医療用医薬品 : フェキソフェナジン塩酸塩

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医薬品情報


総称名 フェキソフェナジン塩酸塩
一般名 フェキソフェナジン塩酸塩
欧文一般名 Fexofenadine Hydrochloride
薬効分類名 アレルギー性疾患治療剤
薬効分類番号 4490
ATCコード R06AX26
KEGG DRUG
D00671 フェキソフェナジン塩酸塩
KEGG DGROUP
DG01482 ヒスタミンH1受容体拮抗薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年5月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
フェキソフェナジン塩酸塩錠30mg「タカタ」 (後発品) Fexofenadine Hydrochloride Tablets"TAKATA" 高田製薬 4490023F2284 10.4円/錠
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「タカタ」 (後発品) Fexofenadine Hydrochloride Tablets"TAKATA" 高田製薬 4490023F1288 11.5円/錠

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

アレルギー性鼻炎
○蕁麻疹
○皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒

6. 用法及び用量

通常、成人にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回60mgを1日2回経口投与する。
通常、7歳以上12歳未満の小児にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回30mgを1日2回、12歳以上の小児にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回60mgを1日2回経口投与する。
なお、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
<アレルギー性鼻炎>
8.2 季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。腎機能が低下していることが多く、血中濃度が上昇する場合がある。[16.6.1参照]

10. 相互作用

10.2 併用注意
エリスロマイシン[16.7.117.3.1参照]本剤の血漿中濃度を上昇させるとの報告がある。P糖蛋白の阻害による本剤のクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因するものと推定される。
水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤[16.7.2参照]本剤の作用を減弱させることがあるので、同時に服用させないなど慎重に投与すること。水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムが本剤を一時的に吸着することにより吸収量が減少することによるものと推定される。
アパルタミド本剤の血漿中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。P糖蛋白の誘導により、本剤の血漿中濃度が低下したとの報告がある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
呼吸困難、血圧低下、意識消失、血管浮腫、胸痛、潮紅等の過敏症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、LDHの上昇等の肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.3 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.2%)、好中球減少(0.1%未満)
発現頻度は使用成績調査を含む
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
精神神経系頭痛、眠気、疲労、倦怠感、めまい、不眠、神経過敏悪夢、睡眠障害、しびれ感 
消化器嘔気、嘔吐、口渇、腹痛、下痢、消化不良便秘 
過敏症そう痒蕁麻疹、潮紅、発疹血管浮腫
肝臓AST上昇、ALT上昇  
腎臓・泌尿器 頻尿排尿困難
循環器 動悸、血圧上昇 
その他 呼吸困難、味覚異常、浮腫、胸痛、月経異常 

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

アレルゲン皮内反応を抑制するため、アレルゲン皮内反応検査を実施する3〜5日前から本剤の投与を中止すること。

13. 過量投与

13.1 症状
外国での過量投与症例として高用量を服用した2例の報告があり、1800mgを服用した症例では症状はなく、3600mgを服用した症例では、めまい、眠気及び口渇がみられた。
13.2 処置
本剤は血液透析によって除去できない。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「タカタ」とアレグラ錠60mgをクロスオーバー法により、健康成人男子20名にそれぞれ1錠(フェキソフェナジン塩酸塩として60mg)を空腹時に単回経口投与し、投与前、投与後0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、12及び24時間に前腕静脈から採血した。LC/MSにより測定したフェキソフェナジンの血漿中濃度の推移及びパラメータは次のとおりであり、統計解析にて90%信頼区間を求めた結果、判定パラメータの対数値の平均値の差はlog(0.80)〜log(1.25)の範囲にあり、両剤の生物学的同等性が確認された1)
図16-1 血漿中濃度
表16-1 薬物動態パラメータ
 判定パラメータ参考パラメータ
AUCt(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)tmax(hr)t1/2(hr)
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「タカタ」1444.6±501.5246.5±122.22.1±1.23.3±0.7
アレグラ錠60mg1501.6±686.5252.1±169.42.6±1.03.1±0.6
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
65歳以上の健康高齢者20例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル80mg注1)を単回投与したときのフェキソフェナジンのAUC0-∞は2906ng・hr/mL、Cmaxは418ng/mL、t1/2は15.2hrであった。これらの値は健康若年者における値のそれぞれ1.6、1.6、1.1倍であった。なお、忍容性は良好であった2)3)4)(外国人データ)。[9.8参照]
注1)成人における本剤の承認用量は1回60mg、1日2回である。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 エリスロマイシン
健康成人男子18例にフェキソフェナジン塩酸塩円形錠注2)1回120mg1日2回注1)とエリスロマイシン1回300mg1日4回7日間併用して反復経口投与したとき、血漿中フェキソフェナジンのCmaxはフェキソフェナジン塩酸塩単独投与時の約2倍に上昇した。一方、血漿中エリスロマイシン濃度には、併用による影響はなかった。
この血漿中フェキソフェナジン濃度上昇の機序は動物試験から、P糖蛋白の阻害によるフェキソフェナジンのクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因するものと推定された5)6)7)。[10.217.3.1参照]
注2)フェキソフェナジン塩酸塩円形錠とフェキソフェナジン塩酸塩錠60mgは生物学的に同等であった8)
16.7.2 水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤
健康成人男子22例にフェキソフェナジン塩酸塩カプセル120mg注1)の投与15分前に水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤を単回投与したとき、フェキソフェナジンのAUC0-30及びCmaxはフェキソフェナジン塩酸塩単独投与時の約40%減少した9)(外国人データ)。[10.2参照]
16.8 その他
フェキソフェナジン塩酸塩錠30mg「タカタ」はフェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「タカタ」と含量が異なる製剤として開発されたことから、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」に基づき、溶出挙動を比較したところ同等と判断され、両剤は生物学的に同等とみなされた10)

