17.1.1 国内第II相試験(凍結乾燥製剤のデータ)
本剤の10mg及び25mg週2回投与のDMARD無効の関節リウマチ患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(有効性解析対象症例数147例)における12週評価日の「ACR改善基準による有効率(ACR20)」を、表1に示す。本剤投与群におけるACR20は、各々プラセボ群に比較し有意に高かった。
表1 12週評価日のACR20(週2回投与)
| 投与量(×2/週) | プラセボ | 10mg | 25mg |
| ACR20a)[改善基準に達した症例数/総症例数] | 6.3%[3/48] | 64.0%[32/50] | 65.3%[32/49] |
副作用の発現率は、本剤10mg群69.2%(36/52例)、本剤25mg群60.8%(31/51例)及びプラセボ群54.0%(27/50例)であった。主な副作用は、本剤10mg群で注射部位反応15.4%(8/52例)、鼻咽頭炎13.5%(7/52例)、皮膚炎7.7%(4/52例)、本剤25mg群で注射部位反応15.7%(8/51例)、鼻咽頭炎11.8%(6/51例)、注射部位紅斑9.8%(5/51例)であった。
17.1.2 国内第III相試験(25mg週2回投与と50mg週1回投与の比較)(凍結乾燥製剤のデータ)
本剤の25mg週2回投与により、疾患活動性が安定している関節リウマチ患者を対象として、25mgを週2回4週間投与に続き、50mg週1回8週間投与したときの有効性及び安全性を検討した。本臨床試験(有効性解析対象症例数41例)における4週評価日(25mg週2回投与終了時)及び12週評価日(50mg週1回投与終了時)の28関節疾患活動性スコア(DAS28)(平均値)は、それぞれ3.26及び3.13(両群の差:−0.10)であった。
副作用(感染症、投与部位反応を除く)の発現率は、本剤25mg週2回群2.4%(1/42例)、本剤50mg週1回群12.2%(5/41例)であった。主な副作用(感染症、投与部位反応を除く)は、本剤25mg週2回群で発疹2.4%(1/42例)、本剤50mg週1回群で腹痛、口内乾燥、胃潰瘍、耳下腺腫大、末梢性浮腫、光線性皮膚症各2.4%(各1/41例)であった。感染症の発現率は、本剤25mg週2回群2.4%(1/42例)、本剤50mg週1回群17.1%(7/41例)であった。投与部位反応(因果関係を問わない)は、本剤25mg週2回群では認められず、本剤50mg週1回群で2.4%(1/41例)に認められた。(本試験では、感染症及び投与部位反応は、他の事象とは別に集計された。)
17.1.3 国内第III相試験(10mg週2回投与と25mg週1回投与の比較)
DMARD無効の関節リウマチ患者を対象として、本剤の10mg週2回投与及び25mg週1回投与の有効性及び安全性を検討した二重盲検比較試験(有効性解析対象症例数95例)における12週評価日のDAS28のベースラインからの変化量(平均値)は、10mg週2回投与群及び25mg週1回投与群それぞれにおいて2.07及び2.25(両群の差:−0.18)であった。
副作用(感染症、投与部位反応を除く)の発現率は、本剤10mg週2回群17.0%(8/47例)、本剤25mg週1回群22.9%(11/48例)であった。主な副作用(感染症、投与部位反応を除く)は、本剤10mg週2回群で肝障害、発疹各4.3%(各2/47例)、本剤25mg週1回群でALT増加、AST増加各8.3%(各4/48例)であった。感染症の発現率は、本剤10mg週2回群21.3%(10/47例)、本剤25mg週1回群8.3%(4/48例)であった。投与部位反応(因果関係を問わない)の発現率は、本剤10mg週2回群10.6%(5/47例)、本剤25mg週1回群16.7%(8/48例)であった。(本試験では、感染症及び投与部位反応は、他の事象とは別に集計された。)
17.1.4 国内第III相試験(関節の構造的損傷に対する防止効果)(凍結乾燥製剤のデータ)
本剤の10mg及び25mg週2回投与のDMARD無効の関節リウマチ患者を対象としたメトトレキサート対照二重盲検比較試験(関節評価解析対象症例数542例、有効性評価解析対象症例数550例)におけるベースラインから52週評価日までの関節破壊進展を手及び足のX線スコア(modified Total Sharp Score:mTSS)で評価した結果を表2に示す。本剤投与群は、メトトレキサート群(MTX群)に比較しいずれも有意に関節破壊の進展を抑制した。また、本剤10mg及び25mg投与群のACR20は、24週評価日でそれぞれ77.0%、77.5%、52週評価日でそれぞれ75.9%、78.6%であり、MTX群では24週評価日で56.3%、52週評価日で62.5%であった。本剤投与群は、MTX群に比較しいずれも有意に高かった
