医療用医薬品 : ヒアルロン酸Na

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医薬品情報


総称名 ヒアルロン酸Na
一般名 精製ヒアルロン酸ナトリウム
欧文一般名 Purified Sodium Hyaluronate
薬効分類名 角結膜上皮障害治療用点眼剤
薬効分類番号 1319
ATCコード S01KA01
KEGG DRUG
D03354 精製ヒアルロン酸ナトリウム
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「科研」 (後発品) HYALURONATE Na Ophthalmic Solution「KAKEN」 科研製薬 1319720Q3221 176.6円/瓶
ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「科研」 (後発品) HYALURONATE Na Ophthalmic Solution「KAKEN」 科研製薬 1319720Y2179 197.3円/瓶

4. 効能または効果

下記疾患に伴う角結膜上皮障害
シェーグレン症候群スティーブンス・ジョンソン症候群眼球乾燥症候群ドライアイ)等の内因性疾患
○術後、薬剤性、外傷、コンタクトレンズ装用等による外因性疾患

6. 用法及び用量

1回1滴、1日5〜6回点眼し、症状により適宜増減する。
なお、通常は0.1%製剤を投与し、重症疾患等で効果不十分の場合には、0.3%製剤を投与する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には診断又は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
診断又は治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 1%〜5%未満1%未満頻度不明
眼のそう痒感眼刺激、眼脂、結膜充血、眼の異物感、眼瞼炎、結膜炎びまん性表層角膜炎等の角膜障害、眼痛

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
・薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
・他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上間隔をあけてから点眼すること。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験[1]
ドライアイ等に伴う角結膜上皮障害患者115例を対象に、人工涙液を少なくとも1週間点眼後、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液又はグルタチオン点眼液を1日5回、両眼に4週間点眼した結果、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液群の改善率は71.4%(40/56例)であり、グルタチオン点眼液群の31.5%(17/54例)と比較し、有意な改善が認められた。
副作用は0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液群の55例中1例(1.8%)に認められ、しみる1例のみであった1)
17.1.2 国内第III相試験[2]
ドライアイ(シェーグレン症候群を含む)に伴う中等度以上の角結膜上皮障害患者104例208眼を対象に、人工涙液を2週間1日6回点眼後、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(保存剤なし)及び基剤をそれぞれ片眼に1日6回、4週間点眼した結果、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(保存剤なし)群の改善率は51.6%(47/91眼)であり、基剤群の41.8%(38/91眼)と比較し、有意な改善が認められた。
副作用は2例に認められ、結膜浮腫及びアレルギー性結膜炎が各1例であった2)
17.1.3 国内第III相試験[3]
コンタクトレンズ装用に伴う角結膜上皮障害患者51例を対象に、原則コンタクトレンズを装用したまま、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(保存剤なし)又は基剤を1日6回、両眼に2週間点眼した結果、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(保存剤なし)群の改善率は50.0%(12/24例)であり、基剤群の30.4%(7/23例)と比較し、有意な改善が認められた。
副作用は認められなかった3)
17.1.4 国内第III相試験[4]
難治性又は重症の角結膜上皮障害患者35例を対象に、0.3%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液(保存剤なし)を1日6回、4週間点眼した結果、改善率は76.7%(23/30例)であった。
副作用は35例中1例(2.9%)に認められ、かゆみ1例のみであった4)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ヒアルロン酸ナトリウムはフィブロネクチンと結合し、その作用を介して上皮細胞の接着、伸展を促進すると考えられる5)6)。また、その分子内に多数の水分子を保持することによって優れた保水性を示す7)
18.2 角膜創傷治癒促進作用
外科的に角膜上皮下の基底膜まで剥離したウサギ角膜上皮剥離モデルに対し、0.1〜0.5%ヒアルロン酸ナトリウムを点眼したとき、剥離24時間後より基剤点眼群と比較し有意な創傷面積の減少が認められた8)
18.3 角膜上皮伸展促進作用
ウサギ摘出角膜片の培養系において、ヒアルロン酸ナトリウムは対照群(培養液のみ)と比較して有意に角膜上皮細胞層の伸展を促進した9)in vitro)。
18.4 保水作用
0.1%〜1.0%ヒアルロン酸ナトリウム溶液を寒天平板に滴下したとき、水分蒸発による寒天重量の減少は濃度依存的に抑制された7)in vitro)。
18.5 生物学的同等性試験
<ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「科研」>
18.5.1 角膜上皮創傷モデルに対する治療効果
n-ヘプタノールによりウサギ角膜上皮創傷モデルを作製し、本剤、ヒアレイン点眼液0.1%又は基剤を点眼し、創傷作製後24時間の治癒面積から治癒率を求め、創傷に対する治癒作用を比較検討した。その結果、本剤及びヒアレイン点眼液0.1%投与群の治癒率は基剤投与群に対し有意な差を認めた。また、両製剤群間では有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された10)
 治癒率(%)
本剤60.75±3.19
ヒアレイン点眼液0.1%61.86±4.13
基剤34.30±2.50
18.5.2 強制開瞼ドライアイモデルに対する治療効果
ウサギの眼瞼を強制的に開瞼してドライアイ角膜上皮障害モデルを作製し、本剤、ヒアレイン点眼液0.1%又は基剤を点眼して3時間後に障害部位をメチレンブルーで染色し、その色素抽出量から角膜上皮障害に対する治癒作用を比較検討した。その結果、本剤及びヒアレイン点眼液0.1%投与群の色素抽出量は基剤投与群に対し有意な差を認めた。また、両製剤群間では有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された10)
 色素抽出量(μg)
本剤1.9103±0.0708
ヒアレイン点眼液0.1%1.9909±0.0935
基剤4.2225±0.3691
18.5.3 機械的角膜上皮剥離モデルに対する治療効果
ゼラチンを塗布したガラス平板を用いてウサギの機械的角膜上皮剥離モデルを作製した。本剤、ヒアレイン点眼液0.1%又は基剤を点眼し、障害作製後4時間の治癒面積から治癒率を求め、角膜上皮障害に対する治癒作用を比較検討した。その結果、本剤及びヒアレイン点眼液0.1%投与群の治癒率は基剤投与群に対し有意な差を認めた。また、両製剤群間では有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された10)
 治癒率(%)
本剤88.90±5.71
ヒアレイン点眼液0.1%88.78±6.46
基剤25.12±5.04
<ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「科研」>
18.5.4 角膜上皮創傷モデルに対する治療効果
n-ヘプタノールによりウサギ角膜上皮創傷モデルを作製し、本剤、ヒアレインミニ点眼液0.3%又は対照物質(生理食塩液又は基剤)を点眼し、創傷作製後24時間の治癒面積から治癒率を求め、創傷に対する治癒作用を比較検討した。その結果、本剤及びヒアレインミニ点眼液0.3%投与群の治癒率は対照物質投与群に対し有意な差を認めた。また、両製剤群間では有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された10)
 治癒率(%)
本剤69.5±1.95#,##
ヒアレインミニ点眼液0.3%70.2±2.71#,##
生理食塩液60.2±2.58
基剤56.7±1.67
18.5.5 強制開瞼ドライアイモデルに対する治療効果
ウサギの眼瞼を強制的に開瞼してドライアイ角膜上皮障害モデルを作製し、本剤、ヒアレインミニ点眼液0.3%又は対照物質(生理食塩液又は基剤)を点眼して3時間後に障害部位をメチレンブルーで染色し、その色素抽出量から角膜上皮障害に対する治癒作用を比較検討した。その結果、本剤及びヒアレインミニ点眼液0.3%投与群の色素抽出量は対照物質投与群に対し有意な差を認めた。また、両製剤群間では有意な差は認められず、生物学的同等性が確認された10)
 色素抽出量(μg)
本剤1.24±0.13#,##
ヒアレインミニ点眼液0.3%1.19±0.13#,##
生理食塩液2.49±0.11
基剤2.50±0.08

