医療用医薬品 : イソソルビド

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医薬品情報


総称名 イソソルビド
一般名 イソソルビド
欧文一般名 Isosorbide
製剤名 イソソルビドゼリー
薬効分類名 経口浸透圧利尿・メニエール病改善剤
薬効分類番号 2139
KEGG DRUG
D00347 イソソルビド
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
イソソルビド内服ゼリー70%分包20g「日医工」 Isosorbide Oral Jelly 三和化学研究所 2139001Q1039 73.4円/個 処方箋医薬品注)
イソソルビド内服ゼリー70%分包30g「日医工」 Isosorbide Oral Jelly 三和化学研究所 2139001Q2035 99.7円/個 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤及び本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 急性頭蓋内血腫のある患者[急性頭蓋内血腫を疑われる患者に、頭蓋内血腫の存在を確認することなく本剤を投与した場合、脳圧により、一時止血していたものが、頭蓋内圧の減少とともに再び出血し始めることもあるので、出血源を処理し、再出血のおそれのないことを確認しない限り本剤を投与しないこと。]

4. 効能または効果

脳腫瘍時の脳圧降下、頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下、腎・尿管結石時の利尿、緑内障の眼圧降下、メニエール病

6. 用法及び用量

<脳腫瘍時の脳圧降下、頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下、腎・尿管結石時の利尿、緑内障の眼圧降下>
脳圧降下、眼圧降下、及び利尿を目的とする場合には、通常成人1日量70〜140gを2〜3回に分けて経口投与する。症状により適宜増量する。
<メニエール病>
メニエール病の場合には、1日体重当り1.5〜2.0g/kgを標準用量とし、通常成人1日量90〜120gを毎食後3回に分けて経口投与する。症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脱水状態の患者
本剤の利尿作用により症状を悪化させることがある。
9.1.2 尿閉のある患者
本剤の利尿作用により症状を悪化させることがある。
9.1.3 うっ血性心不全のある患者
浸透圧利尿作用のため循環血液量が増大し、心臓に負担をかけることがある。
9.2 腎機能障害患者
本剤の利尿作用により症状を悪化させることがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
発疹、呼吸困難、血圧低下、動悸等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注)発現頻度は、初回承認時の臨床試験、市販後の副作用頻度調査及びメニエール病に関する効能追加時の臨床試験の結果に基づく。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
消化器嘔気、悪心、下痢、嘔吐、食欲不振 
精神神経系不眠、頭痛 
過敏症 発疹、紅斑
電解質 電解質異常(長期連用による)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
本剤は開封後すみやかに服用し、残した場合には廃棄すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性3例にイソソルビド70%シロップ30mLを単回経口投与したとき、半減期(T1/2)は6.84±0.17時間(Mean±S.D.、以下同様)、血清中薬物濃度−時間曲線下面積(AUC)は4.61±0.47mg・hr/mL、体内平均滞留時間(MRT)は10.68±0.80時間、分布容積(Vd)は0.66±0.03L/kgであった1)
16.1.2 生物学的同等性試験
イソソルビド内服ゼリー70%分包30g「日医工」とイソバイドシロップ70%30mLを、クロスオーバー法によりそれぞれイソソルビドとして21g健康成人男性に空腹時単回経口投与して血漿中のイソソルビド濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC(μg・hr/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
イソソルビド内服ゼリー70%分包30g「日医工」5631.6±438.4631.5±57.70.88±0.437.67±1.19
イソバイドシロップ70%5630.5±546.4604.9±73.01.00±0.567.94±1.54
血漿中薬物濃度推移
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.5 排泄
健康成人男性3例にイソソルビド70%シロップ30mLを単回経口投与したとき、投与24時間後には投与量の約80%が未変化体で尿中に排泄された1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<メニエール病>
17.1.1 国内臨床試験
メニエール病患者にイソソルビド70%シロップ1日30〜140mL注)を4〜449日間経口投与した臨床試験(二重盲検試験を含む)の結果、有用率は有用以上40.2%(86/214例)、やや有用以上66.4%(142/214例)であった。副作用は20/214例(9.3%)に認められ、主な副作用は頭痛4例(1.9%)、胃のもたれ(胃もたれ感)3例(1.4%)、嘔気3例(1.4%)、不眠3例(1.4%)であった3)4)5)
注)本剤のメニエール病に対して承認された用法及び用量は「1日体重当り1.5〜2.0g/kgを標準用量とし、通常成人1日量90〜120gを毎食後3回に分けて経口投与する。症状により適宜増減する。」である。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
体内でほとんど代謝を受けないため、濃厚液を大量に投与すると組織中の水分を血液中に移動させる。腎糸球体で容易にろ過され、糸球体ろ過量(GFR)を増加させる。尿細管で再吸収されないため、尿細管腔内の浸透圧が上昇し、水の再吸収が抑制される。その結果、電解質及び水の排泄が増加し、組織中の水分量が減少するため、頭蓋内圧や眼圧が低下する6)
18.2 利尿作用
イヌにイソソルビドを経口投与(1〜2g/kg)したところ、30分で尿量が増大した7)
18.3 脳圧降下作用
イヌ(n=9)にイソソルビドを経口投与(3g/kg)したところ、脳脊髄圧は平均36%低下し、1〜1.5時間後に最低値に達した8)
18.4 眼圧降下作用
家兎にイソソルビドを経口投与(2g/kg)したところ、眼圧は45分後に最低値に達した9)
18.5 内リンパ圧降下作用
内リンパ水腫モルモットにイソソルビドを頸静脈投与(1.6mL/kg(85w/v%))したところ、内リンパ圧は5〜10分でほぼ0に近い低下を示した10)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. イソソルビド

一般的名称 イソソルビド
一般的名称(欧名) Isosorbide
化学名 1,4:3,6-Dianhydro-D-glucitol
分子式 C6H10O4
分子量 146.14
物理化学的性状 本品は白色の結晶又は塊で、においはないか、又は僅かに特異なにおいがあり、味は苦い。
本品は水又はメタノールに極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくい。
本品は吸湿性である。
KEGG DRUG D00347

20. 取扱い上の注意

誤用に注意し、小児の手のとどかないところに保管すること。

22. 包装

<イソソルビド内服ゼリー70%分包20g「日医工」>
20g×42個(21個×2)
<イソソルビド内服ゼリー70%分包30g「日医工」>
30g×42個(21個×2)

23. 主要文献

  1. 脇屋義文 他, 病院薬学, 22 (2), 145-148, (1996) »DOI
  2. 社内資料:生物学的同等性試験
  3. 北原正章 他, 薬理と治療, 14 (2), 1055-1066, (1986)
  4. 北原正章 他, 薬理と治療, 15 (7), 2975-2990, (1987)
  5. 北原正章 他, 耳鼻と臨床, 32 (1), 44-92, (1986) »DOI
  6. 第十八改正日本薬局方解説書, C-560-563, (2021), (廣川書店)
  7. Shinaberger JH,et al., J Pharmacol Exp Ther., 158 (3), 460-470, (1967) »PubMed
  8. Wise BL,et al., J Neurosurg., 25 (2), 183-188, (1966) »PubMed
  9. Becker B,et al., Arch Ophthalmol., 78 (2), 147-150, (1967) »PubMed
  10. 松原秀春, 薬理と治療, 13 (9), 5087-5090, (1985)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社三和化学研究所
〒461-8631 名古屋市東区東外堀町35番地
26.2 発売元
エルメッド株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
26.3 販売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版