9)。
表2 52週評価日のmTSSのベースラインからの変化量
| 治療 | メトトレキサートb) | 10mg週2回 | 25mg週2回 |
| 症例数 | 171 | 190 | 181 |
| mTSSのベースラインからの平均変化量[標準誤差] | 9.82[1.16] | 5.19a)[0.93] | 3.33a)[0.73] |
| 中央値 | 4.00 | 1.00 | 0.50 |
副作用(感染症、投与部位反応を除く)の発現率は、本剤10mg群41.7%(80/192例)、本剤25mg群41.2%(75/182例)及びMTX群43.8%(77/176例)であった。主な副作用(感染症、投与部位反応を除く)は、本剤10mg群でALT増加4.7%(9/192例)、AST増加4.2%(8/192例)、口内炎3.6%(7/192例)、本剤25mg群でALT増加5.5%(10/182例)、AST増加4.4%(8/182例)、発疹3.8%(7/182例)であった。感染症の発現率は、本剤10mg群37.0%(71/192例)、本剤25mg群38.5%(70/182例)及びMTX群36.4%(64/176例)であった。投与部位反応(因果関係を問わない)は、本剤10mg群20.8%(40/192例)、本剤25mg群20.3%(37/182例)及びMTX群1.7%(3/176例)であった。(本試験では、感染症及び投与部位反応は、他の事象とは別に集計された。)
17.1.5 海外第II相試験(凍結乾燥製剤のデータ)
DMARDの効果が減弱した活動性関節リウマチ患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(有効性解析対象症例数180例)において、投与開始85日後のACR20を表3に示す。
有効性と投与用量との間に相関性が認められ、本剤16mg/m
2注)群のACR20は他群と比較して有意に高かった
10)。
表3 投与開始85日後のACR20
| 体表面積あたり投与量(×2/週) | プラセボ | 0.25mg/m2 | 2mg/m2 | 16mg/m2 |
| 症例数 | 44 | 46 | 46 | 44 |
| ACR20a) | 14% | 33% | 46% | 75% |
副作用の発現率は、本剤0.25mg/m2群21.7%(10/46例)、本剤2mg/m2群26.1%(12/46例)、本剤16mg/m2群72.7%(32/44例)及びプラセボ群18.2%(8/44例)であった。主な副作用は、本剤0.25mg/m2群で嘔気8.7%(4/46例)、投与部位反応4.3%(2/46例)、本剤2mg/m2群で投与部位反応13.0%(6/46例)、浮動性めまい2%(2/46例)、本剤16mg/m2群で投与部位反応52.3%(23/44例)、浮動性めまい、発疹、そう痒症、注射部位過敏各4.5%(各2/44例)であった。
注:本邦で本剤の関節リウマチに対して承認されている用法・用量は10〜25mgを1日1回、週に2回、又は25〜50mgを1日1回、週に1回、皮下注射である。
17.1.6 海外第III相試験(凍結乾燥製剤のデータ)
DMARDの効果が減弱した活動性関節リウマチ患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(有効性解析対象症例数229例)において、投与開始2週、3ヵ月及び6ヵ月後のACR20を表4に示す。本剤投与群のACR20は2週、3ヵ月及び6ヵ月後のいずれにおいても、プラセボ群に比して有意に高く、2週間後から効果の発現が認められた
11)。
表4 投与開始2週、3ヵ月、6ヵ月後のACR20
| 投与量(×2/週) | プラセボ | 10mg | 25mg |
| 症例数 | 79 | 73 | 77 |
| ACR20a) | 2週 | 1% | 18% | 31% |
| 3ヵ月 | 23% | 47% | 62% |
| 6ヵ月 | 11% | 53% | 60% |