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. 精製ヒアルロン酸ナトリウム

一般的名称 精製ヒアルロン酸ナトリウム
一般的名称(欧名) Purified Sodium Hyaluronate
分子式 (C14H20NNaO11)n
分子量 平均分子量50万〜149万
物理化学的性状 白色の粉末、粒又は繊維状の塊である。
水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
吸湿性である。
KEGG DRUG D03354

22. 包装

<ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「科研」>
プラスチック点眼容器 5mL×10本、5mL×50本
<ヒアルロン酸Na点眼液0.3%「科研」>
プラスチック点眼容器 5mL×10本

23. 主要文献

  1. 北野周作 他, 日本眼科紀要, 44, 487-497, (1993)
  2. 榛村重人 他, あたらしい眼科, 10, 611-616, (1993)
  3. 糸井素純 他, あたらしい眼科, 10, 617-626, (1993)
  4. 北野周作 他, あたらしい眼科, 10, 603-610, (1993)
  5. Nakamura,M.et al., J.Cellular Physiol., 159, 415-422, (1994) »PubMed
  6. Nakamura,M.et al., Current Eye Res., 13, 385-388, (1994) »PubMed
  7. Nakamura,M.et al., Cornea., 12, 433-436, (1993) »PubMed
  8. 中村雅胤 他, 日本眼科紀要, 46, 1256-1260, (1995)
  9. Nakamura,M.et al., Current Eye Res., 11, 981-986, (1992) »PubMed
  10. 社内資料:生物学的同等性に関する試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
テイカ製薬株式会社 学術部
〒930-0982 富山市荒川一丁目3番27号
電話:076-431-1717
FAX:076-431-6707
製品情報問い合わせ先
テイカ製薬株式会社 学術部
〒930-0982 富山市荒川一丁目3番27号
電話:076-431-1717
FAX:076-431-6707

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
科研製薬株式会社
東京都文京区本駒込二丁目28番8号
26.2 発売元
テイカ製薬株式会社
富山市荒川一丁目3番27号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版