医療用医薬品 : プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル

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医薬品情報


総称名 プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
一般名 プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
欧文一般名 Prednisolone Valerate Acetate
製剤名 プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏・クリーム
薬効分類名 外用合成副腎皮質ホルモン剤
薬効分類番号 2646
ATCコード D07AA03 D07XA02
KEGG DRUG
D03301 プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
KEGG DGROUP
DG00093 プレドニゾロン
DG01955 副腎皮質ステロイド
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏0.3%「TCK」 (後発品) PREDNISOLONE VALERATE ACETATE Ointment「TCK」 辰巳化学 2646720M1101 7.7円/g
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルクリーム0.3%「TCK」 (後発品) PREDNISOLONE VALERATE ACETATE Cream「TCK」 辰巳化学 2646720N1115 7.7円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)[感染を悪化させるおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.3 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある。]
2.4 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が遅延するおそれがある。]

4. 効能または効果

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬を含む)、痒疹群(固定じん麻疹、ストロフルスを含む)、虫さされ、乾癬掌蹠膿疱症

5. 効能または効果に関連する注意

皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。

6. 用法及び用量

通常1日1〜数回、適量を患部に塗布する。
なお、症状により適宜増減する。また、症状により密封法を行う。

8. 重要な基本的注意

8.1 大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用により、副腎皮質ステロイド剤を全身的投与した場合と同様な症状があらわれることがある。[9.59.79.811.1.1参照]
8.2 本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は使用を中止すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。[8.1参照]
9.7 小児等
長期・大量使用又は密封法(ODT)は避けること。発育障害をきたすおそれがある。また、おむつは密封法と同様の作用があるので注意すること。[8.1参照]
9.8 高齢者
大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。一般に生理機能が低下している。[8.1参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 眼圧亢進、緑内障、白内障(いずれも頻度不明)
眼瞼皮膚への使用に際しては、眼圧亢進、緑内障、白内障を起こすことがある。大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、緑内障、白内障等があらわれることがある。[8.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
皮膚の感染症注1)皮膚の真菌症(カンジダ症、白癬症等)、細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛のう炎等)、ウイルス感染症
その他の皮膚症状魚鱗癬様皮膚変化、一過性の刺激感、乾燥ざ瘡様発疹注2)、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎(ほほ、口囲等に潮紅、丘疹、膿疱、毛細血管拡張を生じる)注2)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑)注2)、多毛注2)、色素脱失等注2)
過敏症紅斑等の過敏症状
下垂体・副腎皮質系機能注3)下垂体・副腎皮質系機能の抑制