副作用(感染症、投与部位反応を除く)の発現率は、本剤10mg群28.9%(22/76例)、本剤25mg群25.6%(20/78例)及びプラセボ群11.3%(9/80例)であった。主な副作用(感染症、投与部位反応を除く)は、本剤10mg群で頭痛5.3%(4/76例)、鼻炎3.9%(3/76例)、発疹、脱毛症、咳嗽増加、下痢、嘔気各2.6%(各2/76例)、本剤25mg群で頭痛5.1%(4/78例)、発疹、そう痒症各3.8%(各3/78例)、脱毛症、咳嗽増加各2.6%(各2/78例)であった。感染症(因果関係を問わない)の発現率は、本剤10mg群56.6%(43/76例)、本剤25mg群57.7%(45/78例)及びプラセボ群37.5%(30/80例)であった。投与部位反応は、本剤10mg群で43.4%(33/76例)、本剤25mg群で47.4%(37/78例)及びプラセボ群で12.5%(10/80例)に認められた。(本試験では、感染症及び投与部位反応は、他の事象とは別に集計された。)
17.1.7 海外第III相試験(25mg週2回投与と50mg週1回投与の比較)
本剤の25mg週2回投与及び50mg週1回投与のDMARD無効の関節リウマチ患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(有効性解析対象症例数420例)における8週評価日のACR20は、本剤50mg週1回群において50%(107/214例)、25mg週2回群において49%(75/153例)であり、有効性における非劣性が検証された。
8週までの副作用の発現率は、本剤50mg週1回群38.3%(82/214例)、本剤25mg週2回群41.8%(64/153例)及びプラセボ群32.1%(17/53例)であった。8週までに発現した主な副作用は、本剤50mg週1回群で注射部位反応17.8%(38/214例)、発疹5.1%(11/214例)、頭痛3.7%(8/214例)、本剤25mg週2回群で注射部位反応17.0%(26/153例)、悪心7.8%(12/153例)、頭痛6.5%(10/153例)であった。16週までの副作用の発現率は、本剤50mg週1回群43.5%(93/214例)、本剤25mg週2回群47.7%(73/153例)であった。主な副作用は、本剤50mg週1回群で注射部位反応18.2%(39/214例)、発疹6.1%(13/214例)、頭痛4.7%(10/214例)、本剤25mg週2回群で注射部位反応18.3%(28/153例)、悪心8.5%(13/153例)、頭痛7.2%(11/153例)であった。
17.1.8 海外第III相試験(関節の構造的損傷に対する防止効果)(凍結乾燥製剤のデータ)
本剤の10mg及び25mg週2回投与のDMARD無効の早期関節リウマチ患者を対象としたメトトレキサート対照二重盲検比較試験(関節評価解析対象症例数616例、有効性評価解析対象症例数632例)におけるベースラインから1年後の関節破壊進展を手及び足のX線スコア(modified Total Sharp Score:mTSS)を用いて評価した結果を表5に示す。本剤25mg群は、メトトレキサート群(MTX群)及び本剤10mg群に比較しいずれも有意に関節破壊の進展を抑制した。また、本剤10mg及び25mg群のACR20は、それぞれ55%、69%であり、MTX群では64%であった
12)。
表5 1年後のmTSSのベースラインからの変化量
| 治療 | メトトレキサートc) | 10mg週2回 | 25mg週2回 |
| 症例数 | 213 | 199 | 204 |
| mTSSのベースラインからの平均変化量[標準誤差] | 1.74[0.30] | 1.44[0.30] | 0.77a,b)[0.18] |
| 中央値 | 0.48 | 0.00 | 0.00 |
副作用(感染症及び投与部位反応を除く)の発現率は、本剤10mg群52.9%(110/208例)、本剤25mg群57.0%(118/207例)及びMTX群68.2%(148/217例)であった。主な副作用(感染症及び投与部位反応を除く)は、本剤10mg群で頭痛13.9%(29/208例)、悪心9.6%(20/208例)、下痢7.7%(16/208例)、本剤25mg群で頭痛10.6%(22/207例)、悪心9.2%(19/207例)、浮動性めまい7.7%(16/207例)であった。感染症(因果関係を問わない)の発現率は、本剤10mg群75%(156/208例)、本剤25mg群79.7%(165/207例)及びMTX群80.6%(175/217例)であった。投与部位反応は、本剤10mg群30.8%(64/208例)、本剤25mg群38.2%(79/207例)及びMTX群8.3%(18/217例)であった。(本試験では、感染症及び投与部位反応は、他の事象とは別に集計された。)