973) »DOI
  9. 片岡是充, 診療と新薬, 10, 1013-9, (1973)
  10. 平沢由平, 診療と新薬, 10, 1021-9, (1973)
  11. 社内資料:生物学的同等性試験−カリウム交換容量比較試験−
  12. 社内資料:生物学的同等性試験−両腎臓摘出ラットを用いた薬力学的試験−

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
東洋製薬化成株式会社 医薬情報部
〒533-0031 大阪市東淀川区西淡路5丁目20番19号
電話:0120-443-471
製品情報問い合わせ先
東洋製薬化成株式会社 医薬情報部
〒533-0031 大阪市東淀川区西淡路5丁目20番19号
電話:0120-443-471

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売
東洋製薬化成株式会社
大阪市鶴見区鶴見2丁目5番4号
26.2 販売
小野薬品工業株式会社
大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版