17. 臨床成績

17.3 その他
17.3.1 心血管系へ及ぼす影響
(1)成人の季節性アレルギー性鼻炎患者にフェキソフェナジン塩酸塩を1回240mgまで1日2回注)2週間投与したとき、プラセボと比較して、QTc間隔の有意な変化は見られなかった11)12)(外国人データ)。
注)成人における本剤の承認用量は1回60mg、1日2回である。
(2)健康成人にフェキソフェナジン塩酸塩を1回60mg1日2回6ヵ月、1回400mg1日2回注)1週間及び240mg1日1回注)1年間投与しても、プラセボに比して、QTc間隔の有意な変動はみられなかった13)14)15)(外国人データ)。
(3)健康成人男子を対象にしたエリスロマイシンとの薬物相互作用の検討(フェキソフェナジン塩酸塩1回120mg1日2回注)7日間、エリスロマイシン1回300mg1日4回7日間)において、併用により血漿中フェキソフェナジン塩酸塩濃度が約2倍に上昇した場合でもQTcなどの心電図を含め安全性に問題はみられなかった6)。[10.216.7.1参照]
(4)Cmaxが承認用量投与時の10倍以上となる条件下での検討において、心電図への影響はなく、有害事象の増加も認められなかった14)16)(外国人データ)。
(5)フェキソフェナジン塩酸塩にはクローン化したヒト心筋遅延整流Kチャネルに対する影響は認められていない17)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
フェキソフェナジン塩酸塩は、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし、加えて炎症性サイトカイン遊離抑制作用、好酸球遊走抑制作用及び各種ケミカルメディエーター遊離抑制作用を示す18)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フェキソフェナジン塩酸塩

一般的名称 フェキソフェナジン塩酸塩
一般的名称(欧名) Fexofenadine Hydrochloride
化学名 2-(4-{(1RS)-1-Hydroxy-4-[4-(hydroxydiphenylmethyl)piperidin-1-yl]butyl}phenyl)-2-methylpropanoic acid monohydrochloride
分子式 C32H39NO4・HCl
分子量 538.12
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。
メタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水に溶けにくい。
メタノール溶液(3→100)は旋光性を示さない。
結晶多形が認められる。
KEGG DRUG D00671

22. 包装

<フェキソフェナジン塩酸塩錠30mg「タカタ」>
100錠[10錠(PTP)×10]
<フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「タカタ」>
100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. 社内資料:生物学的同等性試験(フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「タカタ」)
  2. 高齢者における薬物動態(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.3.(2))
  3. 高齢者における安全性の検討試験(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ト.V.2.(1))
  4. 健康成人における薬物動態(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.3.(8))
  5. 浦江明憲他, 臨床薬理, 31 (5), 639-648, (2000) »DOI
  6. エリスロマイシンとの相互作用(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.2.(1)、ト.I.5.(1))
  7. 薬物相互作用(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.II.5)
  8. 生物学的同等性試験(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.4.(2))
  9. オメプラゾール及び水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウムとの相互作用(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.III.2.(3)、(4))
  10. 社内資料:生物学的同等性試験及び溶出性試験(フェキソフェナジン塩酸塩錠30mg「タカタ」)
  11. Pratt,C.M.,et al., Am.J.Cardiol., 83, 1451-1454, (1999) »PubMed
  12. アレルギー性鼻炎における用量反応性(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ト.IV.2.(1))
  13. Pratt,C.,et al., Clin.Exp.Allergy., 29 (Suppl.3), 212-216, (1999)
  14. 高用量における心電図の検討試験(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ト.I.5.(4))
  15. 健康成人長期投与試験(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ト.V.1.(1)、ト.V.1.(2))
  16. 健康成人長期投与試験(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要へ.III.3.(1))
  17. QTc間隔延長の可能性に関する検討(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ホ.II.2.(1))
  18. 薬理作用(アレグラ錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ホ.I)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
高田製薬株式会社 文献請求窓口
〒336-8666 さいたま市南区沼影1丁目11番1号
電話:0120-989-813
FAX:048-838-2121
製品情報問い合わせ先
高田製薬株式会社 文献請求窓口
〒336-8666 さいたま市南区沼影1丁目11番1号
電話:0120-989-813
FAX:048-838-2121

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
高田製薬株式会社
さいたま市西区宮前町203番地1

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版