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
化粧下、ひげそり後等に使用することのないよう指導すること。
14.2 薬剤投与時の注意
眼科用として使用しないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
0.3%[3H]プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏又はクリームをラット正常皮膚に塗布した結果、軟膏では塗布後8時間で、クリームでは塗布後4時間でそれぞれ血中濃度がピークに達し、以後漸減した。また軟膏をラット損傷皮膚に塗布した結果、塗布後1〜2時間で血中濃度がピークに達し、以後速やかに減少した1)
16.4 代謝
0.3%[3H]プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏をラット損傷皮膚に塗布し、経皮吸収時の代謝を検討した結果、ラットにおける代謝経路はエステルの加水分解、6β位の水酸化及び20位カルボニルの還元であることが示唆された2)
16.5 排泄
0.3%[3H]プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏又はクリームをラット正常皮膚に塗布した結果、軟膏では塗布後4日間で投与量の0.5%が尿中、5%が糞中に、クリームでは塗布後4日間で投与量の1%が尿中、8%が糞中にそれぞれ排泄された。また軟膏をラット損傷皮膚に塗布した結果、塗布後4日間で投与量の4%が尿中、32%が糞中に排泄された1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内二重盲検比較試験
尋常性乾癬、苔癬化型及び湿潤型湿疹・皮膚炎患者を対象に二重盲検比較試験を行った結果、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏・クリームの有用性が認められた3)4)
17.1.2 国内長期投与試験
苔癬化型のアトピー皮膚炎、尋常性乾癬及び局面状類乾癬患者17例を対象にプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏又はクリームを1日2〜3回、2〜6.5ヵ月間塗布した結果、局所的あるいは全身的な副作用は認められなかった5)
17.1.3 国内小児臨床試験
痒疹群、虫刺症、湿潤型及び苔癬化型湿疹・皮膚炎の乳児、幼児及び小児患者67例を対象にプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏を1日2〜3回、3日〜4週間塗布した結果、全身的影響は認められなかった。副作用は2/67例(3.0%)に認められ、いずれも毛のう炎であった6)
17.3 その他
17.3.1 全身における影響
成人尋常性乾癬患者18例にプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏(10g/日又は30g/日)を5日間密封法にて塗布した二重盲検比較試験の結果、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏による血漿コルチゾール値の低下は一過性であり、また末梢血好酸球数及び血糖値等には変化を認めなかった7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
一般にグルココルチコイドの作用機序として、グルココルチコイドが細胞質の受容体と結合後、ステロイド−受容体結合体が核に移行して、特定のタンパクを合成させ、その合成タンパクにより各種作用が発現するといわれている。
18.2 局所抗炎症作用
18.2.1 カラゲニン足浮腫抑制作用
軟膏・クリーム製剤による実験(ラット)で、浮腫抑制率はベタメタゾン吉草酸エステル製剤と同程度で、ヒドロコルチゾン酪酸エステル製剤より大きかった8)
18.2.2 クロトン油耳浮腫抑制作用
軟膏製剤による実験(ラット)で、浮腫抑制率はベタメタゾン吉草酸エステル製剤あるいはヒドロコルチゾン酪酸エステル製剤より大きかった8)
18.2.3 その他の局所抗炎症作用
肉芽腫増殖(ラット)、PCA(ラット)及び遅延型アレルギー性皮膚炎(モルモット)等の実験的炎症モデルに軟膏を塗布した結果、局所抗炎症作用が認められた8)
18.3 血管収縮作用
健康成人男性において二重盲検比較試験を行った結果、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏・クリームの血管収縮作用が認められた9)
18.4 生物学的同等性試験
<プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏0.3%「TCK」>
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏0.3%「TCK」とリドメックスコーワ軟膏0.3%の生物学的同等性を検証するため、ラットを用いたカラゲニン足浮腫抑制試験、血管透過性亢進抑制試験、肉芽腫形成抑制試験(コットンペレット法)及びアジュバント関節炎抑制試験を行った。その結果、いずれの試験においてもプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏0.3%「TCK」及びリドメックスコーワ軟膏0.3%は有意な抗炎症作用を示し、また両製剤間に有意差は認められず、生物学的同等性が確認された10)
<プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルクリーム0.3%「TCK」>
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルクリーム0.3%「TCK」とリドメックスコーワクリーム0.3%の生物学的同等性を検証するため、ラットを用いたカラゲニン足浮腫抑制試験、血管透過性亢進抑制試験、肉芽腫形成抑制試験(コットンペレット法)及びアジュバント関節炎抑制試験を行った。その結果、いずれの試験においてもプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルクリーム0.3%「TCK」及びリドメックスコーワクリーム0.3%は有意な抗炎症作用を示し、また両製剤間に有意差は認められず、生物学的同等性が確認された11)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル

一般的名称 プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
一般的名称(欧名) Prednisolone Valerate Acetate
化学名 11β,17α,21-Trihydroxy-1,4-pregnadiene-3,20-dione 21-acetate 17-valerate
分子式 C28H38O7
分子量 486.60
融点 約186℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末で、においはない。
アセトン又は1,4-ジオキサンに溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水又はヘキサンにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D03301

22. 包装

<プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏0.3%「TCK」>
10g×10(アルミニウムチューブ)
10g×50(アルミニウムチューブ)
500g(ポリエチレン容器)
<プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルクリーム0.3%「TCK」>
10g×10(アルミニウムチューブ)
10g×50(アルミニウムチューブ)
500g(ポリエチレン容器)

23. 主要文献

  1. 松本修他, 応用薬理, 20, 45-53, (1980)
  2. 甲重雄他, 応用薬理, 20, 173-83, (1980)
  3. 福代良一他, 新薬と臨床, 29, 1300-15, (1980)
  4. 久木田淳他, 臨床評価, 9, 501-22, (1981)
  5. 渡辺靖他, 西日本皮膚科, 43, 468-73, (1981) »DOI
  6. 山本一哉他, 新薬と臨床, 30, 302-8, (1981)
  7. 久木田淳他, 西日本皮膚科, 43, 460-7, (1981) »DOI
  8. 和田靖史他, 日本薬理学雑誌, 76, 333-45, (1980) »PubMed
  9. 石原勝, 薬理と治療, 8, 2989-93, (1980)
  10. 社内資料:生物学的同等性試験(軟膏0.3%)
  11. 社内資料:生物学的同等性試験(クリーム0.3%)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
辰巳化学株式会社 薬事・学術課
〒921-8164 金沢市久安3丁目406番地
電話:076-247-2132
FAX:076-247-5740
製品情報問い合わせ先
辰巳化学株式会社 薬事・学術課
〒921-8164 金沢市久安3丁目406番地
電話:076-247-2132
FAX:076-247-5740

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
辰巳化学株式会社
金沢市久安3丁目406番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版