医療用医薬品 : ドパミン塩酸塩

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医薬品情報


総称名 ドパミン塩酸塩
一般名 ドパミン塩酸塩
欧文一般名 Dopamine Hydrochloride
薬効分類名 急性循環不全改善剤
薬効分類番号 2119
ATCコード C01CA04
KEGG DRUG
D00633 ドパミン塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ドパミン塩酸塩点滴静注液200mgバッグ「NIG」 (後発品) Dopamine Hydrochloride Bag for I.V.Infusion 日医工岐阜工場 2119402P1135 1362円/袋 劇薬, 処方箋医薬品注)
ドパミン塩酸塩点滴静注液600mgバッグ「NIG」 (後発品) Dopamine Hydrochloride Bag for I.V.Infusion 日医工岐阜工場 2119402P2140 1429円/袋 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
褐色細胞腫又はパラガングリオーマのある患者[カテコールアミンを過剰に産生する腫瘍であるため、症状が悪化するおそれがある。]

4. 効能または効果

急性循環不全(心原性ショック、出血性ショック)
下記のような急性循環不全状態に使用する。
1.無尿、乏尿や利尿剤で利尿が得られない場合
2.脈拍数の増加した状態
3.他の強心・昇圧剤により副作用が認められたり、好ましい反応が得られない状態

6. 用法及び用量

通常ドパミン塩酸塩として1分間あたり1〜5μg/kgを点滴静脈投与し、患者の病態に応じ20μg/kgまで増量することができる。
投与量は患者の血圧、脈拍数及び尿量により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 それぞれのショック状態において、必要に応じ最初に輸液、輸血、呼吸管理、ステロイド投与等の処置を考慮すること。
8.2 血圧、脈拍数及び尿量等、患者の状態を観察しながら投与すること。
8.3 大量投与したとき、脈拍数の増加がみられた場合や尿量の増加がみられない場合には、本剤を減量するか中止すること。
8.4 新生児・乳幼児、高齢者等の重篤な心疾患患者に使用する場合には水分摂取量が過剰にならないように十分注意して投与すること。また、必要に応じ高濃度製剤の使用も考慮すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 末梢血管障害のある患者(糖尿病、アルコール中毒、凍傷、動脈硬化症、レイノー症候群、バージャー病等)
末梢血管収縮作用により症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 未治療の頻脈性不整脈又は心室細動の患者
陽性変時作用により症状が悪化するおそれがある。
9.1.3 擬糖尿病及び糖尿病の患者
ブドウ糖を含有しているため、血糖値が上昇するおそれがある。
9.1.4 ブドウ糖の投与が好ましくない患者
ブドウ糖含有製剤のため、他の希釈剤で希釈したドパミン塩酸塩を使用すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。

10. 相互作用

10.2 併用注意
フェノチアジン誘導体
プロクロルペラジン等
ブチロフェノン誘導体
ドロペリドール等
本剤の腎動脈血流増加等の作用が減弱することがある。左記の薬剤はドパミン受容体遮断作用を有する。
モノアミン酸化酵素阻害剤本剤の作用が増強かつ延長することがある。本剤の代謝が阻害される。
ハロゲン化炭化水素系麻酔剤
ハロタン等
頻脈、心室細動等の不整脈を起こすおそれがある。左記麻酔剤により、本剤の感受性が高まる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 麻痺性イレウス(0.1%未満)
11.1.2 末梢の虚血
末梢血管の収縮により四肢冷感(0.5%)等の末梢の虚血が起こり、壊疽を生じることもあるので、四肢の色や温度を十分に観察し、変化があらわれた場合には投与を中止し、必要があればα-遮断剤を静脈内投与すること。
注)発現頻度は2%ドパミン塩酸塩製剤における1981年3月までの副作用頻度調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
循環器不整脈(心室性期外収縮、心房細動、心室性頻拍等)a)動悸 頻脈
消化器 嘔気、嘔吐、腹部膨満、腹痛  
その他  静脈炎、注射部位の変性壊死、起毛 

13. 過量投与

13.1 症状
急激な血圧上昇等が生じるおそれがある。
13.2 処置
患者の状態が安定するまで投与速度を落とすか一時的に投与を中止する。必要な場合にはα-遮断剤の投与等適切な処置を行う。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 止むを得ない場合を除き、本剤に他の薬剤を混合して使用しないこと。
14.1.2 pH8.0以上になると着色することがあるので、重曹のようなアルカリ性薬剤と混合しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与に際しては、感染に対する配慮をすること(患者の皮膚や器具の消毒)。
14.2.2 使用後の残液は決して使用しないこと。
14.2.3 血管外へ漏れた場合、注射部位を中心に硬結、又は壊死を起こすことがあるので、できるだけ太い静脈を確保するなど慎重に投与すること。
14.2.4 必要に応じ微量投与可能な輸液ポンプの使用も考慮すること。
14.2.5 通気針は不要であるが、輸液の液量が少なくなると排出速度が低下してくるので、滴下速度に十分注意すること。また、輸液の液面と静脈針との落差を十分に保つようにして点滴を行うこと。
14.2.6 穿刺の際には針をゴム栓にまっすぐ刺し入れること。
14.2.7 連結管(U字管)による連続投与は行わないこと。
14.2.8 容器の目盛はおよその目安として使用すること。

16. 薬物動態

16.4 代謝
ドパミン塩酸塩は、大半がMAO、COMTの作用を受けて代謝されるが、一部は副腎等でノルアドレナリン、アドレナリンに転換された後代謝されると推定されている1)2)
16.5 排泄
外国人健康成人6例に14C-ドパミン塩酸塩(104.6μCi/872μg/1000mL)を4時間点滴静注したとき、点滴投与時間内に投与量の約40%が尿中に排泄され、このうちHVAは約53%、ノルアドレナリンは4.7%、ドパミンは9%であった。投与5日後の総回収率は97±3.5%であり、このうち投与したドパミンの直接関連代謝物は75%であり、残りの25%はノルアドレナリンの代謝物であった1)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
以下の作用が複合的に絡み合って強心作用、昇圧作用、利尿作用を発現し、急性循環不全状態を改善する。
・心収縮力増強作用3)
・腎血流量増加作用4)
・上腸間膜血流量増加作用5)
・血圧上昇作用6)
18.2 心収縮力増強作用
冠動脈血流、大動脈血流及びLVdp/dtは投与量に比例して増加した3)
18.3 腎血流量増加作用
ドパミン受容体を介して腎血流量を増加させた4)
18.4 上腸間膜血流量増加作用
ドパミン受容体を介して上腸間膜血流量を増加させた5)
18.5 血圧上昇作用
心拍出量の増加により血圧を上昇させた6)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ドパミン塩酸塩

一般的名称 ドパミン塩酸塩
一般的名称(欧名) Dopamine Hydrochloride
化学名 4-(2-Aminoethyl)benzene-1,2-diol monohydrochloride
分子式 C8H11NO2・HCl
分子量 189.64
融点 約248℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末である。水又はギ酸に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくい。
KEGG DRUG D00633

20. 取扱い上の注意

20.1 使用直前まで外袋を開封しないこと。
20.2 袋が破損または薬液が変色しているものは使用しないこと。
20.3 外袋の内面に水滴が付着しているものや薬液の漏出があるものは使用しないこと。
20.4 排出口(ゴム栓部)をシールしているフィルムがはがれている場合は使用しないこと。
20.5 開封後は速やかに使用すること。

22. 包装

<ドパミン塩酸塩点滴静注液200mgバッグ「NIG」>
200mL×10バッグ[脱酸素剤入り]
<ドパミン塩酸塩点滴静注液600mgバッグ「NIG」>
200mL×10バッグ[脱酸素剤入り]

23. 主要文献

  1. Goodall M,et al., Biochem Pharmacol., 17, 905-914, (1968) »PubMed
  2. 第十八改正日本薬局方解説書, C-3562-C-3566, (2021), (廣川書店)
  3. Arisaka M., Jpn Circ J., 38, 227-237, (1974) »PubMed
  4. McDonald RH Jr,et al., J Clin Invest., 43, 1116-1124, (1964) »PubMed
  5. Yeh BK,et al., J Pharmacol Exp Ther., 168, 303-309, (1969) »PubMed
  6. 竹内省三ほか, 脈管学, 14, 113-117, (1974)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948
製品情報問い合わせ先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
電話:0120-517-215
FAX:076-442-8948

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
日医工岐阜工場株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
26.2 発売元
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
26.3 販売
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

その他の説明

参考情報
本剤の注入量(滴/分、mL/時)は次表に示すとおりである。
●ドパミン塩酸塩点滴静注液200mgバッグ「NIG」
体重(kg)ドパミン塩酸塩投与量(μg/kg/分)
357101520
101.83.04.26.09.012.0
203.66.08.412.018.024.0
305.49.012.618.027.036.0
407.212.016.824.036.048.0
509.015.021.030.045.060.0
6010.818.025.236.054.072.0
7012.621.029.442.063.084.0
8014.424.033.648.072.096.0
●ドパミン塩酸塩点滴静注液600mgバッグ「NIG」
体重(kg)ドパミン塩酸塩投与量(μg/kg/分)
357101520
100.61.01.42.03.04.0
201.22.02.84.06.08.0
301.83.04.26.09.012.0
402.44.05.68.012.016.0
503.05.07.010.015.020.0
603.66.08.412.018.024.0
704.27.09.814.021.028.0
804.88.011.216.024.032.0

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版